はたもんば(地獄先生ぬ~べ~)

登録日:2018/05/28 Mon 17:25:38
更新日:2025/08/02 Sat 10:15:50
所要時間:約 4 分で読めます






我ははたもんば
罪人は


首を切る!!

はたもんばとは、漫画『地獄先生ぬ~べ~』に登場する妖怪である。

CV:青森伸(旧)/ 黒田崇矢(新)


【概要】

江戸時代に何百人もの罪人を打ち首にした日本刀が妖怪化したもの。
この日本刀は童守町3丁目にある処刑場跡「はたもん場」の祠に納められていたが、長い歳月と罪人たちの怨念により付喪神と化していた。
妖怪化すると、落ち武者のような怪物が輪状となった刃にまたがっているという不気味な姿に変化。
輪の中心を挟んで刃の両側から横向きに柄が突き出ており、両手で一本ずつ持って回して走る。
おまけに頭蓋骨がむき出しの上、腹部が裂けて内臓がはみ出てているなど、それらのグロさはどことなくセノバイトを彷彿させる。*1

一度罪人と見なすとたとえどんなに罪が軽くともその人間の首を刎ねようとし、「罪人は首を切る」と言って手で刃をこぎながら罪人の首を刎ねるまでどこまでも追いかけてくる。

そのインパクトの凄さや本編中に見せた初の「鬼の手と同レベル以上の強豪妖怪」という強さから、『A』やブキミちゃんなどと並ぶトラウマ妖怪の一体として広く知られている。


【能力】

あらゆるものを刃に変化させる能力を持ち、それを飛ばして相手の首を刎ねようとする。
処刑された罪人の怨念が集まって出来た妖怪なのでその力は並みの悪霊の比ではなく、ぬ~べ~の張った結界をいとも簡単に破り、鬼の手ですら引き裂いて弾き返してしまう。
正面からだととても太刀打ちできないが、側面からの攻撃には弱いため以外の人間の部分を狙えば倒すことが可能。

ちなみにはたもんばに罪人として認識された人間は、呪いにより写真を撮った時に首から上が写らなくなる。


【本編において】

木村克也の初主演回である「はたもんばの呪いの巻」で初登場。
ゲームを購入するお金が足りなかった克也に賽銭を盗られたことで克也を罪人と認識し、翌日から学校の蛍光灯のや扉を刃物に変えて、克也や彼の妹の愛美を狙う。
その日の夕方に克也たちが賽銭を返しに来るがそれでも怒りは治まらず、妖怪化して克也たちに襲い掛かった。
途中で(恐らく)罪のないの首を刎ねながら、克也たちを追って童守小学校まで来る。
そこにはぬ~べ~がいたが、ぬ~べ~の結界を簡単に突破して校舎に侵入し、立ちはだかったぬ~べ~の鬼の手を弾き返して校舎の外まで吹っ飛ばした。
校舎内のあらゆるものを刃物に変えて克也たちを狙い、彼らを段々と追いつめていく。
家庭科教室に入ったところで広たちから戸棚の中に克也がいることを教えられ、彼の首を刎ねるために襲い掛かるが、それは反対側の棚の中にいた克也が鏡に映った虚像であった。
鏡が割れたことでこれは罠だと気づくも、その直後にぬ~べ~に側面から鬼の手で攻撃され、もとの刀の姿に戻った。
しかし今回の件で完全に怨念が除霊できたわけではないので、以降は鞘に護符を貼って封印されることとなる。


後に「人面疽の巻」で再登場。
人面疽に取り付かれ苦しむぬ~べ~を救うためには、鬼の手に匹敵する力を持つ武器で霊体から人面疽を切り離さなければならなかった。
そこで広たちははたもんばの首切り刀で切り離すことを思いつき、祠から日本刀を持ち出しぬ~べ~を助けようとした。
ぬ~べ~の霊体から人面疽を切り離した途端に刃の部分から妖怪化し始めるが、すぐに稲葉郷子(テレビアニメ版では栗田まこと)が護符を貼った鞘に収めたのでことなきを得た。
原作では刀が変形し始めるだけで終わったが、アニメだとはたもんばの姿が徐々に浮かび始める演出が取り入れられる。


はたもんば自身ではないが「妖怪大集合!の巻」では、ぬ~べ~の水晶玉に記憶されていた妖怪のうちの一体として登場。
ぬ~べ~クラスのお化け屋敷をめちゃくちゃにした不良学生を懲らしめるために、ぬ~べ~が水晶玉の記憶を再生。
祠からいきなり飛び出して「どうやって動いてんだ?」と不良学生をビビらせていた。


