ベンジャミン=ホイコーロ

登録日:2021/01/17 Sun 17:34:00
更新日:2025/02/02 Sun 05:48:10
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父君 あれが資格持たぬ者の分を弁えぬ浅ましき実態!長兄として誠に恥じ入るばかり!

このベンジャミンが責任持って枝打ちし!!カキンの大樹を守る事この場で誓いまする!!


ベンジャミン=ホイコーロとは漫画『HUNTER×HUNTER』に出てくるキャラクターである。

●目次

概要

ハンター世界にある架空国家『カキン帝国』第1王子。第一王妃ウンマの第一子。
私設兵の数は13名。
外見としては厳めしい顔付きで、筋骨隆々の巨体を持つ男性。
第4王子ツェリードニヒ=ホイコーロは同腹の弟。

王子ながらカキン帝国の軍事最高副顧問の地位にも就いており、彼自身を含む彼の私設兵は全員が念能力者
尚且つ全員正式な国王軍兵士としての地位を持ち、この兵士たちの経歴はベンジャミン自身の念能力にも生かされている。
そういった経歴からかあまり王族らしい華美な服装は着込まず、専ら平時から軍服を身につけていることが多い。


人物

直情型でキレやすく、最短の道を好む上に傲慢でプライドも高い……という、パッと見は典型的な脳筋キャラ。良く言えばガチガチの軍人気質。
周辺人物からも敵対者には『その場で死ぬ』か『抵抗して殺される』か選ばせるのが彼なりの慈悲、とみなされているように、非常に苛烈。
他者と同盟を結ぶような考えはあまり持たず、「敵に回せば厄介だが、味方にはかなりしづらい」タイプと評される。
それ故自分以外の王子が王の座に就こうとすることを「身の程知らず」と唾棄し、他の全王子を殺すことに躊躇いがない。
その中でも特に同腹の弟であるツェリードニヒとの関係は最悪で、互いに憎悪を向け合い殺意を隠そうともしない。*1
腹心のバルサミルコ曰く、「たとえ自分のためだろうと命乞いなどという行為を最も忌み嫌っているとのこと。

一方で(直前までブチ切れていても)臆せず根拠と合わせて順序良く説明すれば、部下の進言を素直に受け入れて的確な作戦指揮を下せる柔軟性と冷静さも併せ持つ。
実質的な副官であるバルサミルコにはかなり信頼を寄せているように伺え、自身のみで思案するときなども戦略を血の気のままに決めることはない。
その気質をバルサミルコは「豪胆さと部下の進言を聞く度量を持ち、発展途上のカキン国を率いるべき剛柔相備わる王の器」と讃えており、部下からは全幅の信頼と忠誠を預けられている高いカリスマと指揮官の資質の持ち主でもある。
カキン帝国の国是である「世界統一」が目標であり、自分のために死んだ部下のために世界統一を改めて心の中で誓う一面をもつ。

他の弟妹と比較しても頭一つ抜けた王の器を持つ傑物であることに間違いはないが、一方でその苛烈な気質ゆえに父ナスビーが想う「権謀術数に長け、深謀遠慮の才溢れる王子」としての資質にはやや難があるように見受けられる。


能力

ライオンを生身で絞め殺し、すさまじいサイズのダンベルで筋トレをするなど超人的な怪力の持ち主。念能力者。
かなり鍛え抜かれており、かなり近くからカミーラに拳銃を立て続けに撃たれたが、座ったまま一切微動だにせず防ぎきったほど。
「ノーガード・オーラのみで銃撃を無効化する」という行為は念能力者の中でもかなりハイレベルな所行で、これを作中で行った描写があるのは幻影旅団のウボォーギンのみ。

守護霊獣

カキン帝国王家に代々伝わる儀式『壺中卵の儀』により生み出された寄生型の念獣。
屈強な身体と頭部に大きな歯茎がついたエイリアンのような人型。
側近のバルサミルコからは「次代の王に相応しい雄々しき霊獣」と評されている。
能力不明。


星を継ぐもの(ベンジャミンバトン)


お前達の遺志はオレが継ぎ…!!

必ずやこの手でカキンの世界統一を成し遂げる!!

