君に愛されて痛かった

登録日:2019/01/31 Thu 17:39:00
更新日:2025/01/18 Sat 15:39:33
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わたしあなたのこと好きだった ただそれだけ

概要

「君に愛されて痛かった」とは、知るかバカうどん(これがペンネームである)の漫画作品。
『漫画アクション』(双葉社)2017年12号より連載開始されるも、後述する通りの過激な展開から7話で打ち切りとなる。
その後新潮社の電子漫画配信サイト「まんが王国」に移籍して再開、単行本は新潮社から出されていた。
2022年3月31日を以て新潮社と契約を解除し、秋田書店へと移籍。単行本も電子版が先行する形で新装版が販売される。

もともと作者は成人誌で暴力的な描写や救いようのない生々しい展開の作品を多数発表していたことで知られる作家。
本作でも1話のプロローグからすでにバッドエンドが約束された状態となっている。

「援助交際」「いじめ」「犯罪を平然と行うDQN」などといった要素がふんだんに盛り込まれている。
特にいじめやDQN達の生々しい描写のねちっこさはえげつなくいじめシーンもゴキブリぶちまけレベルは当たり前。
畳み掛ける鬱展開と時折見せる女性キャラクター達の可愛らしい表情とのギャップが大きく人を選ぶ作品でもある。

なお、最初に打ち切られた原因の一つである当初の9話は単行本1巻のメロンブックス特典となっている。

ストーリー

荒れた団地に住み、家庭にも恵まれない高校1年生の少女かなえ。
彼女は中学生の時に陰惨ないじめを受け、そのトラウマにとらわれてクラスメートとも心から馴染めずにいた。
承認欲求から援助交際をやっていた彼女と出会った他校の野球少年寛。
優しくしてくれる寛に心惹かれていくかなえだが、それは周辺の者たちも巻き込んだ悲劇の幕開けだった。


キャラクター

  • 叶井かなえ
高校1年生の少女で主人公。生活保護受給者やDQN、低層外国人が多い荒れた団地に母や年の離れた弟と一緒に住んでいるが家族関係は良くない。
父親はいない模様。
中学生の時に転校した学校で「真面目に授業受けたりして同級生の和を乱している」と言いがかりをつけられ凄惨ないじめを受け、この経験が深いトラウマになっていて精神は非常に不安定で、被害妄想的になりがち。
高校では友人グループに表面的に合わせているが自分の居場所と感じられていない。特にリア充と見られる環境に近づくと脳内で「自分に相応しくない場所」と認定してしまいパニックにも近い精神状態になってしまう。

優しくしてくれた寛に惹かれていくが、結果的にそのことが一周辺の人や寛をも期せずして傷つけていくことになる。
巨乳で料理もできるので意外とスペックは悪くないのだが、自己評価は低く自分を追い詰めがちな癖がある。

実は承認欲求から援助交際に手を染めており、援助交際のため遅く帰宅することが多いので家族にはますます疎まれている。
普段はおどおどした態度だが、一度ブチ切れると手がつけられない面があり、鳴海など地元の不良と交際し、違法行為や性的な行動に対するハードルも低い。
(恵まれた環境にいながら自分をいじめる一花に憎しみを抱き、鳴海を通じてDQNグループに依頼して彼女を拉致暴行させるなど。
もはや一花は悪という点に関して手も足も出ないレベルであった)

その後何食わぬ顔で一花をハブったグループに戻るが、更に鳴海を失い寛の元カノである奈々の登場で精神の不安定さは止まらないままでいる。

  • 野村寛
高校2年生の少年で、かなえとは別の学校に通う野球部のピッチャー。
選手としては有望で、本職の投手はもちろんのことバッターボックスに立ってもいい仕事をする。甲子園出場も期待されており性格も優しく社交的で、近隣の高校生達や高校野球ヲタ老人の間でも顔がよく知られている。
カラオケ合コンでかなえと知り合い、彼女が援助交際をしていることを知って咎め最初は強く反発されるがそれでもかなえに優しくしたため想いを寄せられる。
彼もかなえとの接近でまんざらでもない様子。
しかしかなえとの接近で鳴海に恨まれ肩を壊されてしまい、痛みを隠して練習に参加しているものの制球が悪くなってきている。

