ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…

登録日:2011/06/25 Sat 15:13:14
更新日:2025/03/25 Tue 14:41:42
所要時間:約 18 分で読めます





触れたら最後、日本全国がハルマゲドン。


ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…』(DRAGON QUEST III: The Seeds of Salvation)とは、ドラゴンクエストシリーズ第3作目である。

【概要】

ロト三部作の最終作であり、DQ1及びDQ2とも極めて関係の深い作品となっている。
両作をプレイしていなくても十二分に楽しめるよう配慮されているが、プレイしてからだとまた異なる感想を抱くだろう。
スタッフは前二作と同様、シナリオ&ゲームデザイン:堀井雄二、キャラクターデザイン:鳥山明、音楽:すぎやまこういち

SFC版のキャッチコピーは「SFC究極のドラクエ」
GBC版は「一番愛されたドラゴンクエスト」


FC版の発売日である1988年2月10日に、ゲーム店に数キロメートルの長蛇の列ができたというのはかなり有名な社会現象。
本作からドラゴンクエストシリーズはナンバリングタイトルではDQ5を除き常に300万本以上の売り上げを達成するキラータイトルとなった。
(DQ5のSFC版は280万本、ただしリメイクでは最も売れた部類)
しかし1988年2月10日は平日の水曜日だった為、子供はおろか大人まで学校や会社を休んでまで買いに行く姿が見られた。
これが社会的に問題視された為、これ以降のドラクエソフトの新作はダウンロード販売が主流になるまで土曜日発売に改められたほか、以降ドラクエに限らず注目度の高いゲームソフトやトレーディングカード等は基本的に土曜日発売になるなど多大な影響を与えた。

上記SFC版、GBC版の他ガラケー、スマートフォンWii、3DS、PS4、switchに移植されている。
そして、2021年にフルリメイクが決定し、2024年に発売された。開発はブレイブリーデフォルト・オクトパストラベラーのチームで、グラフィックもオクトラのHD-2Dが採用されている。
北米ではNESやGBで発売されたことがあるが、当時は大人の事情で英題がDRAGON WARRIOR IIIだった。スマホ版以降のグローバル展開では冒頭の通りの英題になっている。



【ストーリー】

アリアハンの勇者オルテガが、魔王バラモスを倒す為にアリアハンに妻子を残して一人旅立った。
しかしそのまま消息を絶ってしまい、風の噂でオルテガは死んだとされた。

オルテガの子どもは、16歳の誕生日に父の遺志を継ぐ為、アリアハンを出て仲間達とともに打倒バラモスの旅に出る。


【主要人物】

  • 主人公DQMBスペシャルカードでは「伝説の勇者」と表記している]
アリアハンの勇者オルテガの子でありプレイヤーの分身。
16歳の誕生日に自分も勇者として旅立つことになる。
「職業」というシステムが本作最大の特徴であるが、「勇者」という職業は父オルテガを除けば唯一無二でありダーマ神殿で転職は不可能。また通常はパーティから外すこともできない。
ゲーム開始時に性別を男か女かに選択可能(FC版ではどちらを選んでもグラフィックは同じ)。
ちなみに女勇者の設定は母曰く「ゆうかんな おとこのこ として そだてたつもりです」である(メタ的に言うと男か女でNPCの台詞を変える容量の余裕がなかったため)。

アリアハンの勇者で主人公の父親。
魔王バラモスを倒す旅に出て死んだと噂されているが……。
リメイク版では単身で魔王討伐に向かい死亡したという話がアリアハンの王に伝わっており、彼と同じ轍を踏まないようにと王が配慮してくれる台詞が追加されている。
旅の途中で偽名を使っていたのか、一部の地域では変な仇名をつけられているほか、兜を忘れていくなど意外と抜けている面も。

FC版のグラフィックが有名だが決して変態ではない。
その性格や足跡からパパスと並んで理想の父親によくあげられるが、残された妻子にとってはたまったものではないだろう。

HD-2D版版では彼の旅の軌跡をたどるイベントが追加。
道中では上記の妻子を置いてきたしまったことへは深い後悔があったこともしばしば語っている。
彼の兜のイベントを最後まで進めていると最後の対面で…?

カンダタ子分を従えた覆面ブーメランパンツ一丁の大盗賊。
どこか憎めない奴。
子分のほうが強そうとか言っちゃいけない。
親分には防具なんて必要ないのだ。
なんだかんだで長い付き合いになる。

  • イシスの女王
貴重な女王様成分。
といってもSな訳じゃない。
なんと夜這いもかけることができるぞ。

  • ヒミコ
女王様成分その2。ただしこちらはガイジン嫌い。
実はその正体は…

世界を我が物にしようとする大魔王。

様々な御言葉からもわかるように、大物臭が漂う偉大な魔王様であります。
人々の絶望が好物らしく、恋仲の男女をそれぞれ昼夜にだけ馬と猫に変身させる呪いをかけ逢瀬をさせないというセコイ真似(町の人にそれを見せつけて絶望させるという意味もあるだろうが)もお得意でいらっしゃいます。


【特徴的なシステム】

[転職]

DQ6DQ7にも登場した転職システムは本作が初登場。
アリアハンで仲間を探す時に皆必ず何かしらの職業についているが、ある程度物語を進めてダーマ神殿に行けるようになればついている職業を変更できる。
ただしレベル20以上でなければ「未熟者の分際で職業を変えるな」と怒られる。

一度変えるとレベル1からやり直しなので正直面倒くさく感じるだろう。
しかし能力値は転職前の半分を引き継ぎそれまで覚えた呪文はすべて使え、転職後はレベルがサクサク上がる為、ある程度のレベルになったらさっさと転職した方が得な部分も(ただし魔法使いや僧侶は呪文習得前に迂闊に変えると後悔する)。
最終的には転職できない勇者涙目になる(尤も、専用装備や補正もあるので普通はやり込みの範囲内だが)。

……なのだが、実はこのシステムにはある落とし穴がある。
「レベルごとの成長限界」という仕様である。これはいわゆる「各レベルごとに○○という数値以下の場合ステータスが成長しますよ」、という仕様なのだが、
転職のステータスは半分引き継がれるのでその分は保持できても、成長限界は別に変らないのである。
つまり、転職後のレベルアップは暫くの間、ステータスの伸びの鈍化を引き起こすのだ。
その為能力値のカンストは転職だけでは不可能であり、事実上転職で引き継げるのは呪文ぐらいだったり。

よって基本的にメリットがあるのは魔法職→戦士系職、商人などの補助職→戦士/魔法職ぐらいで、戦士職から魔法職への転職はほぼ意味がない。
最初に組んだPTの職業バランスが悪い場合にそれを調整するのには(元のステータスを半分引き継ぐ分Lv1で雇用し直すよりは)使えるかもしれないが。


