リアニメイト(MtG)

登録日:2020/01/26 Sun 23:47:53
更新日:2022/02/04 Fri 12:16:14
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「これに見合う値打ちがあるといいわね。」

――リリアナ・ヴェス



この項では、Magic the Gatheringにおけるリアニメイトについて解説する。


概要

全てのTCGの祖だけあってリアニメイトの語源となった《再活性》を初め、様々なバリエーションの蘇生カードが存在する。
黒と白に多いが、両者ではだいぶリアニメイトの意味合いが異なり、黒の場合は「死者を魔術で復活させる」、白の場合は「死者を奇跡で生き返らせる」という意味になる。
カードプールが広いモダン以下の環境では上位デッキとなることも多い。

その代わり対策の為の墓地対策カードもかなり存在する。
というかエターナル環境では墓地対策しないと瞬殺される。

また、そもそもリアニメイト出来ないカード(墓地に置かれたら山札に戻る)も存在する。
この戻るタイミングは2種類あり、「墓地に置かれたらライブラリに混ぜる」タイプは、この能力の誘発にスタックして「インスタント続唱呪文→《死せる生/Living End》」など、インスタントタイミングでのリアニメイトは可能。
「墓地に置かれる代わりにこのカードを公開し、ライブラリに混ぜる」タイプは現状リアニメイトがかなり困難。一応《騙し打ち/Sneek Attack》経由で戦場に一度出す→墓地に落ちる前に《お粗末/Humble》を使って0/1バニラにしてしまう→バニラ故墓地に落ちるのでそこからリアニメイト…というのは可能。
ただこの手のクリーチャーはワンパンマンこと《荒廃鋼の巨像/Blightsteel Colossus》等スニークやティンカーで出して殴ればほぼ決まる物ばかりなので、そこまでしてリアニメイトする必要があるかは謎。
現状リアニメイトが一番難しいクリーチャーは《大祖始/Progenitus》。プロテクション(すべて)のせいで《お粗末》が使えないので、代わりに《謙虚/Humility》で能力を失わせ墓地に落とし、リアニメイトしてから《謙虚》を破壊する必要がある。
そこまでするなら《自然の秩序/Natural Order》でライブラリーから直接出すほうがよっぽど楽。

ちなみにクリーチャーではなくアーティファクトなどの他のパーマネントをリアニメイトするカードもある。
このような場合はそれぞれの色で扱うのが得意なパーマネントをリアニメイトするようになっており、アーティファクトなら白・赤・青、エンチャントなら白、土地なら緑がそれぞれ得意としている。
白はアーティファクト・エンチャントのリアニメイトも得意なので、拡大解釈で白のリアニメイトには条件が限定される代わりにパーマネント全般に範囲が広がっているものが多く存在し、黒のリアニメイトとの差別化を図っている。

カード紹介

墓地肥やし

  • 《マーフォークの物あさり/Merfolk Looter》《信仰なき物あさり/Faithless Looting》などの「ドローしてから捨てる」能力

古くから使われる手段。ライブラリーを圧縮しつつクリーチャーを墓地に落とす。
墓地肥やし以外にも単純なドローソースとしても強力であり、これらの効果のことを「ルーター」と呼ぶ。

  • 《生き埋め/Buried Alive》《納墓/Entomb》

こちらも定番手段。ピンポイントでライブラリーからクリーチャーを墓地に落とす。
特に《納墓》は1マナインスタントという圧倒的軽さもあってか速攻リアニメイトでよく使われたため一時は禁止カード指定されていた。

  • 《隠遁ドルイド/Hermit Druid》、「発掘」など

外法。クリーチャーが墓地に集まるようにライブラリーをまとめて大量に墓地に落とす。
大量のカードが墓地に落ちるため瞬殺コンボが成立しやすく、しばしば規制の対象になっている。

蘇生カード

  • 《再活性/Reanimate》
類似デッキや戦法の語源になった、たった1マナで蘇生できる軽量蘇生カード。ただし代償に釣ったクリーチャーのコスト分のライフを払う必要があるため10マナを超えるような超巨大クリーチャーを釣るには向かない。
それでも1マナで使えるので《暗黒の儀式》辺りと絡めて1ターン目から巨大クリーチャーを出して一気にマウントを取るというのは王道戦法だったりする。

  • 《動く死体/Animate Dead》
蘇生カードの元祖。なかなか面倒なテキストに定評がある。
普通のリアニメイトデッキではあまり用いられないが、《世界喰らいのドラゴン/Worldgorger Dragon》を釣って無限ループというコンボはかなり有名だったりする。

  • 《死体発掘/Exhume》
コモンの蘇生カード。プレイヤー全員がそれぞれ1体ずつ蘇生する。
相手の墓地に何もない時なら自分だけ蘇生ができるので、使うなら早いターンのうちに使っておきたい。

