ドラえもん のび太の南海大冒険

登録日:2014/10/04 Sat 23:24:04
更新日:2024/04/14 Sun 01:43:30
所要時間:約 8 分で読めます






宝島発見!?

ドラマチックですこし不思議な、

マリン・アドベンチャー!!


監督:芝山努
脚本:岸間信明
主題歌:吉川ひなの「ホットミルク」

『ドラえもん のび太の南海大冒険』とは、『映画ドラえもんシリーズ』の第19作目及び『大長編ドラえもんシリーズ』第18作目のタイトルである。 1998年3月7日で上映時間は91分。
同時上映は『ザ☆ドラえもんズ ムシムシぴょんぴょん大作戦!』と『帰ってきたドラえもん』。

●目次

【概要】

作者死後、後続のプロダクションの手による第一作となった本作*1は、
海賊の隠した宝探し」という古典的なテーマをスリル満点のノンストップ・アドベンチャーとして仕立て上げたことで人気を博し、
終わってみれば興行成績は歴代ドラ映画第一位、観客動員数も『ドラえもん のび太の日本誕生』に次ぐ二位を記録することとなった。
結果的に本作は、作者死後も毎年大長編作品が公開される足がかりとなった作品と言えるだろう。

コミックス45巻収録の「南海の大冒険」をベースにしており、前半はほぼ原作通りだが、後半はオリジナルストーリーとなっている。


またドラえもん映画としては初めて「専業声優でない」タレント陣が多数出演した作品であり*2
落語家・元アイドル・元アイドル女子プロ・ベテラン俳優・ベテラン歌手と各種揃っている。
特に落語家については諸事情から当時高座でも共演する機会がほとんどなかった二名だったりする。


【あらすじ】

夏休みのグループ研究のために訪れた図書館でロバート・ルイス・スティーヴンソンの『宝島』を読み、触発されたのび太ドラえもんに宝探しを提案。
初めは乗り気でなかったドラえもんも、のび太が「宝さがし地図」で探し当てたことで気持ちを変える。
のび太はしずちゃんを誘い、さらにジャイアン・スネ夫を海賊役に抜擢した。
だが航海中、謎の海ボウズに船が襲われ、さらに本物の海賊船と接触することに。


【登場キャラクター】

【メインキャラクター】

ご存知、22世紀のタヌキ…もといネコロボット
時空間の乱れにより四次元ポケットのひみつ道具の大半をなくしてしまう。
「まっしろじゃかっこわるいから」自分でポケットを描いた。
漫画版によればその後、四次元ポケットは海賊のゴミぶくろになった模様。彼の青頭のおかげで「あふれる時、扉が開かれ道が示されるであろう」の暗号が解けた。
終盤、Mr.キャッシュとともにリバイアサンの胃袋に入ってしまうが、「ロボットだから消化されずにウ○チといっしょに出られる」らしい。

事件の発端。
上記の通り「宝さがし地図」で宝を探し当てるという「運がいいのか悪いのかさっぱり分からない」人。
宝島を目指す航海の途中たびたび海賊船を目撃するも、誰にも信じてもらえなかった。
時空間の乱れに巻き込まれた際に投げ出され、ドラえもんたちと離れ離れになってしまう。
ルフィンの助けにより宝島に先に漂着。島にいたジャックと親友になる。
秘密基地の戦いでは、Dr.クロンに改造されかけていたルフィンを助けるために実銃を発砲。
普段は温厚なのび太にはかなり珍しい、本気でキレるシーンである。

のび太の誘いを受けて宝探しに加わる。
メインヒロイン…の筈だが、本作では若干影が薄い。まあ本作のヒロインはあの娘なので…
またお色気担当でもある。単行本にはサービスカットあり。

スネ夫とともに海賊役に抜擢されて航海に加わる。
映画のジャイアンはいつでも
のび太を助け損ねたことに責任を感じ、誰よりも無事を願っていた。
魔界大冒険』の時と同じく、彼の歌声は無差別生物兵器として存分にその力を発揮する。
さらに本作では美人のガールフレンドができる。(詳しくは後述)

いつものごとくヘタレたが、ルフィンの助けを受けてキャッシュのタイムマシンを「でっかいラジコン」の要領で操作し、麻酔砲でリバイアサンを撃退。
さらに宝島のワープを解除するなどの活躍を見せた。