……と、ここまではリメイク版までの話。
HD-2D版ではレベル毎の上限が撤廃されており、転職の繰り返しでステータスを上げる事が可能な仕様に変更された。
ついでとばかりにHPとMP以外のステータスも255でカンストだった過去作から999でのカンストに上方修正されており、レベリング⇄転職を繰り返しつつ仕上げに種を使う事で全ステータス999の化物(モンスターズ)パーティーを作る事も可能になった。
一般向きでないやりこみプレイの範疇とはいえ、一人だけ転職できない勇者がちょっと割りを食ったのは内緒。


[性格]

SFC版から登場したシステム。レベルアップ時のステータスの伸びに性格に応じた補正がかかる。
素早い戦士や力のある魔法使いなんてのが可。逆に遅い武闘家や頭悪い僧侶も可。残念な子ちゅっちゅ。
ポケモンの性格とは逆で、その性格であること自体ではステータスは何も変わらない。

勇者はOPの性格診断の行動で決まる。
仲間は酒場で登録する時にアリアハン王から渡されるステータスアップの種を5つまで使う事ができ、この結果のステータスバランスによって性格が決まる。
目当ての性格で3人揃える為に何時間も使った人いるのでは。
当然ながら、職によって初期で作れない性格の組み合わせはある。

因みに性格は本や装飾品で変えることができる。頭脳明晰なあの子が一瞬でなまけものに……。
本は消耗品だが、一度変化したら永続。装飾品は装備している間しか効果が無く外すと元に戻るが、何度も使いまわせる。

そしてドラクエ3の性格と言えば、名実ともに最強と言われる性格「セクシーギャル」。
「ガーターベルト」を装備するだけでなれるし調整すれば初期性格でも(職にもよるが)なれるのにもかかわらず、全てのパラメーターの成長に+補正が掛かりマイナス一切無しというとんでもない物。
あまりの性能の高さと前述の「ガーターベルト」の入手しやすさからセクシーギャルな賢者や勇者・僧侶が乱立し、セクシーギャルだらけのパーティーが世界を救いに行くことになってしまった。
厳密には武器攻撃一本キャラ等にはもっと適した性格があるが、とりあえずこれを選んでおけばハズレ無しと言っても過言ではない程度には万能。

なお男性にはこれに該当する性格は無い*1ため、リメイク版ドラクエ3の露骨な女尊男卑の象徴の一つでもある。
どう見ても男性専用オーラが出ている「タフガイ」が女性でもなれるってどういうことだ

ところがHD-2D版では男性(ルックスA)キャラであってもキャラ作成時に限りセクシーギャルになる可能性がある*2
男勇者は性格診断の時点ではなれないが、バラモス討伐以降にある場所に行くことでセクシーギャルになることができる。これも多様性の時代か…。
それ以外の性格も軒並み性別制限が撤廃されているほか、上述したタフガイ(タフネス)や「おてんば(わんぱく)」、「おじょうさま(ブルジョワ)」、「ラッキーマン(ラッキーパーソン)」等、特定の性別を想起させる性格はいずれも名前が変更されている。
これによりむっつりスケベの女僧侶なども作れるように。

【仲間達】

本作の仲間は最大3人(主人公含め4人PT)で、職業・性別・名前まで全て自分で決めることができる
仲間に友達や好きな子の名前を付けたという人も多かったのではないだろうか。
彼らには基本的には台詞は設けられていない(一部のイベントで喋ることはある)が、それ故にロールプレイを存分に楽しめる仕様となっている。
ちなみに「ルイーダの酒場」に預ける控えメンバーも何人か作ることができる他、面倒な人向けにデフォルトで戦士・僧侶・魔法使いが配置されている(FC版では唯一片仮名が振られる仲間キャラだったり)。

また特定の性別限定の装備もあるが、FC版では男性専用装備がなかった。
ただFC版は女性専用アイテムがあっても入手性の関係で特に通常プレーでは殆ど影響はなかった。
リメイク版では男性専用装備も追加されたものの、それ以上に追加された女性専用装備に強力なものが多すぎるため格差が激しい。
リメイク版以降は多くの勇者のパーティーが女性の比率が高くなった事だろう。

その中でも最も顕著にやりすぎな最強装備が「ひかりのドレス」。
なんと女性であれば職業問わず誰でも装備可であるにもかかわらず、防御力・耐性ともに伝説装備である光の鎧と同等以上というトンデモ装備。
しかもSFC・GBC版に限るがすごろく場で量産できるため全員分確保可能。
このせいで、本来装備が少ないことがデメリットになって使いにくいはずだった武闘家・盗賊などのデメリットが消えてしまい、最強職になってしまっている。
ガラケー版以降のバージョンでは一品ものになってはいるが、それでも存在は大きい。

ちなみに「ひかりのドレス」という装備はFC版4から他シリーズにも何度も登場しているが、DQ3以外は全て「たまにマホカンタするだけの中堅無耐性装備」という微妙な代物。
どういう訳かDQ3でだけこんな頭の悪いぶっちぎり最強装備になっている。

これらの専用装備が強すぎるので、リメイク版以降のドラクエ3は男キャラを使う時点で縛りプレイ呼ばわりされる。というか強さを求めるなら男キャラを使う、作る理由が存在しない。
本作の女性キャラはいずれもデザイン面で人気が非常に高いので猶更でもある。ジジイの魔法使いやヒゲタイツを好んで選ぶ人もそういなかっただろうし…。まあ賢者と魔法使いは「みずのはごろも」があるからまだマシだが…。

流石にこれらの問題は開発側も無視できるものでは無かったのか、HD-2D版ではルックスA(男性)専用装備や性別を問わない高性能装備も増えており、「ひかりのドレス」も耐性周りの強力さはそのままに確率マホカンタも追加されて微妙に使いづらくなっている。
キャラデザインに関しても1つの職業につき男女それぞれ4種類の中から選べるようになり、若くてイケメンな男魔法使い・僧侶なども作れるようになった。

[職業]

