チンチロリン

登録日:2021/08/12 Thu 23:22:53
更新日:2024/12/08 Sun 03:40:43
所要時間:約 9 分で読めます





関西のヤクザの間ではもしこの「チンチロリン」で

イカサマをした者を見つけたら

そいつの「目玉の中」にサイコロ2個を埋め込んで

川に流したという………




チンチロリンとは、サイコロと丼(茶碗でも可)を使って行うギャンブルゲーム。名前の由来は丼の中で振られたサイコロの音から来ている。
「チンチロ」や「チンコロ」と呼ばれることも。決して下ネタではない


サイコロを使ったギャンブルでは、日本では「丁半博打」と並んで知名度が高く、漫画やアニメなどで取り扱われる事も多い。
実際に『賭博破戒録カイジ』や『ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない』などで知った人も多いだろう。
2人でのサシ勝負も出来るが、実際には3人以上でも可能。


目次


歴史

使う道具や内容から昔からありそうなゲームに思うかもしれないが実は意外と歴史は浅く、中国からモデルとなったゲームが伝わってきたのは1930年代とされており、大衆に普及したのは第二次世界大戦後。
ちなみにチンチロリンと同じ様な道具を準備し、ゲーム進行中に似た部分がある「タブ」と言うものがあるが、こちらは日本発祥とされている。


用意するもの

サイコロ3つ

サイコロを使うゲームなので当然必要。
また当たり前だが、事前にイカサマの仕込みなどをしてはいけない。
4・5・6の目がそれぞれ2つずつ存在する特別製のサイコロTボーンステーキの骨を削った全ての面が1のサイコロ宇宙人が化けたサイコロの使用などはもってのほか。

出目についてはおいちょかぶでの数字の呼び方を取ってそれぞれ

1 - ピン
2 - ニゾウ
3 - サンタ
4 - ヨツヤ
5 - ゴケ
6 - ロッポウ

と呼ばれることもある。


なお余談だが、使うサイコロが出目の部分にくぼみがあるサイコロの場合、各面のくぼみを作るために表面を削る事で生じる重量の偏りが原因で出目の確率に差が生じる。
サイコロの重心の位置の関係から最も出やすいのは5、最も出にくいのは2とされている。
差は12.5%0.1%未満と微々たるものではあるが、いざという時に覚えておくと役に立つ……かもしれない。


サイコロを振るための台。
「振るだけなら丼は必要ないのでは?」と思う人もいるだろうが、簡単に言えば丼からサイコロが零れてしまった場合に別の処理がある為、振る目的と零れたかどうかの境界線としての用途がある。


コマ


簡単に言えばチップのことで、回ごとに賭け額を提示していくのだが、この行為を「張る」と言う。
張る対象は、木札などの金銭の代わりになるものや、金銭そのものを使う事が多いとされているが、当然だがお金の賭け合いは賭博罪に引っかかる危険があるので、(少なくともこの項目では)実際にやる場合はそういった内容に引っかからない物で張る事を推奨する。


役及び用語

用語

ここではチンチロリンのルールに関する用語を解説していく。
出目結果及び役については後述。

所謂「胴元」のことで、ゲームを取り仕切る。
対決構図としては「自分 vs 子全員」というものになる。
対決回数で点数の収支が激しいのだが、後述する総取り・総付けなどの特殊処理及び後述する役を出した場合には子の賽振りを待たずに勝敗を強制的に決定し、内容に応じた点数の収支を行う。
基本的に親落ちが起きたりアライの権利を行使したりすると親を自分の右隣りにいる人に移譲し、以降は子としてゲームに参加するのだが、ルールによっては負けの限度額である「胴前」を基準とした一定数の駒を獲得した際に、親から降りるルールもある。


親以外のプレイヤー、ゲーム前にコマを参加料として支払う事で、親と勝負をする。
対決構図は「自分 vs 親」であり、自分以外に子が何人いても子同士では点数のやり取りは行わない。
実は一回の勝負自体に参加するかどうかは任意で、コマを支払わない場合はその勝負には参加せず様子を見ていくことになる。
チンチロリンは親・子ともにサイコロを振るゲームであるが、実際には子が振るのは後述する「目(2~5)」を親が出した場合で、その機会はあまり多くない。


