シュバルツバルト(ビッグオー)

登録日:2012/01/23(月) 14:33:05
更新日:2023/12/02 Sat 22:23:08
所要時間:約 7 分で読めます




たとえ、40年前に起きた何かがなくとも、
人というものは闇を恐れる存在である事に変わりは無いはずだ。
人は、その恐れから目を背け、自らの歴史の記憶すらも、その存在が無かったことのように振舞っている。

人は、過去の記憶を断ち切って生きていけるものだろうか?
自己の立つ場所が、いったい何時から、どこから繋がっているのかも知らずに…


私は、新聞記者として生きてきた。 真実を掘り出して記事を書く…
しかし、この街では、真実など新聞記者ごときが触れられるものではない事がよくわかった…
それに、本当に知らなければならない真実は、この街の誰も知ろうとしていない。


私は知りたい! 知らなければならない事を…!



アニメおよび漫画『THEビッグオー』の登場人物。
CV:堀勝之祐

主人公ロジャー・スミスの前に度々現れる、ボロボロの包帯とコートで全身を覆った男。
ミイラのごとく全身を包み、頭部を円錐形に尖らせた包帯、左目を覆うガラス(モノクル?)、首のギプス……と非常に奇怪な姿をしている。
姿のモチーフはミイラ男ではなく透明人間とのこと。
初登場はファーストシーズン第4話『Act:04 Underground Terror』。




注意:以下けっこうなネタバレを含みます。



その正体はパラダイムシティの真実を追い求めた新聞記者、マイクル・ゼーバッハのなれの果て。
経緯は異なるもののアニメ、漫画ともに全身火傷を負っており、包帯に身を包んでいるのはこのため。
尖った頭部は謎だが

元々は一記者として『記憶喪失の街』パラダイムシティの過去を調べていたゼーバッハだったが、その一環として踏み込んだ地下深くにて偶然メガデウス・アーキタイプを発見。
全身の火傷と引き換えにアーキタイプを目覚めさせて様々な知識を得た彼はシュバルツバルトと名を変え、非常に過激な手段をもって自身のたどり着いた“真実”を人々に知らしめる事を目的として、それを妨害するロジャーと戦いを繰り広げる。

その異様な外見と言動は一見すると只の狂人にしか見えないが、“真実”を求め知らしめることに関してはどこまでも真剣である。
同時に自身の目的以外には無頓着であり、当初は只の交渉役として現れたロジャーのことも「腐った街の飼い犬」と称し大して気にしてはいなかった。
だが、彼がビッグオーと共に戦う存在と知ってからは、「“真実”に近しい存在」と認識し積極的なアプローチに出る。
同様にロジャーと対立する巻き毛の趣味の悪い男とは好対照と言えるキャラクター。

また、大火傷と引き換えに知識を得た己になぞらえたのか、ロジャーと直接対峙した際は毎回のように火を使った罠を仕掛けていた。
初登場回で自分で喰らってしまい二度焼きされたのは内緒だ


作中ではドイツ語を好んで口にしており、「シュバルツバルト」=「黒い森」という名前もドイツに実在する森林の名である。
中世には名の通り黒く見えるほど木々が生い茂っていたこの森は「得体の知れないモノが潜む」=「未知への恐怖」を秘める場所とされ、未知なる“真実”を探求する存在である彼に相応しい呼び名として選ばれたのであろう。



数度の戦いを経て、セカンドシーズン第5話『Act:17 Leviathan』ラストでエンジェルがロジャーの前に現れ、シュバルツの身を包む包帯を片手にその去就を語る。


シュバルツがばらまいたチラシが印刷されたのは、ビッグデュオで暴れる前だったの。
東の砂漠の向こうにある海岸、そこで死体が発見されたわ。
シュバルツ…マイクル・ゼーバッハは『とっくにこの世からいなくなっていた』。


この台詞から、人知れず死亡していたことが判明するものの、以降もロジャーのみならずアラン・ゲイブリエルや視聴者の前で幻影として出現したり、セカンドシーズン終盤でロジャー宛ての手紙(ちなみにこの際の署名はゼーバッハ名義)が届けられたりと非常に見せ場が多い。


最後は喜劇的なまでの真実を見る事となり、ビッグデュオ・インフェルノと共にそのまま真実の中へと消えていった。
ギャグ以外の漫画・アニメキャラが到達してはならない真実へと到達した非常に珍しい存在である。


漫画では連続殺人犯を追って地下へ踏み込みメガデウス・死の神を発見。
自身も気付かないうちに死の神に搭乗し、ビッグオーと戦うも敗北して全身火傷を負う。
以降はアニメと同じくロジャーと敵対する。
なお、アニメでは初登場の時点で既に包帯姿でシュバルツバルトを名乗っているので、ゼーバッハとして登場するのは漫画のみ。

また、死亡してもなお街をさ迷っているかのような描写があるなど、アニメ以上にホラー的な印象が強い。

ちなみにゼーバッハの表情は帽子の影にかかってほとんど見えないが、漫画版の作者有賀ヒトシによると、最初は普通に目などが描き込まれていたが、その後「アニメと印象が変わる」として目の部分にベタを塗ったらしい。



