ハンデス/手札破壊(MtG)

登録日:2020/01/27 Mon 01:30:22
更新日:2024/09/05 Thu 02:09:45
所要時間:約 6 分で読めます






僧侶たちは人々の苦悶を嘆願し絶望を祈る。



ここでは、Magic the Gatheringにおけるハンデスについて語る。


概要

手札破壊に関しても開祖たるTCG。
直接的に手札破壊を行う色は主に。黒の代表的な役割の一つであり、今日までに様々なデザインの手札破壊が登場している。
また、は相手の手札を強制的に交換させ、枚数は減らないもののカードを入れ替えることで戦略を崩す。
フレーバー面では精神や記憶を汚染、破壊するイメージの名称・イラストが多い。

他TCGと比べると軽量ハンデスがかなり許容されているが、撃つ側が対象を選べるタイプのものは殆どに「土地は捨てさせられない」という制約が課されてる。
プレイヤーからは最早土地を捨てさせられないのは当然と思われており、《思考囲い》のような「土地以外のカードを1枚選んで捨てさせる」タイプのハンデスは「なんでも落とせるハンデス」と形容されたりしている。

有名なハンデスカード


タイプ①相手に選んで捨てさせる

  • 貪欲なるネズミ/Ravenous Rats
ETBで1枚ハンデスする小型クリーチャー。このタイプの「効果は小さいが軽い」という特性を全面に押し出したカード。
その軽さと、クリーチャーであるため自分から手札に戻す手段が多数存在し使い回しやすいという特性から意外なデッキで活躍することも。


通称ヴェリアナ。+能力で毎ターン手札破壊ができる3マナプレインズウォーカー。自分も巻き込むがそこは構築段階でいくらでも工夫が可能。
というかこの+能力を連打しているだけでも厄介極まりなく、そのお手軽さからモダン以下の黒デッキでは半ば必須パーツ扱い、最高額のプレインズウォーカーの1枚になっている。
詳細は項目参照。


  • 葬送の魔除け/Funeral Charm、海賊の魔除け/Piracy Charm
3つのモードから選択できるインスタントで、モードの1つが手札破壊。
インスタントタイミングで手札破壊できる点が希少で、ドローした1枚の手札を即座に叩き落す使い方ができる。
まあタフネス修正の2番目のモードによる除去が本命ではある、特に後者。


  • 精神腐敗/Mind Rot
後述の《トーラックへの賛歌》の調整版で、対象プレイヤーが自分で2枚選んで捨てる。
かなりパワーダウンしているとはいえ1:2交換が取れる点は変わらないので長らくスタンダードでの複数ハンデスカードの定番として勤続し続けていた。
しかし、最近ではオマケ付きの上位互換が作られ出した結果、ハンデスの仕事はそれら後輩に託しスタン環境を去ることとなった。


タイプ②無作為に捨てさせる

前述のとおり、手札破壊の開祖の1枚。
(X)(黒)というマナコストで、Xの数(払ったマナの数)だけランダムにハンデスする。
コストにXを含んでいながらすこぶるコスパに優れ、手札の土地を全て捨てさせられて身動きが取れなくなる事態が頻発した。
詳細は項目参照。


  • トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach
たった2マナで2枚のカードを無作為に捨てさせる凶悪なランダムハンデスカード。しかも初出時はコモンで簡単に複数枚揃えられた。
実はX=2の《精神錯乱》よりコスパが良い。
日本語化が遅かったため、英語名にちなんで「ヒム」と呼ばれることが多い。


  • 惑乱の死霊/Hypnotic Specter
手札破壊クリーチャーの開祖。
ダメージを与えるたびにハンデスを行う。
沼→暗黒の儀式→死霊の通称「A定食」はあまりにも有名。返しにショックされるところまで含むことも。