主人公専用の職業。常にパーティメンバー固定でありルイーダの酒場に預ける事ができない。その関係でバシルーラが絶対に効かない。
MPを除いて全体的にバランスのいい成長率で、特に力と体力の伸びがいいという戦士に近い成長をする。
様々な呪文が使えるものの、呪文を覚えるレベルが専門職と比べやや遅く、序盤はレベルが上がりにくいこともあって呪文をあてにすることはあまりない。
後半は「ライデイン」など本作初出となる強力な勇者専用呪文が使えるようになる。しかしMPが伸び悩むのも相まって燃費が恐ろしく悪いので結局前衛での肉弾戦が中心になる。
鎧や兜も専用の装備が充実しているが、FC版では専用兜がないため後述の点からネタにされがち。リメイク版からは専用兜が用意された。
専用装備の光の鎧が女性専用装備の光のドレスに守備力で負けているが、殆ど差はなく依然として強力。勇者に回すより仲間に回した方がはるかに効率がいい。
性格も呪文に頼らないプレイングなら「セクシーギャル」より力と体力がよく伸びる「タフガイ」のほうが使い勝手がいいのもあり、男性でやっていける数少ない…というかほぼ唯一の職業でもある。
特に光のドレスの量産が不可能になったバージョン以降ではこの点は大きい。
クリア後は自由に外せるようになるが、バシルーラも効くようになってしまうので注意。
なお、HD-2D版ではバシルーラ自体の仕様が変わり、食らっても酒場送りにならなくなった*3ため、クリア前から普通に飛ばされる。
そのせいで肝心のバラモス戦で即飛ばされて役立たずになる情けない勇者がそこそこの数発生してしまっている

外観だが、FC版は唯一男女共通というか男性のビジュアルしかなかった*4が、リメイク版では女性もビジュアルが設定されており、いずれも男性を基準に女性化させた感じである。
しかしパッケージイラストの扱いから男性が正史の模様。
シナリオ面やその他の面でもFC版は単に「性別」のパラメーターが違う以外の違いは無いと言ってもいい位だったが、
リメイク版以降は女性勇者専用イベントが追加されている。HDリメイク版では性別関係なく見れるようになった。

  • 戦士
HPや力が高めでタフな戦闘のエキスパート
この時代には特技という概念がないので殴るか防御するかアイテムを使うかしかできないが、強力な武具を装備できるためアタッカー・タンクを担う。
呪文が無いことで安心して先頭に並べられる*5

ただし素早さが低く、防具を着けないと守備力が低い。
(DQ3では防具無しの素の守備力は素早さを2で割った値になる)
成長は早いのでLvは上がりやすいがこの関係で装備代がかさみがちなのが難点。
一部の専用装備を除き勇者とは装備できるものが共通しているので、互いに融通し合うのも手だろう。
武闘家や(リメイク版では)盗賊が強力なので割を食いがちだが、安定性においては間違いなく高いため前衛候補や魔法職の転職先としては鉄板の選択肢ではある。
特に後者は転職直後のステータスの低さを強力な装備で補えるため、(リメイク版以降は中盤までの装備環境においては)武闘家に転職させるよりも早期に戦力として機能させやすい。
守備力に関してはHPで補うことを想定されており、耐性防具が豊富な点は武闘家や盗賊にはない長所。リメイク版では光のドレスの追加でそれが向かい風になってしまったのだが…。
外見の方は男戦士は鎧を着込んだスッパマン似の角顔のオッサン筋肉質な中年男性。
女戦士は兜にビキニアーマーという露出度の高い格好である。もっともFC版の時代ではよくあるデザインだった。

その後のシリーズでは本作に限らず露出度が減る傾向だったため、HD-2D版ではどうなるのかと思われていたが肌色インナーという言い訳形で再現されている。
本作では他の物理職同様特技を扱えるようになり、できることが格段に多くなった。初めのうちは味方1人への攻撃を肩代わりする「かばう」や攻撃を自分に集中させる「におうだち」などのタンク向けの特技を多く覚えるが、レベルが上がってくると高威力の「つるぎのまい」や「渾身斬り」、減衰なし全体攻撃の「さみだれけん」、メタル狩りに使いやすい確率即死技の「きゅうしょ突き」など強力な剣技を覚え、攻撃面でも頼れる存在になる。
ついでに守備力も素早さではなく身の守りに依存するようになったため、装備が不十分でもかなり頑丈になった。
ただし本作はリメイク前に比べて一度にエンカウントする敵の数がかなり多くなっているため、序盤から装備できるムチやブーメランがないのが結構な痛手。
範囲対象の特技も軒並み習得が遅いため、序盤〜中盤は雑魚戦がやや厳しい。かばうやにおうだちを活かしたタンクとしての立ち回りが主になるだろう。
運の良さが伸びにくく、転職や装備、ラックの種等でフォローしないと攻撃が通りにくくなってしまうことがあるのも少し気になるところ。

  • 武闘家
剣や斧は使わず自らの拳で立ち回るファイター。やはりこちらも殴るか防御するかアイテムを使うかしかできない。
戦士と違いHPの伸びがあまり良くなく成長速度も普通で、防具も軽装の服類のみ。
しかし素早さの伸びが良く、IIIのシステム上素早さの値の半分が守備力になる為、ある程度成長すればタンクとしても機能するようにはなる(呪文には弱いが)。
装備できる武器は少なく、専用武器以外を装備すると逆に弱くなってしまうが、レベルアップすると会心の一撃の確率が上がるのでアタッカーとしては戦士と比べても遜色ない。
最序盤こそ素手での戦いを余儀なくされてしまうものの、比較的早い段階で専用武器「鉄の爪」が購入できるので、最初さえ乗り切れば本領を発揮してくれるだろう。
FC版はこれが事実上の最終装備になってしまうが*6
戦士と比べ道中の打たれ弱さは否めないところではあるが、鍛えれば鍛えるほど装備に依存しない強さを発揮してくれる職業となっており、ついでにお財布にも優しい。但し、盾がほぼ装備できないため*7呪文やブレスに弱い。女武闘家はリメイクで加わった”マジカルスカート”や”光のドレス”で多少はマシになったが男武闘家は耐性防具が皆無なので装備の女尊男卑の影響をモロに受けてしまっている。

この職業のみ外見が中華風のデザインになっている。
FC版では他の初期職業がジジイとかムサイオッサンとか三枚目ななか男武闘家はスマートな東洋風イケメンのため友達の名前を使いやすいという隠しメリットがあった。
女武闘家は髪を二つくくりにした勝気そうな女の子。

