イリスシリーズ(アトリエ)

登録日:2020/05/23 (土) 20:10:00
更新日:2024/04/19 Fri 17:21:08
所要時間:約 6 分で読めます





人々には姿を見せない“マナ”達と接しマナの力を授かれる“識者”たち。

彼らはこう呼ばれていた。

―錬金術士―と。

天地の子も、力の子も、人の子も、数多の変わりに何の代わりがあろうか。

錬金術士たちよ、願わくばそれを忘れんことを。

『母なる錬金術士の手記』より抜粋


▽目次

シリーズ全体の概要

イリスシリーズとは、アトリエシリーズの1シリーズであり
A6『イリスのアトリエ エターナルマナ』
A7『イリスのアトリエ エターナルマナ2』
A8『イリスのアトリエ グランファンタズム』
の3作を指す。

経営シミュレーション的なザールブルグ・グラムナートから大幅に作風が変わり、メインストーリーと戦闘が主体のRPG的な作品に変更された。
世界観も前2シリーズとは一新されており、またイリスシリーズ内でもイリスという名の女性が登場することや、
錬金術士がマナという精霊と契約して力を行使することなど、若干の共通点はあるものの、直接的なストーリーの繋がりはない。
(EM2はEM1の過去の世界が舞台という説もあるが、相違点も多く、本当に過去の世界であるか定かではない)

戦闘システムは速度の高い順で行動しつつも行動毎のターン消費によって行動順が入れ替わるようになっており、
EM2ではそれが可視化されたことに加え、敵を気絶状態に追い込むブレイク攻撃が登場。GFでは自動で行動が行われるタイムカードが登場…と、
ここからマナケミアで洗練され、以後のアトリエシリーズの標準となったシステムの原型が作られた。
オープニングテーマは3作通じて霜月はるかが歌っており、彼女がアトリエシリーズ楽曲を多数担当するきっかけとなっている。

RPG路線に舵を切った直後の作品であったが故に従来のアトリエユーザーからの反発が強く、
またアトリエシリーズとしては珍しく移植・アーカイブの類が全く行われていない(PS2でしかプレイできない)こともあり、不遇な立場にあった。
とはいえ、後のアトリエが不思議シリーズルルアライザと、いずれも時間制限のないRPG寄りの作風となることを思えば、
イリスシリーズはアトリエの歴史において転換期になった作品という意味で忘れてはならない作品であろう。

キャラクターデザインはグラムナートシリーズに続いて双羽純氏が担当する。


作品

イリスのアトリエ エターナルマナ

【ストーリー】
混沌の地、レガルザイン。その地を旅する錬金術士の少年クレイン・キースリンクは魔物に襲われていたところをガルガゼット(魔物退治屋)の少女、リイタ・ブランシモンに助けられる。
彼女に紹介されたガルガゼットの拠点、カボックの街の山頂にはかつて錬金術で栄えた古代都市アバンベリーの遺跡が存在した。
錬金術を極めるためにアバンベリーを目指すクレインであったが、やがて彼らはマナを巡る巨大な陰謀へと巻き込まれていく。

【主題歌】
  • 白夜幻想譚(作詞・作曲:土屋暁、編曲:土屋暁&稲垣貴繁、歌:霜月はるか)
歌詞中に「イリス」(意味的には『虹彩』とのダブルミーニング)という単語が入っており、後の『schwarzweiß 〜霧の向こうに繋がる世界〜』でも同様の使い方がされていた。


【システム】
フラムやリフュールポットといったアイテムは「マナアイテム」と呼ばれ、錬金術で作成することは不可能であり、
敵を撃破した際や、マップ上のオブジェクトを破壊した際に入手できる「源素」を用いて複製するに留まる。
普通の調合に相当するものは「ショップ調合」と呼ばれ、それぞれの店に応じて作成可能なアイテムが異なる。
また、「マナ石」と呼ばれるアイテムを加工すると「マナ結晶」に変化し(更にマナ結晶同士を合成することも可能)、
それを組み込むことで強化できる「カスタム装備」と呼ばれる装備品も存在する。

