SCP-2635-JP

登録日:2021/01/09 Sat 16:54:47
更新日:2024/01/20 Sat 11:39:12
所要時間:約 5 分で読めます




SCP-2635-JPはシェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはTiconderoga*1(収容困難だが、その必要がない)。


特別収容プロトコル

SCP-2635-JPはすでに相当数が流通しているうえに世界的に影響力を持つ実体群である。
……開幕から財団世界の明日がどっちだ案件な気はするが、このオブジェクトの集積体によって
TK-クラス:時間軸破断シナリオが発生することを防ぐために財団は研究リソースを投じている。
また、世界各国の警察組織とのホットラインを通じて、SCP-2635-JPの異常効果発露、
または発露に繋がりかねないイベントの通報を傍受、摂食者の拘束・傍観者への記憶処理を講じることとする。

集積させると時間軸破断シナリオが発生するというとんでもない物体のくせに、
KeterではなくTiconderogaとは財団も悠長でござるなあと思うだろうが、
ことこれに至っては収容にあたっての影響がデカすぎるのである。
ヒントは摂食者。つまり世界的に食べられるあの食べ物なのである。






ということで。


概要

SCP-2635-JPは、マクドナルド社が製造・販売するフライドポテトである。
外見・味・人体への影響に異常性はない。……財団的には。

しかしマックのポテトは冷えると異常性を獲得する。
それは、自身および近接した時空間領域に影響する微弱な時間軸干渉効果であり、
この副作用によって数百年間の放置にも耐えうる抗腐敗能力を獲得する。
要は冷えたマックのポテトはその周囲のタイムラインをゆっくりにしてしまうので、
黴や細菌類の繁殖がノロノロになってしまうので数百年腐らない、ということである。

なお、この能力はヒト口腔内にポテトを収納する、つまりポテトを食べることで失われる。
つまり、食べてしまえば問題ないのである。
……逆に言うと、それならそこまで脅威じゃないようにも思えるだろう?

この冷えたマックのポテトが腐らない能力は、
「マクドナルド社製のフライドポテトである」という意味論的修辞災害によって付与されることが財団により判明している。
早い話が、「マクドナルド社」がフライドポテトを作れば、その製造方法によらず時間軸干渉効果を獲得し、
それ以外の会社や個人が同一製法でフライドポテトを作っても、ほっとけば腐るということである。
財団はこの能力を、マクドナルド社が主力製品の保存性向上のために意図的に付与したと考えているが、
マクドナルド社は公的にこれを否定している。

発見経緯

さて、普通にはこの能力は、どこぞの輪ゴムが如く判明しないか、
せいぜい「マックのポテトは異常な薬品でコートされてるから腐らない」程度の都市伝説で終わるところだっただろう。
しかし、ある日のこと、男性がマクドナルド店内で「世界を滅ぼしてやる」と物騒なことを叫びながら、
マックのポテトを15ダース摂食しようとしているところに地元警察が駆けつけたことで判明した。*2

このときマックのポテトは、15ダースという数量によって高強度の時間遅延効果を発揮した。
結果として、マックのポテトや紙パックは空中に浮いた状態で静止していた。
目撃者が多かったものの、財団はこれをなんとかして『フライングポテトの怪』なる都市伝説に留めることに成功した。
にしても、本当に滅ぼしかけてどうするんだ……。

SCP-2635-JP - 食べ過ぎると滅亡するマクドナルド・ポテト

財団はマクドナルド社にフライドポテトの販売抑制の働きかけを行っているが、
マクドナルド社の抵抗とマックのポテトの普及率のために難航している。

そもそもマックのポテトをなぜそんなに買い込むんだ

2020/3/23、アメリカ合衆国ケンタッキー州ルイビル近郊にて確保された異常物体AO-1940*3が、
マックのポテトと同様の異常性を獲得していることが判明した。

AO-1940は完全剛体・理想黒体と思われる半径約2mのドーム状物体……
ようはどんな力によっても変形もしないし電磁波の干渉も受けない物体である。
破壊できないためにこの領域内を観察する試みも失敗しているが、
この振る舞いより内部は完全時間停止状態にあると見做されている。
財団の調査ではこのAO-1940の辺りには小屋が存在しており、
住人はマックのポテトを大量に買い込んでいたことが判明しており、
この物体はマックのポテトの成れの果てではないかと財団は推測している。
時間軸干渉効果が強まりすぎたせいで、買った人が摂食できなかった=異常性の解除トリガーを実行できなかったというわけだ。

……そもそもなんでそんなにポテト買うの?冷めたポテトは腐らないかもしれないけど不味いだろ?