タイプ③相手の手札を確認し、その中から捨てる

  • 強迫/Duress
  • コジレックの審問/Inquisition of Kozilek
  • 思考囲い/Thoughtseize
様々なフォーマットでよく使われる1マナ手札破壊ソーサリー。
《強迫》と《コジレックの審問》は捨てる対象に条件があり《思考囲い》は対象が広いがライフロスのデメリットがある。
《陰謀団式療法/Cabal Therapy》も時たまこの中に数えられる。
初代かつ再録回数も非常に多い《強迫》から取って1マナハンデスカードはしばしば「デュレス」と俗称され、積んでいる1マナハンデスの数の単位として8デュレス、12デュレスといった風に言われることも。
最序盤の動きをくじいたり、トドメをさす前の前方確認に是非。
ただし《思考囲い》はバーンデッキにご用心。フェッチ切ってショックインしていたなら一層。


  • 暴露/Unmask
  • 悲嘆/Grief
本来のコストではなく手札の黒のカードを追放することでも唱えられるハンデス。効果範囲は《思考囲い》と同じ。
《悲嘆》はクリーチャーだがピッチコストで唱えると即生贄になるので実質的にはソーサリーのような使い方になり、同様のクリーチャーでサイクルを成している。
《暴露》はマナ・コストの惜しいデッキで使われる便利なハンデスとして長く愛用されているが、《悲嘆》はクリーチャーであることを活かして初手1ターンから2ハンデスしながらクリーチャーを並べるという理不尽な動きを可能にしてしまいモダン・レガシーで禁止されてしまった。


  • ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique
ETBでピーピングしつつカード1枚をライブラリボトムに送り、その後1枚のドローさせるクリーチャー。
ドローがあるので手札枚数は減らせないが、その場その場で最も怖いカードに対処できるというだけで十分強力。
瞬速を持つためインスタントタイミングで飛ばせる上、クリーチャー部分も3/1飛行と十分に至れり尽くせりなカードパワーの1枚。
ライブラリボトムに送るため墓地利用をさせないのも利点。まあ今度はサーチカードなどで再利用されかねないという点もあるが。


  • 難題の予見者/Thought-Knot Seer
ヴェンディリオンと同じくETBでハンデスするが、こっちは当時のエルドラージらしく追放するクリーチャー。
補完の1ドローもあるのだが、そのタイミングはこいつが除去された時。つまりこいつの能力で除去をハンデスしてしまえば下手をすれば補完の1ドローすること無くゲームが終わる。
おまけに本体が4/4のマッスルボディなため、そう簡単に除去されることもない。
放置されたとしてもパワー4はそのまま5回殴ればゲームが終わる。なんなんだこいつ。
唱えるのに無色マナ1点含む4マナ必要だが《ウギンの目》や《エルドラージの寺院》から高速で召喚されることも多く、かのエルドラージの冬を引き起こした原因の一つ。


タイプ④条件を指定し、相手がそれを持っていた場合捨てさせる

  • 迫害/Persecute
色を指定し、その色のカードを全て捨てさせる。
相手が出している土地を見れば相手の色はだいたいわかるため、大外しすることが少ないのが強み。
たまに手札が全部無色のカードだったり、色事故を起こしてるだけだったりして1枚も捨てさせられないことがあるのはご愛嬌。


  • 陰謀団式療法/Cabal Therapy
土地以外のカード名を指定し、相手がそれを持っていたら捨てさせる1マナのソーサリー。
相手が指定したカードを手札に持っていないと何の効果もないため、1発目はそうそう当たらない…のだが、タイプ③のカードと組み合わせるなどで相手の手札を確認してから使えば必ず当たる。
特にマナ無し・キャントリップ付きで相手の手札を確認できる《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》とは好相性。
というか、これ自身の解決時に相手の手札を確認できる上に、こいつはフラッシュバックを持っているため、墓地から即座にもう1発行けば2発目が必ず当たる。
まあこのカードが使える環境での1発目はたいてい《意志の力/Force of will》か《渦まく知識/Brainstorm》が指定されるのだが。
フラッシュバックコストが「クリーチャー1体を生贄に捧げる」でマナコストがいらないのもポイントで、マナがカツカツだがクリーチャーはいっぱい出るようなデッキでも使える。


