ノコギリ大僧正/大僧正リジュ

登録日:2016/09/03 Sat 15:45:00
更新日:2025/08/11 Mon 01:41:36
所要時間:約 10 分で読めるんだァァァ!!





地獄の一丁目へ、ようこそ~

ノコギリ大僧正とは、五星戦隊ダイレンジャーに登場する敵組織、ゴーマの怪人である。
演:大月ウルフ

概要


中華風の赤い道着と簡素な甲冑を身にまとったような、巨大なノコギリの怪人。
武器は当然と言うかノコギリのようなであり、両手に持って二刀流で戦う。
ゴーマの象徴とも言える「瞳」を、巨大なものを三つも備えているなど、それまでのゴーマ怪人*1と格の違いをうかがわせる上、ノコギリを模した銀色の頭部にその瞳が三つ縦並びとなっている為かなり目立つ。

人間態では僧服っぽい衣装をまとった、もじゃ髭を生やした老人の姿であり、大僧正リジュと名乗る。
この姿の時は、強力な妖力を操って戦う。
作中ではこっちのリジュで居た時の方が長いので、この姿の方で覚えている人の方が多いかも。
というかこっちの姿の方が、作中の描写的に明らかに怪人態よりも強そうだったりする

人物

彼はゴーマの政治を司る元老院の重鎮であり*2シャダム達三幹部よりも格上の存在である。
一応は旧知の間柄だが、シャダム達は口うるさい政治集団である元老院の存在を疎ましく思っている為か、その関係は決して良いとは言えない。

普段はいかにも大僧正らしいどこか大仰なしゃべり方をするが、興奮してくると語尾に「ぞよ」を付けるどこか訛りを帯びた口調となり、更に早口でまくし立てる様になる。こっちが素なのだろう。
また普段から自分の言動に併せてなんとも西洋的な大仰な身振り手振りを交える癖が見られ、先述の口調も併せてどこかコミカルに映る。
言ってしまえば結構なネタキャラである。

演じた大月ウルフ氏は、古くから多くの特撮作品にて様々な外国人キャラを演じて来たベテラン俳優。
近年でも仮面ライダードライブにて、ヘンドリクソン博士役として出演し見事な演技を披露している。
そんな氏が扮した中華風の名を持ちながら、僧服と言うには少々おかしな衣装を身にまとうなんか怪しげな西洋人っぽいもじゃ髭の爺さんと言う変な風体、そして独特の存在感を持つ氏の怪演により、
やらと、とにかく色物怪人の人間態キャラの存在が際立っている他のゴーマ怪人達に比べても決して引けは取らない、
なかなか個性的かつインパクトのあるキャラに仕上がっている。
またその和洋中をごちゃ混ぜにしたようなキャラ造形は、後々明らかとなってくるダオス文明の影響を色濃く残す、ゴーマと言う国家組織の風俗を体現した最初のキャラであるとも言えるだろう。
ちなみに彼と似たような感じの風体の人物が、後の回でゴーマ元老院のモブキャラとして複数がちょくちょくと登場していたりする。

ちなみにリジュの名は、三国志に登場した暴君・董卓のブレーン的存在だった文官、李儒が元ネタと思われる。
後述する張遼もその董卓の配下として仕えていた時期があるので、それに関連してのネーミングだろう。

