SCP-4498

登録日:2019/04/26 Fri 01:54:32
更新日:2024/03/18 Mon 13:33:51
所要時間:約 13 分で読めます





あいつらみんな俺になってたんだ!奴らの一人一人が、だ。ソフィア!私は私が私だと分かってるさ、はっきりと…私はこのクソアミュレットを身につけてるからな。だけどっ…(間)


見渡す限り、貴方も私も。



SCP-4498は、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト
収容クラスはEuclid。
撹乱クラスは3/Keneq。
リスククラスは2/Caution。
項目名は『The Plurality of Jack Bright(ブライトだらけ)』。

項目名ですでにオチてるとか言わないで。

タイトルでわかる通り、この報告書の主人公は財団の名物博士・ジャック=ブライト博士である。

本項目の面白さは、ブライト博士を始めとする登場人物たちのコミカルな掛け合いであるため、元記事の会話記録を多く引用して解説しよう。


概要

SCP-4498は、かつてサイト-53と呼ばれていた4498立入禁止区画に隔離されている、
325体以上の、男性・女性・動物およびサイト-53にかつて収容されていたアノマリーで構成されるジャック・ブライト実体群である。

…うん、もうなんかいろいろおかしい。
そもそもSCP-963というのはだ、1ヶ月にやっと一人を完全にブライトに出来るくらいには意識の乗っ取りが遅い。
ブライトが頑張って最速でブライト325人RTAをしても28年はかかる。しかもそんなことO5が許すわけがない。
それにブライトもDクラスと動物に対してはおふざけもするだろうが、
流石にアノマリーにまでちょっかい出すのはコンドラキの仕事である。

サイト-53には、報告書執筆時点で現在無力化した磁器製の猫の置物のアノマリーが存在していて、
それのしっぽを時計回りに回すと周囲のアノマリーをネガティブにしたり気落ちさせるという特性を有していた。
2018年5月9日、ブライト博士は担当となったこの猫の置物の特性を同僚とともに自ら調べていた。
この猫のしっぽは反時計回りには『回らない』という報告が上がっていたのだが、
話をちゃんと聞いていなかったブライト博士は、しっぽを反時計回りに回してみてしまったのである。

その瞬間、しっぽはベキッと取れ、猫の置物はそれまで確認されていなかった異常性を発動させた。
そしてその異常性はSCP-963...ブライト博士の本体にも作用し、どういう訳か不死の首飾りがさらにパワーアップ。
SCP-963の効果がサイト-53全体に広がってしまったのだ。

最初にブライト博士が異常に気付いたのはしっぽを壊した瞬間、目の前の同僚がブライトになったときであった。

室内の電灯が明滅し、やがてサイト全土の電灯も同様に点滅する。セキュリティカメラが再起動すると同時に、ほんの数刻前まで床に倒れ伏していたSCP-4498-ハーマーリング、-ウーリッヒ、-フォックス実体が立ち上がる。

SCP-4498-ハーマーリング: チクショ…待て、何だ。

ブライト博士: 何だ?どういう事だ?

SCP-4498-フォックス: 「どういう事だ」とはどういう意味だ?俺はただ…(間)ちょっと待て。あんた俺じゃん。

ブライト博士: なんて?

SCP-4498-ハーマーリング: 何の話をしてるんだ?あいつは俺で。俺はあいつ。それから…って待て、俺は誰だ?ありゃ俺の体だ。

SCP-4498-ウーリッヒ: あのアホらしい猫の仕業ってこと?何をしでかした?俺達みんな入れ替わったのか?

ブライト博士: うーん、やばい。これは…

SCP-4498-フォックス: 恐らくそうだろう。良し、3つ数えたら皆、自分の名前を言おう。いいね?(間)オーケー。ワン、ツー、スリー…。

一同、一斉に: ジャック・ブライト。

沈黙。

ブライト博士: えらいこっちゃ。


フォックス博士も、エージェント・ウルリッチも、フォックス研究員もみんなブライトになってしまった瞬間である。

そしてブライト博士は気付く。
「サイト-53はみんな僕になってる!あなたは何人目の僕かな?

