VRChat

登録日:2019/05/19 Sun 16:28:03
更新日:2024/12/15 Sun 16:08:01
所要時間:約 11 分で読めます






つくろう。分かち合おう。遊ぼう。




VRChat』とは、VRChat Inc.によって運営されているソーシャルVRプラットフォームである。
ゲームっぽいが、一応括りとしてはゲームというよりは掲示板やSNSに近い。いわゆる「メタバース」の一種。

Wiki篭り向けにわかりやすく言うならば、異世界ものでおなじみVRMMO(仮想現実大規模多人数オンライン)がついに現実のものとなった存在である。*1

ちなみにVRと名が付くがVR機器が無くても遊ぶ事ができる(後述)。


概要と前置き

そもそも「ソーシャルVRプラットフォーム」が何かというと、仮想空間を利用したSNS、ようはTwitterやLINEやFacebookなどと同じ、ユーザー同士が交流するためのツールである。
LINEならトーク画面、ツイッターならタイムライン上でつぶやいたり話し合ったりするように、VRChatでは「ワールド」と呼ばれる仮想空間にユーザーが集まってワイワイするというわけだ。

コミュニケーションはボイスチャットが基本。日本語のみならず多様な言語が飛び交っている。
また、会話が苦手なユーザーには,話す代わりにVRならではのジェスチャーのみで意思疎通を図る者も多い。
実際、そうした「ジェスチャーで意思疎通を図る無言ユーザー(通称 無言勢)」は一定数おり、それ自体がそうした個性として認知されている。
後のアップデートで文章によるチャット機能が追加されたことで、こうした無言勢やマイクを使えないユーザーでもコミュニケーションが容易になった。

ただ、通常のSNSと大きく違うのは、ユーザーが仮初の肉体「アバター」を着て、現実そっくりに作られた「ワールド」に意識ごと入り込むという点。
(正確には、視界を全部覆うゴーグルと耳を覆うヘッドホンで視覚と聴覚をVRChatが完全占有する、という形)

映画「サマーウォーズ」「レディ・プレイヤー」のように動物や美少女、あるいは屈強な大男や機械生命体etc……となって、さまざまに彩られた異世界で過ごすのである。


VRChatはあくまで「コミュニケーションツール」であるため、ストーリー、敵キャラクターは存在しない。
しかし、無数にあるワールドの中にはゲームで遊べるワールドも多数用意されている。
銃弾の飛び交う鉄火場でフレンドと戦うもよし、卓を囲んで麻雀に興じるもよし、剣とランタンを手に不気味なダンジョンを踏破するもよし。
遊び疲れたら、静かなビーチで一息つくのもよいし、酒場で駄弁ってもよいし、美しい空中庭園を散歩するのもよい。
設定ノート片手にオリジナルキャラを演じ、新たな性活生活を楽しむロールプレイをするのもありだ*2
いくつものワールドを巡りあてどなく歩いてゆく「ゆめにっき」のような遊び方だってOKなのである。

共にVRChatに興ずる「フレンド」がそこにいれば、楽しさは2倍、3倍となることだろう。


はじめかた


最低限必要なモノ

VRChatアカウント(登録無料)

VRChat公式サイト から登録できる。海外のゲームゆえ、説明から規約にいたるまで全編英語で書かれているので、英語の苦手なWiki篭り翻訳サイトの利用を忘れずに。
Steamでアカウントを作ってしまうとアバターのアップロードが出来なくなるので注意。


パソコン

VRゲームであるため、CPUもGPUも要求スペックは高い。
パソコンであれば基本どんなマシンでも…でもなく、非VRでもVRヘッドセットの最低動作環境レベルでの性能が最低限あった方がよい。
特にGPU(リンク先参照)の性能に関して言うと、VRChatは一般的な作品とは傾向がやや異なり、VRAMにどれだけ余裕があるかが重要になる。
当然、スペックに乏しいスマホはNG……のはずだが、VRゴーグル「Oculus Quest」(これのCPU/GPUはスマホ向けでも高い方の性能ではあるがPCとは雲泥の差がある)の登場により、パソコンやマイクを用意せずともこのゴーグルひとつでVRChatがプレイできるようになった。


