登録日:2012/07/05 Thu 13:16:57
更新日:2025/03/10 Mon 06:37:43
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地獄の黙示録(Apocalypse Now)とは1979年に公開された戦争映画である。
原作はジョセフ・コンラッドの小説『闇の奥』。
監督はフランシス・フォード・コッポラで、『
ゴッドファーザー』と並ぶ代表作として知られる。
概要
ベトナム戦争における人間の狂気を描いた作品で、同戦争における
アメリカ合衆国・米軍を批判的に描いた最初の映画として話題を呼んだ。戦争映画全般でも屈指の知名度を誇る。
カンヌ国際映画祭のパルムドールをはじめアカデミー賞の撮影・音楽部門、ゴールデングローブ賞など様々な賞を受賞し、2000年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
特に有名なのが『ワルキューレの騎行』をバックに大量の
ヘリコプターが現れ攻撃を開始する場面で、
こち亀の
爆竜大佐など数多くのパロディが作成されたので本編は知らなくてもそのシーンなら知っている人も多いと思われる。
上映時間は劇場公開版は153分、2002年に公開された特別完全版は202分と恐ろしく長い映画で、通しで見るには体力と精神力が必要である。特に終盤は話が複雑な為に眠くなるだろう。
日本では1980年2月に有楽町で先行公開され、翌3月から全国ロードショーとなった。また、字幕翻訳家である
戸田奈津子のブレイク作でもある。
撮影は17週の予定が61週もかかってしまい、予算も完全にオーバーしてしまい足りない分はコッポラ自身がゴッドファーザーで儲けた資金で自己負担した。
予算面も含めた撮影は地獄そのもので、その惨状はコッポラの妻が撮影したドキュメンタリー映画『ハート・オブ・ダークネス コッポラの黙示録』でうかがえる。
【ストーリー】
時はベトナム戦争中期。
アメリカ陸軍のウィラード大尉は多くの要人暗殺作戦に従事してきたという経歴から、上層部にカーツ大佐を暗殺するよう命じられる。
カーツ大佐は元グリーンベレー隊長を務めた優秀な軍人だったが、独断で4人のベトナム人を
スパイと決め付け殺害した上、軍の命令を無視して自らの部隊に加えて地元民による部隊を指揮下に置き、勝手にカンボジア奥地の
ジャングルに独立王国を築き上げたという。
ウィラードは数人の海軍軍人と共に哨戒艇に乗り込み、極秘任務として彼らに任務の内容を伝えずカーツ暗殺の為にベトナム、そしてカンボジアの河を進んでいく。
そこで彼らが目の当たりにする数々の戦争の狂気。それを目にしながらもウィラードたちは進んでいくが、哨戒艇の乗員たちは麻薬に溺れて正気を失っていく。
そしてウィラードですら段々と心の均衡を保てなくなりつつあったころ、一行はついにカーツが築き上げた王国に辿り着く。
そこで、彼らが目にしたものとは...?
【登場人物】
演:マーロン・ブランド
グリーンベレーのエリート軍人だったが、顧問団と共にベトナムへ視察した後にまるで人が変わったように今までのキャリアを全て捨てて空挺部隊に入隊しベトナムに戻った。
そしてベトナムで勝手に自らの王国を築き領土を広げ、味方である軍から危険人物と見なされ暗殺対象にされる。
電波で分かりにくい発言をしまくる。
ちなみに元ゴッドファーザーでもある。
演:マーティン・シーン
主人公。
戦争依存症にかかり
ホテルで酔いつぶれていた所にカーツ大佐暗殺命令を下された男。
一度ベトナムからアメリカに戻っているが、アメリカはもはや反戦ムードいっぱいで気が滅入っている。
暗殺に向かう際は海坊主になる。
後々に、息子が主演の映画で、この作品をパロッたシーンで息子と僅かだが共演することになる。
演:フレデリック・フォレスト
元ソース職人の海軍。
神経質な為、ベトナムの風土に合わない。
恋人と
マンゴークリームを体中塗り合うのが夢という異常な性癖の持ち主。
演:サム・ボトムズ
元サーファーの海軍。
50mm機関砲(実際は50口径)の射手だがひ弱な顔付き。
戦場で最も狂っていく男。
演:ラリー・フィッシュ・バーン
スラム街出身の哨戒艇の中で17歳と最年少の海軍。
お調子者で典型的な
おもしろ黒人。
プッシー知らず。
後のモーフィアスであるが、当時はひ弱。
演:アルバート・ホール
哨戒艇の操縦士。
タバコは吸わない、女とやらないと堅物。
しかし哨戒艇内で双眼鏡を投げて渡すずさんな一面もある。
演:ロバート・デュバル
第1騎兵師団第9航空騎兵連隊第1大隊の大隊長。
サーフィンをする為だけに農村にある敵の拠点を『ワルキューレの騎行』を流しながら攻撃し、更にはナパーム爆撃まで行う。
"I love the smell of napalm in the morning."