【ゲストキャラクター】

  • ジャック
CV:マッハ文朱
メインゲストキャラクター。
のび太が流れ着いた島で先に自給自足していた少年。
のび太が食虫植物から彼を救い出したことで打ち解け、その後は言葉もわからないままに意思疎通して大親友になる。
のび太のことは「ノビー」と呼ぶ。
ほんやくコンニャクによりのび太が喋れるようになった際には「ノビー!! ノビーとたくさん話がしたかったんだ!!」と飛びついてきた。その姿を見てのび太は彼の父親を助け出すことを誓う。

仲間の海賊たちがトモス島を探索している間船の番をしていたために、キャッシュの魔の手から逃れていた。
見かけは幼いがのび太より大分しっかりしていて、一人で立派に生き延びていた。
ジャイアンたちに「ジャック、のび太をたのんだぞ!!」とからかわれた際にも、「まかせといて!!」と胸を張って答えている。
コルト船長の息子で、ベティの
また、話すイルカのルフィンは彼の大親友である。

声優は国際結婚で培った英語力を買われてオファーされたものと思われる。

  • ルフィン
CV:麻上洋子(現:一龍斎春水)
ジャックの友達のイルカ。
海で流されていたのび太を助け出した。
のび太たちを宝島の奥深くに導くが、捕まってDr.クロンに改造されかける。クロンの研究によると人間並みの驚異的な頭脳を持っているらしい。
のび太たちに助け出されてからはテレパシーで意思疎通し、一行をナビゲートする。
正体はタイム・パトロールの隊員であり、その使命はキャッシュの基地をみつけることだった。22世紀では通信能力が進化し、秘密偵察員として働いているとのこと。

  • キャプテン・キッド
CV:江守徹
ドラえもんたちが接触した海賊船の船長。
キッドたちと他の海賊の交戦中に一行が巻き込まれた。
古い友人のコルトの後を追って宝島にやってきた。
ドラえもんたちといくつかのガラクタ(実はドラえもんのひみつ道具)を海から拾い上げた。
史実とは異なり厳しく統率力と決断力に富む海の漢であり、部下からの信頼は絶大。

  • ベティ
CV:早見優
ジャイアンのガールフレンド。ワイルドな美少女。
初登場こそ泣き喚くスネ夫にナイフを突きつけたが、弟のジャックと父の身を案じる優しさも見せた。
危ないところでジャイアンに助けられて「あんたなかなか勇気があるよ」と評価し、お礼のようにジャイアンに激流からも助け出された。
さらに「携帯カラオケマイク」を手にしたあのジャイアンの歌*3を絶賛する。当人曰く「こんなステキな唄はじめて聞いた」そうだ。

ラストでは「ここに残っていっしょに海賊やろう!!」とジャイアンを誘ったが、
ジャイアンは「帰んないと母ちゃんにおこられる」と断る。
ジャイアン爆発しろ。
性格や感性があらゆる面でジャイアンと相性が良いため、もし両者が同じ時代に生まれていたら恋人同士になれただろう。


  • パンチョ
CV:林家こぶ平(現:林家正蔵)
キッドの部下の小男。
船長のキッドを尊敬している。ゴンザレスと協力し、ドラえもんたちの脱獄を手伝った。
漫画ではデカ目チビだが、映画では小太りチョビヒゲ面。

  • ゴンザレス
CV:林家木久蔵(現:林家木久扇
キッドの部下の大男。
いつも腹を空かせており、語尾にレスがつく。
声優本人同様少々間の抜けた印象。
半魚人に変装し、ドラえもんたちの脱獄を手伝う。
漫画ではマッチョ半裸だが、映画ではのっぽでヒゲ面。

  • コルト
CV:阪脩
キッドの古い友人の海賊で、ジャックとベティの父親。
情に厚く部下想いな海の漢。
宝島の宝を求めて上陸したが、Mr.キャッシュの罠にかかって囚われの身となり、強制労働に従事させられていた。
いったん解放された後、ドラえもんたちと協力して反撃を開始。
ラストは海賊らしく、キッドとともに宝島から財宝を奪ってきた。
漫画版と映画では容姿が大きく異なる。

  • 海賊
CV:中嶋聡彦、千葉一伸、ピーター・ストーン、ポール・ルーカス、デニス・フォルト、パトリック・ハーラン
宝島の財宝を求めて集まってきた海賊たち。
ちなみにドラ達がほんやくコンニャクを食べる前の海賊の台詞は、映画では演者本人による英語で表現されていた。