  • 総取り
親が6の目を出すことで、子のコマを全て獲得すること。
この場合、子は賽を振らずに強制的に次の勝負に移る。


  • 総付け
親が1の目、ションベン、目なしのいずれかを出してしまうことで、場に出ているコマ分を全て子に支払うこと。
こちらも同じく子は賽を振らずに次の勝負に移る。


読み方は「けん」で、「見に回る」などと言う。
子がコマを意図的に出さずにその勝負に参加しない事。
現状維持は出来るが、ゲームが停滞するのであまり多用は勧められない。


  • 親落ち
総付けになるサイコロの結果、もしくはヒフミを出してしまう事で子に負けた場合に適用。
強制的に親の座を次の子に移譲する。
大事なのはただ負けるのではなく、上記の条件下で負けること。
点数の収支が総合でマイナス、あるいは子達が全員自分に勝った場合でも、それが1以外の目で負けた場合は親の権利は剥奪されない。


  • アライ
親落ち同様、親の座を子に移譲する事だが、こちらは強制執行の親落ちと違い、親が自分の意思で行った場合に言う。
親は自分以外の子全員と点数収支を行うので、いざという時には自ら引くのも手である。


出目の結果及び役

チンチロリンは出た目の数値や出た目に応じた役の強さで競っていく。
珍しいルールとして、チンチロリンには「負の役」が存在し、出してしまうと自分にデメリットが降りかかる。

括弧内はコマに応じた点数の倍率で、自分が受け取る場合は青文字、自分が支払う場合は赤文字としている。
ちなみに狭義の意味で「役」と呼ばれるのは以下の内、アラシ・シゴロ・ヒフミの3つで、その内ヒフミは「負の役」として扱われる。


  • 目(1、もしくは1
3つのサイコロの内、2つが同じ目で残り1つが異なる数値の時に適用。
「残り1つ」の出目の値で勝負を行う。
この際に目の値をそのまま呼び方として使う事もある。

基本的には目の数で勝負をするのだが、上述した通り親が出した場合は6なら総取り、1なら総付け(+親落ち)となり、例外的な処理になる。
子の場合においても1の目が出た場合、親は2以上(5以下)の目が確定しているので実質的な「負の役」として扱われる。

ちなみにチンチロリンにおける「引き分け」は実は親と子が同じ目を出した場合にしか起こらず、この状態を「ワカレ」と呼び、親は点数を払わず、子も賭けたコマを自分の所に戻して次の子の点数収支に移る。


  • 目なし(1
サイコロの目が3つとも違っている場合(当然ヒフミ・シゴロは除く)。
通常、サイコロ3つ全てが違う目(当然ションベンは考慮しない)の状態を「クズ」と呼んで、サイコロを振り直す。
ただし振り直しは2回まで。即ち3回目の賽振りで3つとも目が異なる場合は「目なし」が成立し、強制的に負けが確定する。

ちなみに目なしになる確率は一見高そうだが、1~6の各出目が同様に確からしく出るサイコロの場合、ションベンを無視した単純計算ではクズが1回出る確率は1/2。*1
目なしはクズが3回連続で出た場合に成立するので、確率は1/8、即ち1割強と実はそれほど高くない。


  • ションベン(1
3つのサイコロを振る際に1つでも丼から飛び出してしまった場合に成立。
丼から出たサイコロは目や役に使用できないので、強制的に負けが確定する。

使う丼次第では底が深くてションベンが殆ど起きなかったり、逆に底が浅く簡単に外に放り出されたりするなど、難易度が大きく変化する。


  • アラシ(3
サイコロの目が3つとも同じ数字だった場合。ゾロ目やゾロとも呼ばれる。
この手を親が出した場合、子が賭けたコマの3倍の点数を全員から獲得することが出来る。
通常1~6のどのアラシでもいいのだが、1のアラシは「ピンゾロ」と呼ばれ、特別扱いされることがある。
ちなみに親の目に対して子が出した場合は子が勝ちになり、親の場合と同じ点数収支を行う。

ちなみにアラシと言う名前及び点数の倍率は、同じく3枚の札がすべて同じ月だった場合に成り立つおいちょかぶの同名役をベースにしたとされている。


  • シゴロ(2
3つのサイコロで4, 5, 6の連番が出来た状態。
アラシ同様、親は出した時点で無条件で勝ちだが、こちらは獲得できる点数は2倍分。
子が出した場合も同様。