タイプ⑤全て捨てさせる

ダメージが条件、毎ターン全ハンデスができるボーラス様。
7/7飛行の時点で効果が2回通る前に投了は必至。


  • 空虚自身/One with Nothing
たった1マナで全ての手札を捨てさせる、凄まじい効果のハンデスカード。
ただし捨てるのは自分

…ネタだと思うじゃん?
相手のアップキープ時に手札が7枚以上あると4点ダメージを与える《黒檀の梟の根付/Ebony Owl Netsuke》と相手にドローを与えまくって手札を強制的に増やす《吠えたける鉱山/Howling Mine》を組み合わせた【ハウリング・オウル】がメタ上にあった「プロツアーホノルル06」にて。
対ハウリング・オウル専用サイドボードとして黒系デッキに採用されていた。
という実績を誇る。

一応モダンで使えるので、墓地利用系デッキが強くなりそうなカードが見つかる→1マナで大量に墓地に送れるこのカードの価値が上がる→別の墓地肥やし手段が見つかる→価値が下がる。 というのを延々繰り返している。


  • 機知の終わり/Wit's End
相手に捨てさせたいなら7マナかかる。


デッキタイプ

  • メガハンデス
軽量なハンデス呪文を大量搭載した黒デッキの総称。
相手の手札が空になるまで手札破壊呪文を連発し、《片頭痛/Megrim》(相手が手札を捨てるたびダメージ)や《拷問台/The Rack》(相手の手札が少ないほど大ダメージ)でライフを削りきる。
近年では1枚で継続的なアドバンテージを稼げるプレインズウォーカーがフィニッシュ手段を務めることが多い。


《悪疫/Pox》、《小悪疫/Smallpox》、《死の雲/Death Cloud》などを主軸としたメガハンデスの亜種。手札だけでなく盤面にも同時に干渉するのがミソ。
ただし、カードの効果が自分自身にも及ぶため、なにかしらケアする手段(墓地から戦場に戻るクリーチャー、自分の手札が空になることで最大の効果を発揮するアーティファクト等)を用意する必要がある。


悪名高きハンデス系瞬殺コンボデッキ。《片頭痛》+《記憶の壺/Memory Jar》(どちらかを2枚)のコンボで一瞬にして相手のライフを削りつくす。
ただし「手札を捨てる行為」そのものが重要であって手札を減らすわけではないため、ハンデスという趣旨からは大きく外れる。
とはいえこんな高速瞬殺コンボデッキが存在を許されるはずもなく、記憶の壺が当時最速の42日でスタンダードにて禁止カードに指定され、環境から消滅した。



手札破壊対策

  • 神聖の力線/Leyline of Sanctity、象牙の仮面/Ivory Mask
軽量ハンデスはプレイヤーを対象に取ることが多いのでそもそも対象に取られなくなれば無力化できる。


  • 各種マッドネス
手札から捨てられるとコストが軽くなったり効果が強力になるカード群。
ハンデスするとむしろ相手にとって利益になってしまう。


  • 十二足獣・萎れ葉のしもべ・強情なベイロス
対戦相手の手札破壊攻撃を受けた際に捨てると、戦場にノーコストで登場できるクリーチャーたち。十二足獣は普通に出せば4マナ3/3と平凡だが手札破壊経由なら5/5とインベイジョンサイクル当時のフィニッシャークラスの強さで逆襲してくる。萎れ葉のしもべは4/4で自軍の他の緑クリーチャーと白クリーチャーを強化*1する戦闘もこなせるロードタイプのクリーチャーだし、強情なベイロスは4/4と自身のサイズもなかなかなうえに戦場に出ると4ライフを得られるETB能力を持つ。


  • 渦まく知識
ハンデスに対応して唱えることで、手札を整えつつ絶対に捨てられたくないカードをライブラリートップに戻して隠すことができる。
このカードが使える環境で青を使うなら絶対に覚えておきたいテクニック。


ハンデスされる前に場に並べ尽くす、または手札を空にされてもトップデッキしたカードを順次叩きつける。
特に3マナ以上のハンデスはこれらのデッキにおいて致命的な隙になることもあり、これらアグロが環境にどれだけ存在するかはハンデスカードの投入枚数の目安となる事が多い。

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最終更新:2024年09月05日 02:09

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