ブライト博士、走る

ブライトVSブライト、はじまりはじまり

ブライト博士はブライト実体群から隠れ、密かに上席地域管理官ソフィア・ライト博士に連絡を取った。

ライト管理官: こちらソフィア。

ブライト管理官: (感嘆)嗚呼、キリストよ、神に感謝。ソフィア、ジャックだ。あまり時間が無い、私たちは…、

ライト管理官: ジャック、落ち着いて。どうしたの?ほとんど聞こえないわ。

ブライト博士: ソフィア、今回はマジでしくじった。犬っころを掘った。子犬をヤった。まずいよ、ソフィア。マジで本当にやばい。

ライト管理官:(嘆息)ジャック、お願い。今日はとても忙しいの、そういう…、

ブライト博士: 分かってる、分かってるよ。けど今回は全くもってイカれてるんだソフィア。私のとこであのアホらしい子猫的なモノを扱っていて、実験の最終段階に持ち込まれる手筈だったのは、知ってるね?2時間ほど前だったか、わからないけど、私はそれを見たんだ。そしてその尻尾を回そうとし…、

ライト管理官: 時計回りに、よね?

ブライト博士: …そう、時計回りに。(間)で、私がそれを、あー…時計、回りに…回すと、手の中で折れちゃったんだ。いやもうあっけなく。パッて。

ライト管理官: パッてって?

ブライト博士: 突然にってこと。

ライト管理官: それで何が起こったの?壊して、その後で何?

ブライト博士: ちょ、ちょっと待って、私が壊したっていうのは不適切な言い方だ。それっていうよりはもっとこう他愛なく…、

ライト管理官: ジャック。

ブライト博士: ああ、ごめん。兎に角、電灯が点滅し出して、落ち着いたと思ったら、あいつら…奴らが…、

ライト管理官: あいつらって?ジャック、あいつらとは?

ブライト博士: あいつらみんな俺になってたんだ!奴らの一人一人が、だ。ソフィア!私は私が私だと分かってるさ、はっきりと…私はこのクソアミュレットを身につけてるからな。だけどっ…(間)

沈黙。

ライト管理官: ジャック?もしもし?

ブライト博士: (囁き声)シーッ…、奴らが近くにいる。(沈黙)よし、通り過ぎてった。神様。ソフィア、あいつらはみんな自分のことを私だと思っている。ないしは奴らは私なんだろう。わからないが、奴らはクソほどまるっきり頭がおかしいぞ、ソフィア。あいつら沙汰の外で、辺りは嵐が通ったみたいだ。ウンコは投げるわ、ホワイトボードに卑猥な言葉を書くわ。気狂いだ、奴ら一人一人が。サイトはガッチリ完全封鎖中だ。私は今人目につかぬよう、この神の便所に籠ってる。あとは神の避難路が必要なんだ、ソフィア。

沈黙。

ブライト博士: ソフィア?

ライト管理官: ジャック、今日は本当に、マジで忙しいの。こういうのってどうしていつも忙しい時に起こるのかしら?

ブライト博士: ああ、了解。なら機動部隊か何かを送ってくれればいいさ。マンはどうした?マンならこの件について何かできないか?

ライト管理官: マンなら居りませんわ、ジャック殿。サイト外で会議中よ。

ブライト博士: わかった、だったら、そのクソ会合はどこでだい?自分で電話する。

ライト管理官: サイト-53。

ブライト博士: サイト-53?

ライト管理官: ええ。彼のチームは多分10分か15分前には着いた筈じゃない?(間)ジャック?

ブライト博士: ソフィア、俺が居るのが、サイト-53だ。

沈黙。

ライト管理官: クソが。

SCP-4498こと量産型ブライト博士の大群は、
「やってはいけないことリスト」など見たことも聞いたこともないと言わんばかりに理性が完全に蒸発しており、
サイト中でとんでもないバカ騒ぎをおっ始めてしまったようだ。
後の記録によれば、量産型ブライト博士の男女が自分同士でコトに及ぶなんてこともやらかしていたようだ。
さすがのブライト博士(本物)もこの有様には困惑。彼にだって理性・良識というものはある。
ブライト博士は「エヴァレット・マン博士がいるじゃん!あいつにどうにかしてもらおう」と考えたが、
そのマン博士は運の悪いことにブライト博士のいるサイト-53にいた。