HD-2D版では専用防具が追加されており、男女関係なく耐性防具が増えているため格差は確実に縮まった。
ちなみにHD-2D版ではドラゴンキラーを攻撃力低下することなく装備できる。元々、旧作のドラゴンキラーは手甲型であったため武闘家が装備できても違和感のない調整である。
習得する特技は全体的に攻撃特化かつクセの強いラインナップ。
高レベルになると強力な連続攻撃「ばくれつけん」や単体バフ解除の「いてつく波紋」等でボス相手に活躍できるが、そこまでが遠い印象。
戦士以上に範囲攻撃武器に乏しく、持てるのはクリア後に手に入るはかいのてっきゅうのみ。特技も単体向けのものが中心であるため雑魚戦がかなり苦手。一応グループ攻撃の「まわしげり」があるが習得が遅い。
武器や防具も強力なものは中盤以降までお預けとなるため、序盤から連れ歩くと苦労させられがち。
最後に覚える「会心必中」はその名の通り必中+確定で会心の一撃が発動という強力な技だが、覚えるレベルが47と非常に高く、消費MPも64と極端に重い。
習得させるだけでもなかなか骨が折れるが、はぐれメタル狩りをしたいならこれとほしふるうでわがあれば非常に楽になる。
レベル上げの作業効率を上げたいなら1人は習得させたいところ。後半の武闘家は賢者以上にレベルが上がりにくいがそれだけの恩恵はある。
また、ステータス面はかなり優秀。全てのパラメータが平均以上の伸びを見せる上、前衛職に求められる力・身の守り・運の良さのいずれも高い成長率になっている。

  • 魔法使い
主に攻撃や補助の呪文を覚える
賢さとMPは高いが、それ以外は低めで装備できるものもあまり強くない。
特にHPの低さは深刻で、一発で倒されてしまうこともよくある。極力最後衛にしておきたいところ。
強力な攻撃呪文を使えるのは他シリーズ同様だが、本作では防御強化呪文「スカラ/スクルト」や攻撃力強化呪文「バイキルト」、その他「インパス」「トラマナ」「アバカム」といった探索に役立つ呪文も魔法使いが覚えたりする。
僧侶とは使える呪文が完全に棲み分けされているので序盤はこの2職業を加えるのが鉄板。後半は戦士職にするか僧侶/賢者にするかはプレイヤー次第か。
終盤は急激に素早さが伸び、武闘家の次に行動することが多い。
男性はとんがり帽子というかナイトキャップにも見える帽子にたっぷり白髭をたくわえたおじいさんの魔法使いであり、前述のような友達の名前にするのはちょっと躊躇うかもしれない。
いっぽう女性はとんがり帽子の若い魔女というビジュアルで後述の女性僧侶、賢者と並び人気があり
小説などでは勇者(男性)とフラグを立てるなど、別の意味でも目立つ存在だった。

HD-2D版でも基本的なところはリメイク前とあまり変わらないが、運の良さが影響する要素がかなり増えた*8ことで、運の伸びにくい賢者とは明確な差別化点が生まれた。
運の良さ以外のステータスも力以外は同等〜やや上回る程度の成長率で、レベルアップの速度も速いため、がっつり種を注ぎ込んだり高レベルでの転職を繰り返したりといったやり込みをしない限り、ステータス周りは概ね賢者よりも優秀。
また装備面でも賢者の持てないブーメラン系の武器を持てるという利点がある。序盤〜中盤の雑魚を相手にする際にはMPを温存しやすいほか、クリア後のある隠し要素を正攻法で突破する場合にはこの点がかなり重要になってくる。
また、それまでは産廃寄りだった『理力の杖』の攻撃力が96と船入手前では桁違いクラスになり、LVUP時の全快仕様やMP回復アイテムの増加も相まって上の世界では物理攻撃もなかなか頼りになる。
呪文要員にとって最も重要なやまびこのぼうしもちゃんと装備できるので、僧侶魔法さえ習得してしまえば賢者以上の活躍も期待できるポテンシャルを秘めている。
上述の通り銀髪ロン毛のイケメン男魔法使いなども作れるようになったため、そういう意味でもパーティには組み込みやすくなったかもしれない。

主に回復と補助呪文を覚える。
魔法使いと比べHPや攻撃力がそこそこあり、装備も勇者や戦士ほどではないがある程度強いものを装備できるため打たれ強い。
基礎的な回復呪文であれば勇者も使えるが、こちらは専門家だけあって幅広く使いこなせる上MPも豊富にあるため、旅の安定性に大きく貢献する。というかいなかったら半分縛りプレイになりうる。
補助魔法は防御力を下げる「ルカニ/ルカナン」、魔法を封じる「マホトーン」など地味ながら切り札になるものも少なくない。
攻撃系呪文は安定性が低いが、耐性が緩めに設定されており多くの敵に通しやすいという利点はある。
最序盤はそこそこ力が高いので攻撃に参加しやすいものの、中盤以降はほとんど火力が出ず、唯一の攻撃呪文のバギ系も相対的に低ダメージなので回復以外の仕事が無くなりがち…という理由で途中から賢者や前衛職に転職するという手もある。
女僧侶はオレンジ色の全身タイツに法衣を纏ったえらい攻めたデザインであり、40年近く経った現在でも色んな意味で人気。対して男僧侶は全く同じ服装なのにヒゲを貯えた中年というこちらもある意味で攻めたデザインである。

HD-2D版でも概ね似たような性能をしているが、身も蓋もないことを言うとちょっと不遇
というのも本作はレベルアップ時にHP・MPが全回復する仕様になった上、まもの使いも早い段階で回復系の特技を覚えるため、「序盤のヒーラー」としては僧侶が必須のポジションではなくなっている。
まもの使いの回復系特技には移動中に使えないという欠点もあるものの、それも勇者のホイミ等で概ねカバーできるため、僧侶が必要な場面が少なくなった。
その一方で装備やステータスは中途半端・器用貧乏気味のままのため、魔法使いとは違って賢者の下位互換というポジションから抜け出すこともできていない。何よりやまびこのぼうしを装備できないのが痛手。
ルカニ系が仕様変更を食らい*9使い物にならなくなったのも辛いところ。
ただ、ヒーラーとしての仕事こそ減ったものの、早い段階でバギやラリホーを覚えるので序盤の雑魚戦では頼もしい。特にラリホーはボス含め通る相手がかなり増えているため、覚えさせておいて損はない。
他にもニフラム・マホトーン・マヌーサ・マジックバリア・フバーハ等優秀な補助魔法を多数習得するため役に立つ場面は結構多い。
そういうわけで、今回も初期メンバーとしてはいてくれるとありがたい存在ではある。
他の職業同様外見のバリエーションは増えたものの、服装はみんな揃って例のタイツであるためやっぱりちょっと際どい。ヒゲタイツよりはタイツ姿のイケメンの方がマシかもしれないが…

  • 遊び人
運のよさと成長速度が高い。
が、他の能力は大したことがない上に戦闘中に勝手に遊びだすことがあり、レベルが上がるほど更に遊びがちになるというどうしようもない職業。しかもFC版では遊び人にだけは転職できない(リメイク版以降は可能になった)。
一応攻撃などプラスになる遊びもあるにはあるが、敵味方無差別に状態異常を撒いたり、急に麻痺する事でヒーラーのAI行動を麻痺回復に誘導され味方の一手を削ってくるなど明確に足を引っ張る事の方が多い。

