トルネコの大冒険 不思議のダンジョン

登録日:2021/10/24 Sun 22:02:51
更新日:2025/04/29 Tue 19:46:59
所要時間:約 10 分で読めます




1000回遊べるRPG


概要

1993年9月19日にチュンソフト(現:スパイク・チュンソフト)より開発・発売された、スーパーファミコン専用ローグライクゲーム
ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち』のスピンオフ作品である。
今では数ある『不思議のダンジョン』シリーズだが、本作はその記念すべき第一作であり、同時にドラゴンクエストシリーズ初の外伝作品でもある。

当時はマイナーで、一般的なRPGと比べ取っ付きにくいローグライクゲームをドラクエの世界観を用いて改良を加えた上、家庭用ゲーム機でリリースすることで馴染みやすさを出した。
また主人公がトルネコであることについても、ローグライクの「アイテムを駆使して地下深くの宝を手に入れる」というコンセプトがマッチしていたため。

のちにPlayStationで続編となる「トルネコの大冒険2」が発売された。
姉妹作に『不思議のダンジョン2 風来のシレン』があり、開発元が同じくチュンソフトということで一部システムやデータを流用していたりもする。


あらすじ

かつてエンドールに店を構え、勇者一行と共に魔族の王を打ち倒した武器商人トルネコ。ある日彼はものすごい宝が眠ってあるとされる「不思議のダンジョン」の噂を耳にする。居ても立っても居られなくなった彼は、妻のネネと息子のポポロを連れ旅に出る。
数年後ついに不思議のダンジョン近くの村にたどり着いたトルネコ一家。物語はここから始まる…。


主な登場人物

ごそんじこのシリーズ通しての主人公。王様に許しをいただき不思議のダンジョンへ潜ることとなる。

  • ネネ
トルネコの奥さん。
トルネコがダンジョンに潜る時はいつも大きいパンを持たせてくれる。店が発展するとバーを経営する。

  • ポポロ
トルネコ夫妻の一人息子。
今作(及び次作)ではまだ影が薄め。彼が本格的な活躍をするのはトルネコ3まで待つことになる。
ちなみにこの名前は今作が初出。

  • 王様
不思議のダンジョン近くの村を治める。トルネコにちょっと不思議のダンジョン(後述)で宝石箱を取ってこいと試練を課す。見事制覇すると不思議のダンジョンに潜る許可と基本テクニックが書かれた本を貰える。

  • エド・モンド
大工の二人組。トルネコの店の増築担当。
エンディングでコンビを解消するが、次作では戻っている。


システム

不思議のダンジョンシリーズ第一作ということもあり、ここでローグライクゲームの基本をおさらいしよう。

  • 入る度に地形が変わるランダム生成ダンジョン
  • 戦闘パートと移動パートが一体化した、セミリアルタイムで行われる戦闘
  • 武具はもちろんアイテムをフル活用するゲームバランス
  • 再度挑戦する際はレベルリセット
  • 満腹度の概念
  • モンスターハウス

…などなど。
不思議のダンジョンではこれらに加え、ローグにはなかったキャラの向きの概念、家庭用ゲーム機に合わせた操作性、クリア後の裏ダンジョンなど様々な改良が加えられている。
なお、シリーズ1作目なのでこの時点では壺やダンジョン内の店、装備品の合成といったシステムは無かった。
これらはまとめて不思議のダンジョンシリーズ2作目の風来のシレンから実装され、後にトルネコシリーズにも逆輸入された。

今作独自のシステムとして店の発展がある。ダンジョン内で持ち帰ったゴールドの総額によって店がだんだんと発展していき、途中段階で持ち帰ったアイテムを保管できる倉庫も完成する。
ちなみに幸せの箱をいきなり持ち帰れば、途中段階をすっ飛ばしていきなり最終段階一歩手前へと発展し、なかなかにシュール。そのため本作でのゴールドの存在意義は実質存在しない。


アイテム

トルネコの冒険を支えるアイテム類を一部紹介。なお今作は後発作品から登場した壺のシステムはない。当然保存の壺なんてないため一度に持てるアイテムは20個まで。アイテム管理は計画的に。

