SCP-1905-JP

登録日:2017/05/09 Tue 00:16:47
更新日:2019/05/29 Wed 05:59:43
所要時間:約 13 分で読めます





人類は叡智の歩みを止めてはならない。-O5-1


SCP-1905-JPとは、シェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクト (SCiP) 。
オブジェクトクラスは堂々のKeter
項目名は「神はサイコロを…」

JPのコードが示す通り、日本支部で生まれたSCPである。
……が、このオブジェクト、はっきり言って途中の段階では何を言っているのか素人ではさっぱり理解不能である。



特別収容プロトコル

まずは収容の手順。

SCP-1905-JPは現在収容出来ていません。存在の隠匿のため、財団情報部門は各国天文観測機関を常に監視し、SCP-1905-JP発見に繋がる研究を阻止してください。各国宇宙機関における宇宙探査計画も同様に監視し、SCP-1905-JPを通過する計画に対する監査を行います。SCP-1905-JPの範囲の観測のため、ストロンチウム光格子時計を搭載し、GPS衛星に偽装した準同期軌道衛星 SCPSat-1905-JP"ヴェルナー"から送信される時刻信号を常時記録します。この観測結果に基づき、各国の管轄機関を通じて全ての人工衛星の時刻を補正し続けてください。

文面からわかるように、宇宙に存在する何かであることがわかる。
財団世界にはままあることだが、基本的に財団の力は基底現実の地上にしか働かないので、海の中・空の上・宇宙の彼方のオブジェクトは総じて収容不能である。


概要

コイツが何かというと、アメリカ合衆国はニュージャージー州、プリンストンの上空2万km以上に存在する、球形の異常空間である。
地球の自転に同期して動いているため、相対的にその位置がずれたことはない。
で、何が問題なのかと言えば、ずばりコイツは拡大する。報告書執筆の時点で半径がすでに1万kmを突破しており、1日に数kmという速さでなおも拡大しつつある。
このまま膨張が進めば、2020年代には地表に到達してしまうとみられている。当初、膨張を阻止する試みはすべて失敗に終わっていたが、ある事象をヒントに立案された「プリンストン計画」が進行している。

さて、このSCP-1905-JPはどんな空間なのか?
実はこの球状空間、西経74度40分██秒と地球の自転面を通るラインを境界に、きっかり二つに分かれており、それぞれに違う現象、というか法則が働いている。

まずは、西半球のSCP-1905-JP-A。
なんとこれは、この中では相対性理論が働かない、純ユークリッド空間なのだ。この空間においては、重力は「物体同士が引きあう力」として働き、空間歪曲などを起こさない。当然時間の遅延も起きないため、ここを通過する人工衛星が影響を受けており、財団はこれの修正をプロトコルに組み込んでいる。

続けて、東半球のSCP-1905-JP-B。
こっちは量子力学における不確定性原理が働かず、当然それに依拠するもろもろの現象も発生しない。
ゆえに、それらを前提とした各種装置も機能しない。

要は、西半球はアインシュタイン以前の、東半球はシュレディンガー以前の、それぞれ常識とされていた物理法則がそのまんま適用されているのだ。

何を言っているのか理解できないのであれば、「この球体空間の中では、現在常識となっている物理法則、およびその前提となる理論が機能せず、それ以前の古い解釈による理論と法則が働いている」と覚えてもらえればよい。

で、興味深いことに、それぞれの空間表面では、相方の空間に関連する事象が働いている。
即ち、西半球では仮想粒子の大量発生、東半球では重力波の拡大である。何でこんなことになっているのかは定かではないが、研究者は「トンネル効果を利用してそれぞれの領域を拡大させようとしているのでは?」と読んでいる。
しかし、いずれにしても、現在では境界面でそれぞれの現象が打ち消されているため、拡大は起きていない。
その代わりに、球体自体の大きさはどんどん増えているわけだが。


調査

このオブジェクトは、財団では役に立たないことに定評のあるGPSのテストをしている際に発見された。
1980年代のある時、合衆国とともにGPSのテストをしていた財団は、搭載されていたセシウム原子時計の中に、一般相対性理論では説明できないズレが周期的に起きていることを感知。
天体観測部門のカウフマン博士の協力のもと観測を行った結果、軌道上に謎の空間を発見。調査のために2名のエージェントが送り込まれた。

