PK(軽機関銃)

登録日:2015/06/25 (木) 15:27:00
更新日:2025/09/08 Mon 21:11:48
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性能(PK)

全長:1,173mm
銃身長:658mm
重量:9.00kg
ライフリング:4条右回り
使用弾薬:7.62x54mmR弾
装弾数:25連ベルト給弾
動作方式:ロングストロークガスピストン ターンロックボルト オープンボルト
発射速度:650RPM
銃口初速:825m/秒



概要

PKとは、1960年に設計・開発されソビエト連邦で運用された汎用機関銃。マキシムPM M1910やSG-43の後継として開発された。
正式名称はPulemet Kalashnikova(プリミョート・カラーシュニコヴァ)であり、「カラシニコフ式機関銃」と訳される。
その名の通りAK-47の設計者であるミハイル・カラシニコフの手による傑作機関銃。今なお現役でフルサイズ小銃弾を用いる機関銃の立ち位置を維持している*1
この際の競合TKB-521とPKMの際の競合TKB-015は採用こそされなかったものの、後のNSVのベースとなった
おとなもこどももおねーさんもプレイした某ゲームのキャラのスキルやペナルティキックは断じて関係ない。



構造

動作方式はAK-47と同じロングストロークガスピストン ターンロックボルト。上からベルトで弾を給弾する為ガスチューブは下にあり、連射を重視する為にオープンボルト式としている。

銃身は冷却効率向上を狙って銃身と平行に溝が彫られているフルーテッドタイプ。
単体で銃身交換が可能で、運搬用途を兼ねたキャリングハンドルが交換時の持ち手となる。ロック自体はフィードカバー内にあるので素手でワンタッチとはいかないがそれでも十分迅速。
バイポッドはガスチューブにのみ接続されている為、本体を地面に置いたままの銃身交換も可能。

また、合板製のストックは豪快に肉抜きされており軽量化と運搬時の持ちやすさを考慮している。

使用弾薬は旧式の7.62x54mmR弾を採用している。
これは独ソ戦での疲弊抜けきらぬ当時のソ連で、新たに機関銃用の高威力弾薬の開発・制定の余裕がなかったこと、備蓄弾薬と既存生産ラインの流用が求められた点がある。
50年代末以降は宇宙開発*2にリソースをガン振りしていた時期でもあり、それ以外の生産コストを極力抑える必要があった。
旧式弾なので威力と射程は十分で狙撃銃などでも現役の弾薬なのだが、実は機関銃に向く弾薬とは言い難い。
というのもリムが出っ張る都合、薬室への装填には一度ベルトリンクから後ろに引き抜いて、改めて押し込むという余計な手間がかかり、機関部の複雑化とコスト増に直結する。
まぁ分隊に数丁程度の汎用機関銃より弾のほうが生産量が多いのは目に見えているため、銃側のコスト増加には目をつむれるという認識であろう。

使用する金属製ベルトリンクは25連発だが、弾薬を介して繋げることでより長くすることも可能。
また、後には100連ベルトリンクも製造されるようになった。前任銃の250連ベルトリンクも流用可能。
本体の給弾口下にはリンクを収めたアモボックス用のラッチがあり、箱に収めていれば移動射撃も行える。
それまでのソ連のベルトリンク式機関銃は右側に給弾口があり左から排莢する形式がほとんどであったので本銃もそれを踏襲している。

給弾面のハンデがあるにもかかわらず信頼性が高く、かつ西側製の同世代機関銃に比べても比較的軽量にできていることから、ソ連製軽機関銃のマスターピースとして名が挙がることが多い。



運用

配備開始時には既にAKとRPD軽機関銃を主軸にした分隊編制が進んでいたため、狙撃兵中隊の機関銃小隊向けとして運用された。
これは、7.62x39mmを用いるPRDや分隊支援のSVDでは火力不足により撃滅困難な敵部隊に対し、より強力な機関銃を集中運用することで早期に制圧、圧倒するという運用思想によるもの。

採用国は主に旧ソ連構成国やワルシャワ条約機構加盟国、そしてソ連からの支援を受けていた国々。
ソ連崩壊時のどさくさに紛れて流出したり他国のコピー品が反政府勢力やテロリストに使用されている。
スリランカのように、中国との防衛協定の一環で不要品の押し付け供与された変わり種も。



バリエーション

PKM

69年に開発、70年台から配備開始されたPKの近代化改修モデル。
製造工程簡略化のための一部部品のプレス加工への変更や、フルーテッドバレルの撤廃がメイン。
最終的に未装填時重量を7.5kgにまで軽量化に成功している。
ゲームに登場するPKシリーズは大体こいつ。

PKS(PKMS)

PK(PKM)に重機関銃用の三脚を接続し重機関銃運用を想定したもの。17kg程度で定点防御や施設への配備に用いられる。

PKT(PKMT)

車載/主砲同軸機銃として開発されたモデル。ストックとバイポッド、グリップ周りがオミットされている。
銃身交換しにくい環境を想定しヘビーバレル化しており、トリガーも電気式の遠隔操作が可能。

PKB(PKMB)

車両や戦車の砲塔上に設置する旋回機銃型。
PKSのものより短い三脚で固定し、トリガーの代わりに押し金が付いている。

PKP“ペチェネグ”

PKMをさらに近代化改修し、特殊部隊用分隊支援火器として特化させたもの。
キャリングハンドル付空冷バレルジャケットとヘビーバレル化によって、銃身の容易な交換ができず多少重くなる代わりに600発の連続射撃が可能。
バイポッドも再設計されて銃口付近に接続されたほか、銃剣の装着が可能。
また、近接支援や市街戦を想定しブルパップ化させたモデルも存在。

ツァスタバ M84/M86

ユーゴスラビア(現セルビア)のツァスタバ・アームズの手によるPKMのライセンス生産品。ストックの肉抜きがないのが外見上の特徴。
光学スコープやナイトビジョン用のマウントが設けられている。
M86はPKMTベース。

80式通用機槍

中国北方工業公司(ノリンコ)製のPKMコピー。SVDと同じくベトナムからの鹵獲品ベースのリバースエンジニアリング。
すでに67式(PKベースの独自開発)が大量配備されていたので国内での配備数は少なく、カンボジアなどへの輸出がメイン。

68式機関銃/73式/82式

北朝鮮製のPK。改良型の73式ではマガジン給弾とベルトリンクの使い分けが可能*3でライフルグレネードのソケットも用意されているが、PKMベースの82式では廃されている模様。
82式は九州南西海域工作船事件で沈んだ工作船から回収されている。

アーセナルマシンガン MG-1M

ブルガリアのアーセナル社で製造されているモデル。
PKMをベースとしているが、バレルは独自改良品。

UKM-2000

ポーランドで採用されているPKシリーズのNATO規格改修型。
空挺部隊用のフォールディングストック装備型や車載機銃型も存在する。



フィクション

どんなジャンルであれ、非正規戦や現代戦が行われるような作品にはだいたい出張っている。
ゲームだとバトルフィールドシリーズかメダルオブオナー(2010年版)あたり。
Escape From Tarkovでは給弾機構が再現されており、動作はオープンボルトなのだが薬室が存在する*4



追記・修正はミハイル・カラシニコフに敬意を表しながらお願いします。

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最終更新:2025年09月08日 21:11

*1 中間弾薬側は今なおゴチャゴチャしている

*2 スプートニクやボストーク、ソユーズ

*3 チェコスロバキアのVz52機関銃を参考にしたと思われる

*4 ついでに言うとタルコフではオープンボルトの銃はジャムらないという謎仕様があるのだが本銃はジャムる