  • ヒフミ(2
3つのサイコロで1, 2, 3の連番が出来た状態で、上述した「負の役」。
親が出した場合、その時点で子の賽振りを待たずに子の賭けたコマの2倍の点数を支払う。
これは子も同じで、まさしく悪夢の様な地雷の役である



ゲームの流れ

ゲーム開始時に「親」を1人決め、残りは全員「子」とする。
この際、サイコロを使って最も出目が大きい人を親にするなどのローカルルールもある。

後は以下の一連の処理を1つの回として繰り返していく。

  • 1. その回の勝負に参加する子はコマをそれぞれ張る。

  • 2. 親はサイコロを丼に振る。この時出た内容によって以下の処理へ。
    • 3回まで振れるが、ションベンや目・役が出た場合、それ以上振ってはいけない。
A: 総取り(6の目)、アラシ、シゴロならばこの時点で親の勝ちとして手順4へ。
B: 総付け(1の目・目なし・ションベン)、ヒフミならばこの時点で親の負けとして手順4へ。
C: 2~5の目ならば手順3へ。

  • 3. 親の右隣りにいる子から順番にサイコロを丼に振り、内容に応じて以下の処理へ。
    • 投げる回数等については親と同様。
A: 親より大きい目ならば子の勝ち。
B: 親より小さい目ならば子の負け。
C: 親と同じ目ならば引き分け(ワカレ)。
D: シゴロ、アラシならば無条件で子の勝ち。
E: ヒフミ、ションベン、目なしならば無条件で子の負け。

  • 4. 勝敗に応じて勝った方が上述した倍率分だけ倍加させたコマの点数を受け取る。
    • 親は子全員と、子は親1人と点数の収支を行う。

  • 5. 親落ちやアライがなされた場合は次の親を決め、そうでない場合は親を続行。ゲームを終了する場合はここで終了。


ローカルルール

歴史がそれほど古くない為か、チンチロリンそのもののローカルルールはパターンが少なく、親の継続の有無として「胴前」を採用する方式を取り入れたりするものや、アラシの場合の処理が変わったりする程度。

アラシの点数収支の例

  • 1. ピンゾロを特別役として10倍と高倍率にして、その他は3倍のまま。その他5のアラシを「五ゾロ」と呼んで倍率を5倍に変えていることもある。
  • 2. アラシ狙い方を変えるためにピンゾロを10倍としつつ、その他2~6は出た目の値がそのまま倍率になる。

地下チンチロリン

なおローカルルールと言うよりは特殊ルールに当たるが、カイジで行われた「地下チンチロリン」では以下の様なルールを採用している。
  • 親の即勝ち、即負けをなしとする。
    • そのため、ピンゾロ>ピンゾロ以外のゾロ目>シゴロ>6の目>…>1の目>目なし>ヒフミ>ションベン、と言う強さ順が設定されている。
  • 親が出来るのは2回まで。ただし前述の強さにおいて1の目以下だったら1回目で終了。それ以外の場合は必ず2回目の親を引き受けなければならない。
    • 2回目の親を辞退することはできない。
  • 子は親の権利を行わずにスルーすることが可能。スルーした後で再び自分に丼が回ってきたとき親になることも可能。
    • スルーしたからといって親になる権利を失うことはない。
  • 掛金額に上限を設置する。ただし親と子の間で合意があれば、上限撤廃が認められる。
    • 上限撤廃は親が変わるまで適用されるほか、上限撤廃の交渉に参加しなかった子にも適用される。


実際にやるときはピンゾロはどんな扱いなのか、相手と認識にズレがないかどうかを確認してルール設定しつつ、ゲームを行うようにしていくといいかもしれない。


追記・修正はアラシを出そうとしながらお願いいたします。


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最終更新:2024年12月08日 03:40

*1 サイコロ3つを区別した上での3つの出目の場合は全部で216通りあり、その内3つ全て異なる場合は120通り。そこからシゴロ・ヒフミになる場合が合計12通りあるので、それらを除くと108通りになり、結果108/216=1/2となる。