  • 《浅すぎる墓穴/Shallow Grave》《死体のダンス/Corpse Dance》
墓地の一番上のクリーチャーをリアニメイトする。呼び出したクリーチャーは速攻を持つが終了ステップに追放される。
再活性などとは異なり速攻を与えるのでそのターン中に殴りに行けるのが強み。早いターンからこれらから大型を釣って殴りにいくようなデッキのことを「〇〇シュート」などと呼ぶことがある。

全体除去も兼ねている大量リアニメイトカード。墓地のクリーチャーと戦場のクリーチャーを総取り替えする。
実用面だけでなく劣勢をまとめて引っ繰り返せる浪漫カードでもあるためかなり人気のある一枚。
待機が付いたリメイクが《死せる生/Living End》。続唱の登場以降、インスタントの続唱呪文から《死せる生》に繋ぐコンボデッキがモダンで活躍している。

  • 《ゾンビ化/Zombify》
蘇生カードの現在の基準。4マナで1体リアニメイトする。
基準なだけあって亜種が多い。
色が白になっただけの《生命の息吹/Breath of Life》というものもある(登場はこちらが先)。全く同じ効果なのに色が変わると意味合いもかなり変わってくる。

  • 《戦慄の復活/Dread Return》
超問題児。効果やコストはゾンビ化と同じだが場のクリーチャーを3体生贄にすることで墓地から0マナで唱えられる。
当然手札から4マナで唱えられることは少なく、釣りたいクリーチャー諸共墓地に落として場のトークンなどをコストに唱えられるのがほとんどで、この動きを止める手段が少ないため、モダンで禁止カード指定を受けている。

  • 《第二の日の出/Second Sunrise》
白のリアニメイトカードの代表選手にして超問題児その2。
そのターン戦場から墓地に置かれたすべてのパーマネントが戻ってくるという効果だが、どうやって墓地に置いたかは関係ない上に全部アンタップ状態になるので、自分から墓地に行って効果を使うパーマネントを並べてループすることができる。
これを利用したデッキがサニー・サイド・アップであり、強さよりもターンが長くなりすぎるためモダンで禁止カードになっている。

  • 《太陽のタイタン/Sun Titan》
Cipと攻撃時に何かする基本セット2011のタイタンサイクルの白担当。これは3マナ以下のパーマネントをリアニメイトする。
3マナ以下と言うと一見狭そうな範囲だが、軽量のシステムクリーチャー、Solomoxenに代表される軽量アーティファクト、土地全部とかなり選択肢が豊富。
何らかの形でタイタンをリアニメイトしたりコピーしたりできれば無限コンボも作れる。
モダン以下で《サヒーリ・ライ》を何らかの形で2枚墓地に落とし「《サヒーリ・ライ》を釣る→-2能力で《太陽のタイタン》のコピーを作る→《サヒーリ・ライ》を釣って1枚目を伝説ルールに従い墓地に落とす→-2能力以下略」のループで速攻持ちの《太陽のタイタン》を無限増殖するコンボデッキが存在。
ヴィンテージでは《Mox(任意色)》+《禁忌の果樹園》→《ドルイドの誓い》。2ターン目アップキープに《ドルイドの誓い》誘発→《サヒーリ・ライ》2枚落とし+《太陽のタイタン》召喚が成立して終了というパターンも。

  • 《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》
超問題児。1ターンに1度、2マナ以下のパーマネントを墓地から唱えられる。
サイドカードから唱えられる相棒の性質により「墓地肥やしで蘇生カードまで墓地に行ってしまう」というリアニメイトの弱点を克服しているうえ、
太陽のタイタンよりさらに狭い蘇生範囲とはいえ蘇生させる対象には下環境であればあるほど困らなくなる。
あらゆるフォーマットにおけるあまりの暴れっぷりに相棒そのもののルール変更(事実上のエラッタ)ヴィンテージ禁止の伝説を作り上げた。

よく挙げられる蘇生対象

安定。7/7飛行と絆魂に加えて大量ドロー能力を持つ。
序盤でシュートして大量ドローによるアドバンテージを取るもよし、ドローによって除去対策を構えつつゆっくり殴るもよし。

  • 《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
もう一つの定番。とりあえずこれを蘇生して相手のキーカラーを宣言すれば相手の動きが大幅に鈍る。
7/7飛行と本体のサイズも十分。

  • 《墨溜まりのリバイアサン/Inkwell Leviathan》
7/11に加えて被覆を持つ、かつてのヴィンテージ環境での定番フィニッシャー。
各種競合クリーチャーらと比べると除去耐性を持つのが強み。

  • 《縫合グール/Sutured Ghoul》
瞬殺コンボにおける常套手段。墓地が十分に肥えた状態でこれを釣り上げて軽く30/30くらいのサイズにした上で殴るだけ。
トランプルもあるので着地すればほぼ勝ちである。


