登録日:2016/03/15 (火) 07:36:46
更新日:2022/10/31 Mon 19:57:18
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ハンプティ・ダンプティとグリフォンを続けて殺しているのだから、
シリアルキラーに決まっていると言っていた。
ハンプティ・ダンプティとグリフォンを続けて殺しているから。
本作は
SF・ホラー作家として有名な鬼才・小林泰三氏が執筆した
ミステリー小説であり、
その特有のグロ描写やトリック等の評価が高い。
本作は『不思議の国のアリス』をモチーフにした作品であり、
原作のキャラ達をモチーフにした……ってか、まんまなキャラ達が登場する。
ちなみに本作のキャラ達はいとも容易く証拠隠滅を皆の見ている前で、堂々とやってのける。
別にこれは犯人だからとかではなく、登場人物みんな頭がおかしいので、無意識のうちにやってしまうのだ。
『このミステリーがすごい! 2014年版』国内編・第4位。
『2014本格ミステリ・ベスト10』国内編・第6位。
『ミステリが読みたい! 2014年版』国内編・第8位。
『週刊文春 2013年ミステリーベスト10』国内編・第13位。
『2014年 啓文堂書店 文芸書大賞』第1位 。
……等、数々の賞を受賞している。
続編として『クララ殺し』『ドロシイ殺し』『ティンカー・ベル殺し』が発売されている。
■あらすじ
大学院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの
夢ばかり見ている。
ハンプティ・ダンプティの墜落死に遭遇する夢を見た後大学に行ってみると、
キャンパスの屋上から玉子という綽名の博士研究員が墜落死を遂げていた。
次に亜理が見た夢の中で、今度はグリフォンが生牡蠣を喉に詰まらせて窒息死すると、現実でも牡蠣を食べた教授が急死する。
夢の世界の死と現実の死は繋がっているらしい。
不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋が犯人捜しに乗り出していたが、思わぬ展開からアリスは最重要容疑者にされてしまう。
もしアリスが死刑になったら、現実世界ではどうなってしまう?
彼女と同じ夢を見ているとわかった同学年の井森とともに、亜理は事件を調べ始めるが……。
邪悪で愉快な奇想が彩る、鬼才会心の本格ミステリー。
公式より引用。
■現実世界の登場人物
本作の現実サイドにおける主人公。『くりすがわ・あり』と読む。
就寝前にペットの
ハムスターに話しかけるのが日課。
事件の調査の過程で井森と親密になっていくが……。
彼女がアリスの夢を見た事が切っ掛けで物語は動き出す――
亜理と同じ大学の同級生。
頭が良くなかなかに鋭いが、物覚えが悪く、思い出すのに時間が掛かる。
アーヴァタールがあまりにも頭が悪いせいで、事件の調査をしたいのに中々進まない。
アーヴァタールは蜥蜴のビル。
最初の犠牲者。太っている事から綽名は「玉子」
井森とは親友だったんだとか。
アーヴァタールがハンプティ・ダンプティだった事で命を落とす。
亜理の一つ年上の大学の先輩
アーヴァタールは白兎。
大学の教授。牡蠣中毒で死んでしまう。
アーヴァタールはグリフォンだと判明する。
篠崎教授の元で働く准教授。落ち着きがない。
物凄く無能で田畑に迷惑をかけっぱなしな上、パワハラまでしている。
アーヴァタールは公爵夫人との事。
助教授。篠崎教授に渡す資料作りを広山に頼まれているが、これがなかなか上手く出来ないでいる。
というのも教授は高度な資料を求めているのに、准教授がそれを理解出来ないためレベルを下げろと要求している。
それ故田畑は自分が説明するから准教授は間に入るな、と思っているが、
何故か広山は自分を有能だと思っているので、自分を通したがっている。
アーヴァタールはドードーらしい。
『大きな森の小さな密室』等でお馴染みの刑事達。今回の事件を調べている。
執拗に亜理と井森の不思議の国での姿を探るが……。
アーヴァタールは不明。
谷丸頸部の部下で、常に周りについて回る。
アーヴァタールは不明。
ペットのハムスター。亜理の大切な家族。
アーヴァタールは不明。
■不思議の国の登場人物
『不思議の国』サイドの主人公。
他の連中とは違い、こちらの世界でも亜理との性格・雰囲気の違いはほぼ無い。
『ハンプティ・ダンプティ殺人事件』の際に容疑者にされてしまい、疑いを晴らすべく調査に乗り出す。
しかし、真犯人の手によって別の容疑までかけられてしまい……。
作中で一番頭が悪い蜥蜴。
アリスの疑いを晴らすために行動するが、そもそもアリスが疑われているのは、
アリスの傍にいてアリバイを証明出来るはずビルが、その事を覚えていない事が原因。
仮に覚えていたとしてもビルの頭の悪さは有名なので、誰も信じてくれないという……。
作中では真犯人を目撃したという証人から証言を聞く前に証人を食べるという暴挙をしでかす。
これでもアリスのために頑張っているんです!
