H城址の霊/千魂華厳自刃童子

登録日:2021/09/08 (水) 03:29:11
更新日:2025/03/01 Sat 07:27:50
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やられたことは忘れない……もちろん……助けられたことも。

困ったら呼んで。



概要

『H城址の霊』とは『ダークギャザリング』に登場する幽霊


東京都にあるSランクの心霊スポットであり、全国の最恐心霊スポットにも名を連ねる「H城址」を支配する地縛霊。
しかも、人死が当たり前なSランクの心霊スポットの中でも稀な人死を起こしていない幽霊でもある。

風貌は長い黒髪に白い着物を着たスレンダー系美女(美少女)。ファンからの愛称は「H嬢」或いは「ドンペリちゃん」など。

安土桃山時代にH城は1000人の城兵に対し1万5000人で攻められたった一日で攻め落とされた。
その際に他所に行っている男衆の士気を下げるために、城内にいた女を虐殺し晒し首にする暴挙を行う。
女たちは「家族の前に晒されるくらいなら」と自らの首を斬り、滝に身投げして自害したと言われている。
H城址の霊とは、この時自害した女性の一人である。

作者の質問回答によると1579年1月8日~1590年6月23日。享年11歳。145cm。A型。

来歴

H城址の霊が400年以上もこの世に留まり続けるのは自分達を殺した軍隊への復讐ではなく、
「史実を受け継がせる」「誇り高い人たちがここにいた事を忘れさせないため」にこの世に留まり続けていたのだ。
そのために分霊を大量に作り思い出を再現して観光客に見せたり、史実を勉強する気のない冷やかし客を脅して追い返したりしていた。

通常何百年もこの世に留まるためには他の幽霊を喰い続けねばならず、大抵悪霊堕ちしているものだが、
幸いH城はパワースポットだったため悪霊になることもなく現世に残り続けていた。
Sランクの心霊スポットになったのは幽霊になった彼女の力がSランク相当にあったため。

しかし、なり代わり陣営によって彼女が根城にしていた滝に呪物を投げ込まれたせいで、怒りと憎しみに支配された悪霊になってしまった。
悪霊になって以後は思い出を再現して見学者や肝試しに来た人等を滝に誘き寄せては呪いで殺し、自分の糧にしていくようになってしまう。
生還者を出さなかったので人死が出たかは確認できなくなっていたため危険度もそこまで大々的に知れ渡ってはいなかった。


その後、H城址に殴り込んだ寶月夜宵幻燈河螢多朗を大量の分霊によって翻弄するも、
満を持して召喚された卒業生「邪経文大僧正」の経文で分霊を一掃され、自身も衰弱しきったところを象の人形に封印され、呪物とのリンクを切断されたため正気に戻る。
大僧正にされたことがされたことのため夜宵達に恨みがあるが、同時に救ってくれた恩もあるため以後協力関係になる。
夜宵からは千魂華厳自刃童子(せんごんけごんじじんどうじ)という名前を与えられた。召喚口上は「絶って」。
自刃童子が封印された人形はH城址内の地面の下に隠されているが、彼女から託された布を使う事で召喚する事が可能。

そのため、他の卒業生のように危険を冒してまでいちいち人形を回収する必要がないという大きな利点がある。*1


能力

基本的な霊現象は『切断の呪い』『無数の手を空中に作り出す』『無数の分霊を作る』の三つ。
いずれもH嬢自身の意思で対象を決められ、分霊を利用して偵察もこなす。
ただし無数の手を具現化して操ったり分霊の生成・使役といった能力は高ランクの心霊スポットを支配する悪霊達にとっては概ねデフォルトの能力。
なので彼女の明確な固有能力と言えるのは切断の呪いである。

夜宵の手持ち幽霊の中でも数少ない協力的な霊で、
  • 命令を聞く
  • 夜宵達にダイレクトアタックしない
  • 味方を巻き込む攻撃もしない
  • 夜宵達をちゃんと守る
と至れり尽くせりの性能。
当たり前な事と思うかもしれないが、ポケモンに例えるなら、
「ボールから出したらトレーナーを殺して逃げようとするポケモンばかり」な状態で、ジムバッジを集め終えたようなこれらの条件が揃っているのは破格の性能なのである。
夜宵からの扱いも相応に良く、
  • 合間合間を見てお神酒をお供えしてもらう
  • 合同作戦の際車に載せられるシーンでは6人いる「卒業生」の中で彼女一人だけ封印がぬいぐるみのみ*2
と緩め。