…が、実はマン博士は運良く、SCP-4498-マンにはならなかった。
マン博士はそのときジャスティン・エバーウッド博士、アルビンド・デセイ博士、チャールズ・ギアーズ博士、ケイン・パトス・クロウ教授といった錚々たるメンツと会議をしていた。
そこにSCP-4498実体群…つまりブライトが乱入したのだが、うまく逃げおおせていたようである。
なお、多くのブライト実体が動く中、ひとりSCP-4498-クレフ実体はエージェント・クレフの身体能力に文句をいいつつ休んでいた。

一方、サイト-53と連絡がつかないことを察知した財団は、機動部隊レアー-8”ゲート・ガン”を派遣した。

機動部隊レアー-8がサイトの要所を通過し、サイト-53中庭に突入する。隊は板を張られた主扉と窓の前で停止した。レアー-8隊員達は訝しげに顔を見合わせた。

レアー-8隊長: おーい?誰か居ますか?(間)ブライト博士?

複数の声: 何がお望みだい?

レアー-8隊長: 私はレアー-8所属のエージェント・コーディ・ブラーンズと申します。我々は貴殿を…引き抜くために参りました。(間)ジャック・ブライト氏はどちらです?

SCP-4498-ドナルドソンがライフルを抱えて玄関口に現れる。

SCP-4498-ドナルドソン: 失せやがれ、トマホーク共。俺たちは皆ジャック・ブライトさ。何処かへ消えな、俺らはここの制御権を握ってる。

サイト内の何処からともなく爆発音が響く。SCP-4498-ドナルドソンは驚いていないように見える。

レアー-8隊長: 成程、承知しました。しかし、マン博士と彼のチームだけはまずもって回収する必要があります。ブライト博…いや、SCP-963もね。異存ございますか?

SCP-4498-ウィルソン: (天井から姿を現す)異存ございますか、だと?まさか…俺らじゃあ手前にとっちゃブライトたりえねえってか?俺らがあの神のアミュレットを着けてねえからって、真のジャック・ブライトじゃあないとでも?くたばりやがれ。

レアー-8隊長: 成程、まあ…その、我々はここで何を始めるつもりもありません。ただその中へ入って、我々が探している者を引き抜く必要があるのみです。そうさせて貰えるなら何だって交渉に応じましょう。

SCP-4498-ドナルドソン: ツイてねえな、寝取られガンマン。手前らは金輪際ここの上司なんかじゃねえのさ。サイト-53は新体制の管理下にございます。より良い管理者の御許に。

レアー-8隊長: 成程、ならばその者達と話させて貰えますか?

SCP-4498-ウィルソンと並ぶように人影が屋上に出現する。その女性は三角帽子、七分丈ジャケット、サイハイブーツ、蝶型眼帯という装いをしている。当該人物は機動部隊をじろじろと眺め、高らかに笑う。

レアー-8隊長: あ…何だと?桐生博士?

SCP-4498-ジン・桐生: アアアア、海賊女王ジャック・ブライト推参。きったない粗チンデブにお目見えするわ。こっから先はあたいの合図でここら一帯蜂の巣よ。オヌシらじゃあない。一歩でも近づいたりしないことね。さもなきゃこの子達がアツアツの火突き棒をオヌシらのケツ穴にブチこんじゃうわよ。

レアー-8ディクソン: 冗談抜かせ。

SCP-4498-ジン・桐生: 海賊女王ジャック・ブライトはホラ吹きではないわ、この小汚い腐れザメが!共々にそこを退け、あたいの国から立ち去れ!

レアー-8隊長: 中に入りたいだけなんですが。

銃声。レアー-8は散開する。

レアー-8隊長: 何て奴だ、撃ってきやがった!司令部、援助を要請します、繰り返す、我々は銃撃を浴びています!(間)いや、そのですね、思うに奴ら恐ろしく射撃下手でして、緊急事態という訳では、ええ。ですが運が味方するかもしれないし、あるいは…(間)イエッサー、情報は逐次お知らせします。

隊長が苦労人すぎる。そしてブライト博士は「運が良ければ当たる」レベルで射撃がヘタクソなのか...まあエージェントじゃなくて研究者だししょうがないか。

類は友を呼び、箕のそばに笠がより、目の寄るところに玉も寄り、ブライトはブライト連れ

ここから(SCP-4498実体群という意味で)ずっとブライトのターン。

SCP-4498-ジョーンズ実体はどういうわけか、シャイガイの収容セルからブライトの声を聞く。

SCP-4498-ジョーンズ: おい、誰か中にいるのか?