  • パン
食べると満腹度が大きく回復する、まさに生命線とも言えるアイテム。
普通のパン、満腹度を全快する大きいパン、力が下がってしまうくさったパンの3種類。
パンは50以上満腹度が減ったらキープしておく理由はない。早めに食べてしまおう。
なお、本作のみくさったパンの満腹度が大きいパンと同じになっている。

  • 草・種
飲むと満腹度を少し回復する他、様々な特殊効果をもたらす。混乱効果のメダパニ草や眠り効果のラリホー草など一部は敵に投げて有効活用しよう。

  • 巻物
読むとある効果を発揮する。
フロア全体を見渡せるレミーラの巻物や武具を強化できるスカラ、バイキルトの巻物、部屋にいる敵にダメージを与えるイオの巻物など様々。中には床に敷いて敵の通常攻撃を無効化する聖域の巻物という変わり種も。

振ると敵に様々な効果をもたらす魔法弾を発射。何回か使える。直接投げて当てても効果を発揮する。
敵をどこかに飛ばすバシルーラの杖、特殊効果を封じる封印の杖など。敵を一撃で倒すザキの杖はレアで、拾った直後は振って使えない。

  • 指輪
装備して使う。トルネコに様々な効果をもたらす。ときには呪われていることも。この場合は呪いを解かないと外すことはできない。
満腹度が一切減らないハラヘラズの指輪、寝ている敵を起こさないとうぞくの指輪など数々。中にはその逆で満腹度が減りやすくなるハラペコの指輪、敵を起こしてしまうザメハの指輪などマイナス効果を持ったものも。

  • 武器・盾
RPGには欠かせない必需品。
武器は正義のソロバンとはぐれメタルの剣の立ち位置が本編と逆転しているほか、特殊効果を持つものはドラゴンキラーのみ。
一方盾は満腹度消費を抑える皮の盾、そのままでもさびないみかがみの盾、炎のダメージを軽減するドラゴンシールドと特殊効果を持ったものが多め。
どちらも指輪同様呪われていることがある。

遠距離から攻撃できる。同種は99本までまとめることが可能。
標準の木の矢、威力が高い鉄の矢、敵や壁を貫通する銀の矢の3種類。

  • ゴールド
店の発展のために必要。それだけ。
今作にはダンジョン内に店がないため、ゴールドの使い道はこれのみ。
そのためゴールドが必要無くなるもっと不思議のダンジョンではゴールドが出るほどに他のアイテムを拾えなくなるというハズレ枠と化す。
鉄の金庫があれば倒れてもゴールドが半減しない。


モンスター

愉快なモンスターたちを一挙紹介。
全員がファミコン作品出身であり、同系の色違いモンスターは一切登場しない。そのためメタルスライムが本作では登場していない
なお、今作にはラスボスを含めボス敵が一切存在しない

+ 長いので格納
スライム
シリーズ皆勤賞のアイドル。もちろん今作でも最弱の存在。

おおなめくじ
2より出演。スライムに毛が生えた程度の強さ。

ドラキー
1より出演。ふらふらと動きの読めない行動をしながら近づいてくる。

ゴースト
1より出演。倍速移動をしてくるが、攻撃は1回のみ。どう考えてもおおなめくじより強いのに経験値はおおなめくじより少ない序盤の死因要員にして嫌われ者。

ももんじゃ
4より出演。普通にダンジョン内に出現する他、倒れたトルネコをダンジョン外へ叩き出す役目を果たす。このトルネコを皮切りに、ももんじゃは外伝作品での名物敵キャラとして活躍することになる。

リリパット
4より出演。遠距離から木の矢を放って攻撃してくる。元々の攻撃力は小さいけど、同士討ちによるレベルアップに注意。

まどうし
1より出演。必ず眠った状態で出現する。*1こいつのラリホーで眠ったままやられるのは誰もが通る道。
倒すとアイテムを落としやすいが、ある程度強くなるまではスルーした方が良い。