Oculus Quest

敷居の高かったVR界に現れた低価格帯の救世主。現在の主流はmeta(Oculus) Quest 2。
スタンドアロンでの無線プレイから、ゲーミングPCに繋いで高パフォーマンスでVRゲームをプレイすることも可能。
ただしAndroidをベースにしているだけあって、単体でVRChatをプレイする場合はワールドやアバターの制限などがかなりキツめにかかってしまう。ただゲーミングPCを持たず単体で楽しんでいる人向けに「Quest対応」のイベントも頻繁に開催されているため、QuestでとりあえずVRを体験し、気に入ったらゲーミングPCを買って全ての要素を楽しむ、といったステップアップのために買ってみるのもいいだろう。


あったほうが望ましいモノ

パソコンに接続できるマイク

プレイ自体はマイクがなくても出来るが、マイクなしのデスクトップパソコン/ノートパソコンでプレイするのはお勧めしない。よほどの理由がない限りはマイクを接続したうえでプレイしてほしい。
マイクがない?それただ単に喋れないだけじゃん、とお思いのWiki篭りのために説明しておくと、
VRChatはボイスチャットメインのコミュニケーションツール。
アップデートにより、一応テキストチャットもできるものの、長文の入力には向いていないし、慣れていないと文字入力に時間がかかってしまう。
喋れない、ジェスチャーも取れない相手とはコミュニケーションの取ることが難しい、そんな付き合いづらい相手と交流してくれるユーザーも少ない。
ようは、マイクがないとほぼ確実にぼっちになってしまうのである。
無言勢になるのであれば、少なくともVR機器はあった方が良い。


VR機器

VRヘッドセット、VRゴーグル、ヘッドマウントディスプレイとも。基本頭に被るものと手に持つものをセットで使うが、資金力のあるユーザーは加えて腰や足につける用の機材「トラッカー」も買う。
VRをより深く体験するためのセットであると同時に、ほかのユーザーとコミュニケーションをとるためのツールでもある。

VR機器自体にイヤホンとマイクが内蔵されているためこれ一つで会話ができるが、音質にこだわりがある人は別途音響機器を接続しよう。


Unity

ゲーム開発に使用されるゲームエンジンで、VRChatではアバター及びワールドをアップロードする際に必要。
市販のアバターや自作アバターを使いたいという場合は、避けては通れない道となっている
場合によってはアセット(Unity向けに配布されている素材)が別途必要になる場合もある。

アバターの改変・アップロードを目的とするだけならば、導入は無料でできる。
アバターのアップロードを丁寧に解説しているサイトもあるので、初めて触る人は参考にしてみてほしい。
ただプレイするだけなのにUnityの知識が次々と増えていく珍しいゲームである


語学力

VRChatやUnityも日本語化できるが、各種解説サイトでは英語表記での使用が前提になっていたりする。
英語表記のまま遊ぶ場合も、単語の意味がなんとなく分かっていれば、基本的にはどうにかなる。

また、(日本語を話せない)海外のユーザーと積極的に交流を行いたい場合は、一定の語学力は重要となる。
これを機に勉強するというのも有りだろう。


あると便利になるかもしれないモノ

ペイントソフト

アバターのテクスチャなどを改変する場合に必要になってくる。
PSDファイルを開けるソフトが望ましい。
無料で高機能な「Gimp」、有料だが、「CLIP STUDIO PAINT」「Photoshop」「Substance 」等が人気。


3Dモデリングソフト

アバター、ワールド、小物なんかを自作する場合は必須の他、アバターの改変に使用される事もある。
相応の知識が要求されるが、より楽しみの幅が広がる。
高難易度な代物にもかかわらず、何故か当たり前のように使えるユーザーも多いが、 別に無理して覚える必要は無い
使う必要が出てきたときに改めて覚えれば良いだろう。