ハンプティ・ダンプティ殺人事件の犯人を三月菟と共に追っている。
帽子屋は帽子屋であり、別に警察でもなんでもなかったが、女王から捜査官に任命された。
完全にアリスが犯人だと決めつけており、あの手この手でアリスを捕まえようとする。
帽子屋と共に犯人を追っている。
帽子屋の部下のようなもんで、常に傍にいる。
最初の被害者。見た目は完全に
卵。因みに無精卵。
塀から落ちて死んだらしく、背中に手の痕があったらしい(三月菟に消されてしまった)
お馴染み物語の導入係。
あんまり目が良くないようで、人物の識別はもっぱら鼻でする。
ハンプティ・ダンプティ殺人の際に彼のいた庭の監視係をしており、その際にアリスが現場から逃げ出したと証言する。
白兎のお世話をしている中年の女性。
自分の誕生日に牡蠣を食べて死んでしまった哀れな獣。
地球側の自分の事は客観的に見ており、自分とは思えず捜査に乗り気ではない。
アリスのポッケでいつも寝ている
鼠。
時折寝言を言う。
不思議の国の女王。裁判の実権を握り彼女が有罪と言えば無罪でも有罪になる。
国民から頭が悪くて疑い深く、自分が見た事しか信じないと噂されている。
「首をちょん切れ」が口癖。
女王の
ライバル的存在と認知されている夫人。
女王とは
友人で仲は良好。
赤の王様。常に夢を見続けている。
■用語
井森と王子が『不思議の国』という共通の
夢を見たため、その起きた現象について名付けたもの。
二人は寝ている間に脳波が仮想ネットワークを構築しているのでは?と考えているが、よく分かっていない。
この現象は偏に不思議な国の夢を見るというもの。一度見始め自覚するとその夢しか見る事が出来なくなる。
実は誰もが見ているようだが、自覚できる人は稀らしい。
この見ている夢には『アバター』とでも言うべき『もう一人の自分』がいて、
種族・性別・頭の良さなどは大分違う事もあるが、お互いの記憶を共有している。
お互いの自分をどう感じるかは個々人次第で、
「同一の存在としか思えない!」という人もいれば「自分ではない、所詮夢」と感じる人もいる。
自分同士はリンクをしていて、不思議の国の自分が死んでしまうと、その状況が現実に沿った形で再現してしまう。
動植物全員が喋る事が出来る
ファンタジーな世界。
住んでいる住民達はどこかおかしく、不思議な思考と会話をしている。
意味のない会話を堂々巡りしている事もある。
この世界でも殺人は罪になる。そしてこの世界の住民も食事をする。
なによりこの世界は動物も植物も言葉を話すのだ。
つまり、一日を過ごすには数多くの殺人をしなければならない事になる。
チェシャ猫「
食べれば罪にならないんだよ」
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最終更新:2022年10月31日 19:57