  • Mr.キャッシュ
CV:上條恒彦
本作のラスボス
実は22世紀の未来人であり、ペット用の伝説動物や兵器用の改造生物を顧客に売ることを生業とする
22世紀のアドベンチャーゲーム『インディラ・ジョンソンの冒険』の版元でもある。
労働力が必要だったため、宝の地図をばら撒いて海賊たちをおびき寄せた。買えよ、ロボットぐらい!
時空の裏ルートを経由して改造生物を各時代に売り捌いている*4
ラストはドラえもんとともにリバイアサンの胃袋に入ってしまうが、その時の彼の発言がとあるひみつ道具に反応して…

ドラえもんには珍しい死の商人型の人間で、名前もそれに由来する。*5
声優は空賊のマンマユート団を率いていたこともある。

  • Dr.クロン
CV:富田耕生
22世紀で危険な生物進化研究を行って、学界を追放されたマッド・サイエンティストもしかしてガ○パ星で働いてない、あなた
キャッシュの右腕として改造生物の開発に取り組んでいる。
ルフィンをも改造しようとし、のび太の逆鱗に触れることになる。
頭でっかちで体力がないのも見かけ通り。
ちなみに声優は旧日テレ版のドラえもん、およびポセイドンの声優でもある。

  • 半魚人
CV:広瀬正志、藤原啓治関智一、中博史、松本大
Mr.キャッシュの部下で、いわゆる兵士。相手を痺れさせる銃を使用する。
実際は半魚人のような服を着ているだけで、中身は普通の人間。
このうち関氏は後年わさドラ版でスネ夫を演じるのは皆さんご存じの通り。

【用語】

  • トモス島
のび太が発見した島で、海賊たちが目指す場所も同じだった(地図が共通)。
島内では謎めいた生物が蠢いている。
その実態は…

  • 改造生物
宝島近辺でクロンが作り出していた合成生物のこと。要するに怪獣


【ひみつ道具】

いずれもキッド船長がドラえもんたちと一緒に拾い上げたガラクタ
全部で7つ、7つ道具というわけである。

  • キューピッドの矢
パンチョがこれをドラえもんに射たことでいくつかのひみつ道具が残っていることに気付けた。
出番はそれだけ。

有難いことにこれが残っていたので、キッドたちと意思疎通できた。←ご都合主義
のび太の大魔境』では1つが1人分として扱われていたが、今作では改良されたのか、1つを5等分して食べても効果を発揮していた。

  • おしり印のキビダンゴ
桃太郎印ではない。
効果は…察しろ

しずちゃんが「怪力岩男」を作り出し、改造生物と戦わせた。
本来は物体に「君は○○だ」と暗示をかけて別の物体の機能を持たせるひみつ道具なので、岩に「君は巨人だ」と催眠をかけたということだろうか。

  • ジャック豆
ドラえもんとのび太が山の頂上に移動する際に使用。
海の上では確かに役立たず。

  • 携帯カラオケマイク
ジャイアンは使うつもりは無かったようだが、ノリのいい音楽に誘われてつい歌いだし、ついでに改造生物も岩男ごとノック・アウトさせた。
映画版では「改造生物に苦戦する岩男の応援」として使ったが、ジャイアンが歌い出すや否や岩男もバラバラになった。タイミングよく押し負けたのかあるいは…

ベティには感激された。
この道具自体には歌が上手く聞こえる機能があるというような説明は特になく、ほぼ間違いなく彼女は素でジャイアンの歌に感激している。

項目参照。存在理由不明で名高い、ドラえもん屈指のネタ道具。
…の、ハズだったが、本作では意外な役割を果たすことに。


【改造生物】

  • 海坊主
ぼうぼうの毛に覆われた大型怪獣。近隣を通る船を片っ端から沈め、乗員を攫う。
のび太たちはCGの怪物でスリルを楽しんでいたため、これを幻影と間違えてしまい船を破壊されてしまった。

