石ころぼうし

登録日:2021/03/26 Fri 08:00:17
更新日:2024/02/17 Sat 12:21:33
所要時間:約 7 分で読めます




「石ころぼうし」とは漫画『ドラえもん』に登場するひみつ道具。
初登場はてんとう虫コミックス第4巻に収録されている「石ころぼうし」。

どこでもドア透明マント程の知名度はないが、一度はこの道具が欲しいと思った人も多いだろう。

●目次

【道具の解説】

形状は坊主頭のような水泳キャップ。
被れば道端ころのように*1、姿は見えているにもかかわらず誰にも気にされなくなる。
つまり存在を認識されなくなるため、どんなにハデに暴れ回っても誰にも気づかれない。

「透明マントでよくね?」と思った人もいるかもしれないが、これらは光学迷彩の類の道具であり、
姿こそ消せても匂いや声、発する音や気配で捕捉されかねないし(センサーの類に対して効果があるかは不明)、相手に触れた場合も普通に気づかれかねない。
しかしこの帽子は姿は勿論のこと、声や体臭、相手の触覚、足跡などの痕跡すら気づかれなくなってしまう。*2
それだけでなく他人の物を奪い取っても気づかれないほどである。*3

さらに、劇中ではロボットのドラえもんですら認知できなかった事から、赤外線センサーなどもすり抜けてしまう可能性が非常に高い。*4
しかも、後述するようにドラえもんは自分でのび太に石ころぼうしを被せたにもかかわらず、その直後にドラえもんはのび太のことを忘れて部屋から出て行こうとしており、
体を揺すられても「石ころぼうしを被ったのび太の仕業か?」などと疑問に思っていないため、相手の記憶が失われている描写すらある。*5

以上の描写から使用者の存在そのものを消してしまう道具と言え、その気になれば完全犯罪のし放題である*6
透明人間になる道具は数多くあれど、この道具はトップレベルでヤバい。
が、帽子が外れなくなった場合は本当に誰からも気づかれなくなり、万が一一呼吸の猶予もなく事故死した場合には死体が腐敗して野晒しにされ、踏み躙られるなどの文字通りの死体蹴りに遭ってしまう
そして、何らかの拍子で帽子がずり落ちれば突然死体が現れるというそんじょそこらのホラー映画も真っ青な光景が……

他の道具(かたづけラッカー、かくれん棒など)には大概時間制限があるので、ここまでの惨事に至ることはまずないのだが…。
もっとも、『魔界大冒険』においては帽子が破れ、効果が無くなっている描写があることから、帽子自体の耐久性はそれほど高くない様子。

帽子の名前と説明から「石ころひとつも見逃さない観察力や探知能力の持ち主には見抜かれるのでは?」という声もあるが、
上述したように石ころはたとえ話であって本当に石ころに見えるわけではなく、また使用者が石ころと同程度の存在感になるわけでもない。
劇中の描写を見れば分かるように、「普通ならすぐ気づかれるだろう」と思うようなことを使用者にされても相手は一切認知できず、
この帽子を相手の目の前で被った場合、その相手の記憶が失われて「元々ここには誰もいない」と考えるほどの性能である。
故に「使用者の存在を消し去る」効果と言えるため、もはや観察力や警戒心が強ければ見破れるというレベルの話ではない。

また、設定本によると帽子に組み込まれた無視催眠波発生ペーストから放出される無視催眠波の効力により、帽子を被った人を誰も気にとめなくなるとのこと*7

その凶悪な性能からしばしば中編や大長編にも登場している。
一部の作品では使用者の姿は見えないのに声が聞こえるというこの道具最大の特徴である「使用者の存在を消し去る」効果と矛盾する描写がある。
また、複数が石ころぼうしを被った場合、被った者同士は姿を認識できたりできなかったりと作品によって違いがある。

本編で身を隠すために使用する事が多いためか、この道具は「姿が見えなくなる道具」と誤解されやすく、例えば「ザ☆ドラえもんズ」第1巻及び「ザ☆ドラえもんズスペシャル」第1巻(後述)には、この道具を「姿を消す道具」と説明する記述がある。

【登場作品】

てんとう虫コミックス+4巻「災難予報機」

源家でドラえもんとのび太が使用。
この話ではしっかり「使用者の存在を消し去る」効果になっており、石ころぼうしを被ったドラえもんとのび太が静香の近くで堂々と喋ったり、
漫画のページをめくろうとする静香の手をつかんで止めたり、静香のおやつを勝手に食べたにもかかわらず全く気づかれなかった。
また、この話では石ころぼうしを被った人同士は姿を視認できる設定になっている。

大山版テレビスペシャル「ゴム・カム・カンデー」

他の惑星にて使用。
この話では単に姿を消す道具となっており、人間には見つからなかったが、警備ロボットのカメラには通用しなかった。

わさドラ版テレビスペシャル「決戦!ネコ型ロボットVSイヌ型ロボット」

DG社に捕らえられたネコ型ロボットたちを助けるためにドラえもんが使用。
この話では一応「姿は消えないが道端の石ころのように誰も気にとめなくなる」と原作通りの説明がなされているが、
後述の「のび太の魔界大冒険」同様、単純に姿を消すだけの道具と化しており、声で居場所を特定された。
ただし上述の「ゴム・カム・カンデー」とは異なり、この話では警備ロボットのカメラにも効果があった。