おばけキノコ
3より出演。毒を吐いて力を下げてくる。うろこの盾か毒消し草があると安心。

スモールグール
4より出演。さりげに4原作ではラストダンジョンの敵だったのに、今回は一気に序盤の敵に格下げした。
攻撃を受けて生存すると分裂してくることがあり、タコ殴りにされてしまうのは誰もが(ry

ミイラおとこ
2より出演。アンデッドである故か、薬草か弟切草を投げつけると一撃で沈む。
序盤の敵の中ではステータスが高く、装備が貧弱だと苦労するだろう。

わらいぶくろ
3より出演。ゴールドを盗んでいくことがある。倒すとゴールドを大量に落とす。
しかし上述の通りゴールドは基本使い道がなく、更にはゴールドを持っていなければわらいぶくろはトルネコに対して何もできないため、ゴールドを拾わなければわらいぶくろを倒すのが少しではあるが効率的になるということもあり、アイテムでゴールドは完全にハズレ枠と化してしまっている。

きめんどうし
3より出演。バシルーラを唱えてくる。ピンチな時に受けるとラッキー。

ベビーサタン
3より出演。アイテムを盗んでいく。
盗まれる前に倒せば必ず何かしらのアイテムを落とすが、HPが高いので注意。

キメラ
1より出演。特殊能力はないが、中盤までのモンスターの中では攻撃力が際立って高い。
ドット絵がやけにかわいいので、とある攻略本で「かわいい見た目にダマされるな」とその攻撃力を警戒されている。
とにかくうかつにHPが減った状態で戦わないようにしたい。リリパットから頂戴した矢も惜しみなく使おう。
ちょっと不思議に出現するモンスターはここまで。

さまようよろい
3より出演。
防御力とHPが高く攻撃力もそこそこあるため、殴り合いではキメラより脅威。矢よりも杖をうまく使いたい。

くさったしたい
2より出演。攻撃はしてこないが腐った液を吐いてこちらの盾の修正値を下げてくる。どの盾でもメッキの巻物で完封可能。

はぐれメタル
2より出演。シリーズお馴染み経験値の塊。例によって素早く1ダメージしか与えられない。
おまけに追い詰めるとワープもする。
経験値はそこまでだが、倒すと必ずレベルを1上げる幸せの種を落とす。
なお実は攻撃力はゴーレムに匹敵し、しかも2回攻撃なので絶対に封印の杖で挑発してはいけない。

イエティ
4より出演。普段は4匹がまとまって眠っているが、こちらが起こすと全力で集団リンチを仕掛けてくる。
能力はHP以外低いものの同時に相手をするのは厄介。
経験値やアイテムドロップ率も低いのでスルーしても良い。

うごくせきぞう
3より出演。さまようよろいより硬くて強い。
石像に擬態して近づくと奇襲してくる。倒すとアイテムを落としやすい。

ばくだんいわ
3より出演。ある程度HPを減らすと爆発する物騒なやつ。囲まれ誘爆されたら死亡コースまっしぐら。

ゴーレム
1より出演。うごくせきぞうよりさらにタフで、何より攻撃力がバカ高い。
見つけたら逃げるのも手。倒すとアイテムを落としやすい。

どろにんぎょう
2より出演。ふしぎなおどりでこちらのMP…ではなくレベルを下げてくる。*2
もっと不思議なら人形よけの指輪を用意してると安心。

マドハンド
2より出演。近づくと足元を掴まれ歩いて逃げれなくする。意外にも今作は仲間を呼んでこない。

ミミック
3より出演。アイテムや階段に化けており、こちらが乗ろうとすると正体を現し襲いかかる。
鉄の金庫などありえない擬態をしてバレバレな個体もいる。

シャドー
3より出演。そのままでは姿が見えない。目薬草かシャドーの指輪で正体を暴こう。
今作のみ地獄耳の巻物でもOK。

おおめだま
4より出演。ステータスはHPの上がったゴーレムという感じ。
同じ部屋にいると遠距離から混乱させる厄介者。
今作には混乱よけの指輪がないため早めの対応を心掛けること。

ギガンテス
2より出演。耐久力はゴーレムとほぼ同等だが攻撃力は深層で登場するアークデーモンに匹敵する。
出現時期を考えるとかなり危険な相手。

マネマネ
4より出演。お得意のモシャスで他のモンスターに化けている。対応は常に化けている敵と同じように。

ミステリードール
4より出演。こちらのHPと力の最大値を下げてくるおっかないヤツ。
タフなので特技を使う前に倒すのも難しい。人形よけの指輪は持ったか?

