歴史にドキリ

登録日:2022/01/14 Fri 17:50:36
更新日:2025/05/17 Sat 22:55:28
所要時間:約 6 分で読めます












概要

「歴史にドキリ」は2012年よりNHKEテレで放送されている小学校6年生を対象とした10分間の歴史教育番組。
2011年に行われたNHKの大幅な放送内容改変に伴い新設された「NHK for school」の番組の一つ。
歌舞伎役者として知られる中村獅童が歴史上の様々な人物に扮し、歴史(日本史)のドキリとするポイントを学ぶ。

前番組の「見える歴史」の人形劇から雰囲気が一新され、大幅に親しみやすくなった。
序盤の偉人による語りや途中で挟まる歌など、教育番組らしからぬバラエティ要素が特徴で、歴史を楽しく学ぶことができる。
この点はtvkなどの「戦国鍋TV」シリーズによく似ているが、こちらは全ての時代を扱っている上に毎回真面目な解説VTRもあるため、教育面も問題なし。

現在も地上波放送されている他、スペシャル番組を除いてNHK for school公式サイトで少し画質は悪いものの全人物分が閲覧可能。
ドキリ★ソングブックとして歌もまとめられているので、歌だけ聞きたい人も安心。
違う格好をした中村獅童がズラッと並び、違う人物であるかのように扱われている様子はとてもシュール。

次番組として、2020年から始まった歴史の内容を少し含む公民教育番組「社会にドキリ」がある*1



構成

「縄文時代と弥生時代」と「戦争そして戦後」を除き人物ごとに番組が区切られており、人物メインで歴史を学ぶ。
歌川広重や近松門左衛門、福沢諭吉にそれぞれ一枠割くなど、全体的に文化人や脇役の割合が多め。
そのため時代情勢などその人とは直接的な関連のない事柄を紹介する際は、前半にメインの人物の紹介をして、後半にそれらの紹介を回す構成も多い。
世界大戦以降はその時代を象徴する人物があまりいないのか、一纏めにされてしまっているので詳しく学びたい場合は注意。

オープニング

ここは中村獅童歴史研究所。
胸がドキリとするような歴史を研究するため、彼は歴史上の偉人に変身している。

ナレーションは垂木勉。
中村獅童が本棚がたくさんある場所で回転してから見得のポーズを取る。

語り

中村獅童扮する歴史上の偉人による語り。もちろん卑弥呼をはじめ女性偉人にもなりきる。
赤と白を基調とした近代的な書斎のような小部屋で話すのが基本。部屋にある額縁やテレビにはその人物にちなんだものが映っていることが多い。
小さくプロフィールが現れ、聖武天皇が囲碁好きだったり大久保利通が漬物好きだったりという小話も知ることができる。

彼らは現代社会に存在していて過去を振り返っている(一部はリアルタイムで出来事が進行している)設定で、インターネットなども軽々と使いこなす。
鑑真がスマホの音声認識機能で航空会社に電話し、中国から関空までにかかる時間がたったの3時間だと知り驚愕するなどユーモラス。
各人物の性格も豊かで、力強い人物から冷静沈着な人物、陽気で朗らかな人物など多種多様。

何かに熱中しているなどでこちらの存在にしばらく気付かないパターンも多く、呼んでもないのに「呼んだ?」と出てくる人とは対照的である。

VTR

江崎史恵アナウンサーのナレーションによる人物紹介VTR。
再現イメージ映像やイラスト、当時の書物などの資料がふんだんに使われ、視覚的な理解を助ける。
VTRは合計6分ほどの短さで要点がまとめられており、見飽きることも少ない。
特に大事な部分は「ドキリ★ポイント」と称され、歴史にドキリとする部分としてピックアップされる。

ドキリ★ソング

本番組の目玉要素。 VTRの間の番組中盤に挟まることが多い。徳川家康のみ編成が特殊で、2曲ある。
偉人に扮した中村獅童とバックダンサーがその人物の活躍を本人目線で紹介する歌「ドキリ★ソング」を歌いながら踊る。
バックコーラスの独立パートが多いのが特徴。デュエットのようにパート分けをして歌うのも一興。
作曲は前山田健一(ヒャダイン)、振付、バックダンサーは振付稼業air:manが担当。

こちらも要点が歌にまとめられており、この歌を楽しく歌い、PVを見るだけでも歴史をある程度理解できるのが大きな魅力。
歌詞中に時代背景、人物名と活躍がほぼ必ず網羅されているので、歌詞なしで歌えるようになるだけでざっくりとした解説ができる力は身に付く。
同じく歴史を題材にした楽曲を制作するアーティストとしてレキシやエグスプロージョンなどが存在する。