ドラえもん のび太の魔界大冒険

ドラえもん達が帽子を被った時は姿が消えてるが、のび太視点でのび太だけ姿が見えている。
ただしお互いの姿を視認できないことから、肩を繋いだりすることではぐれずに一緒に移動している。
大魔王デマオンの前では自ら外している。また、石ころぼうしを被ったドラえもん達の声が使い魔に聞こえていたり、
ドラえもん達の存在を使い魔が覚えていたり、使い魔達に追跡された際、匂いで探知されるなど、もはや普通に存在を認知されてしまっている。

一応、「姿が消えるわけではないが被っている限り誰からも気にされなくなる」と原作通りの説明がドラえもんからなされているが、
美夜子が「じゃあ、お互いに姿が見えなくなっちゃうわけ?」と返しており、その後ののび太も「みんな見えなくなった」と言っている。
そのため、この映画では単純に姿だけを視認できなくする道具とされており、『新魔界大冒険』では本来の効果との矛盾を考慮してか、
「どこにいても自分は相手の盲点に入って見えなくなる」という星の形をしたバッヂの道具「モーテン星」に差し替えられている。
こちらは単に姿を消すだけの効果なのでデマオンには通じなかったり、電池切れで露見したりした。

ドラえもん のび太の創世日記

創世セットで生み出した世界に神様として地上に降りていくのび太たちの立場上、その世界の人に干渉する時にはかぶっていることが多い。
こちらでもやはり声を認識されており、石ころぼうしを被った人同士は姿を視認できる設定になっている。

ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記

映画版で透明ペンキの代わりに使用。
こちらでは帽子をかぶった者同士であれば姿こそ認知できないが声でのやりとりは可能…と思わしき描写がある。

ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021

リメイクにあたって追加された、スモールライト奪還のためPCIAの本部に乗り込むシーンで姿を消すために使用。
この映画内ではまたもや単純に姿を消すだけの道具と化しており、のび太の声が周囲に聞こえていたり、
帽子を脱いでいないのび太の存在を、既に帽子を脱いだドラえもんたちがしっかりと認識している描写もある。

妖界大決戦(ザ☆ドラえもんズスペシャル1巻)

常時相手の思考を読む妖怪「さとり」との戦いでドラえもんが着用。
この作品内では上述の通り単純に姿だけを視認できなくする道具と説明されており、
帽子を被ったドラえもんの声がドラえもんズに聞こえていたり、さとりが「ドラえもんだけ姿を消した」と認識している描写がある。
しかしさとりは帽子を被って姿を消したドラえもんの思考を読むことができず、
更には気絶したのび太をドラえもんが「人間ラジコン」で操ってもその思考を読み取れなかった。
その結果、「姿を消した」ドラえもんが「意識すら無い」のび太を操りショックガンを撃たせたことにより、
あっけなくさとりは倒されてしまった。

ドラえもん のび太の空飛ぶ船

グランブルーファンタジーとのコラボイベントで、グラブル側・ドラえもん側のメンバーおよび悪役の盗賊が使用。
この作品ではしっかり「使用者の存在を消し去る」効果になっており*8、帽子をかぶった人が他者や魔物の近くで喋ったり、
相手を縄で縛ったり所持品を奪った上で壊しても全く気づかれなかった。更には兵士たちに捕まりかけた盗賊がかぶった時は、
兵士たちは「逃げた盗賊を捕まえようとしていた」ということを忘れ、警戒態勢を解いてそのまま歩いて行ってしまった。

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最終更新:2024年02月17日 12:21

*1 「道端の石ころ」というのはドラえもんがたとえ話として言いかえただけであり、本当に石ころに見えるわけではない。

*2 石ころぼうしを被ったのび太が話しかけたり、のび太の汗がまわりに飛び散っていても誰も気づいておらず、のび太の近くにいた犬ものび太に気づいていない。のび太がドラえもんに帽子を外してもらおうとした時も、それに気づかないドラえもんはそのまま歩き進んでのび太を弾き飛ばしてしまった。

*3 石ころぼうしを被ったのび太がスネ夫の持ち歩いていたバットを奪ったにもかかわらず、スネ夫はバットが自分の手元からなくなったことに気づいていない。

*4 ドラえもんは「赤外線アイ」でまわりを見ているので、この帽子は赤外線センサーを無効化しているとも言える

*5 ただし後述するようにジャイアンとスネ夫はのび太のことを認識はできずとも覚えていたが

*6 ただし後述する「のび太の魔界大冒険」では、敵に臭いで探知される描写がある等、作品によって設定が異なる場合もある

*7 ただし公式の設定本は原作と比べて矛盾も多く、上述したようにロボットのドラえもんにも効果があり、相手の記憶が失われている描写もあるため「生物の認識を弄る」という方法では説明がつかない部分もあるが

*8 ただしドラえもんのフェイトエピソードでは単純に姿だけを視認できなくする道具になっている。