不明な声: 俺だ、この下種。ジャック様だ。サイトが封鎖された時、このくそったれとここで立ち往生になっちまった。出なきゃならない。小便がしたい。

SCP-4498-ジョーンズ: シャイガイの収容房ん中で一体何してやがったんだ?

不明な声: 科学しろ、クソ馬鹿野郎。お前はどう考える?

SCP-4498-ジョーンズ: フーム、わからん。なんか罠な気がしてきたぞ。罠かこれ?

不明な声: なっ…何だってこれが罠だと?罠にハマったのは俺の方だっつの、この馬鹿。いいから出せ!

SCP-4498-ジョーンズ: うむむむ…よし。良いけど罠じゃないって約束してくれたらな。

不明な声: 良いとも、何なりと。さあくそったれドアを開けてくれ。

5-9-2018 | 13:12:12: SCP-4498-ジョーンズはドアを開放する。SCP-4498-SCP-096がけたたましく声を上げながら即座に収容チャンバーから飛び出す。実体はSCP-4498-ジョーンズを鷲掴みにして廊下の反対側の壁まで一気に放り投げる。

SCP-4498-SCP-096: (笑い声)幸運あれ、ビッチが!中にいたのはずっとこの俺だったのだ!

5-9-2018 | 13:12:19: SCP-4498-SCP-096は収容セルのドアを閉じる。

SCP-4498-SCP-096: ああ最高だ、これスゲー!

5-9-2018 | 13:12:24: SCP-4498-SCP-096はその場を去る。

シャイガイもブライト博士になってしまった。しかもサラッと収容違反してる。

SCP-4498-ファント実体はサイト-53ゴミ置き場に現れ、『兄弟』を探し始める。

カメラはサイト-53のゴミ置き場を監視している。ネズミの群れがダストボックスの前に佇み、じっとそれを見つめている。突如、ダストボックスの中から生ゴミにまみれた人影が現れる。

SCP-4498-ファント:6 おいで兄弟。こっちへ来て中へ降りよう。

SCP-4498-ネズミ: 偉大なるジャックを称えよ。下りてきったねえのを誉めよ。

SCP-4498-ネズミ実体の全数がダストボックスに入る。SCP-4498-ファントは降下していく。

ゴミ置き場のドブネズミまでブライト博士になってしまった。

そして海賊船(なんでそんなものがサイト-53にあるんだ)には複数のSCP-4498実体群が乗り込み、海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体がそのリーダー格をつとめているらしかった。
そんな海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体によってマストにエージェント・トロイ・ラメントが縛られていた。


さて、この時点でブライト博士は悩んでいた。

先程までのブライトたちの行動をみて、きっとアニヲタ支部のみんなは「なんだ、いつものブライトか」と思ったと思う。
実際、アニヲタ支部にあるようなブライト博士の記述からは、『財団のやべーやつ』みたいなイメージしか普通わかないだろう。

しかしブライト博士は実は案外真面目な性格なのだ。
部下が死ねば「なんで(替えがきく)僕じゃないんだ」とその死を嘆き悲しんだり、無茶なクロステストを行おうとした部下に「ジジイを甘く見るな」と警鐘を鳴らしてみたり、財団を乗っ取ろうとしたエージェント・メアリー・スーをクレフと協力してクソトカゲのご飯にしてみたりと、財団のためによく働いてる部類だったりする。いっぽうコンドラキはメアリー・スーを賛美するモブになってた

ふざけるときも制御の効く範囲でしかふざけない(クソトカゲとアベルはブライト視点で『十分制御が効く』)人であり、はっきりいって今回みたいにサイトひとつをまるまるlolFoundationと化すのは、ブライトとしても緊急事態も緊急事態、早急にどうにか解決したい大事件だったのである。
まあ、アニヲタ支部職員はこういうパニックのほうが好きかもしれないが
これでまだサイト-53を自分がうまく制御しているなら「いんじゃねーの?」と割り切れるかもしれないが、シャイガイまでもがブライト化してる現状は「はっきりいって今のサイト-53は異常だ」という危機的状況である。

ブライトの逆襲EVOLUTION

一方、マン博士はエバーウッド博士、デセイ博士、ギアーズ博士、クロウ教授とともに、SCP-4498実体群からのメタルギアもかくやの逃避行を行っていた。
ブライト本体とラメントを敵視していることを叫びつつ歩き回るSCP-4498-パロマ実体を回避したマン博士一行は、ブライト博士を発見する。

マン管理官: シーッ、静かに。別の奴が近づいてくる。静かに!