公認の縛りプレイ専用職業ではあるのだが、遊び人に限りLv条件のみで賢者に転職することが可能となっている。
ぶっちゃけその為に遊び人を連れまわすぐらいなら普通に攻略して魔法使いなどを賢者にした方が圧倒的に楽ではあるのだが、
賢者は通常プレイでは複数人用意するのが難しいのでそういう場合に遊び人を起用するというのはありうる(特にリメイク版)。
リメイク版ではモンスターを呼び寄せる「くちぶえ」の特技が追加されており、賢者にした後のLV上げ目的で起用するというのもありだろう。
ビジュアルは男性はピエロ、女性はバニーガールとなっている。

HD-2D版では、なんとランダムな「遊び」はそのままに数多くの有用な特技を習得して帰ってきた
稼ぎに依然有効な「くちぶえ」はもちろん、1人の麻痺・眠り・混乱を治す「ツッコミ」を早期に習得できる。
特に「魔力かくせい」は重ね掛け可能な攻撃呪文の威力上昇という「賢者になったらこれを使え」と言わんばかりの強力な特技であり、やりこみ要員に留まらない魅力を放っている。
また前述の通り重要度の高い運の良さの伸びが全職でもトップクラスであるため、その点でも転職時に遊び人を経由させておくことの旨みは大きい。
一方で魔力かくせいの習得レベルが45と非常に高く、初期から連れ回して行くのははっきり言って苦行の域なので、本格的に育成環境が整ってからになるだろう*10
一応ムチやブーメランを持て、こっそりやまびこのぼうしにも対応していたりと装備面はそこそこ優秀。とはいえ結局遊ぶので全然信用ならないが。

そして他の職業と同様新しいビジュアルを引っ提げてやってきた。
まずはルックスB(女性)!バニーちゃん2種(従来のもの+ローポニーテールとリボン)に加え、
ショートヘアに猫耳と長ーい尻尾を付けた子猫ちゃん1種、三つ編みに犬耳とくるりん尻尾の子犬ちゃん1種と無敵の布陣。
次に問題のルックスA(男性)!従来のピエロとシルクハットを被ったマジシャン風のおじいさん。これはまあいい。
伸ばしきったロングヘアのお兄さんピエロ、なんだか表情が険しすぎてそこはかとなく危険な香りが漂っている。
そしてもじゃもじゃ頭のおっさんピエロ…愛嬌なんざかけらもない、ヤる気に満ちたその険しい表情で睨みつける先には笑いではなく不穏な何かが訪れそうである。
もっともどのビジュアルでも性能が変わったりはしないが。

  • 商人
時々戦闘後にさらにゴールドを拾うことがある。また商人だけにアイテムを鑑定する能力も持つ。
一応戦士職相当らしくHPや装備できる武具は戦士に近いのだが、本職ほどではないため見劣りしがち。
商人専用装備は優秀ながら安価なものがあり成長もかなり早いため、転職前提で行くなら有用キャラになるだろう。
リメイク版では差別化としてか後発作品の特技である「あなほり」「おおごえ」が追加された。
デザインはアラビア風。男性はターバンを巻きヒゲを蓄えた、いかにも行商人っぽい風貌。
女性は小柄で髪をひとつくくりにした、快活な雰囲気の女の子というかほぼ初期のブルマの色違い

HD-2D版では他の物理職同様習得する特技が増え、ステータス的にもちからの伸びが良くなるなど戦闘でも活躍させやすくなった。
特技のラインナップ自体は他の物理職に見劣りするものの、全体的に習得が早いのが魅力。序盤は早期に覚えるダメージ固定の全体攻撃「石つぶて」が便利で、ある程度育ってくると攻撃力依存のグループ攻撃「ぶんまわし」も使えるようになる。
下級のものならブーメランを装備することもできるため、序盤〜中盤の雑魚戦では火力要員として戦士や武闘家よりもあてにしやすい。攻撃力バフの「ちからため」があるためボス戦でもやっていける。
あなほりやおおごえも結構役に立つので、転職前提で連れて行くぶんにはなかなか頼もしい。ぶんまわしを覚えたあたりで戦士や武闘家に転職すればネックになりがちな範囲攻撃の乏しさをカバーできるし、魔法職でもりりょくの杖を装備してのぶんまわしが意外に強力。
最後に習得する「ぐんたいよび」はゴールド消費がネックになるものの密かにかなり強力で、ぶっ壊れと評判の「まものよび」同様守備力無視の連続攻撃となっている上、最大火力ではまものよびを上回る。
また、はやぶさの剣を装備できる職業の中では頭ひとつ抜けて鈍足であり、安定して呪文要員よりも遅く行動できるため、ラリホー→ヒュプノスハントのコンボを狙うのには最適だったりもする。
ただし運の伸びが悪く、ヒュプノス要員にする場合盗賊からの転職が必須、ぐんたいよびもまものよび以上の火力が欲しいならかなりのレベル上げが必要、と最終職として本領を発揮させたいなら少なからぬやり込みを要求される。

あるゲームクリアに必要な重要イベントの人柱要員でもある。
FC版ではそのイベントで外すと二度と戻ってこないので注意が必要(リメイク版以後はイベントを完遂すると戻ってくる*11

+ FC版の上記イベントに関するネタ【若干ネタバレあり】
上記の通り商人と別れるイベントが存在するのだが、この関係で商人は当時を知る人からは若干ネタ枠感がある。
というのも街の名前は「(商人の名前)バーク」になり、FC版は商人のビジュアルが変わるようになっている。
まず前者の性質より連れてくる商人の名前を「はん」または「すひ゜る」にすることは当時の子供たちはまずやったことがあるだろう本作あるあるネタの1つである。
本来は商人の名前の後につく固有名は「バー」なのだが、「バー」や「ーク」と無理やり当てはめたまたは間違われて覚えられていた。


後者だと、街が発展すると商人のビジュアルが道具屋(または武器屋)の店主のビジュアルになる。

男女問わず。

男性なら発展度合いにに合わせて着替えたり風貌が変わったのだろうか、といった補完もできたのだが
それでも発展が進むと道具屋のおっさんが玉座に座るという微妙なビジュアルになるのだが。
女性だと突然おっさんのビジュアル化&口調もそれ相応のものになるというある意味衝撃的な場面に出くわすことになってしまう。