自己復活効果持ち

  • 《恐血鬼/Bloodghast》《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》
ドレッジ(MtG)定番のクリーチャー達。
土地を置くという簡単な条件で墓地から出てくる恐血鬼のおまけで更に秘蔵の縫合体も出てくる。
モダンドレッジでは主にアタッカー、それ以下の環境では加えて戦慄の復活のコストになる。何度も自己再生するのでブロッカーとして時間稼ぎをこなすことも。

  • 《ナルコメーバ/Narcomoeba》
ライブラリーから墓地に置かれると勝手に戻ってくるという問題児。
蘇生するための特別な行動がいらないので大量墓地肥やしするならとりあえず積んでおくだけで仕事する。
1/1飛行なので一応戦力にもなるが、一番使われているのはレガシー以下の【ドレッジ】で《戦慄の復活》のフラッシュバックコスト。

  • 《弧光のフェニックス/Arclight Phoenix》
インスタントかソーサリー呪文を3回唱えていれば復活するフェニックス。
一見条件は厳しいようにも見えるが《信仰無き物あさり/Faithless Looting》《魔力変/Manamorphose》と言ったドロー呪文を連打するだけで簡単に条件を満たせる。

  • 《大釜の使い魔/Cauldron Familiar》
食物を生け贄にすると墓地から帰ってくる猫。戦場に出る度に1点ドレイン。
クリーチャーを生け贄にして食物トークンを生み出す《魔女のかまど/Witch's Oven》とのコンボを前提に作られており、この2枚が揃うと猫が延々と戦場と墓地を行き来することになる。
しかも移動するタイミングをある程度自由にできるので、この手のカードの弱点である追放除去や墓地対策に対してもある程度の耐性を備えている。
その上、行き来するだけでもさまざまな効果を誘発させるためにいちいち手が止まることになり、あんまりにも煩雑なのでスタンダードでは禁止となった。

  • 脱出
指定されたマナコスト支払い+墓地のカード追放で墓地から唱えられる能力。クリーチャーの場合は序盤は軽量クリーチャー、墓地が肥えてきたら重量級のクリーチャーとして振る舞う設計の物が多い。
特に《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》は序盤にマナ加速+ドロー+ライフ回復、墓地が肥えたら6/6のフィニッシャーとして出てくるという動きがランプデッキにマッチしすぎていたため複数のフォーマットで禁止となった。

リアニメイト対策

  • 《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
0マナ設置できてタップと生贄でプレイヤー一人の墓地を全部追放する。
軽くてシンプルな最強クラスの墓地対策。

  • 《虚空の力線/Leyline of the Void》
このカードが場にある限り相手の墓地に行くカードはすべて追放される。
さらに、ゲーム開始時の初手にあればこのカードを設置した状態でゲームを開始できる。
トーモッドの墓所と並ぶ定番墓地対策。

  • 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
このカードを置いた時点で墓地をすべて追放し、さらに場にある限り墓地に行くカードはすべて追放される。
トーモッドの墓所+虚空の力戦と言わんばかりの効果だが2マナと軽く使いやすい。その代わり自分も影響を受けるのでデッキ構築で気をつける必要はある。

  • 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
墓地対策が中心のリアニメイト対策カードの中でも異質な一枚。墓地には直接干渉しないが墓地からクリーチャーが出てこれなくなる。
ライブラリーからのクリーチャーの踏み倒しや墓地やライブラリーから唱えられる呪文にも干渉できるのが強み。

  • 《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
マナクリのはずなのに中盤以降のライフレースにも参戦でき、ついでのように墓地アド潰しまでこなすイカれクリーチャー。これのせいで【リアニメイト】やその他墓地利用デッキが長いこと封殺されていた。
まずはモダンの【ジャンド】を理論上最強にして禁止リスト入り。
その後レガシーで 1マナのプレインズウォーカー と称されるほどの状況を作り出し、
長い間【グリクシス/4Cデルバー】や【4Cレオヴォルド】を影で支えていた。
あまりにもメタゲームの動きがなくなり最終的にレガシーでも禁止を食らう羽目に。
なぜいずれかの墓地と書いたし…。

  • 《封じ込める僧侶》
「唱えずにクリーチャーを出そうとすると追放する」という物凄い能力を持ったクリーチャー。
リアニメイト以外でもこのクリーチャー1体で機能不全に陥るデッキは数しれず。
例えば【レベリオン】のようにクリーチャーの能力で後続を呼ぶデッキとか、《騙し討ち》によるシュート系も防げる。
ただし「墓地から唱えられる」系のクリーチャーは普通に出てくるので注意しよう。
あと自分も影響を受けるので、クリーチャーサーチでシルバーバレットするデッキは、これを出した後のプレイングに注意が必要。
基本セット2021で収録され、ついにモダンでも使用可能になった。


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最終更新:2022年02月04日 12:16