このチームは、SRAパネルによる現実改変の防御や、別のオブジェクトに由来する重力制御技術など、財団の持つ最新鋭のテクノロジーを用いた安全策を取っていた。
ところが、内部で観測やテストを行った結果、西半球は問題なく通過したものの、量子理論が無効になる東半球に踏み込んでしまったことで事態が暗転。
カント計測器どころかSRAパネルすら機能しなくなり、宇宙服の核融合炉も再起動できなくなった。

この時点で生還が不可能となったエージェントたちだが、遺言などを残したのち、安楽死の直前に片方のエージェントがこう言い残した。

多分ここでは、神はサイコロを振らないんですね。

かくして調査隊は生還できなかったわけだが、回収されたデータなどを分析した結果、この空間の大まかな異常性が判明。
Keterクラスオブジェクトとして分類され、SCP-1905-JPのナンバーが割り当てられた。


常に拡大し続けるという性質上、いつかは必ず地球を飲み込む。これについて、O5の一人がこんなお言葉を述べられている。

SCP-1905-JPが地球を飲み込んだとしても、日常生活レベルでの異常性を感じることは難しいだろう。SCP-1905-JP-B領域内での半導体技術の飛躍的な発展が見られるようになったところで、その程度の異常性を収容するのは容易い。
しかし常に人類を先導し、現代科学の遥か先を行く異常存在たちと対峙してきた我々財団にとっては違う。我々の機密情報が人類が持ちうる究極の機密であるのは量子暗号技術に保証されており、量子コンピュータ技術によって解読した暗号を元に秘匿された異常物品を見つけることが出来る。量子力学における[編集済]の原理により、nPDN装置により霊体的な異常存在を現実に固着できる。SCP-███-JP由来の重力場制御技術は、幾つもの時空間異常の封じ込めに寄与している。多くの現実改変能力者たちを抑えこむことができるSRAの基礎技術は、[編集済]による重力場[編集済]及び、仮想粒子生成における[編集済]理論によって成り立っている。
これらの技術による異常性の封じ込めが不可能となったとき、代替手段を持たぬ我々は多くのオブジェクトの収容違反を許すだろう。これによって予想され得る損害は、対象となる多くのオブジェクトの危険性も相まって、もはや強制的な無力化を辞さない手段を取ってしても我々の手に負えるものではないとの見積りがなされている。
そしてこれは収容違反が更なる収容違反を呼ぶようなXK-クラス:世界終焉シナリオの発生を意味しており、SCP-1905-JPの無力化、あるいは拡大阻止のためのあらゆる手段を講じる必要がある。

SCP-1905-JPの内部では、現在の社会を支える物理的法則が通じない。
それらの影響を最も強く受けるのは、異常な存在に対処している財団である。だが、数数多のオブジェクトの収容を曲がりなりにも維持している多くの秘匿技術、それらの根幹である法則自体が無効となってしまったら?
待っているのは収容違反の嵐、そしてK-クラスシナリオの到来である。

この現象は一種の現実改変であるためSRAが有効だが、範囲が広すぎるためにカバーしきれず、加えてこれでも遅延にしかならなかったためこの方法は否決されている。

もはやどうしようもないかと思われていたが、ここに来て意外な事実が判明した。
領域の拡大が一気に遅延する事態が発生したのだ。
財団が調査を行ったところ、この遅延現象は量子物理学における新たな理論が、一般の学会に発表されるたびに起きていたことが発覚。
ここに来て、SCP-1905-JPの特性はこのようにまとめられた。

  • アメリカ上空に存在する球状の空間
  • 西半球では相対性理論が通じない
  • 東半球では不確定性理論が通じない
  • この領域はどんどん拡大しており、いずれ地球を飲み込む
  • 量子重力理論についての革新的な研究が発表される毎に膨張速度が低下していく
  • 量子重力理論が完全に完成し、それが公開されたときに無力化される

この結果を受けたO5評議会のゴーサインを受け、財団はSCP-1905-JPに対処するための計画「プリンストン計画」を発動。
一部の上席研究員が携わるこの計画は、大雑把にいえば財団の総力を挙げて量子重力理論の完成を目指す研究プロジェクトであり、この中には外部機関も含まれる。
当然機密事項であるため、外部機関の論文や資料を監査する専門のチームが配備されている。


物理法則。
あまりにも当たり前に存在し、しかしだからこそ、わずかにでも狂えばすべてが破滅するもの。
それを無効化し、古き時代の誤った認識によって存在するこの空間は、一体何のために生まれたのだろうか。




何か間違いや気づきがありましたら、追記・修正をお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1905-JP - 神はサイコロを…
by physicslikephysicslike
http://ja.scp-wiki.net/scp-1905-jp

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