さようならニール(ホワイトカラー)

登録日:2018/04/10 (火曜日) 0:43:00
更新日:2018/04/18 Wed 22:30:13
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「やっと…。自由だな…。」


『さようならニール』とは、アメリカのドラマ、ホワイトカラーのファイナルシーズン最終回のエピソードである。本国版でのタイトルは『Au revoir』。


【前回までのあらすじ】

世界的に有名な窃盗グループの『ピンク・パンサーズ』の検挙のために、パンサーズに潜入捜査しているニール。

実は、ロシアの刑務所に服役していたマシュー=ケラーもパンサーズ検挙のために、情報屋としてインターポールに一時的に雇われ、パンサーズに潜入していた(ファイナルシーズン第2話『自由をつかむために』)。

ニールとケラーは、パンサーズの検挙に成功すれば、自由の身になれる、一時的にではあるが、共闘するという形となった。

ある日、重い代償を払いながらも、パンサーズの犯罪計画にたどりつくヒントとなる情報を入手(ファイナルシーズン第3話『詐欺師の運命』)。

それらをモジーやピーターらとともに推理・分析した結果、彼らはアメリカ連邦準備銀行にヨーロッパから送られたアメリカ人観光客が為替した大量のドル紙幣を強奪することが狙いとわかった。
が、直前にグループのリーダーが、グループ内にスパイがいることを疑い、潜入捜査の失敗の危機が訪れるが、これはニールとケラーの策略により、なんとか危機を脱した。
そして潜入捜査になんとピーターも加わり、いよいよ潜入捜査も大詰めを迎えようとしていた(ファイナルシーズン第5話『2匹のモグラ』)。



【ストーリーの流れ】

なんとか潜入に成功したピーター。
その夜、ニールは自宅にケラーとモジーを招き、ある策略を話す。
それはなんと、パンサーズが盗もうとしている大量の米ドルのうち、3200万ドル分だけを猫ババし、ニール・ケラー・モジーの三人で山分けするというものであった。

そんなこととは、露知らず、ピーターはもうすぐ父親になることへの不安と期待に揺れながらも、捜査を一歩一歩進めていったが、ひとつだけ気がかりなことがあった。
それはケラーを監督しているインターポールのルノーから、ニールが見知らぬ女性と何らかの接触を試みていた写真を見せられたからである。
が、すでにその真相を知ろうにも、ルノーはケラーの手により、すでに抹殺されていたため、もはや知る術は無かった。

そして、ついに、現金強奪計画は実行に移された。
ニールとケラーによって、現金強奪計画は鮮やかに成功し、同時にニールとケラーとモジーが画策した現金の猫ババも成功。
最終的に、潜入捜査は成功し、パンサーズ一味は全員御用となった。

だが、その直後、ニールとケラーは逃走を図る。
その瞬間は戸惑いの色をみせたピーターだが、「GPS付き足枷」を付けたままニールが逃走していることが判明した瞬間、何かニールが企んでいると考え、すぐに二人の後を追う。



【結末】

ニールとケラーはモジーの元に合流した。
で、いよいよ金を山分けという段階で、案の定ケラーが欲をかき、「全部よこせ」と言い出す。
その直後、ケラーの手にはナイフが握られていた。まるで、ニールとモジーを始末するかのように。

が、その行動を予測していたのか、ニールはそれと同時に銀色の拳銃をケラーに突き出す。
モジーには、猫ババした金額のうちの2分の3を持ち出して脱出するよう命じて、ケラーとニールは二人きりになる。
直後ケラーとニールはもみ合いになり、それが原因で銃が暴発し、ニールの胸に銃弾が命中。
血を流して倒れるニールをあざ笑うケラー。だが、そんなニールにケラーはすぐに強烈なしっぺ返しをくらうこととなる。
それは、「GPS付き足枷」がニールの足にまだ装着されていたことであった。目の前の大量の現金を入手できることに心を奪われ、ニールの足枷のことをすっかり失念していたのであった。
もはや取返しもつかない重大なミスに、血の気を失ったケラーは直後、残り少なくなった現金の入ったバッグをかけ、街中を逃走。
だが途中、ピーターに見つかり、人質を取る。
そのすきをみて、ピーターを射殺しようとしたケラーだが、それも無駄に終わり、ピーターの手によってケラーは射殺という形で人生の幕を下ろした。

急いで、ニールの元に向かうピーターだが、駆けつけると、そこには大量の出血で意識がもうろうとするニールの姿があった。
そして、数時間後、遺体安置室で対面したニールは冷たくなっており、帰らぬ人となった。
その現実にモジーは絶望し慟哭をあげる。ピーターもまたニールの遺品を引き取ったのち、廊下のソファに腰をかけると同時に耐えきれず男泣きを始めるのであった。