彼に忠誠を誓った念能力者が死亡した場合、その能力を受け継ぐ事が出来る能力。
能力を受け継いだ場合、ベンジャミンの手の指の甲に「☆」のマークが現れる。
クロロやレオルのような、劇中で時折出てくる他人の能力を獲得できるタイプの念能力だが、こちらは発動すれば以後条件無しに永続的に能力を得られるのが特徴。
ただし制約として能力を引き継げるのは「カキン国王軍学校を卒業し、ベンジャミンの私設兵団に所属している者限定」と非常に限定的。
受け継げる数に上限があるかは不明。

ベンジャミン側にダメージが発生しなので一見ノーリスクの引き継ぎにも見えるが、「自分に忠誠を誓った優秀な念能力者の犠牲」というのは純粋に重く、動かせる戦力という点で見ればかなりの大打撃である。*2
ベンジャミンにとっては、手札の増加や能力のコレクション目的ではなく、「部下の死を無駄にせずに前に進むための能力」という趣が強いと言えよう。

また、副次的な効果として「能力が引き継がれているか否か」で部下の生死の確認が可能。
部下のムッセはカミーラによって死体ごと消滅させられたので行方不明扱いになっているが、能力が受け継がれていたベンジャミンは即死亡を確信した。


名称の由来はジェイムズ・P・ ホーガンのSF小説『星を継ぐもの』から。
ルビの方はF・スコット・フィッツジェラルドの短編小説を原作とする映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』から。


◇ベンジャミンの護衛(私設兵)

全員が正規国王軍のメンバーであり、皆ベンジャミンに絶対の忠誠を誓っており団結力も強固。
ボディガードらしい黒スーツ姿の一般警護兵と異なり、軍装ベストを着用しているのが特徴。
またベンジャミンが軍事最高副顧問として軍のトップに立っているため、本来私設兵には配属不可能な正規軍で構成された王室警護兵への所属が可能で、これにより各王子に護衛という名目で懐に潜り込めるなど様々な面で他王子の兵よりも有利な権力を持つ。
更には全員が鍛え上げられた念能力者で、それぞれが単独で推察・判断できる頭脳を持ち、能力自体も私設兵間の連携を前提としているなどチームとして大変な完成度を持つ。

15名所属。
コベントパなど、ウンマ王妃所属兵も兼ねている様子。

当初、一部のものしか知らない秘匿技術=念能力を用いた急襲作戦を早々に展開する手はずだったが、クラピカの緊急通信によってその存在が広まったことと、未知の念獣が深く介入していることが重なり、専門家集団であるハンターが本気で警戒するようになってしまう。
これにより各王子陣営も念の情報収集に積極的になり、「謎のパワーで初見殺し」という奇襲性が失われ作戦を変更。護衛や守護霊獣の能力把握に努め、それぞれの王子の暗殺を狙う。

決して雑ではなく極めて慎重に動いているのだが、護衛の名目で全ての陣営にメンバーを送り込んでいる都合上、物語の進展にあわせて誰かが死にやすく、各陣営の中でも消耗が激しい。


メンバー

バルサミルコ=マイト

ベンジャミン私設兵隊長。階級は曹長。
やや小柄な壮年の黒人で顔の左側面に傷がある。ベンジャミンを「ベンジャミン殿」と呼ぶ。
ベンジャミンの二面性の強い性格と性質を熟知しており、冷静に注言とサポートを行える側近にして事実上の副官・参謀格。
経験豊富で頭が切れ、操作系念能力の肝でもある「操作系は先手必勝」ということも知っている。
わずかな期間で守護霊獣全体の“ルール”も見抜いたり、「敵の能力が強力ならば使わせなければよい」と多角的な対応もとれる優秀な男。
念の本家とも言えるハンターですら力量や経験によって大きく知識に差が出るにもかかわらず、ベテランプロ並みの知識、洞察力、判断力を持つ経歴の気になる人物。

ベンジャミンに心服しており、直情的なベンジャミンや時に血気流行る部下達のブレーキ役、敵戦力の洞察も行うブレインとして私設兵隊の要となっている。

しかし最優先の排除対象となったハルケンブルグの暗殺を狙おうとした際、逆にハルケンブルグの念能力によってハルケンブルグに意識を乗っ取られてしまうこととなった。

ビンセント

顔が長く丸刈りで大柄な男性。
警護担当はワブル王子。
もちろん王子の警護は表向きのもので完全な刺客である。その真の任務は他の護衛の排除、法の抵触を避けるカバーストーリーのでっち上げ、そしてワブル王子の殺害。
入室と同時に出迎えの侍女を殺害し、正当防衛を主張ながら部屋に上がりこんでくるという「目撃者や証拠が無ければ裁けない」グレー全開の強引な手口で作戦を開始する。