劇中での活躍


以下、第7話「裏切り者ォッ!」と第8話「おやじィィッ!」のネタバレを含む作中での活躍。

一向に日本侵略の成果を挙げられず、ついに龍星王以外の気伝獣の復活まで許してしまった事に苛立ちを募らせるシャダム達。
そんな三人のアジトへと笑い声を響かせつつ、従者達を引きつれ輿に乗って出現する。
ゴーマの側近として仕えていると言うその地位の高さもあり、どこかシャダム達を小馬鹿にした態度は取りつつも、旧知の仲らしく親しげにダイレンジャーに手こずっている三人に協力を持ちかける。
しかし日本侵略の命令は自分達が受けている事を理由にシャダム達がその助力を拒むと一転、ゴーマが怒っている事を伝えて三人を叱責。
そしてダイレンジャー打倒の為にはまず道士・嘉挧を倒すべきと自らの作戦を示し、その為の刺客として自らの弟子である鉄面臂張遼を招き入れる。
が、張遼の過去を知る三人はそれに難色を示し、ザイドスに至っては張遼を殺そうといきなり妖力で攻撃を仕掛ける始末。最もそれを張遼に軽くあしらわれる。
そんなザイドスの行動に対してリジュは激怒し、ザイドスを妖力光線で壁まで吹っ飛ばし制裁。
そんなわけで結局、張遼が嘉挧を仕留めるというリジュの作戦が実行される事となる。

当の張遼は嘉挧を巧みにおびき出し、実力を以て深手を負わせる事には成功したものの、その過程で乱入してきた亮が嘉挧の口から自分の息子である事を知らされた事で動揺。
結果、亮も嘉挧を仕留めぬままに張遼は手を引いて戻って来た為、作戦は失敗に終わる。
当然作戦の発案者であるリジュは激怒、おめおめ戻ってきた張遼を妖力で制裁しつつ罵倒する。
そんな様子を見て、ダイ族から寝返ってきた張遼を最初から信用していなかったシャダム達はそれ見た事か、とばかりに嘲笑を浴びせ、張遼の作成失敗の始末を要求。
これに対してリジュは、「弟子に替わって自らがダイレンジャーを始末する」と宣言。
こうしてダイレンジャー達と直接対決の運びとなる。

リジュは街を襲撃してダイレンジャーの五人をおびき出した上で、妖力を使って不気味な雰囲気が漂うどこかの海岸らしき場所(リジュ曰く「地獄の一丁目」)へと誘い込む。
ノコギリ大僧正の姿で五人の前に現れ、張遼には見学と称して観戦させつつ、ダイレンジャーに襲いかかる。
その圧倒的な実力差を以てダイレンジャーをいともたやすく叩きのめしてみせ、変身解除まで追い込んだ。
そしてリジュの姿に戻ると、張遼を惑わした亮に対して見せしめのようにダース・シディアスのごとく妖力で攻撃を加えつつ
執拗にいたぶり回す。そして止めを刺そうとするが、自分を親父と呼んで助けを求める亮の必死の呼びかけに対してとうとう吹っ切れ造反した張遼に襲いかかられ、リジュは袈裟斬りにされた後、更には腹をも貫かれてしまう。
そんな張遼の攻撃に苦しみながらも、リジュは口からの妖力らよる至近距離攻撃を浴びせる事で張遼に致命傷を負わせるも、リジュ自身も張遼の気力による攻撃を受け、遠くへと跳ね飛ばされていった。

そして死に間際の張遼と、それを迎えにやって来た先代のダイレンジャー達の霊体により、ダイレンジャーの持つ天宝来来の玉に新たな力が宿った。
力が受け継がれたのを見届けた張遼が仲間と共に天に召され、となって消えてしまった直後、リジュは大地を揺らしつつ巨大化&怪人化して再登場。
それに対しダイレンジャー達は受け継いだばかりの力を使い、作中で初披露となる気伝獣の五星合体を実行、それによりついに大連王が誕生した。
大僧正はそれに対して戸惑う様子を見せつつも受けて立ち、ついに夕焼けをバックにしての巨大対決が始まる。

にらみ合いがしばらく続いた後、しびれを切らしたノコギリ大僧正がついに斬りかかるが簡単に払われ、逆に大王剣で斬られてしまいノコギリを落としてしまう。
そしてそのまま必殺技の大王剣・疾風怒濤を食らい、ノコギリ大僧正はあっけなく散るのであった…