沈黙。

SCP-4498-パロマ: (鼻歌混じりの声)出てこいジャック!熟れデカ乳がここに居るよ~♪トロイもさ!出てこいジャック!

声の主は遠くへ消えていく。

デサイ博士: ひっどいな。

エバーウッド博士: ほんと。

沈黙。

デサイ博士: で、これからどうする?

マン管理官: 良い質問だ。(間)みんな居るのか?誰も居なくなっちゃいないな?

デサイ博士: 居ます。

ギアーズ博士: 私は健在です、マン。

エバーウッド博士: 私も…ちょ、クロウ博士、頼むから、尻を顔からどかして。

クロウ博士: ああー、けど私はこっちですよ、エバーウッド博士!そのお尻は他の人のでしょう!

マン管理官: 他に誰が居るっていうんだ?

ブライト博士: どうもみなさん。

乱闘音。

ブライト博士: どうどう、ちょ、おいやめろよ!痛え!おかしくなったのか?ほら、私だよ、見える?アミュレット、ここにあんのがさあ。(間)ああジーザス、痛ってえ。もう離せよ!

マン管理官: 一体全体ここで何をしていやがるんだ、ジャック?

ブライト博士: 隠れてる!隠れてんの。外には何千人もの私が居て、神ってる知性も失ってる。奴らがしでかしてること全部見たか?リストを見たことがないかの様な振る舞いだろう!

ギアーズ博士: 解っているのでしょう、これは貴方の所為です、ジャック。

ブライト博士: 嗚呼、ちょっと、待ってよ。そりゃ必ずしも真実じゃない。論ずべきをご教授してくれ、分かるよね?ここで何が起こっていようが、僕たちは皆ここで共に在る、そうだろ?

沈黙。

デサイ博士: 皆は海賊ジャックにとってオリジナルのジャックはどれ程の価値があると考える?

ギアーズ博士: エージェント・ラメントとの交換材料として使えるかもしれません。

ブライト博士: なあちょっと待ってくれ、手マンしてる時間はないだろうお前…

クロウ博士: いやそれはとんでもない、同志よ!思うにこの混乱を一掃したければ、ブライト博士の異常性質の何某かを利用してなんやかんやする必要があるんだよ。

ブライト博士: 神に感謝だ、ようやっとマトモなことを言ってくれるヤツが…って何だって。

クロウ博士: 君のアミュレットの異常性質はこのサイトの皆の表層に焼き付けられた、だがあくまでそれだけにとどまり、身に着いた訳じゃない。私はこう考える、あの猫像を発見し、その修復方法を解明できれば、なすべきことはできるようになると。そうすればこのサイトと住人達を君の特殊なおふざけの烙印から解放してやることができる筈だ。

ブライト博士: おお、そうか、そこまで悪くはないな。僕らは…

クロウ博士: 勿論、アミュレットが壊れるかもしれないが。

ブライト博士: …えっ。

マン管理官: ふーーむ…悲しいな。しかし、誰にも犠牲はつきものだ。アルヴィンド、エバーウッド、そいつを担いでくれ。さあ行こう、御用改めである!

ブライト博士: なぁんで俺にはクソみたいなことばかりクソほど起こるのかなあ。

自業自得じゃねえ?

いっぽうそのころ、海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体はフライヤーを印刷していた。
内容は「臆病者ジャック・ブライト*1出てこいや」というもので、これもラメントってやつの仕業なんだというラメントへの怒りも見せていた。ラメントが何をしたっていうんだ。

ブライト協議会の前に現れたマン博士一行。
SCP-4498-キングスバリー実体は海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体のそばでただ彼女を崇めている。この出番って必要なの?
さらにSCP-4498-ヘンソン実体は自分の飯のうまさを讃え、SCP-4498-アンダース実体は停電の闇の中に生きる者と半中二病みたいなことをいいだし、SCP-4498-マスターズ実体はトイレなどの水回りは任せろと叫び、SCP-4498-ファント実体はネズ公とともに現れる。
クロウ教授「ねえギアーズ、めっちゃ面白いね、同じジャック・ブライトなのにだんだん別の自我を形成しだしてる」