コイツの立場と任務上、協力・傍観してしまえばそのまま王子が殺されてしまうのはもちろん、反抗的な意思を見せれば「防衛権を行使してそのまま皆殺し」→「適当なストーリーをでっち上げる」展開に進み、そのままこいつを返り討ちにした場合は「護衛全員逮捕」→「フリーになった王子を次の刺客が抹殺する」という乱暴なようできっちり逃げ道の少ない作戦で攻めてきている厄介な相手。

確かに状況としては非常に優位な立場であったが、単独で乗り込んできている上にカバーストーリーを重視していたビンセントは虚を突かれる形でクラピカとビルの連携により瞬時に制圧されてしまう。
法的な証拠の弱さから「自分は護衛に来ただけ」と拘束を免れようとするものの、オイト王妃がビンセントの暴挙を証言すると宣言したこと・能力が割れていないクラピカがビンセントを操る操作系能力を匂わせた(ブラフ)ことで、情報隠蔽のために服毒自殺した。




バビマイナ

カリフラワーみたいなアフロの青年。
ビンセントの後任としてワブルの元に送り込まれた私設兵で、ワブルの守護霊獣の能力やクラピカらワブルの護衛の念能力の把握を任務としている。
ベンジャミンからは『最重要任務』と通達されているが、その仔細は不明。

思慮深く冷静沈着な青年。潔癖症なのか能力に影響があるのか、人に触られた個所をはたいたりしている。
能力の詳細は不明だがカウンター型の念能力者で、王族の居室を覆い尽くすほど広範囲に広がる円も使えるなど相当の手練れ。
他の王子の心配をもするオイト王妃の心情を慮ってか、オイトやクラピカの監視のための円を解いたりする一面も持つが…?
オイトの優しい性格を見た後は、時にオイトに対して協力的な姿勢を見せたり、クラピカにもほとんど干渉せず情報収集に徹する姿勢を見せる。
その姿はヒュリコフから悠長ではないかと思われもしたが、クラピカの優秀さを見たヒュリコフは後にバビマイナの慎重な方針を肯定している。


ヒュリコフ

あご髭を生やした、垂れ眉で角刈り頭の巨漢。
他のメンバーと比べると粗野な印象が強く、実際銃撃の報復から拘束時にカミーラの腕をへし折ったりしているが、任務の話などでは常に真剣で、邪険に扱われたり挑発的な言動をされても全く意に返さない等ちゃんと切り替えられる人物。

大変な洞察力の持ち主で、長年の経験から相手の外見・仕草・話し方などの所作を通じて念の特性や系統のヒントを掴むことができる。動きが無くとも纏を見るだけでもどの系統か推測が可能。
ヨークシン編でも見せたようにクラピカは常に鎖を出しておくことで自身の系統を操作系だと誤認させるように仕向けているが、オーラをみて具現化系だときっちり見破った。
その洞察力はベンジャミンらにも評価されているらしく、クラピカ達の念能力の把握のため講習会の参加者に選ばれた他、「自分はヒュリコフほどの目利きではない」と自身の判断に確実性を見出せないメンバーもいるほど。
念講習会では、当然ながら既に念使いであることを公言もしており、クラピカによって助手役としても使われている。

「そもそも念能力者か否か」も見ただけで判別する事ができ、継承戦の物語的にも美味しい役どころ。本人曰く、横から見た眼球周辺のわずかな揺らぎがもっとも顕著に現れる違いとのこと。

念講習会の場で、隠れ念能力者を4人発見する。
該当者の内の3人、ハルケンブルグの守護霊中の能力を受けた彼の部下二人、“11人いる!(サイレントマジョリティー)”の念能力の対象となっていた第10王子従事者はそもそも無自覚な上に「念の影響下にある」といった方が正しい状態だった。

もう一人である第5王子陣営のロンギはかなり巧妙に偽装しており、明らかに手練れだったために“11人いる!(サイレントマジョリティー)”の念能力者だと予想する。


ムッセ

左右で目の形が異なる男。これは念能力使用中の目は大きな目つきとなるため。
警護担当はカミーラ。
カミーラの護衛達から行動を制限されているが意に介さず、鳥状の念を用いて盗聴を行っている。
カミーラがベンジャミン殺害を公言し行動に移そうとした際、彼女の能力が迎撃型と気づきながらも「殺害できれば最善。能力を把握できれば次善」と自分への迎撃を覚悟の上で射殺。
自身の懸念通り、彼女の能力により逆に殺害され死亡した。