また段階問わずこの街にはルーラで直行することができない。したがってレベルが低くやられやすい商人に「はんにゃのめん」をつけて守ることもよくあった。
はんにゃのめんは防御力は最強なのだが装備すると呪われて混乱してしまう。しかし商人の生存が第一な上レベルが低い。
さらに前述の帰ってこない前提のため混乱デバフも無視することができた。
つまり呪われたまま開拓地へ放置されることとなるのもわりとネタにされがち。
呪われて混乱したまま置いていったから商人はああなったのだろうかとネタにされがち。

……以上の通り、このイベントには商人に関わるネタが多いのだが、特にFC版の通常プレーではあまりパーティーに採用されない商人のハイライトとも見ることができる、かもしれない。

なおリメイク版では商人の性別に応じてグラフィックや演出がちゃんと変わるようになった。
細かいところでは劇場の出演者が男性商人だと女性、女性商人だと男性になっているなんて変更点も。……が、タンスのアイテムは男女共通なためイケメンが楽屋にガーターベルトを忍ばせているというちょっとアレな字面に
また、HD-2D版ではこれらに加えてルーラで直接移動する事も可能になっており、大幅に利便性が向上した。


  • 盗賊
SFC以降のリメイク版から登場。尤も”D&D”や”Wizardry”でもおなじみの職業であるため初代でも容量が許せば導入される予定だったらしい。
比較的平均的な能力だが素早さが高い。そしてこの手のRPG作品では珍しく装備も優秀。
とうぞくのはなにレミラーマとちいさなメダル集めには欠かせない職業。さらに「戦闘終了時にドロップアイテムを盗んでいる事がある」特徴を持っており、レベルが上がる&パーティーに盗賊の人数が多いとさらに確率を上げることができるため、レアアイテム狙いの時にも重宝する。
レベル20で全ての特技を習得する為、最初に仲間→転職がオススメ。
上記の通り素早さが高いとその分守備力もあがる為、星降る腕輪と組み合わせると戦士以上に堅くなる。”魔法の盾”と”ドラゴンシールド”双方を装備できる*12ので呪文&ブレス対策もばっちり。
また、呪文であるレミラーマを覚える関係で、前衛職にもかかわらずMPが伸びる。本気で最強キャラを育成する場合はMPが成長する関係と装備で女性のこの職が最終職となることが多い。
GBC版ではモンスタから他のアイテムをドロップしたり盗んだ時、モンスターメダルはドロップしない効果によりやや不憫になっている。
男性は銀髪のイケメンなのでやはり友達の名前にしやすい。一方で女性は顔立ちは整っているが肌が浅黒く唇が大きめという当時の日本人男子に敬遠されがちなヴィジュアルをしている。

なお、DQ3では戦闘中に道具使用で特殊効果がある武器を道具使用できるのは「その武器を装備できる職」だけだが、SFC版のみ盗賊は勇者が装備可能で盗賊が装備できない武器でも道具使用できるというバグがある。
そのため”雷神の剣”や”稲妻の剣”で呪文ダメージソースになることもできる。

HD-2D版では習得可能な特技が大幅に増加。
中でも最後から2番目に習得する「ヒュプノスハント」は眠り・混乱状態の敵に6倍ダメージと強力無比。
ボス含め眠り耐性の低い敵がかなり増えたことも手伝い、後述の魔物呼びと並んで終盤のダメージソースとなる。
ヒュプノスハント以外にはデバフ効果付きの物理攻撃を多数覚え、特に混乱付きのグループ攻撃「らせん打ち」は戦士・武闘家へ転職する場合対雑魚向けの火力源としても頼りになる。
それ以外にも序盤から使える追加ダメージ付き単体攻撃「ウイングブロウ」、メタル狩りに便利な「アサシンアタック」、エンカウント率低下に加え一部のモンスター保護に必要な「しのびあし」など有用なものが揃う。習得も全体的に早く、転職させたい場合にあまり粘らなくて済むのも利点。
装備に関しても序盤はムチやブーメラン、終盤ははやぶさの剣なども装備できるためかなり恵まれている。
一方、素早さが守備力に影響しなくなり、新たに実装された身の守りの成長率も低めに設定されているため、装備が整うまでは物理攻撃に対して脆くなりやすくなってしまった。
突出して伸びやすい素早さ以外は良くも悪くも平均的な成長率だし、呪文要員としてはやまびこのぼうしに対応している賢者・魔法使いにどうしても勝てず、さらに他の物理職もMPが伸びるようになったため、最終職としてはこれ一択というポジションではなくなった。
装備周りは相変わらず優秀だし、物理職の中では比較的運が伸びやすいほうなので、もちろん上位候補には入ってくるが。

  • まもの使い
HD-2D版からの新職業。初級職なので冒険開始直後でも連れていける。
レベルアップ以外にも、邪気の影響から逃れたはぐれモンスター達を保護する事で技の習得・パワーアップが行えるという特殊な性質を持つ。
また、まもの使いをパーティーに加えていると、アイテムや魔法などを使用して警戒を解かないと逃げてしまう一部のモンスターを無条件で仲間にできる。
序盤から仲間にしてモンスターをどんどん保護するか、保護モンスターが増えた終盤に転職させて戦力を一気に増強するかが悩みどころ。

ルックスの方もなかなか恵まれており、服装は男女ともに毛皮の服や獣の爪などをあしらったアクセサリーを身につけたワイルドなもの。
男性は顔に傷痕のある精悍なイケメン、女性は強気そうなロングヘアのお姉さん、といった雰囲気。

特に保護モンスターが増えるほどダメージが増える「まものよび」や、数ターンの間2回行動ができるようになる「ビーストモード」は強力無比。
まもの使い単独の主力技としては勿論、どちらも転職しても活用できる強力な特技なので、本命職業の下積みとしても優秀である。
上記二つが特に強力であるが、全体回復のやすらぎの歌や単体回復のけづくろい、攻撃力低下のやいばくだきなど序盤ではサポート役として優秀な特技を覚える。
ムチやブーメランを扱えるので対雑魚では頼もしいアタッカーにもなるだろう。
欠点としては魔物使い自体はステータスの成長が全体的に中途半端であり、さらには防具が中盤以降耐性防具が少ないことが露呈してくるので、最終職業には向いていない。
後半に覚える特技に微妙な効果のものが多いこともその点を助長する。

僧侶と魔法使いの両方の呪文を覚え、どの能力値も低くなく、武器も強力なものを装備できる素敵職業。本作では唯一の「上級職」ポジションである。
他職よりもレベルアップに必要な経験値が高いが充分な活躍をしてくれる。何よりカッコイイし可愛いし可愛い。