そして2020/4/1、アルファ・ケンタウリ星方向にAO-1940と同様の物体AP-2041が発見。
このAP-2041は直径約63,800kmの球状物体であり、財団のスイッチバック式過去観測衛星PCS-041("ウルズ")によって
過去80年以内に、そこで文明を有していた天体がSCP-2635-JPと類似する物体による時間遅延効果を受け静止する様子を記録していた。

……要はマックが宇宙人相手に営業していたってことじゃねえかと財団は推測し、
なぜか不明な一団によって数百万tのマックのポテトが空中散布されたことでこの文明が滅び、
変わって時間が止まる異常な球状空間が出来上がってしまったものと考えている。
ちなみに観測記録には、マクドナルド社のものと酷似したロゴマーク、
および"アルファ・ケンタウリ・3番街駅前支店"の英字看板が見られている。

なお、マクドナルド社は「うちアルファ・ケンタウリ星で営業なんかしてないしポテトばらまいたりもしてないよ」と
事件への関与を否定している。
財団はマックのポテトによるTK-クラス:時間軸破断シナリオが起きることを懸念して
マクドナルド社を解体しようと考えているが、その影響が大きいことから交渉と審議が続けられている。

結論

ポテトは冷めないうちに食べましょう。
ってかやっぱりこれTiconderogaでいいのか?ケテりみ深すぎない?


財団世界のレストランチェーンは正常性に悪影響を及ぼします

SCP-3808 - Bacon Cheeseburger That Demands Justification (正当化を要求するベーコンチーズバーガー)

森の中に浮いており、動かそうとしても元の位置に戻ってしまうベーコンチーズバーガー。
更に、見た人にベーコンチーズバーガーが森の中に浮いていることに対しての合理的説明を要求する。

SCP-3250 - Jesus Fried Chicken (ジーザス・フライドチキン)

フライドポテトが時空間異常を引き起こすなら、ケンタッキー社のフライドチキンは
『短時間キリストがカーネル・サンダースに見える』認識災害を及ぼす。
基本はそれだけの異常性で終わるのだが、1件だけ宗教そのものに発展したやばいケースがある。

SCP-4405 - Time Ends on a Fridays (時の終わりのフライデーズ)

ひとつの宇宙空間が完全に消滅したあとに現れる、TGIフライデーズの店舗。
次元間移動手段を持っている財団に認可された実体群及び財団職員以外に訪れる常連客はいない。当たり前だが





追記・修正……の前にポテト食べたくなってきたな。Uber Eatsで15ダースくらい注文するか……。


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最終更新:2024年01月20日 11:39

*1 アメリカ合衆国ニューヨーク州にある地名であり、 イロコイ族の言葉で「2つの湖の間にある場所」という意味がある。そこから転じて収容と未収容の中間の状態である必要があるオブジェクトに対してこのクラスが使われるようになった。元々はSCP-4444 - ブッシュ対ゴアで使用されていた専用オブジェクトクラス...だったのだが、SCP-4270で使用されたことがきっかけに、少しずつ使用される記事が増えてきている。なお、元々は本家ENで発案された特殊クラスだが、使い勝手がいいのかJPやCNでも使われており、使われた記事の数は2021年1月現在、ENが5つ、JPが8つ、CNが1つと日本支部が一番多い結果になっている。

*2 1ダース=12個なので、合計で12x15=180個!

*3 AO=Anomalous Object。SCPオブジェクトとして報告書が執筆されていないアノマリーに対する一時的付番。