ワシが負けるなんて、ないぞよ…



余談


レギュラーではなく2話限りの登場だが、レギュラーの幹部より上の立場のキャラで登場時には最強格で、そして物語におけるウェイトも大きい点では、前々作のジェットマンに登場した女帝ジューザの立ち位置に近いキャラだったりする
しかしネット上にあるWikipedia等の百科事典系の記載、及びテレビマガジンなどの出版物等においてはジューザはちゃんと幹部格のキャラとして扱われているにもかかわらず、彼は単なる一怪人としてしか扱われていなかったりする。
まあ彼は別に首領ではないし、その大僧正という大仰な肩書きも、後のゴーマ怪人に大将やら女帝やら将軍やらがいる事を考えれば案外大した意味はないのかもしれないが。
ただ、ゴーマは歴代の戦隊敵組織でも人間態を持つ怪人がかなり多いのだが、そんな中で怪人態にも人間態にもちゃんとした名前が設定されている、唯一のキャラではあったりする*3

そんなわけでちょっと扱いは悪いかもしれないが、その実力は間違いなく本物。
幹部であるザイドスに一方的にお仕置きが出来る程の強い妖力を有し、しかも味方側最強の道士嘉挧すら翻弄した鉄面臂張遼の、その師匠である。
後の回で、不意打ちだったとは言えどシャダム達三幹部全員が本気の鉄仮面形態になった上で力を合わせなくては跳ね返す事が出来なかったダイレンジャーの気力ボンバーも、片手でたやすく跳ね返した辺りからもその事は窺え、また張遼に造反されるまではダメージらしいダメージすら受けていないなど、間違いなく登場時は最強の敵キャラである。
だがそんな彼も、後の大連王との巨大戦においては一太刀すら入れる事が出来ずに、完全に一方的に倒されている。
普通に考えれば、裏切った張遼から受けたダメージが大きかった事で弱体化したから…と言う事になるのだろう。

が、この後の巨大戦でもほぼ敵なしの強さでゴーマ怪人を瞬殺していった大連王の無敵っ振りを知る視聴者からは、結果的にはその圧倒的な強さに一応の説得力を持たせた存在*4として扱われており、彼が弱いとかヘタレとかかませとかいう評はあまりされてなかったりするようだ。
まあダイレンジャーに登場する怪人は、彼に限らず巨大化すると途端に弱体化するやつだらけなので、単純に他の怪人と一緒くたに扱われている事も多いけどね!


以下、是非とも直接聞いて欲しい特徴的な台詞集


「聞け、三人とも! ワシがお前達の所へ来たのは、お前達と協力し、ダイレンジャーめを潰す為だ」
にこやかな表情で軽く挨拶を交わした後、真剣な顔つきで三人にこう語る。
ちなみに「潰す為だ」のところではサムズダウンのゼスチャーをしていたりする。

「そんな事を言ってもいいのか? ゴーマは怒ってるぞよ!」
協力を拒否した三幹部に対して。今度は厳しい顔つきで叱責を加える。

「ダイレンジャーを潰すには、まずは道士・嘉挧を倒す事じゃ。出まっせぇー!」
自らの作戦を示し、それにふさわしい人物として弟子である張遼を呼び出しつつの台詞。
ちなみに「出ませ」の台詞は、後の回でゴーマ十五世も使っていたりする。

「ホホホ、勇ましいのザイドス。…バカモン!」
張遼を妖力で攻撃したものの軽くあしらわれ、驚愕するザイドスに対し。
慈しむような表情を一変させて一喝しつつ、妖力を放ってザイドスにお仕置きを敢行する。

「人の大事な、かわいい弟子を虐めるなんて! 謝ってちょーだい!」
妖力で壁まで吹っ飛ばされ、たまらず地面に突っ伏したザイドスに対し。かなり早口でまくし立てている。

「ハァ、もーいいわっ!」
「痛かったかなザイドス。かわいそうにな、フフフフ、ヒハハハハ…」
ザイドスへのさらなる仕置きをシャダムに制止されると、リジュは天を仰いで攻撃をやめる。
そしてまだ地に伏せったままのザイドスに近づき、いたわるような台詞を言いつつ頭を軽く撫でてやった後、
背を向けて笑いながら歩き去っていった。
このやりとりから、一応幹部であるザイドスをあからさまに見下している様がありありと伝わってくる。
そして当のザイドスも憎らしげにリジュの後ろ姿を、そして張遼を睨み付けるのであった。