ソフトは無料で高機能な「blender」の人気が高い。


ボイスチェンジャー/ゆかりねっと

地声を聞かせたくない場合は「ボイスチェンジャー」や「ゆかりねっと」などを併用しても良い。
ただし、ボイスチェンジャーを使いこなすには機器の設定、発声共に鍛練が必要である点には注意。

ノイズや音量バランスが酷かったりする低音質なボイスチェンジャーを嫌う人もいるので注意する事。


「アバター」と「ワールド」について


アバター

プレイヤーの分身。プレイヤーは必然的に何かしらのアバター(姿)を取り込んで行動することになる。
VRChat Inc.が用意したものから選ぶこともできるが、プレイヤー自身が用意した3Dモデルをアップロードし使うこともできる。
相応の技術力が要されるが、自作アバターを使うユーザーやアバター制作に挑戦するユーザーも多い。

最近は通販サイト上に完成品が売っているので、自作をしない場合はそれらを買うのがお勧め。
注意点として古いモデルは最新のバージョンに最適化されていない事もあり、初心者いきなり買うとアップロードできないなんて事にもなる。

また、市販の3Dモデルに比べてかなり高額にはなるがアバターをオーダーメイドしてくれる業者・個人もいる(ワンオフモデルとも)。
自作は難しいがオリジナルのアバターを使いたい、予算が十分にあるという人は検討してみは如何だろうか?

お金をかけたくないのなら、VRChat上に存在する「アバター配布ワールド」やフリーで配布されている3Dモデルから好みのものを拾ってきて使う、というのもアリ。
こちらは完全無料で使用できるが、著作権や規約違反の物に注意する事(後述)。

無料・有料問わずアバターにはそれぞれ規約が存在し、これを破れば訴訟・アカウント停止などの問題に発展する恐れもある。
特にアバターやアクセサリーなどを不正に共有したり、公序良俗に反する改変を禁止しているアバターが多い。
一から自分が作ったものでない限りは必ず各3Dモデルの利用規約をよく確認しておくこと。

3Dゲームなどから不正に抽出したモデル(通称:ぶっこぬきモデル)に代表される、第三者の著作権を侵害するアバターの使用は止めておこう
VRChatの規約上でも「第三者の著作権を侵害又は不正利用するような物は使用禁止」となっている。
好きなキャラクターなどのモデルを見つけると使いたくなるかもしれないが、公式から配信されていない物や出所が怪しい物は使わない方が無難。

また、 MMDモデルの無断使用は、様々な問題に発展する恐れがあるため、原則として使用する事は出来ない
ざっくり言うと「MMD以外のゲーム及びプラットフォームでの使用を許可する」という一文が無いモデルは使用してはいけない。
むしろ「MMD以外のゲーム及びプラットフォームでの使用を禁止する」という規約のモデルの方が一般的なので、規約は要確認
何も書かれていない場合も、VRChat上では使えないと思っておこう*3
なお、便利なツールとして知られる「MMD4Mecanim」の使用も禁止されている。
使っているアバターの出所がMMD作者に無断で引っ張ってきたモデルだったなんて事になると、
双方、そして場合によっては権利者すら巻き込んだ大騒動になり兼ねないのだ。
MMDモデル以外の3Dモデルであっても、「VRChatで使用・ゲームでの使用・不特定多数への公開は不可」と書かれている物は、規約に

日本人のコミュニティでは、規約違反のアバターや著作権侵害のアバターを嫌う人が多い
このようなアバターを使用してしまい、別のユーザーに注意された場合は、使用を即座に止める事をお勧めする。

また、規約・権利的には問題なくても、
  • 水着やボンデージなどの露出度の高い服装
  • 下品なアバター(下ネタのメタファーも含む)
  • 人によっては嫌悪感を抱く見た目のアバター(虫や怪物など)
  • サイズが極端なアバター(大きすぎたり、逆に小さすぎるアバター)
  • アニメーションやパーティクルが派手すぎるアバター*4
  • 容量が重すぎるアバター(他プレイヤーの動作に悪影響を及ぼすもの)*5
などは、コミュニティ問わずTPOを弁えて使用するようにし、イベントやワールドの方針によっては禁止されている事もある。