【地獄先生ぬ~べ~NEOにおいて】

はたもんば自身は登場しないが「ユリア、暴走!」にて、はたもん場の処刑人だった役人・山本残左衛門の霊が登場。
といってもずっと罪人を罰してきた執念だけが残ったもので人の心は持っておらず、ただひたすら罪人に罰を与える悪霊と化していた。要は「第二のはたもんば」である。
はたもん場の石碑に封印されていたが、掃除をさぼろうとしていた健斗たちにスカートをめくられて激怒していたユリアの「勧善懲悪!信賞必罰!!」という考えに同調し、彼女に取り憑く。
翌日に健斗たちにあらゆる罰を与えていくが、ユリアが落ちていた10円玉をネコババしようとしたことで彼女も罪人とみなし、彼女の首を刎ねようとする。
だがぬ~べ~によってそれは阻まれ、白衣霊縛呪で封じられたあとでもとの石碑に封印された。


【2025年版において】

長い間「はたもん場」の祠に封印されていたようだが、カラスのイタズラで封印が解かれ、たまたま境内の前を通りがかって新500円玉を拾った克也を罪人と見なす。
旧アニメ版で再現しきれなかった腹部からはみ出た内蔵は『褌の赤い帯に見せつつ十字の傷口からしっかりぶら下げる』形でより原作に近い姿となっており、
刀から妖怪へ変化する瞬間やその場で勢いよく回転して刀を研ぐなど当時とは異なる方向からも恐怖を煽る演出もされている。
教室のものを刃物にして襲う描写はカットされた代わりに、はたもんばが祠から童守小学校まで克也たちを追跡してくるアニオリシーンが大幅に追加。
さらに道中では両眼を光らせることで視界に映った物体を遠隔で切断するという新技*2も披露しており、
克也の前方にあった道路標識を細切れにして、それらを丸鋸やフリスビーのように回転させながら飛ばしてくるという芸当を見せた。
ちなみに克也たちを追っている途中で対向車が何台かあったが、特に騒ぎになっている様子はないので、ドライバーたちには姿が認識されていないものと思われる。

旧アニメ版はたもんばが「じわじわと罪人を追い詰める恐怖の処刑人」という印象だったのに対し、
2025年版のはたもんばは「一刻も早く罪人の首を斬りたくて仕方ない」という猟奇殺人鬼のような狂気を感じさせる。
それ故かやや猪突猛進な様子が多く、妖怪化した直後は勢い余って鳥居に刺さってしまったり、ガードレールを飛び越えて崖下に転落したりしていた。
また作中では美樹が調べれば辿り着ける程度には『罪人の首を斬り続けて悪霊と化した刀』という伝承が広まっているらしい…………のだが、
+ ぬ~べ~曰く、ある時から盗みを働いた罪人たちが皆『おかしなこと』を言うようになったそうで――

『その刀に!!騙されたんだぁぁ!!』


――ざぁいにぃん……♪


実は、今作に登場するはたもんばが封印されていた場所は童守町3丁目ではなく、隣町にある別の処刑場跡地。
付喪神、そして妖怪と化した経緯こそ原作や旧アニメ版の個体と似通っているが、こちらは罪人の首を斬るという行為により執着した結果、
「お金に困っている人の前にわざと小判を落とし、それを拾い使ってしまった者が罪人として引っ立てられるよう仕向ける」
という一種の試し行動に走ってしまい、欲に負けて出自不明の大金を手にした人たちを合法的に斬首してきた伝承があるという設定が付け加えられた。
境内での一件も、克也が賽銭箱から盗んだり近くに落ちていたお金をそのまま持ち帰ったというわけではなく、
はたもんば自身が賽銭箱から新500円玉を吐き出して克也の足元へ転がし、天の恵みだと勘違いさせた上で罪人認定するという完全なマッチポンプ。
『人の道徳心を揺さぶる形で新たな罪人を産み出してはその首を斬る理由を作る』という、原作や旧アニメ版以上に悪意バリバリ*3の妖怪となっている。

作中では「罪人、首、斬る」以外の単語をほとんど発さず、知性が下がった分だけ凶暴性が高まっているような印象を受ける。
また攻撃力こそ非常に高いものの前述のように突っ込んでは色んな所に刀が刺さって動けなくなる場面が何度かあり、
最終的にそれを見ていた克也によって原作と同じ攻略手段を思い付かれて敗北。
鞘に封印の札を貼られた上で、ぬ~べ~の手によって祠自体も新しいしめ縄で厳重に封印を施されることとなった。



【余談】

「はたもん場」の「はたもん」の由来は、磔用の柱である「はたもの」が訛ったものである*4
またこの場所はもと処刑場だったこともあり、死刑囚の血を吸って育つと言われている「マンドラゴラ」が自生していたりする。




追記・修正をお願いします。しかし絶対に荒らさないでください。さもなくば……


「荒らす輩は首を切る!!」

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最終更新:2025年08月02日 10:15

*1 アニメ版では腹部が十字傷のみの状態に変更されているため、内臓が出ていない。2025年版では原作と同じく内臓が出ている。

*2 あるいは原作における「祠の中から斬撃を飛ばしてお地蔵様の首を飛ばす」際に使った技なのかもしれない

*3 ただし裏を返せば、お金を目の前に落とす以外の行動をはたもんばは一切行っていない。あくまでその人が自分の意思で、落ちているお金を自分の物にすると選択した形となっている。

*4 文庫版のおまけページより。