豊臣秀吉「関白宣言(秀吉流)」*2西郷隆盛木戸孝允「TOU-BAKU」*3などなど、ほとんどが今昔問わない有名曲のオマージュ
とは言っても大幅にアレンジが加えられて原曲とはかなり異なっているのでほぼ別物として楽しめる。
ポップスにバラード、ロックと曲調は様々で、各々の楽曲としての完成度も高い。
陸奥宗光・小村寿太郎の「We can stop the 不平等」*4では陸奥宗光役として作曲の前山田健一も直接出演した。
上杉謙信役として山本耕史もゲスト出演する武田信玄・上杉謙信のドキリ★ソング「戦国の(ゆう)たちよ」は特にかっこいい。
歴史にほとんど触れていないが、武将のように己の道を拓いていくことを説く歌詞に山本耕史のギターソロが相まってこの上なくシビれるので気にしすぎてはいけない。

踊る場所は語りパートと同じ書斎が基本だが、照明により全く異なる印象を感じさせたり、大きく動くカメラワーク、合成背景や違う空間で踊る場面に頻繁に切り替わったりするなど、演出にも強いこだわりが見られる。

振り付けにはその人物を象徴する動き(ザビエルなら胸の前で手を交差させるあのポーズ、紫式部なら筆で執筆する動きなど)が取り入れられているので、自然と印象に残りやすい。
その中でも人形浄瑠璃や歌舞伎の脚本家で知られる近松門左衛門の回*5では、女型の中村蝶紫とともに実際に歌舞伎の演技が行われた。
題目は恐らく本編でも取り上げられた「曽根崎心中」。同時に人形浄瑠璃文楽座による人形の操演もあり、非常に豪華となっている。

足利義政や杉田玄白など、歌う前と歌っているときで人物のキャラが大きく変わるものもある。

エンディング

ドキリ★ポイントのおさらいとメイン人物が偉業を起こした年を覚えるためのゴロ合わせを教えてくれる。
しかしゴロには少し無茶な面があり、文化人の場合はそれほど年は重要ではないので無理にそのゴロで覚える必要はない。
特に平塚らいてうが雑誌「青鞜」を創刊した1911年の語呂は 「いくわよ!いい?」と全く関係のない前口上がゴロになってしまっている




展開

各地の学校でドキリ★ソングが歌われ、実際に踊られることもあるなど番組は評判となった。
派生として、公民科目の「くらしと政治」も4回分放送された。
年末年始に10分の教育番組としては珍しく3回スペシャル特番が放送された。

第1回「ロワイヤル・スペシャル」では卑弥呼を司会に、ドキリ★ソングを様々なランキング形式で放送した。
第2回「ラグジュアリー・スペシャル」では再び卑弥呼をMCに置き、偉人たちによる歴史クイズバトルが繰り広げられた。
画面に何人も所狭しと中村獅童がざわめき、流れる歌も中村獅童…と、中村獅童だらけの一時間はまさにカオス。
足利義政は頼りないおじいちゃんっ子キャラに変わっており、義満おじいちゃんに携帯電話で答えを聞こうとするなど姑息な一面も見せた。

第3回「フラワー・バーニング・スペシャル」では当時放送直前だった大河ドラマ「花燃ゆ」とのコラボが実現。
今回は流石に中村獅童だけではなく、花燃ゆに出演するキャストたちもゲスト出演した。どこかの時代調査員も混じっているような…?
花燃ゆの舞台である幕末中心の歴史紹介がされ、オリジナルのドキリ★ソングも三曲発表された。

これらは現在の公式ページでは公開されていない。





…ドキリとしたかな!?

2198年はとあるWiki籠もりがwiki拡大運動を行った年。こう覚えてみては?


(21)(9)(8)修正! アニヲタWiki

それではまた。




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最終更新:2025年05月17日 22:55

*1 実際中村獅童扮する卑弥呼の写真がスタジオに飾られていたりする

*2 さだまさし「関白宣言」一部秋川雅史「千の風になって」のようなパートもある

*3 THE BLUE HEARTS「TRAIN-TRAIN」

*4 DA PUMP「We can’t stop the music」

*5 ドキリ★ソングは「ああ愛しきは 江戸の・世・PEOPLE」。恐らくperfume「レーザービーム」のオマージュ。サビのメロディは同氏作曲の「東雲研究所の、今日も平和です」にも似ている