シルバーデビル
2より出演。倍速行動をするが、攻撃も1ターンで2回してくる。
下手に歩いて逃げるのは避け、ボミオスの杖などで上手く対応するべし。

アークデーモン
2より出演。特殊能力こそないものの、ステータスはドラゴンに次いで高い。
モンスターハウスで囲まれた時の絶望感といったら…

ドラゴン
1より出演。全モンスター中最高のステータスに加え炎を吐いて攻撃してくる、本作最強のモンスター。時には吐いた炎で敵を倒して自身がレベルアップしてしまうことも。
こいつと対峙する時は鍛えたドラゴンキラーとドラゴンシールドをお忘れなく。目的によってはまともに戦わずやり過ごすのも手。
倒すとアイテムをとても落としやすい。


ダンジョン

ちょっと不思議のダンジョン(10階)
いわゆるチュートリアルダンジョン。ダンジョン内では簡単な操作説明がメッセージで表示される。
10階には王様の宝石箱が落ちており、それを持ち帰るのが目的。クリアに関わるアイテムを拾うと階段が上向きに変わる。クリアしたら二度と潜れない。
負ける度に王様からアドバイスが貰えるので不思議のダンジョン初心者もちょっとずつテクニックを覚えてクリアを目指してみよう。

+ もしも負け続けたら…
王様のアドバイスは全部で10回あり、11回目からはまた最初から言い直してくれるため一見ループしてるように見える。

しかし2巡目のアドバイスも終わると、次からは王様が昔使っていたはぐれメタルの剣と盾を貰った状態でスタートできる。
ちなみにこれで負けてもまたくれる。太っ腹すぎだろ…。
が、それでも何度か失敗すると匙を投げられたのかクリア扱いとなる。

不思議のダンジョン(99階)
メインダンジョンその1。
10階に鉄の金庫、20階にリレミトの巻物、27階にしあわせの箱が必ず落ちている。 この幸せの箱を持ち帰ることが目的となり、クリアすれば見事エンディングとなる。まずは20階でリレミトの巻物を手に入れるまでを目標にしよう。
倉庫が完成すれば最大5個までアイテムを持ち込める。
27階以降も進めるが、出現する敵は変わらない。99階にはさいごの巻物が落ちており、これを入手するのを最終目標としてやり込むのも一興。

もっと不思議のダンジョン(99階)
メインダンジョンその2。
クリア後に行けるようになる。しあわせの箱を開けた状態でダンジョンに入るとこれに変化する。
アイテムの持ち込みは一切不可、ほぼ全てのアイテムが未識別と、元となったローグに一番近いルールの高難易度ダンジョンにして本番戦。
30階に奇妙な箱がありそれを持ち帰る事が目標。また50階には証明の巻物が落ちている。発売当時はこの巻物を倉庫に入れた状態の写真をチュンソフトに送るとプレゼントをゲットできるキャンペーンを実施していた。


余談

本作は日本国内においてローグライク作品の礎を築いた作品ではあり入門編にはもってこいの作品であるが、風来のシレンはリメイクされたりWiiのバーチャルコンソールで購入可能だったのに対し、本作そのものが他機種にリメイクや配信されたことは過去一度もない*3ため、プレイするためにはスーパーファミコン実機を用意するしかなく、実はプレイするための環境を整えるのが若干大変な作品でもある。



追記・修正はさいごの巻物と証明の巻物を手に入れてからするべし!
おわりじゃ

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  • 何故かなかなか立たなかった項目
  • スピンオフ
  • 1993年
最終更新:2025年04月29日 19:46

*1 精神統一しているという設定らしい。

*2 厳密には経験値を「あと1で次のレベル」の数値に下げてくる。

*3 今作に限ってはニンテンドウパワーにて書き換えサービスが実施されていた