最初から仲間にする事は出来ず、「さとりの書」を持った状態で転職するか遊び人から転職という根競べをするかの2通り。
さとりの書は転職可能になるタイミングの付近で1個はすぐに入手できるのだが、2個目以降の入手は非常に大変なため、
遊び人ルートを経由するつもりが無ければ基本的には1人だけ賢者にすることになるだろう。

HD-2D版ではしんりゅうからあるアイテムをもらうことで縛りなしでの転職が可能になる。
…もっとも、最低でもしんりゅうを2回倒す必要がある上、他に有用な願い事があるため手に入れた段階でかなりやり込んでいることになるが。
先に述べた通り、今作ではステータス面で魔法使いに差をつけられている。
特に運の良さの伸びはかなり悪い。魔法職では物理職ほど重要性は高くないとはいえ、デバフ抵抗が不十分になりがちなのはやはりネックになりうる。ある意味遊び人から転職させる理由ができた、とも言える。
とはいえ装備周りではブーメランを持てないこと以外概ね魔法使いより優遇されており、やまびこのぼうしにもちゃんと対応しているので、着地点をどちらにするかはお好み次第といったところ。

【世界観】

本作のワールドマップはアリアハンを除き、現実の地球の地形をモデルにしている。
アリアハンからスタートするので最初は分かりづらいが、歴史に詳しい人ならロマリアやポルトガに着いた時点で気づくだろう。
そういう世界の広がりを感じやすくなっているのも本作の魅力と言える。
ちなみにロマリアがイタリア(「ローマ+イタリア」でロマリア)、ジパングは日本、ノアニールはノルウェー、ポルトガはポルトガル、シャンパーニはフランス等に相当。
もちろん位置だけでなく国の文化や風習・世界史的素養もベースにし、一部には風刺も取り入れており、ニヤリとすること間違いなし。
なお、アリアハン大陸は伝説のムー大陸をモデルにしている。


以下、作品の核心を突く重大なネタバレ

+ ...
実はバラモスを倒しても終わりではなく、地下にあるもう一つの世界「アレフガルド」へ乗り込み、真の元凶である大魔王「ゾーマ」を倒すことになる。
ん? アレフガルド……? どこかで聞いたことのあるような地名……。
そう、DQ1の冒険の舞台となったあのアレフガルド。(といってもDQ1のFC版では作中にこの単語は登場せず、説明書に書いてあるのみ。)
DQ2で竜王の曾孫と出会ったあのアレフガルドである。
DQ1・DQ2をプレイした人なら、アレフガルドという単語を知らずとも地下世界に降りた直後のBGMで思う所がきっとあるはず。
(リメイク版では、FC版で容量の関係で実現しなかった街・ダンジョンのBGMも……)

そしてラダトーム、ひかりのたま、詩人ガライ、にじのしずく……。
ロト編をプレイした者ならではの数多くの既視感に襲われながら旅は進んでゆく。
旅路の果てに待ち受ける衝撃の事実、ロト伝説の真相は……。
是非その目で確かめてほしい。

ちなみにドラクエシリーズでは以後の定番となった「二つの世界」は本作が初出だったりする。


【FC版の話】

タイトル画面は真っ黒の背景に

DRAGON QUEST Ⅲ

の白文字のみで、BGMすらない。容量がどうしても足りず、タイトル画面を削るしかないと判断されたため。
あぶないみずぎとか水鉄砲イベントとか幽霊船BGMとか、他にいくらでも削れるところはありそうだが、堀井雄二としてはこだわりポイントだったのだろう。
しかし、この静かなタイトルが、逆に凄味を感じさせたという意見もある。それ故、容量問題の無いHD-2D版でも、通常のタイトル画面が表示される前にこの黒一色のタイトルが一瞬だけカットインされる。
ここで序曲を流さずエンディングの祝賀会で流す*13ことで「そして伝説が始まった」という言葉をより引き立たせている、と解釈も出来る。

ただしこの件について、チーフ・プログラマーの内藤寛が以下のように言及している*14
『ファミコン版ドラクエ3は、容量が足りなくてタイトルロゴ画面を削った』という情報が流布していますが、それは違います。
気が付いたら入れるスペースが残って無かったんです!だからそもそもロゴは作ってないんです!
他の仕様を入れる為に、①『すでに作ってたタイトルデータやプログラムを削った』のではなく、
仕様をドンドン入れていったらタイトル入れる容量がなくなっちゃったんで②『未着手のタイトルの作業を削った』のよ
だからデータもプログラムも作ってないねん
「泣く泣くタイトル画面を削った」―――というより、「入れたい内容を入れていた結果、スペース自体がもう無かった」というわけである。
堀井らディレクション担当視点でも矛盾はないため、内藤ら現場の開発担当の視点でより詳しい裏話が語られた形になった。
「じゃあ、海外版にタイトルがあるのは?」と思われるが内藤はそれに対しては「海外版は単純に容量が多かったから(要約)」と返答している。

カセット内蔵のバックアップにより「冒険の書」が採用されたのはここから。
「呪われた時の効果音」はDQ1から同じ物だが、「冒険の書が消えた時の効果音」との認知の方が上回るくらい皆のトラウマを植え付けた。
最大52文字だったDQ2の「復活の呪文」。
もし本作をバックアップ無しの「復活の呪文」にすると……最大800文字くらい必要になるかも、という話。
2020年にはFC版初期ロムにて「りせっとをおさずに でんげんをきると ぼうけんのしょが きえてしまうばあいがあります!!」の表示後に
電源をON/OFFすると保護中のバックアップのメモリがグチャグチャになるバグの研究がなされ、話題となった。*15
再開時の所持アイテムなどのメモリは本体の機種(互換機など)や温度、電源を落とした時間などによって変わり、
メモリが優秀なものだと、ゲームスタート直後にレベルがカンストし、「にじのしずく」を手に入れ、ルーラの行き先にアレフガルドの地域が登録されていきなりゾーマの元に行くというRTAでの活用も可能。

本作は仲間キャラを任意で設定でき、基本的に勇者も含め特定のキャラが居ないと進行しないイベントは(イエローオーブ入手に関わる商人加入を例外として)ない。
なので基本の4人PTだけでなく勇者+仲間との二人旅や、勇者を早々に棺桶にぶち込んでの3人旅、そしてオルテガの後を追うかのような勇者一人旅が一応可能である。
ただし仲間キャラの数に応じた補正などは一切かからないので、正規の4人PTに比べると難易度は一気に上がる。
FC版でも勇者1人旅の達成例はあるが……途中のバラモスを倒そうが報酬は全くない上に、そこまでだけでもSFC版よりかなり難易度が高い。
ボスの能力値だけ見るとFC版の方が簡単そうに見えるが、互いの被ダメージ値や命中率の計算がFC版ではSFC版よりプレイヤー側が辛いのだろう。
あとFC版は敵のHPの設定の関係から自動回復100を持っているボスが多いのも理由である。(一人旅だと突破が極めて難しい) 
リメイク版ではバランスがややマイルドに調整され、2人旅ぐらいならどうにかなるので試してみるのも一興。一人旅の場合、バラモスを倒すと特別な報酬が貰えたりする。