…ただし、
●一種類のアイテムが9個までしか持てない。
●ガッツ(HP1で粘る)を始めとした敵の特殊能力が極悪。
●店売りアイテムの在庫が一向に補充されない。
…等々、あまりにもシステム面が不便であり、現在どころか当時基準ですら苦痛なレベルであった。
なお、ベスト版はガッツの発動率など若干のバランス調整がされている(英語版音声への変更も可)ため、現在プレイするならそちらを推奨。


【主人公たち】
■クレイン・キースリンク(CV:柿原徹也
錬金術士の少年であり、本作の主人公。アトリエシリーズ全体としても初の男性主人公である。
祖母のダフネから受け継いだ錬金術の才能を持ち、木のマナのポポを相棒として旅をしている。
正義感は強いものの、当てのない旅をしてきたこともあって感情を表にだすことがあまりなく、人付き合いが苦手であったが、
リイタや仲間達と共に旅する中で徐々に変わっていく。
今作のマナアイテムは戦闘では彼にしか使えないため、彼が戦闘不能になろうものなら詰むレベル。

今では売れ筋声優となった柿原氏であるが、EM1当時はまだデビューしたての新人。
『ネルケのアトリエ』では原作より爽やかさが強調されているが、中の人の演技の変化に影響されているような気もする。


■リイタ・ブランシモン(CV:西村ちなみ)
ガルガゼットの少女であり、本作のヒロイン。明朗快活な性格かつ、大食いで甘いものが好物。貧乳であることを気にしている。
全RPGを通しても珍しい、かぎ爪が武器のメインヒロインでもあり、ストーンブラスト(物理)などの技を使いこなす怪力。
実は過去の錬金術士、イリスによって作られたホムンクルスであり、賢者の赤水晶によって生体機能を維持していたが、
作中ある人物に奪われてしまい、身体が徐々に衰弱していってしまう。彼女を救うためにクレインは赤水晶を錬成するために奔走することになる。
赤水晶が失われている間はMP値に相当するマナ値の最大値が徐々に下がっていってしまう(拠点で回復可能)。


■ノルン(CV:やなせなつみ)
森の魔女ゼルダリアの下で暮らす少女。ネコ耳としっぽがあり、語尾に「ニャ」を付けて喋るネコ娘だが、ネコ扱いされることを嫌う。
本当は山猫であったが瀕死であったところをゼルダリアに拾われ、人化の術によって人型となった。
ゼルダリアの命でクレイン達を見守るべく同行する。また、ゼルダリアは彼女が寝ている時は彼女の身体を借りてクレイン達と喋ることも可能。

パーティキャラとはいえメインキャラとはやや言い難い立場であるが、『ネルケ』にも登場している。



イリスのアトリエ エターナルマナ2

【ストーリー】
人間とマナが共存し平和に暮らす浮遊島エデン。錬金術を学ぶ少女ヴィーゼ・ブランシモンが錬金術士として正式に認められたその日、
エデン全土において謎の地震が発生し、マナの聖地が消滅してしまうという異常事態が発生する。
ヴィーゼの幼馴染フェルトは封印から目覚めた意思を持つ剣「深蒼のアゾット」を携え、異変の原因を探るべく異世界ベルクハイデへと旅立つ。
一方、エデンに残ったヴィーゼはシェアドリングというアイテムを通じてフェルトと連絡を取り、彼を手助けしていく。


【システム】
今作ではフェルトとヴィーゼという二人の主人公を操作していくことになるが、後年のマナケミア2のような完全な別パーティというわけではなく、
フェルトがベルクハイデを探索して素材を入手したりマナの聖地を解放し、ヴィーゼがエデンで錬金術を行う…という共同作業となっている。
なお、終盤にはヴィーゼもベルクハイデへ向かい、フェルトと合流することになる。
武器は購入するのではなく調合によって変化させていく方式になっているが、こちらはフェルトが行う。

マナアイテムと通常アイテムの区別の廃止、エンカウントゲージの可視化、アイテム数上限を99個まで…など、
EM1の欠点は軒並み改善されており、難易度自体も低いためイリスシリーズの中では最もプレイし易い作品と言える。

【主題歌】
  • Eternal Story(作詞:青木香苗、作曲・編曲:阿知波大輔、歌:霜月はるか)