関係の深いメガデウス

  • アーキタイプ/死の神
ファーストシーズン第4話『Act:04 Underground Terror』に登場。
地下深くで打ち捨てられていた、ゼーバッハがシュバルツバルトと化した原因と言えるメガデウス。
掌のように物を掴むことができる脚部と、猿のような身のこなしが特徴的。
不愛想・無表情がデフォのドロシーですら「あれは『いてはいけないもの』よ!!」と激しく恐怖するほどの存在感を見せる。

地下でロジャーと対峙した際、ロジャーに同行していたR・ドロシーに反応して暴走。
肩に乗っていたシュバルツを振り落とし、無人のままビッグオーと戦いを繰り広げるも撃破された。
なお、暴走の際ライター片手にロジャーを火達磨にしようとしていたシュバルツは誤って自分の身体に引火し、全身火傷の上から更に火達磨というなかなか可哀想な目にあっている。


漫画では同型のメガデウスが“死の神”として登場。ゼーバッハを操り地上で破壊を繰り返していたが、ビッグオーに阻まれ撃破される。
この時皮肉にもゼーバッハは記者として死の神を追っており、炎に包まれながら正気に帰った彼は我知らず自分自身を追いかけていたことを知る。


ファーストシーズン第12話『Act:12 Enemy as Another Big!』にて、ロジャーに敗れ姿を消したシュバルツが何処からか見つけ出した、真紅のザ・ビッグ。
作中唯一飛行能力を持つメガデウスであり、大量の火器を活かした空中戦でビッグオーを圧倒するも、ドームの屋根を使ったロジャーの機転に敗北。
直後、コクピットから飛び降りたシュバルツを尻目に無人のまま這いずり回り、その場にいた全員を戦慄させる。
ちなみに初登場時にはシュバルツ同様全身を包帯状の布で覆ったミイラのような姿だった。シュバルツがせっせと巻いたのだろうか……


漫画では『天使が降りてくると共に40年ぶりに空が晴れ、太陽が現れる』という街の噂に乗じて登場。
やはり空中戦でビッグオーを圧倒したが、自身が放った大型ミサイルをビッグオーのロケットハンド(?)で押し戻されて爆散した。


  • リバイアサン
セカンドシーズン第5話『Act:17 Leviathan』に登場。
爬虫類か両生類を思わせる四つ脚のメガデウス。
地中を泳ぐように移動し、前脚部分に触れた物を一瞬で砂状に分解する。

シュバルツが書き上げたビラが街にばらまかれた直後に現れ、姿もビラに描かれた海の獣に似ていたため関係を疑われたが、シュバルツはリバイアサン出現どころかビラがばらまかれるよりも以前に死亡していたことが判明する。
シュバルツがリバイアサンを発見するシーンがあるため、全くの無関係ではないようだが……


  • ビッグデュオ・インフェルノ
セカンドシーズン第11話『Act:24 The Big Fight』に登場。
ビッグオーとの戦闘後回収され、修理改造されたビッグデュオ。
自ら乗り手を選ぶというザ・ビッグの欠点を、半機械人であるアラン・ゲイブリエルの神経とビッグデュオの回路を直接繋ぐことで無理矢理解決している。
ビッグオーと戦っている最中、アランを 『YE GUILTY (汝、罪あり)』と搭乗者の資格なしと判断し殺害。そのまま上空の“真実”へと飛び去った。

上記のようにシュバルツ自身は搭乗していないが、本人の亡霊なのかビッグデュオの見せた虚像なのか、アランの前に幻影として出現し彼を否定した。



本編外

スパロボシリーズにもビッグオーが参戦したスパロボDスパロボZシリーズで敵として登場。
Dでは知らない人がスパロボオリジナルと勘違いしそうなほどにトカゲ999の車掌など人外揃いのメリオルエッセがいる敵組織ルイーナに違和感なく混ざっていたり、
Zではアクエリオンヒゲなど他作品相手に専用戦闘セリフが大量にあったり、第3次Zではシャアが本来やるはずだった所業をアムロ達に語ったりと妙に印象に残る。
この他、スパロボプレイヤーの間では、特徴的な頭の形状をゲッター2と表現されることもある。




たとえ、40年前に起きた何かがなくとも、人は闇を恐れる存在であった。
人は、その恐れから目を背け、自らの歴史の記憶すらも、その存在が無かったかのように振舞ってきた。
だが、40年という月日は短いようで、あまりにも長い。
人の恐れを風化させ、真実を知りたいという欲求までをも風化させようとしている。

真実を知ろうとする事は、罪悪だろうか?
己が、何について恐怖しているかを探求する事が、罪なのか?
私は、知るためにこの世界にある。
そして、私はその探求によって得たものを、あまねくこの世界に還元するべき存在だ。

『恐れ』それは我々という矮小な生き物にとって、必要なものだ。
人が恐れる事を止めた時、人という種は袋小路に入り込み、
ただ滅びるのを、干渉もなく待つだけの哀れな存在に成り果てる。
目覚めよ!そして、知ることを恐れるな!

思考する事を止めた人間は、存在する価値のない生き物だ。
考えよ!二つの世界に分けられた人々よ!
今のような人同士の隔たりが、これからも永遠に続く事を望むのでないならば…!

署名――シュバルツバルト



追記・修正は真実を知ろうとする者のみお願いします。

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最終更新:2023年12月02日 22:23