「朝のナパームの匂いは格別だ。」
みんな大好きプレイボーイのモデル。
ベトナムで戦う兵士のショーガールとして出張してきた。
特別完全版では慰安婦にされていて
乳首も出る。
演:デニス・ホッパー
カーツ王国在住のアメリカ人。
頭がおかしく、カーツ大佐に嫌われている。
後にクッパ大王となる。
【エピソード】
- 本来はジョージ・ルーカスが監督の予定だったが、『スターウォーズ』制作の為に資金繰り担当のコッポラに監督を譲ることになった。脚本はジョン・ミリアスで、当初の脚本では終盤はカーツ王国民と正規兵でドンパチを繰り広げるはずだったが、コッポラによって大幅に書き換えられた。
- ロケ先は勿論ベトナム…ではなくフィリピン。米軍からは「自分たちのイメージが悪くなる映画だから」と兵器の援助をしてもらえず、フィリピン政府に援助してもらう。当時フィリピンは内戦の最中で、借りたヘリのUH-1は撮影の最中に内戦へと出張ることもあったという。
- ウィラード大尉役のマーティン・シーンの冒頭のシーンは本当に酔っ払って演技をさせられ、鏡を割って怪我をしたのは本当の事故だった。また、マーティンは撮影期間中に心臓麻痺を起こし死にかけたという。
- シェフ役のフレデリック・フォレストはトラに襲われるシーンで本当に怖がっていて、泣き叫ぶシーンは本心そのものだったという。また、そのトラは後に人を殺めてしまい殺処分された。
- プレイメイトのシーンは台風の中で撮影。台風でセットの多くは破壊された。
- フランス人とのシーンはフランス人俳優のギャラはケチったがセットは豪華だった為に監督といざこざがあり、拗ねた監督はこのシーンを劇場公開版では全てカットした。
- 阿片を吸うシーンは実際にフィリピンで阿片中毒の囚人に国の許可をもらって吸わせてやり方を学んだ。
- カーツ大佐役のマーロン・ブランドのギャラは4週間で300万ドル。元の脚本では屈強なグリーンベレーという役柄で減量を命じられたが、撮影当時は肥満体であった為に設定が大幅に変更された。更に監督に原作『闇の奥』を読んでおけと言われたのに全く手付かずで、そのお詫びとしてかスキンヘッドにした。
- カメラマン役のデニス・ホッパーはヤク中でかなりセリフ覚えが悪かったという。また、マーロンはデニスを本当に嫌い、デニスにバナナを投げつけたこともあったという。
- 終盤の村祭りで水牛を鉈で殺すシーンは本物を使っている。
追記・修正は朝のナパームの匂いをかぎながらお願いします。
- 個人的にあまり面白くない映画だったかな。 キルゴア中佐のシーンは爆笑したけど…w -- 名無しさん (2017-10-11 13:07:18)
- 某ロボアニメのキャラがワルキューレの騎行を嫌いになった原因 -- 名無しさん (2017-10-11 14:12:38)
- 結局どういう映画なのだよ -- 名無しさん (2022-07-25 14:56:20)
- ←派遣先で部下が会社の資金で自分のための楽園を築いていて親会社がぶちギレたのでそれを潰すべく現地に人が送られる、みたいな内容のはず(会社=軍) -- 名無しさん (2022-07-25 15:04:23)
最終更新:2025年03月10日 06:37