だが最後まで己の責務を遂行した結果、命と引き換えにベンジャミンにカミーラの能力の一端を伝えることに成功するファインプレーを見せ、カミーラの拘束に大きな貢献を果たした。
その体はカミーラの能力で抹殺され痕跡もカミーラの部下によって消されたため、カミーラ側は「ムッセがカミーラを殺そうとして失敗し逃亡、ベンジャミンが匿っている」と主張、ベンジャミン側は「匿っていない」と主張しているため、公的には死亡ではなく行方不明扱い。



シカク

四角い顔が特徴の青年。操作系の念能力者。
警護担当はハルケンブルグ。
念をバリアのように前方に展開し、ハルケンブルグの攻撃を防ごうとするが失敗。
ハルケンブルグの部下スミドリに意識を乗っ取られ、ハルケンブルグの念能力解明の実験もかねて、スミドリの意志によりルズールスの部屋の前で自害した。
側から見れば、「ベンジャミンの部下が、狂乱したかベンジャミンの命令で自殺したという状況」となった。

バルサミルコはこれを受けて、「操作系は先手必勝。先に操作した方の指示を受ける」はずなのに、「シカクがおそらく操作されていないにもかかわらず自殺を選択」という事態になった理由が分からずハルケンブルグを一層警戒することとなった。
他の王子陣営からも、呪憑型・呪殺型の“死後の念”の持ち主だったのではないかと警戒された。



リハン

オールバックにした黒髪を持つ厳しい顔の男。
警護担当はサレサレ。
サレサレの守護霊獣の特性を見抜き、自身の念能力“異邦人(プレデター)”で排除に成功した。
守護霊獣も自分の能力で排除できると判明したため、以降は守護霊獣排除担当として“攻撃”の要となっている。

その後ツベッパの警護を担当しているが、守護霊獣が姿を見せないため能力把握に難航している。
その能力から、バルサミルコも彼に満足に情報を与えられないこともある。
理屈っぽい能力に反映されているように考えすぎる面も持ち、シカクの死後には“異邦人(プレデター)”をもつ自分がハルケンブルグの傍について未知数の彼の能力を洞察すべきではないかと思考していたが、「他者に操られないはずの操作系のシカクがなぜか操られて?自殺した」という事実を見落としていた。バルサミルコによると、「『先手必勝』は操作系の肝であるため、リハンは知らないのだろう」とのこと。



ウショウヒ

丸刈りで吊り目の男。
暗殺対象の傍で機を窺っている間にスリルを感じ、それ以上に標的が死ぬ瞬間を好む残忍な性格。
警護担当はフウゲツだったが、後にリハンと交代でサレサレの部屋へ異動。無防備になったサレサレの暗殺を実行した。



ビクト

眉や髭の毛が深い男。
警護担当はモモゼ。モモゼ殺害の容疑者として逮捕されるも、その後モモゼ暗殺の犯人タフディーの遺書が見つかったことで解放された様子。
シカクの死後にハルケンブルグ警護につくが、彼の防御不可・攻撃不可の念能力を前に敗れて行方不明に。
ハルケンブルグの部下に乗っ取られてしまい、軍用手話を用いてバルサミルコの視線を一時的に釘付けする役割を担った。



コベントパ

禿頭の大男。
警護担当はチョウライ。
ウンマ王妃所属兵の役割を兼任し、ドゥアズル所属兵との情報交換も行える。


ブッチ

丸目丸鼻で禿頭の男。眉間には常に深い皴が刻まれている。
当初の警護担当はツベッパ。


オラーウ

禿頭が特徴のゴリラのような顔つきの男。
警護担当はタイソン。


カンジドル

口髭と顎髭を生やした坊主頭の男。
警備担当はルズールス。
それなりの戦力洞察はできるが、未だバルサミルコには及ばない。
「銃弾を放ってから言い訳を考える方が楽」というタイプの短慮な性格。故に慎重さを期すバルサミルコやベンジャミンらの事を正直回りくどいと思っているが、同時に自分の性格に沿った行動では継承戦を勝ち抜けない事もきちんと認識し自戒してもいる。



追記権行使による項目修正!! 即ち"良項目化"を許可する!!


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最終更新:2025年02月02日 05:48

*1 ただし彼の事を「クズ」と呼ぶなど、ツェリードニヒの本性を知っている数少ない人物でもある。

*2 単純に考えても、鍛えられた念能力者の部下が生存している方が便利で強力なため、ある意味でリターンよりもリスクの方が大きい条件とすら言える。