開発途中で没になったアイテムに「しのオルゴール」と「ちいさなメダル」がある。
普通のプレイで入手は当然不可能だがバグ技で入手可。
ちいさなメダルはFC版IVからの実装だが、本作で構想はあったらしい。
SFC版にはすごろく場と共に実装。
ちなみにしのオルゴールは、ゲームブックでは幽霊船を呼ぶ重要アイテムとして登場する。


【リメイク版】

社会現象を起こすほどの超ビッグタイトルということでリメイクも多いのだが、発売時期によって結構細かい違いがあったりする。

  • SFC版
最初のリメイクということで、新職業の盗賊、すごろく場、性格設定など後発のリメイク作品群にも共通する大規模な改修が行われている。
直前作がDQ6であるため、モンスターの攻撃アニメなども盛り込まれている。
BGMはオーケストラアレンジをベースにしており、SFCというハードの性能を限界まで発揮した名曲の数々は今なお非常に評価が高い。
バランスに関してはFC版よりは易しめになっているとの評が多く、盗賊やブーメランなどの新要素を活用しすぎるとぬるくなってしまうという意見も。前述したように女尊男卑も指摘される。
総じて「SFC究極のドラクエ」というキャッチコピーに違わぬ名リメイクとして評されている。

  • GBC版
ゲームボーイカラー専用タイトル。
基本的にはSFC版をベース(BGMはFC版準拠)に追加要素が加えられており、バランス等も概ねそれに準ずる。
通信機能を活かす前提のモンスターメダル、それを集めることで行ける更なる隠しダンジョンといった要素が追加されている。
余談ではあるがキメラの翼にとある致命的なバグが存在し、初代ポケモンも真っ青なバグプレイが出来る作品でもある。

以下裏話
+ ...
没データとしてⅣのモンスターメダルが丸々入っており、後年GBCでⅣを開発する予定だったのがPSに移行したことが明らかにされている。
上記のバグ技で発売当時から出現してしまった人もおり、現在も画像含めて動画サイト等で広まっている。

  • 携帯アプリ版
SFC版をベースに、当時の携帯電話アプリで動かすための調整(モンスターのアニメ削除、すごろく場の削除、リメイク版の新規追加BGM削除など)が行われている。
また、ドラゴンクエスト4以降の定番となっているAI戦闘システムも追加されている(「めいれいさせろ」も当然ある)。
ダーマ神殿の奥にある卍マークはハーケンクロイツを彷彿とさせることから田マークに変更された。

本作のタイトルが『ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』である事から分かる通り、
FC版とSFC版のロト三部作の全タイトルがこれ一本で楽しめる欲張りセットになっている。
ドラクエ3についてはFC版とSFC版が収録されており、中断機能が新たに使用できる。

SFC版からグラフィックなどを全て一新したリメイク版。グローバル展開もここから。
といっても実際には携帯アプリ版をベースにグラフィックやサウンドなどを一新しているもので、
AI戦闘などが継承された一方で、機器の性能向上で可能になっているはずのモンスターのアニメーション、すごろく場が無かったりする点まで継承してしまっている。
BGMについても同様だが、「戦いのとき」「街の人々」「ラダトーム城」は復活している。
いずれもベースがベースなだけにお値段が安く、気軽にプレイしやすいのは利点だろう。



そして 追記修正が はじまった!!

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  • DQ
最終更新:2025年03月25日 14:41

*1 一応「むっつりスケベ」という類似した男性用性格はあるが、成長補正はセクシーギャルより全体的に低く、運の良さにマイナス補正がかかる。それでもバランス型に育てたいならそこそこ優秀な部類だが、セクシーギャルが強すぎるためあまりに不釣り合いであるのは言うまでもない。他にも「おちょうしもの」という賢さと素早さの補正が優秀な性格があるが、なんとセクシーギャルの下位互換である。

*2 ガーターベルトは装備不可、エッチな本を使った場合もむっつりスケベになるため後天的に変更することは不可能

*3 飛ばされたメンバーは戦闘後に走って帰ってきてパーティに復帰する

*4 作中のキャラグラフィックだけでなく、公式のイラストでも勇者だけ男性のイラストしかない。わかりやすいところだとパッケージイラストで勇者以外は男女が左右に並んでいるが、勇者は男性だけがセンターに単独で存在する形になっている。

*5 FC版では戦闘コマンドが4つしかなく、先頭キャラが呪文が使える場合「たたかう・じゅもん・ぼうぎょ・どうぐ」からぼうぎょが削られてにげるに差し変わるため、防御ができなくなる。FC版DQ3には「ぼうぎょこうげき」の裏ワザがあるため、これを先頭キャラからやらせたい場合は先頭キャラを呪文を習得していないキャラにする必要がある。

*6 攻撃力は「黄金の爪」の方が高いが、FC版ではピラミッド外でもエンカウント率が激増する仕様になっており、実用性という面では難がある。しかもFC版で武闘家にマイナス補正がかからない武器はこの2種のみなので、ほとんどの場合鉄の爪を最後まで使い続けることになるだろう。

*7 FC版は皆無、リメイク版でも新規追加された盾のうち装備できるのは”おなべのフタ”と”風神の盾”のみ

*8 物理攻撃のダメージや会心率等。加えてボスを中心にデバフを多用する敵が増えたため、本来の効果であるデバフ抵抗率の上昇も相対的に重要度が高まっている

*9 内部的には守備力を下げるのではなく物理攻撃の最終ダメージを増やすという仕様になっている。そのため守備力の高い敵に物理攻撃を通すためには使えなくなった

*10 余談だが発売直後はこの情報が一人歩きして遊び人を推奨するような動画や攻略サイトが散見され、遊び人の仕様を知っている既プレイヤーからはツッコまれていた

*11 FC版でも復帰するはずだったが没になったことが開発者インタビューで触れられている

*12 魔法の盾は武闘家以外の職業は装備できるが、ドラゴンシールドは勇者と戦士と盗賊のみ

*13 曲名は『ロトのテーマ』となっている。

*14 2020/08/14に自身のYouTubeチャンネルに投稿した動画が初出。以下は2024/11/17にSNS「X」に投稿したポストより引用。

*15 バグの発見自体は2007年にされており、似たバグのアダプタバグは2001年に発見。