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SCP-001-JP > Ikkeby-Vの提言

登録日:2019/04/29 Mon 17:18:18
更新日:2026/04/02 Thu 23:09:51
所要時間:約 11 分で読めます






神のみぞ全てを知る。



Ikkeby-Vの提言とは、シェアード・ワールド、SCP Foundationに登場するオブジェクトの1つであり、SCP-001-JPに関する提言枠。
オブジェクトクラスThaumiel。財団の切り札だ。


はじめに


SCP-001-JPはかつて財団によって建設された、“第4種巨視的量子現象および制御人間原理に基づき駆動する抽象的・概念的な装置あるいはシステム”……要は財団製のビックリドッキリメカ。
後述する理由により、現在は広域非実体装置として存在——つまり物質として物理的に存在しておらず、認識することも理論的に不可能であるという。
そのため、本体に対する特別な収容・隠蔽措置は必要とされておらず、特別収容プロトコルは機能停止と併発するKクラスシナリオを防ぐために、詳細や経緯などは徹底的に秘匿するという手筈になっている。

SCP-2719とかの機械系や未知の理論が用いられたSCiPはどいつもこいつもクソ難解な言葉ばかりが並べ立てられているので、この項目ではそれを噛み砕いて解説するわけだが、ここでどうしても意訳が含まれる。
更には、異常性のために本家報告書にもこの項目にも矛盾する記述や偽情報を意図的に含ませて記述されている。

そのためこの項目はあくまでも筆者のヘッドカノンとして書かれていることに注意されたし。


概要

さて、まずはこいつの機能から。

冒頭の通り、コレには修正コペンハーゲン理論による量子学現象の第4種巨視的量子現象*1が使われているらしい。
何?量子学がわからん?みんな大好きなSFで用いられてるアレだよ、アレ。シュレディンガーの猫

詳しくはリンク先を参照してほしいが、
箱の中に猫と放射性物質を入れて、放射線を感知する機器と青酸ガスの装置をセットしておく。
すると放射線が発生した時猫は死ぬが、フタを開けて観測するまでは“生きている”と“死んでいる”の異なる事象が『重ね合わせ』状態になっている……
という思考実験。

SCP-001-JPは、例えば"生きている"と"死んでいる"という異なる事象が重ね合わさった状態を作り出して、さらに『強い重ね合わせ』に拡張することができる。
『重ね合わせ』状態はチラッとでも観測してしまったら、例えばシュレディンガーの猫なら蓋の隙間からちょっとでも猫を見てしまったら、猫が生きているか死んでいるかが確定し、『重ね合わせ』状態が解除されてしまう。
だが、『強い重ね合わせ』状態になると一部分を観測しただけでは確定までは至らず、事象の限定までにとどまる。先ほどの例ならば、チラッと見えたが猫が死んでるのか寝ているのかわからんがとにかく動いてはいない、みたいなニュアンスで観測されるわけだ。
これにより『強い重ね合わせ』状態を一部分だけ観測することで、同じ概念にもかかわらず複数の結果が得られることになる。
早い話、 生きている猫と死んでいる猫が同時に両立しえるようになる のだ。

創作でシュレディンガーをモチーフにした『選択肢から、都合の良い結果だけを現実にできる』能力があるが、財団は『強い重ね合わせ』状態を維持しこの能力を現実のものにしようと考えた。
そこで登場するのが、ありとあらゆる分岐した並行世界をレイヤー化し、基底世界に強制的に定着させる「絶対的可能性ドライブ」のプロトタイプ。
これを使えば都合の良い結果、例えばクソトカゲが「史上最可愛小ちゃいとかげ」な存在である平行世界があるならば、そのかわいさとかを引っ張り出して来れるわけだ。

文句無しのThaumielだが、財団は上記の例のようにオブジェクトの無力化を“しない”のではなく、“できない”
かつて動いた形跡があり、その効能が今も効いているコイツを動かす理論がサッパリ分からないのだ。
何故か?
財団自身で「詳細や経緯などは徹底的に秘匿」してしまい、財団すらも分からなくなってしまったからである。
だが、かつて動かされた形跡はありその効能が今も効いているため、財団としてはこれを隠蔽し収容違反しないように努めている。