「自分の息子だから止めを刺すのをためらっただとー! ダメだそんなのはっ! かあーっ!」
亮も嘉挧も仕留めぬまま戻ってきた張遼を、妖力によって制裁しつつの台詞。
ちなみに「ダメだそんなのはっ!」の台詞では激おこぷんぷんなポーズを取っており、そこからさらなる追撃を行っている。

「この程度の事で、鬼の首を取ったような事を言うんじゃないシャダーム!」
張遼の犯した失態の落とし前をつける事をシャダムに要求されての返し。

「弟子の罪は師匠の罪だ…こうなったらワシ自らの手で、ダイレンジャーめを葬ってくれるわ!」
初めて怪人体であるノコギリ大僧正の姿を披露した時の台詞。
この後は高笑いしつつ、実力を誇示するかのように手にしたノコギリを派手に打ち鳴らして火花をちらしつつ、
周囲の柱などを軽々と切り倒した。

「お前かぁ、張遼を惑わしたのは! まずはお前から血祭りにしてやる」
ノコギリ大僧正の姿でダイレンジャーと対面し、その中に張遼の息子である亮の姿を確認して。
愛弟子を惑わした相手に対し、敵意を剥き出しにする。

「いぃやぁ! 子供だましの技よなっ」
戦闘開始早々に放たれた時間的にも失敗フラグびんびん立ちの気力ボンバーを、片手で受け止めつつの台詞。
この台詞の後、いともたやすく押し返しすようにして放たれた気力ボンバーを跳ね返してみせ、
ダイレンジャー達を一気に変身解除に追い込んでみせた。
この時の大僧正は片手、しかも後ずさりすらしておらず、その圧倒的な実力差が窺える。

「つまらんのぉ~、あまりに弱くてぇ。ハハッ」
跳ね返された気力ボンバーで変身解除に追い込まれ、身動きの取れないダイレンジャー達を前にして、
自身もノコギリ大僧正の姿からリジュの姿に戻りつつの発言。
そして先の宣言通り、リジュはまず亮に対して制裁を開始する。

「ワシと張遼は、固い絆で結ばれてるのじゃー」
妖力を使って張遼に見せつけるようにして亮を執拗にいたぶりつつ、自慢するかのように。
当の張遼は、ただただ目を背けるばかりだったのだが…

「う、裏切り者は、所詮裏切り者かぁ!」
息子の必死の叫びを聞いて自分を裏切り、妖力攻撃にも怯まず腹を剣で貫いてきた張遼に対して。
これまで見せていなかった本気の憤怒の表情である。

「ヒヨッコどもー、許さんぞよ!」
突如怪人化&巨大化し、地面を揺るがしつつの再登場時。
作劇的には仕方がないのだが、まるで張遼が天に召されるまで出待ちしていたかのようである。

「何が始まった?!」
気伝獣達の五星合体が始まったのを受けて。
気伝獣が次々と変形していく様を見せられれば、こうも言いたくなるだろう。
作中ではこれが五星合体の初お披露目なので、ある意味視聴者の気持ちを代弁した台詞でもある。



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最終更新:2025年08月11日 01:41

*1 と言ってもまだこの時点では4体しか出てないけど

*2 最も作中では“ゴーマの側近く仕える”としか触れられていないが

*3 子竜中尉は怪人態の名前がない&ゴーマの一員ではあるが怪人としては扱われていない事が多い。メディア魔術師の人間態である高村の名はどう考えてもゴーマでの名前ではないので

*4 つまり敵の大幹部格であるリジュを苦戦せず倒せるくらい大連王は強いのだから、この後の巨大戦で強すぎるのも仕方がないと言う理屈