360度見渡す視界で宝島の哨戒を行う中型怪獣。全身を保護色で迷彩化し空を飛んで危機を知らせる。

  • メロンベロン
宝島のジャングルに巣食う植物状の小型怪獣。尖った牙と長い舌を持つ果実。
漫画ではパイナップル型。

宝島のジャングルに生息する小型怪獣。レーザーのように蜘蛛糸を発射し、人間を捕獲してキャッシュ&クロンに献上する。

  • パックリ草
トラップ用の怪獣。地面に蔦を這わせ、踏んだ途端に襲いかかって葉で挟み込んでしまう植物。ナイフでアッサリ切れるほど蔦は脆い。

虎柄の巨象。象の怪力と虎の凶暴性を持ち、筋力は象100頭分。
スネ夫が間違えて投げた「お尻印のきびだんご」でお腹を下して逃げ出していった。
さぞこいつを回収したTP隊員たちは地獄を見たであろう

基地内にいたトラゾウを超える巨体の大型怪獣。サイの200倍の突進力を有する。
静香ちゃんが無生物さいみんメガフォンで作ったゴーレムを圧倒するパワーを見せるも、ジャイアンの歌でゴーレムごと撃破された。
実はこの名称(これに限らずリバイアサンとウミボウズ以外は)TVSPで勝手に命名された。本当の名前は下記のリバイアサンから察するに…

キャッシュの切り札となる最大にして最強の改造生物
シャーク号*6を一撃で破壊し、ミサイルさえも通用しない超巨大なマゼンタ色の海竜。
その言葉通り、タイム・マシンの麻酔銃も通用しなかった。
だが、胃をつねられるとコミカルな表情になる。

ラストで改造生物たちはタイム・パトロールがすべて回収し、元の生物へと戻す事となったが、リバイアサンだけは行方不明になってしまった。
タイムパトロールは「キャッシュのような悪者がコントロールしないかぎり、凶暴性を発揮することはない」
「これから伝説の怪獣として生きていくだろう」と言うがそれは職務放棄ではなかろうか。
もしかしたら、キャッシュが豪語した通り本当にタイムパトロールの手にもおえない怪物だったのかもしれない。

過去の劇場版では実際に妖怪に歴史を改変された例もあるので、未来の警察機関とて無敵ではないのだろう。
そもそも原作38巻では各時代にタイムパトロール公認で時間旅行者用のホテルまで作られている事が明らかになっているので、航時法自体そう厳しいものでもないのか?

なお、メインビジュアルで書かれた姿は緑に紫の斑と、まったく本編と違う姿だった。

【余談】

OP・EDを吉川ひなのが担当したことが色んな意味で話題となった。

本作公開から20周年を記念した2018年には、同じく海賊を題材とした『ドラえもん のび太の宝島』が公開されたが、本作のリメイクではない

シンエイ動画のアニメーションプロデューサー・山田俊秀氏は「本作で初めて、『エピローグをどうするか』の方向性について事前に固めることができた。だから、作画班・美術班に余計な負担を負わさずに済んだ」と藤子F先生の制作スタイルを知っていると、中々痛烈な発言をしている。








「つ、追記・修正てくれ!! 金はいくらでも出す!!」

「こうなったのも自分が悪いんじゃないか!!」

「しょーがないだろ!! ワシの長年の夢だったんだから!!」

「アニヲタになるなんてそんなの…!! 夢じゃないよ!!」

「夢だ!!」

「夢じゃないよ!!」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 南海大冒険
  • ドラえもん
  • 映画ドラえもん
  • ジャイアンの嫁
  • リバイアサン
  • 大長編
  • 劇場版
  • 冒険
  • 海賊
  • 財宝
  • 孤島
  • 改造生物
  • 七つ道具
  • 夢たしかめ機
  • カリブ海
  • 宝探し
  • 夏休み
  • 自由研究
  • 海賊船
  • 大山版ドラえもん長編映画リンク
  • 時間犯罪者
  • むぎわらしんたろう
  • キャプテン・キッド
  • バイオテクノロジー
  • アニメ
  • 映画
  • 芝山努
  • 岸間信明
  • 音災のジャイアン
  • 東宝
  • シンエイ動画
  • アニメ映画
  • 1998年
  • 吉川ひなの

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月14日 01:43

*1 藤子・F・不二雄氏は前作の『のび太のねじ巻き都市冒険記』製作中に死去

*2 単独ゲストだと『宇宙小戦争』でギルモア将軍の声を俳優・八名信夫が務めた前例がある。

*3 改造生物さえもノック・アウトした。

*4 ドラえもんたちがタイムスリップしたのはその影響。

*5 キャッシュ/cash = 「お金」。

*6 キャプテン・キッドの海賊船。