【その後】

1年後、そんなこととは無縁のように時は過ぎゆく。
だが、ピーターはいまだにニールを失った喪失感に苛まれていた。
モジーも同じく、ニールを失った現実からは完全に立ち直れないでいた。
そんなニールへの想いからか、自身の生まれた男の子に『ニール』と名付けたのであった。


【登場人物】

詳細については、こちらを参照

■ピーター=バーク
主人公その1。
このファイナルシーズンで、エリザベスの妊娠が発覚したため、父親になることへの不安と期待が入り混じったまま、捜査を行っている。
ニールの死後は、『イクメンパパの愛妻家』と『現場派の管理職の仕事』の両立をしながらも、やはりそれでは埋めることのできない『ニールの死』という現実とも戦っている。
ニールとのストーリーがたくさん詰まった思い出のニューヨークから離れたくなかったのか、ワシントン本部への栄転アンド昇進話を蹴って、ニューヨーク支部に残る。


■ニール=キャフリー
主人公その2。
『FBI史に残る伝説の情報屋兼犯罪コンサルタント』ととして、不可能レベルに近かったピンク・パンサーズの検挙に成功。
だがその直後、ケラーとのもみ合いが原因で、命を落とす。
しかし、ケラーをハメるという命と引き換えの策略が成功した際は満面の笑みを浮かべた。


■モジー
ニールの死が受け入れられず、遺体安置室でニールと対面した際は、その事実を拒否し、子供のように駄々をこねながら泣き叫ぶが、現実は変わらなかった。
ニールの死後は、もとのようにケチなイカサマで小銭稼ぎの毎日を送っているが、ニールの死をまだまだ受けいれているとはいえない状態であった。
本国版ではピーターのことをずっと『スーツ』と呼んでいたが、この最終回では『ピーター』とちゃんと名指しでよぶようになるなど、ピーターと家族のような関係になった。
(なお、日本語吹替版ではずっと『ピーター』と呼んでいたため、日本語吹替版オンリーで視聴してた日本国内の視聴者はこのシーンはピンとこないかもしれないが。)


■エリザベス=バーク
ピーターの奥さん。
出産という人生の大きな転機を経験。
旦那と違い、育児と仕事と家事の三輪生活で超多忙な毎日のため、ニールの死を引きずる余裕も無かったためか旦那よりは精神的に元気。
もっともニールは自身の大切な友人という意識はちゃんとあり、死んだニールの名前をそのまま自分たちの子供に名付けることに。


■ダイアナ=バリガン
ニールの死後、一年後にワシントン本部への異動を決意した。
おそらく本音はニューヨークに残りたかっただろうが、ダイアナはもはや一人の女性ではなく、ひとりの子供を持つシングルマザー。子供のことを考えると、自身のワガママを優先させるべきではないと考えたのだろう。
さらに、両親への親孝行という目的もある(両親が孫と一緒に暮らしたいと願ったため。)
このため、後ろ髪をひかれる想いでニューヨーク支部を去る決意を固めた。


■クリントン=ジョーンズ
ニールの死後、特に変わった様子は無い。
が、やはりニールがいないことへの寂しさをどこかに感じるような表情で、ピーターと接していた。


■マシュー=ケラー
ファイナルシーズンにおける、ニールの最後の相手にふさわしい悪党。

ファイナルシーズンにおいても、目的のためなら堅気の人間を平気で殺そうとし、保身のためなら他人が死のうがお構いなし、自身の監督者のルノーまでも暗殺するという、まさに外道であった。

だが、『勝利目前になると、それに気を取られてばかりいる』・『土壇場になると、冷静さを失う』という弱点は相変わらず。
これを熟知したニールの命を代償にした策略にまんまとひっかかり、あっけなくFBIの捜査網にひっかかる。

外道らしく、最後は見ず知らずの堅気の通行人を人質にして強行突破を図るが、あえなくピーターに射殺された。

ピーターを撃とうとしたので、ピーターがケラーを射殺したのはアメリカの警察法に基づけば、問題はない。

仮に生きて逮捕されたら、何らかの形で脱走して、ピーターたちに報復ということも考えられたので、結果的にはむしろ良かったかもしれない。
生きて逮捕されても、脱走不可能なほどの厳重な管理下に置かれて、死刑を待つのみ(彼が重ねてきた罪の多さからして、死刑は回避できないだろう。)であろう。

どのみち死を以て償う以外の選択肢はケラーには残されていなかったともいえる。

いずれにせよ、どう考えてみても同情や擁護の余地が見いだせない外道だったので、ピーターに射殺されたのも天罰が下ったとしか言いようがないであろう。









【以下、重大なネタバレ】






























棺は2つあった



【もしかしてニールは…?】
ピーターが帰宅すると、モジーはエリザベスと一緒に息子をあやしていた。
息子の名は『ニール』。そう、バーク夫妻は問題児ながらも家族同然に愛していたニールの名前をそのまま子供に名付けたのであった。