カノンはない。それはなぜか

何故、自分で自分の記憶を消すような真似をしてまで、財団はこんな訳の分からないことをしているのか?
それは「SCP財団」そのものをSCP-001-JPに『強い重ね合わせ』状態に置かせたかったからである。
財団という存在が『強い重ね合わせ』状態になることで、財団の規模のみならず、資産・人員・歴史・未来に至るまで無限大の可能性を得ることが狙いだったのだ。

例えば『資金』。
経理担当がいくらかを機動部隊に回す。その担当は財団が使える総資金は幾らあるか知らない。どこから調達しているかも知らない。
フロント企業の社長は毎月稼いだ額の何割かを資金に充てる。社長は財団の概要くらいは知っているだろう。だが、具体的にどのようなオブジェクトに、自分たちが稼いだお金が使われているかは知る由もない。ましてや、世界を滅ぼせる力の収容に自分たちが関わっているなんて思いもしない。
そして財団のセキュリティクリアランスが全貌を知り尽くすことを防ぐ。こうすれば収入以上の出費が誰にも露見しない。

ここで注目するのは、財団の“資金”という概念において全てを知り尽くす存在は誰もいない点だ。『強い重ね合わせ』の一部を知るだけでは不確定性を失わない。
これによって財団の資金は事実上の無限大となっているのだ。


これはDクラスや一般職員数、収容スペースだけでなく、存在そのものが矛盾するオブジェクト群も関係する。

冷静に考えて欲しい。
オブジェクト総数は本部だけで9000以上、日本支部でも3000を超えている。その中にはもちろん危険なオブジェクトもある。
財団世界にオブジェクトはいくつあるだろうか?
こんな数、一団体どころか世界中の資産をかき集めても、到底保護なんてできやしないのではないか?

財団は1日に何回の実験をしている?
1日に何度のエージェントや機動部隊が出動している?
そして、1日に何人のDクラスを消費している?
明らかに資金、そして人員を消費しすぎでは無いだろうか?

最近ではApollyonやAzathoth、AinだのTiconderogaだのと、様々なK-クラスシナリオを引き起こすオブジェクトが収容され続ける。
カノンハブによればヴェールが剥がれ落ちてしまった世界 "死"そのものが死んでしまった世界 真面目くさった顔で寿司を回す世界などなど、同時に存在することがあり得ないような報告書が山のように生まれている。
互いに矛盾を引き起こし、相反する記述が含まれるオブジェクトが平気で連番に登録されているのはどう考えてもおかしくないか?
そもそも俺たちは何度財団の明日はどっちだどっちだと耳にタコができるくらい言い続けなければならないんだ?
大体なんで何回も言ってられるんだ?一回でも明日がなくなればそれで終わりだろう?


矛盾にまみれたこれら全ての疑問を解決し、あらゆる 財団の可能性 (カノン)が併立できているのもSCP-001-JPによって『強い重ね合わせ』状態にされているからである。

だが、この『強い重ね合わせ』状態が失われてしまったとしたら?
財団の規模は現実的なものに限定され、異常な量のオブジェクトを収容しきれず大規模収容違反を招き、矛盾だらけの財団は、K-クラスシナリオのトリガーと変わってしまう。

『強い重ね合わせ』状態を解除できる「財団の全貌」という情報は、SCP-001-JPを開発した経緯で、財団全てを『強い重ね合わせ』状態に置くために集められていた。つまり、SCP-001-JPを作るためにSCP-001-JPを無力化させる力が必要だったのだ。
故に財団の全貌が誰かに把握されることを防ぐため、SCP-001-JP関連の情報と財団の全貌は全て抹消されている。
なぜ、どのようにして作られたのか、どうやって使うのかがわからないのもそのためである。





セキュリティクリアランスと001-JP


つまりNeed-to-Know、必要ないことは知らなくて良いし、知ろうとすることも出来ないからこそ、このオブジェクトが成立できている。

だから、SCP-001-JPが成り立つにはセキュリティクリアランスが必要不可欠である。

黒塗りや[編集済]、[削除済]などは報告書を読み漁る我々にとっては見慣れた光景だ。
例えばクリアランス4以下の職員は自分の担当しない分野*2の詳細を知ることはできず、わかるのは「閲覧不可能な情報がある」という事実だけ。
不確定性を失わない程度に複数の矛盾点を意図的に提示して財団に疑念を持たせ、結果的に「財団の全貌」を把握することは不可能であるという結論に誘導している。
加えて度々行われる記憶処理によって、一般職員は財団の全貌に不明瞭な印象が焼き付けられている。

