自滅因子(神座万象シリーズ)

登録日:2015/02/16 Mon 14:35:00
更新日:2024/10/21 Mon 09:55:29
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……ああ。ついに、私の自滅因子(アポトーシス)が発現したか








正田崇の既存作品の中で神座万象シリーズと名付けられた世界観では「自壊衝動」と呼ばれる概念が存在する。
通常の人間は年齢を重ね肉体が衰えるにつれ魂も弱り、肉体と魂は同時に死を迎える。しかし『Dies Irae』の異能エイヴィヒカイトの恩恵を受けた魔人や、己の渇望太極まで高めた神格は不老不死の肉体を手に入れることができる。

だが魂は別問題であり、魔人はおろか、覇道神でも数万年程度で寿命を迎えてしまう。
これは魂そのものが滅びを求める衝動であり、いくら他人の魂を喰らおうが生に執着しようがその寿命に逆らうことはできず、何らかの形で自身を死に向かわせてしまう。
シュピーネさんが死んだのも顔のせいではなくこれのせいらしい。
ただし、神格であっても求道神は自壊衝動を持たない。
そして世界の支配者たる覇道神の自壊衝動が形になった存在こそが自滅因子(アポトーシス)である。



◆特性

自滅因子とその発生源は同姓なら友情、異性ならば愛情という形で互いに強く惹かれ合う。
それは発生源にとっては自滅因子こそ心の底から求めた存在(滅び)であり、自滅因子にとっては発生源こそが自らの生まれた理由そのものであるからである。

自滅因子は宿主の対極となる存在であり、相手の言動・思想・求める人生はお互いに正反対で、不愉快で危機を覚え、なのになぜか魅せられる。そんな関係性である。
そしてお互いに惹かれ合いながら自滅因子は無意識のうちに発生源を滅ぼすような行動をとってしまうし、発生源も無意識のうちにそれを支援するような行動を取ってしまう。

宿主が強ければ強いほど自滅因子もそれに比例して強くなるため、どれほど強大な存在であろうと己の自滅因子による滅びを免れることはできない。
癌細胞とも言われるそれは発生源の力を吸収し同格まで成長するので、自滅因子がその使命に覚醒し発生源と戦えば必ず相討ちに持ち込むことができる。そして相討ちにしかならない。
同格の力を持つ以上、勝利はつかめないし、仮に勝てたとしても、癌である自滅因子は発生源が死ねば共倒れになるからである。なので覇道神であっても自滅因子は座を握ることはできない。

まあ自滅因子が現れるということは神が生きることに諦観を覚えるということなので、ほとんどの場合自滅因子の発生よりも新たに生まれた神に討滅されるの方が早い。




◆歴代の自滅因子

『Dies irae』では藤井蓮遊佐司狼メルクリウスラインハルトがそれぞれ発生源と自滅因子に相当する。
蓮は覇道神でこそないが神座との繋がりを持つ神造物なので、メルクリウスの性質に引きずられることで自滅因子を有する。
そのためメルクリウスの自滅因子であるラインハルトはその係累である蓮に対しても特効の力を発揮できる。
日常を愛する蓮と未知を渇望する司狼、ただ一人に執着するメルクリウスと全てを愛するラインハルトで一対の扱い。



神咒神威神楽』では坂上覇吐と久雅竜胆が発生源とその自滅因子となっている。(正確には彼本人ではないが)
覇吐もまた神座との繋がりを持っている触覚であるため、竜胆は肉体が死しても死ぬことを許されなかった。
こちらは「生きたい」と「死んでも外に出たい」の関係である。
竜胆は自身がそうであると自覚する前はもちろん、己が自滅因子であることを自覚した後も、愛する覇吐を破滅させまいと考え選択した行動がやはり覇吐を死に導く行動に繋いでしまった。

時代 自滅因子 宿主
第一神座 マグサリオン 神剣アフラマズダ、クイン
第四神座 ラインハルト メルクリウス
第四神座 遊佐司狼 藤井蓮
第六神座 久雅竜胆 坂上覇吐/畸形嚢腫
第六神座 天魔・宿儺 天魔・夜刀



◆余談

ただし、水銀は自滅因子との相討ちの瞬間、時間を回帰させ次の一巡に移行して延々と時間を引き延ばしてしまうので実質討滅不可能。
彼は黄昏との交代を除く自分の終焉を絶対に認めない。
そして波旬無慙にはそもそも自滅因子が発生しない。

前述したように求道神に自滅因子は発生しない。覚醒していきなり現役の神との戦闘が始まり、滅ぼされるか世界の理として座に縛られる覇道神と比べてなんとも自由な奴らである。
彼らは覇道神と違い自壊衝動を持たないので、他の神に殺される以外では死ぬことがないのだ。











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最終更新:2024年10月21日 09:55