モジーは夫婦を邪魔してはまずいと思い、帰宅。

そして、ピーターは自宅前に置いてあったワインを飲もうとエリザベスを誘う。
ワインを飲もうとしたが、子供がぐずり始めたため、エリザベスが対処に向かった。
『俺も父親になったんだ。時がたつのは早いな』なんて思いながら、ふとワインのコルクを眺めていると、ある数字が書かれていることに気が付く。

ニールの遺品を急いで調べると、そこには『701』と書いた鍵があった。
それにピーターはある出来事を思い出した。それはパンサーズへの潜入捜査中に、ニールに不審を抱いてジョーンズとコンテナ街を調べたことであった。
コンテナ街を再訪して、701と書かれたコンテナのカギをそれで開けようとすると、カギがひらく、中に入ることができた。

そこには、様々な品がおいてあった。
そう、それはニールがピーターに最後に思い出の品とした残した、ニールの一世一代の詐欺の証拠品なのであった。

ニールの行動分析と思考分析に関してはFBIに右に出る者はいないピーターは即座にこういう推理を行った。



【ピーターの推理】
<出血の偽装>
おそらく防弾べストを下に着こんで、そのうえで何らかの手段で自身の血液の入った袋を胸にしこむ。
これで、ケラーともみ合いになって、思わず銃が暴発して、ニールが凶弾に倒れたと周囲に思わせる。

<仮死状態>
フグ系の毒を抽出して、ニール自身の体を一時的に仮死状態に近い意識朦朧状態にする。これで、ピーターの目すらごまかせる。

<遺体に見せかける>
あらかじめ、使用する拳銃の銃弾を入手し、着弾時にどういう傷になるかを実験した上で、それと同じ傷を胸につける。
仮死状態にしたうえで、これをすることで、遺体安置所でモジーとピーターの目をごまかすことができる。

<最後に>
医療スタッフを買収して、自身の死の偽装工作に加担させる。これにより、ニールの死により、リアリテイが増した。
そもそも、堅気の人間を巻き込まない主義のニールだけに、ニールの死にかかわった医療スタッフ自体がニールの裏社会における仲間の可能性もある。
モジーが医療スタッフの顔を見ても、不審に思わなかったのは、モジーすら知らないニール独自のコネなのか、モジーがそのようなことに気づく余裕すらも無かったからなのかは定かでは無い。
実際にニールの死に直面して絶望のどん底にあったモジーの様子からして、医療スタッフに疑念を抱くような精神的余裕は無かったことは明白。

<ケラーにとどめを>
ニールの持っていた拳銃は一発しか弾丸が入っていない。ニールの持っていた拳銃はケラーが奪ったときにはすでに全弾空の状態であった。しかし、ケラーはそんな簡単なチェックすらできないほど精神的に追い込まれていたのである。
つまりケラーが発砲したところで、無駄なのである。もはやケラーには、発砲しかけたということで射殺されるか、身柄を確保されるかしか道は無い(着の身着のままニールから、逃亡しようとしたため、ほかの拳銃を入手するヒマなど全く無いため)。
仮に逃げおおせたとしても、インタポールのルノーまでも殺害したことで、インタポールからも全力で追われるハメになる。妻をケラーに拉致されたことの怒りから、無論ピーターも全身全霊でケラーを地の果てまで追いかけるであろう(全力を出したピーターが犯罪者側にとってどれだけ怖いかは、作中で明白)。
ニールの詐欺が成功したことで、どのみちケラーには破滅の道しか残っていなかったのである。



ピーターは以上の推理からこう結論づけたに違いない。
『FBI、ケラーそしてモジーや自分自身すらも、ニールに騙されていたのではないだろうか。これはニールによる死亡偽装工作、つまりニールの鮮やかで華麗でド派手な詐欺計画では無いだろうか。そして、誰も傷つけず、自身も手をくださずに、ケラーの息の根を止める計画』と。



【ラスト】
『あいつはきっとどこかで生きている。』そう確信したピーターは、にやりと笑い、その場をあとにするのであった。

そして、時を同じくして、エッフェル塔の見えるフランスのパリ。そこでは、帽子をかぶった長身の青年が街中を歩いているのであった。

ちなみに、本国版でのタイトルの『Au revoir』はフランス語で『さよなら』という意味。ニールのラストシーンもフランス。
まさか、エピソードのタイトルからしてそれが伏線であったとは。
最後も詐欺で締めくくるとは、まさに本作にふさわしいエンディングであった。








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