財団は本当はどのような組織なのか。これは第四の壁の先にいる我々でも分からないのはお分かりだろう。


更にこれは最上位のクリアランスであるレベル5、つまりO5においても同様で、2つの措置が施されている。

1つは"Proposal-001"プロトコル。
001提言枠は財団の根幹に関係するオブジェクトが指定されている。真偽はO5にも知らされておらず、またアクセスできるのも全てではない。
財団の歴史はいずれが正しいのか。財団の行末は如何なるものなのか。001提言枠はどのようなオブジェクトが相応しいのか。それはO5ですらわからない。
何故か複数ある001提言枠の意図はここにあったのである。

そのため、このIkkeby-Vの提言を含めた全ての提言も『強い重ね合わせ』状態に置かれている。


1つは"管理者"の存在。
『恐怖から逃げ隠れしていた時代に戻ってはならない』という財団の理念についての演説文。
この文章には"管理者"という署名がされているが、正体は明らかにされていない。——実際のところ、"管理者"とは実在しない人物である。

O5にもクリアランス4以下の職員たちと同じように、開示されていない情報があると感じさせること、そして財団の全貌が不明瞭な印象を彼らにも与える目的がある。


財団の誰もが、財団の全貌を知らないのだ。


未完の最終兵器

とまぁ無限の可能性を誇るSCP-001-JPだが、これでも倫理委員会によって建造時に大幅な制限を食らっているのである。
これにより、第一次案とは異なって現在は財団職員のみに対し不確定性を付与されているのだが、()()()()()()()()()()()()()()本当に?
第3種以降の巨視的量子現象が財団の手の届く範囲外で無秩序に発生し、不確定性に外乱が加えられる可能性がある。

要は財団の知らないところで変に重ね合わせ状態が発生し、財団の邪魔になる可能性があるということだろう。
これはちょっと面倒である。愉快犯的存在、例えば『博士』なんかがK-クラスシナリオが発生した世界線たちから次々と重ね合わせてきたら大変なことになるのは自明である。
そうでなくとも、異常性のない一般市民の意識が合わさったことで現実改変が起こった事例が存在する。せっかく作り上げた財団の不確定性が、全く関係のない財団外の人間によって崩されてしまい、可能性が制限されてしまう可能性がある。

財団が如何なる存在なのか。どのようにあるべきなのか。それを決めていいのは財団に関わる者だけであり、外野にとやかく言われる筋合いはない。
よって今のところは通常のカバーストーリーを用いて対策が行われているが、重大インシデントになる可能性がある場合は、凍結を解除し機能を最大限解放して、財団を最善の状態に固定するために『自己喧伝性感染図形』『過去改変画像』を用いた"Minitrue"プロトコルが予定されている。
どのようなオブジェクトかはリンク先に解説を任せるが、これらが組み合わせられた時、何が起こるかは想像に難くないだろう。

なお本家報告書の閲覧者はO5-1という体になっているが、プロトコル発動権限を持つのはレベル6クリアランス "管理者"のみで、O5-1(あなた)に権限はない。
また、SCP-571とSCP-2140における予備研究についての資料として"文書001-JP-05"を参照できるが、そんなものはない




群盲象を撫でるが如く、
盲目な人々は何も知らず、ただ己が職務を全うする。
不安定に不安定を重ね合わせて矛盾だらけの財団。

もしも誰かが全てを知ったら?
この空虚にも見える理論が粉々に砕け散ったら?

その時、財団はどうするのか?
全人類を職員にしてでも存続を目指すのだろうか。
いないかもしれない上の人間を心頼りにして


では、ここでお決まりの言葉を一つ。

財団の明日はどっちだ?



SCP-001-JP

『群盲』




修正・追記にはセキュリティクリアランス6の提示が必要です。

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最終更新:2026年04月02日 23:09

*1 巨視的量子現象は現在の物理学では第2種までである。

*2 例えばオブジェクト、例えば財団施設や人員、装備