  • 鳴海
かなえの友人であるヤンキー少年。
原付に乗っていることから16歳以上と思われるが高校に行っているかは不明。
父は家出したきり、母親はそれ以来家事をせず呑んだくれという荒れた家庭。
不良だが人の良さを通り越してヘタレじみたところがあり、先輩に理不尽に殴られても逆らえず悪事にも流されがちで、かなえの援助交際を止めることもできていない。
中学生だった頃のかなえと団地の広場で出会い、それ以来お互いの愚痴を聞く間柄だがかなえには男性として意識されていないところがある。
それなりに悪事にも手を染めていたのか、鑑別所に入っていたこともありそこで出されていたビスケットが今でも好物。
かなえのことを密かに想っていたが告白もできておらず、彼女に依頼されて一花への暴行で不本意な形で童貞を卒業する。
寛とかなえの接近に耐えられなくなり寛を襲撃して負傷させ、逮捕される。

  • 市川一花
かなえの友人グループのボス格の少女で、黒髪ショートカットでピアスをつけている。
家は金持ちで両親にも溺愛されており、欲しいものはなんでも買ってもらえる*1環境にある。中学時代はバレー部のエースだった。
一見品行方正なようだがわがままで思い込みが激しく、自分の思い通りにならないとすぐキレる。
この性格から中学の時は部活で張り切りすぎ、他の部員に厳しく当たりすぎて嫌われ、結局孤立した過去がある。中学時代はベリーショートでボーイッシュな格好だったが、そのために男友達に異性として見てもらえず振られた過去もある*2
一方でドラマの恋愛に憧れるような純情なところがあり、キス経験もない処女だった。

寛のことが好きだが、かなえが彼と接近したと知って裏切られたと思い込みかなえをいじめるようになる。
かなえに対してはそれまで本気で友達だと思っていたが、
「友達がいないと自分を支えられないが、大切にはしない」思考が見え見えの上から目線で接しており、
その態度はかなえをハブった他のメンバーに対しても同様であった。

しかし今までの恨みを溜め込んだかなえが依頼した鳴海の先輩らに拉致され顔パンの挙句にマワされてしまい、その際ファーストキスDQNのベロチューで奪われてしまう。かなえの所業ということには気づかなかったものの、凌辱されている模様を彼女のスマホで録画されてしまっている。
この事件のショックで1ヶ月ほど不登校になってしまい、登校を再開してもなおトラウマに苦しめられるようになり友人グループからもハブられてしまう。

作者曰く「いちカス」

  • 富田とみ子
かなえの友人グループのメンバーである太めのぶさギャルで食い意地が張っている。
性格はあまりよろしいとはいえず、一花がかなえをいじめ始めた時は意気揚々と便乗して陰湿な行為に加担する。
一花が不登校になった後は手のひらを返すも、かなえとは間も無く溝ができ始める。
  • 里紅
かなえの友人グループのメンバーであるショートカットの少女。
可愛らしい顔立ちだが、女社会で無難にやり過ごすことを優先しているため要領よく抜け目ない。
一花がいなくなると「わがままでウザかった」と手のひらを返す。
とみ子とは幼馴染だが、都合が悪くなるととみ子を切り捨てる。
  • 瑠奈
かなえの友人グループのメンバーであるポニーテールの少女。
料理は下手。

  • 鳴海の先輩達
タチの悪いDQNグループ。気分屋で後輩を下らない理由で殴るなど日常茶飯事。
鳴海を通じたかなえの依頼で金をもらって一花をマワす。
悪事を働くのに躊躇がなく、一花が泣いても嘲笑いながら暴行を続ける真性のDQN揃い。

なお、メンバーの1人であるメガネ男の着ているTシャツに描かれているツインテールの少女は作者の成人向け読み切り作品「メンヘラホス狂ボコボコりんっ!」の主人公「姫」。

  • 越智
寛の野球部のチームメイトでキャッチャー。寛とは小学生時代に所属していた野球チームからの縁。
坊主頭で無愛想だが硬派な性格で、友人である寛を心から心配している。
かつては父親から強要された道である野球のおかげで苦しんでいたが、寛との交流で立ち直ったことがある。
寛を襲った鳴海に激怒し、彼をボコボコにした。
かなえに引きずられつつある寛に危機感を抱いており、2人の交際をやめさせようとしている。


  • かなえの母
割とかなえと似ている。飲んだくれで娘を疎ましく扱っており、酒が入ると荒れ子供たちを怒鳴りつける。
  • かなえの弟
歳は離れているようで、狭い団地なので姉と同じ部屋だが仲は良くない。
かなえが遊び呆けているから自分が勉強を強要されていると思っているので姉へのアタリはきつい。

  • 七瀬奈々
寛の元カノ。何か運動部で活躍しているようで、快活なショートカットの少女。
Instagramのアカウントを持っている。



追記・修正は悲劇の扉を開くことに
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最終更新:2025年01月18日 15:39

*1 高価なダイソンのドライヤーを使っている描写がある

*2 メロンブックス2巻特典の番外編より