注意点について詳しく解説しているサイトもあるので、自分でアバターをアップロードしたい人は確認しておこう。


ワールド

文字通り舞台となる仮想空間。こちらもユーザーが作り配布したものがほとんど。
「仮想空間」だけあって現実の物理法則を無視したものがほとんど。
ただの背景かと思うなかれ、実際には用途に応じて様々な仕掛けが施されている。

無料アバターを配布する「アバターワールド」、ワールド固有のゲームができる「ゲームワールド」、雰囲気とグラフィックを重視した「風景ワールド」、恐怖体験ができる「ホラーワールド」、他作品の世界を再現したワールドなどなど。
ただし、アバター同様に他人の権利を侵害するワールドには注意する事。

初心者向け、日本人向け、海外ユーザーが多い等、集まる人物の傾向やコミュニティができているワールドもある。
アバター同様、とにかく迷うほどの数があるので、何をしたいかあらかじめ決めておくとよいだろう。

また、ワールドにはインスタンスという概念があり、インスタンスの設定によって参加条件がある。
参加条件は下記の表を参照。

種類 参加条件
Public 誰でも入室可
Friends+ インスタンス内のユーザーのフレンドが入室可
Friends インスタンス主のフレンドまで
Invite+ インスタンス内のユーザーに「Invite Request」を承認された人のみ
Invite Only インスタンス主に招待された人のみ

このうち「Public」と「Friends+*6」に関しては、不特定多数のユーザーが入れる事から公序良俗を守ることが重視される。


有志によるイベント


バーチャルマーケット


VRChatで定期的に開催されているイベント。

コミックマーケットオマージュ的な存在……すなわちアバターやパーツ等の「即売会」であり、場内では様々なモデルが販売されている。
ただし、その場で購入する事は現状不可能であり、そこから販売サイトのリンクが開くという仕組みになっている。

今の情勢では、コミケ等人の密度が高くなるイベントの開催は困難であり、このバーチャルマーケットやその他VRイベントはそのような飢えを満たしてくれる最高のものになりうる。ヘッドセットをかぶれば、目の前に世界が広がり、自室から出なくともすぐそこに手に取って見れる商品があるのだ。
新型コロナや、Oculus Quest等低価格帯VRヘッドセットの普及もあり、世界中でVRを始める人が急増している。VRChatでは初心者案内のイベントも週に何度も開催されていて、始めるには絶好のチャンスである。この記事を読んでVRChatに興味を持ったそこの読者も、是非VRChatの世界に飛び込んでみてはどうだろうか。





追記・修正はVRヘッドセットを購入してからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • バーチャルリアリティ
  • OZ
  • VR
  • VRChat
  • プラットフォーム
  • ゲーム
  • SNS
  • 3D
  • バ美肉
  • Unity
  • チャット
  • チャットツール
  • PCゲーム
  • Steam
  • アバター
  • 3Dモデル
  • モーションキャプチャー
  • Graham Gaylor
  • Jesse Joudrey
  • VRChat Inc.
  • 洋ゲー
  • Oculus
  • Windows
  • Oculus Quest
  • フルトラ
  • お砂糖
  • メタバース
  • 女装
  • 男装
最終更新:2024年12月15日 16:08

*1 それでもわからない、という読者はサマーウォーズに出てくる「OZ」を思い浮かべていただきたい。まんまアレである。

*2 ただし、規約上は公序良俗に反する行為は不可となっている。

*3 MMDモデルの作者に問い合わせるという手段もあるが、必ずしも返答がもらえるわけではないし、何より余計な手間を増やしてしまう事になる。

*4 もっとも設定で見えないようにもできるため、プレイヤー個々での自衛も求められる。

*5 こちらも、設定で画質などを落とす、スペックの高いPCで遊ぶなど、プレイヤー個々での自衛も求められる。

*6 インスタンス主のフレンドのフレンドのフレンドの……と芋づる式に入れる人物が増えていく。