切断の呪い

H嬢唯一の攻撃手段で、「無数の『女性の手』を具現化し、手が撫でたモノを物体・霊体問わず切断する」という霊現象。
そして降霊時には「首のない人間の形をした天蓋(ドーム)状の結界」が周囲一帯に展開され、その結界内で霊現象の行使を行う。
この結界は無数の分霊を融合させて形作っている。

地縛霊時代では首を撫でてジワジワ傷を付けて広げたり、顎関節を斬って喋れなくするといった使い方を用いた。
この呪いは基本的に遅効性のため、呪いをかけてからしばらく相手は生存し、こちらに攻撃したり逃げたりする余地がある。
そのため地縛霊時代は分霊で身体を拘束して相手の逃走を防止。そのまま分霊毎釣り上げて標的をドームに縛り付けてから相手が死ぬのを待つ持久戦法を取っていた。

欠点としては上記の遅効性以外だと、相手の首を切断するのが最大の火力であること。
具現化させた手で撫でた箇所しか斬れない上に、肝心の傷も他作品でよくある斬撃技のように一撃で人体を真っ二つにすることはできないので瞬間火力にも若干難あり。*3
勿論相手が生者であればこれ以上ないくらいの火力ではあるのだが、相手が幽霊、それも卒業生・Sクラスレベルだと動きを止めるくらいにしかならない。
邪経文大僧正との戦いでも多数の手で触れることで多量の傷を一瞬で付けて首を切り落とすなどで物理的に止めることしかできなかったため、経文の伝搬によるタイムオーバーで敗北した。


夜宵の手持ちに加入後は、呪物から解き放たれたことで非常に理性的となった恩恵を受け攻撃の精密性が格段に向上。
出力も上がったのか、悪霊がよく用いる念動力の腕ならば一撃で切断可能となった。
魄啜繚乱弟切花魁の撒き散らした膨大な数の炎のを1匹1匹正確に切断して迎撃したり、目だけを斬って視覚を潰したりと、性格も相まって他の悪霊と比べて非常に小回りがきくのが大きな利点。
また降霊の触媒となる白帯を目印とすることで悪霊時代では見せなかった「アウトレンジからの遠隔精密斬撃」も可能になった他、分霊を利用した偵察なども可能とかなり便利な手札に落ち着いた。
さらに彼女の呪いで付けられた傷は消えない事も判明。
ゲーム的に例えるなら、現在HPにダメージを与えるだけではなく、最大HPの上限も一緒に削り取ってしまうようなものだろうか。
一応やろうと思えば結界内にいる者全てに切断の呪いを掛ける無差別攻撃も可能だが、夜宵もこの手は最終手段と位置付けている。

また大僧正の戦いは本人のプライドも傷ついていたのか、反省を踏まえたことで京都篇では能力の拡張にも成功。
結界を消し、結界のリソースを全て「おびただしい数の念動力の手」に変えて狭い土地に潜ませることで、その場に脚を踏み込んだ存在を一瞬でコマ切れにする大技を会得していた。
この時足を手で捕まえてその足の腱を斬ることで、即回避される可能性を大幅に減らしているのも特徴。


ステータス

レベル:56
タイプ:ゴーストはがね

控えめな性格。
H城址でレベル55の時に出会った。
お酒が大好き。

余談

作中でもそうだが普通に観光スポットとして人気のため、ぶっちゃけ"雰囲気"は大したことない。
ただし、夜宵達のように夜に訪れるのは物理的な意味で危険

  • ドンペリ
単行本おまけで夜宵にドンペリをねだる台詞コラが公式で作られてしまったため、概ね「ドンペリ=H城址の霊」を指すような認識が広まってしまった。

  • ヒロイン?
数少ない協力的な美少女の霊という事もあって、読者からは「H嬢はヒロインの一人」などとネタにされていた。
しかしアニメのED『灰色』では夜宵・詠子・愛依と並んでH嬢が登場しており、あたかも四大ヒロインかのように描かれていた。
公式でヒロイン扱いされているのかもしれない。




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最終更新:2025年03月01日 07:27

*1 本来地縛霊は死んだ場所周辺からは動けないが、千魂華厳自刃童子は封印された事で地縛霊ではなくなったので移動できる

*2 他はぬいぐるみ+塩の袋詰め+Sトンネルの霊の注連縄という厳戒態勢

*3 顎関節なら1回で切断可能だが首を斬り落とすためには複数の傷を首にまとめて刻む必要がある。