【主人公たち】
■フェルト・ブランシモン(CV:羽多野渉
錬金術士の少年であり、本作の男性主人公。アトリエ全体でも初めての剣を使う主人公である。
錬金術の才能も高いものの、勉強するより剣を振るう方が好みな性分。
好奇心に満ち溢れ、困っている人を放っておけない人の好さもあるが、かなりのねぼすけで一度寝てしまうと起こすのが困難。

ヴィーゼと名字が同じなのは同じ孤児院で育ったから…であるが、既に夫婦と言っていいレベルの出来上がりぶり。
彼らに匹敵するのはアトリエ界ではロジーとエスカぐらいのものであろう…。
(ちなみに、『ネルケ』では新しい剣の作成をロジーに協力してもらう、というイベントが用意されている)


■ヴィーゼ・ブランシモン(CV:倖月美和)
錬金術士の少女であり、本作の女性主人公。アトリエ主人公としてはかなり露出度の低い服装をしている。
錬金術の腕は平凡だが真面目な努力家で、良妻賢母という言葉が相応しい。
エデンで出会った謎の少女、イリスを家族として迎え入れる。本人達は妹として扱っているが、傍から見る分にはほぼ親子である。



イリスのアトリエ グランファンタズム

【ストーリー】
異世界を旅する冒険者ギルド、ミストルースに属するエッジ・ヴァンハイトとイリス・フォルトナー。
二人はある異世界での依頼をこなしている時に、イリスが昔から持っていた本があらゆる願いを叶えるという魔導書「エルスクーラリオ」であることを知る。
二人は自らの願いを叶えるために、いくつもの異世界を股にかけて8つに分かれた魔導書の宝玉を探していく。


【システム】
EM1・2とはまたしても作風がガラリと変わり、源素による複製は出来なくなり、アトリエでの調合のみとなった。
レシピは購入やクエスト報酬以外にもアイデアだけを思い付き、その後に一定の条件を満たすとレシピが確定する、という後年でのフィリスに近いシステムもある。
マナと契約しても錬金術には影響がないが、イリスが戦闘で召喚したり、エッジがブレイズ(ジョブのようなもの)を変更できるようになったりする。

異世界に出向いてクエストをこなしていくことでストーリーが進んでいくが、異世界にいられる時間は限られており、
一定時間以上が過ぎると強制的に帰還させられてしまうためスピーディな行動が求められる。
また、戦闘はタイムカード制になったことに加え、一定条件を満たすとラッシュがかけられるバーストモードが登場。
エンカウントはシンボル方式に変更され、フィールドアタックで先制が取れること、一定以上弱い敵はフィールドアタックで排除可能なことも今作からである。

全体的に見ると、EM1・2とマナケミアの橋渡し的な作品と言えるかもしれない。
(それもあってか、マナケミアでは本作キャラのダーク版が隠しダンジョンのボスとして登場する)


【主題歌】
  • schwarzweiß 〜霧の向こうに繋がる世界〜(作詞・作曲・編曲:Revo
アトリエシリーズ楽曲中唯一Revo氏が制作した楽曲で、ラストでは歌詞に「一陣の風(ガスト)」「箱庭(アトリエ)」や前2作の主題歌名が織り込まれている。
収録シングルは「霜月はるか†Revo」名義の『霧の向こうに繋がる世界』として発売され、イントロとして霜月女史とのコラボ楽曲が2曲収録。「schwarzweiß」の前半歌詞もコラボ曲の内容を意識したものとなっている。

【主人公たち】
■エッジ・ヴァンハイト(CV:佐々木望
ミストルースの少年。ネルケ以外では唯一となる錬金術士ではないアトリエ主人公。
無口でぶっきらぼうな態度であるため誤解されがちだが、根は優しい。
幼い頃に身寄りを亡くし、イリスの家に世話になっている。
さしたる目的もない毎日を送り、エルスクーラリオについても冷めた目線でいたが…。


■イリス・フォルトナー(CV:松来未祐/原紗友里〈ネルケ〉)
ミストルースの少女であり、この世界では珍しくなっている錬金術士。明るく活発で面倒見のいい性格。ヴィーゼの反動か露出度の高いドスケベ服装である。
エルスクーラリオの存在を知ってからは単純な喜びと興味でそれを追い求めていくことになるが、その先には彼女しか果たせない過酷な運命が待ち受けていた。





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