海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体「ねえ僕、愛するラメントを助けたいとは思わないの?」
ブライト博士「ハァー(クソでかため息)そうだね」

ボールギャグを噛まされたすっぱだかのラメントが複数のブライトによって運ばれる。
ギャグを外されたラメントは「闇(Dark)っていったのにアヒル(Duck)って言われたとか怒り出すのは良くない」というも、海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体はただ怒りのボルテージを上げるばかり。

そして海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体はブライト博士に向き直る。
海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体「で、欲しいものがあるんだ、僕」
ブライト博士「なにかな」
海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体「そのアミュレットだよ」
ブライト博士「はい?なんで?」
海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体「だっていつまで僕たちこのままブライトでいられるかわかんないし、でも死にたくもないからね」
ブライト博士「ふざけんなよ、お前らは僕なんだろ?僕は決して海賊にも、シェフにも、配管工にも…ましてその(ネズ公を指差す)…なりたくなかったぞ?」
海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体「いいから寄越せって、それか打ち付けてやろうか?」

ギアーズ博士「うん、ジャックはアミュレットを君たちにあげるそうだ。代わりに猫の置物をくれ」

ブライト博士「えっ」
海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体「なんでそっち?」
ギアーズ博士「単に研究したいだけだよ。さあどうだい、我々は科学の学徒じゃないか」
海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体「いいよ」
ブライト博士「いやまって」

ギアーズ博士は猫の置物を手に入れる。一方、海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体のうしろにはSCP-4498-クレフ実体がナイフをもってついに追いつく。

そこでギアーズ博士はブライト博士に猫の置物を投げつける。

「今度は時計回りに回すんだ、ジャック」

ブライト博士がそれに従うと、海賊女王SCP-4498-Z.キリュウ実体とSCP-4498-クレフ実体はぶっ倒れ、各々の意識を取り戻した。




さて、一連の騒動終了後、ライト博士はブライト博士にキレていた。

ライト博士「時計回りの意味わかってないでしょ!?なんで左に回して時計回りとか宣ってんだ!?」
ブライト博士「わかったわかった、もうこういうことにはならないから」
ライト博士「一度でもごめんですよ、シャイガイがあなたになってたんだよ!?」
ブライト博士「…えっマジで」
ライト博士「本当です」
ブライト博士「」

また、エージェント・トロイ・ラメントは一連の騒動をトラウマに思っていた。
中でも、友たるクレフがブライト化したのを「かわいそうな友アルト」と表現していた。

…当のクレフはそれを聞いて「なにそれ傑作www財団大好きwww」と笑っていたが。



余談

ブライト博士の中の人で、保守派で知られるAdminBright氏はこの項目にDownvoteしていたりする。
ちなみに本項目に出てくるDuckネタはそのAdminBright氏の旧Username、TheDuckmanから来ているものと思われる。
実際の所、AdminBright氏はそのアバターたるブライト博士同様、結構真面目な人なので、シリーズIを彷彿とさせるどったんばったん大騒ぎは面白くなかったのだろう。ブライト博士本体は本項目では結構真面目だったと思うんだけど。
他にも「ジョークだったら完璧だった」としてDownvoteしてる人も数人居る。
いっぽうで海賊女王にまでされたジン・キリュウ研究員の中の人、Zyn女史からはUpvoteだったりする。性別以外ほとんどジン・キリュウ研究員の特徴生きてないんだけど

本項目はSCP-2996や新SCP-049などでおなじみのdjkaktus氏によって執筆された。
Djkaktus氏は財団創作に新しい風を吹き込みまくることで賛否ある新時代の旗手で、
RPC Authorityのメンバーから名指しで批判されるほどの人だが、
一方でそのハチャメチャぶりと新旧のありとあらゆるオブジェクト、GOI、職員を絡めるクロスオーバーぶりは好きな人も多く、本項目も高い評価を得るに至っている。
原文は結構小気味よくやりとりが交わされているので、ぜひ原文も読んでいただきたい。



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最終更新:2024年03月18日 13:33

*1 当たり前だが本体の妙なペンダントを付けたエロ猿ブライトを意味している