トドラ(ウルトラ怪獣)

登録日:2022/02/16 Wed 23:35:50
更新日:2023/10/03 Tue 07:51:38
所要時間:約 4 分で読めます





トドラは、『ウルトラQ』第27話「206便消滅す」に登場した怪獣。


●目次

【スペック】

別名:四次元怪獣
身長:30m
体重:2万5000t
武器:巨大な牙・ヒレ
出身地:四次元空間


【概要】

8メートル*1もある巨大な牙が特徴なアザラシのような姿をした怪獣。だが名前はトドである。
劇中ではトドラの名前は出て来ず、万城目に「巨大なアザラシ」と呼ばれた。
牙があるならセイウチではないか?と思うかもしれないが、実際はセイウチやトドといった同種の特徴が融合したような存在
鳴き声もに似ており、アザラシやトドとはまったく異なる。

濃い霧が無限に広がる氷原のような、謎の異空間を住処にしており、世界各地の空に乱気流の雲を発生させて飛行機の消失事件を発生させていた。
少なくとも第二次世界大戦の時代から四次元の雲は出現していたようである。

この四次元空間にはゼロ戦などの戦闘機の残骸や球状のダイヤモンドがあちこちに転がり落ちており、空間に迷い込んだ者を侵入者とみなして襲い掛かる。
基本的に自分のテリトリーである四次元空間の外に出てくることはないので、(空間に侵入さえしなければ)人畜無害な怪獣と言える。

巨大なヒレや牙を武器として扱い、アザラシ型というだけあって水中では動きは速い*2が、陸上では動きが鈍い。
また、自分のテリトリーである四次元空間の中であれば霧を纏って自由自在に移動したり姿を現すことができる様子。

この他、怪獣図鑑によれば口から何でも溶かしてしまう霧を吐けるらしい。


【あらすじ・本編での活躍】

香港で開かれたパイロットの講習会に出ていた万城目と一平は、国産初の超音速旅客機206便に乗って日本に帰国中だった。
だが東京の上空まで差し掛かった時、突如として激しく渦巻く異様な雲が現れ、206便は飲み込まれて消滅してしまう。

地上各地のレーダー基地では206便の機影が捉えられず、飛行音だけが響くという異常事態が起きており、空港で待っていた由利子や一の谷博士たちを悩ませる。

206便は深い霧だけが広がる謎の空間に不時着しており、目を覚ました万城目たちは同乗していた刑事が護送中だった殺人犯・オリオン太郎によって機長、副長と共に外に連れ出されてしまう。
謎の空間は戦闘機の残骸やダイヤモンドがあちこちにある異様な世界だった。
万城目はダイヤモンドを見つけて夢中になるオリオンの隙を突いて拳銃を奪おうとし、乱闘の末にオリオンは霧の中に落ちて消え去ってしまった。

そこへ万城目たちの乱闘騒ぎで侵入者と認識したか、トドラが深い霧の中から出現した。
オリオンの流れ弾で負傷した機長と副長を連れて206便へ逃げ戻る万城目たちを、トドラは戦闘機の残骸を踏み潰しながら追い詰めようとする。

206便に追いつきかけたその時、万城目と一平が機長たちの代わりに機体を操縦し離陸させ、ジェット噴射で背後のトドラを間一髪吹き飛ばすことができた。
燃料切れ間近だった206便は辛うじて四次元空間から脱出に成功し、四次元の雲も縮んで跡形も無く消滅していったのだった。


【その他の作品での活躍】

中城健太郎によるコミカライズ版『ウルトラQ』では、概ね映像作品と共通する筋書きながらも、映像作品ではポッと出に近かったトドラの出番が若干ではあるが増やされ、
ダイヤモンドに夢中になるあまり精神が狂ってしまったオリオンの竜(映像作品のオリオン太郎に相当する人物)を直接殺害する役割も担うなど、名実ともに「四次元空間のヌシ」とも言える描写がされている。
また、こちらではジェット噴射の直撃を受けたトドラが明確に絶命する描写も挟まれている。

鬼童譲二によるコミカライズ版『ウルトラQ』の方でも扱いは映像作品とあまり変わらないが、
こちらでは四次元空間に氷山が聳え立っていたり、トドラの大量の象牙が抜け落ちしていたりと、四次元空間自体がトドラという怪獣に併せた脚色がされている。
最終的に脱出成功する筋書きは同じだが、ジェット噴射がトドラに直撃する事もなく、トドラは206便を襲撃する事もなくただ普通に見送っていた。


【余談】

●企画段階の脚本にはトドラの出現シーンが無く、番組が怪獣路線に転向したことを受けて追加された。

●四次元空間に転がっていたダイヤモンドはトドラの食糧で、それを拾ったオリオン太郎はトドラに喰われてしまったという説もある。

●着ぐるみは『妖星ゴラス』に登場した怪獣、マグマを改造したもの。と言ってもヒゲを足して腹の色を白くした程度で、(ゴジラに似たアイツ同様)さほど大きな変化はない。
ちなみにマグマは南極に出現したが、設定上はアザラシどころか哺乳類ですらない爬虫類とされている。

●本エピソードにおける由利子は全編通してオーバーアクション気味な挙動が目立つが、これについては演者の桜井浩子氏も後年自身のSNSで「場面の演技指導は梶田監督。ちょっとオーバーアクションかな、、、と感じながら消化しきれないまま芝居をしてしまい反省が残った」と述懐している。

●『ウルトラマンティガ』第15話「幻の失踪」では、消息を絶った飛行機としてゴリガン航空206便が登場する。この機体番号は本作へのオマージュと思われる。

●206便のような超音速旅客機で知られる「コンコルド」は、1969年に初めて試験飛行し、実際に運用され始めたのは1976年。本話が放送された1966年当時はまだ開発途上であり、日本は仮発注をしている段階であった(後に開発の遅れから導入はキャンセルされた)。



追記・修正は四次元空間を脱出してからお願いします。

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最終更新:2023年10月03日 07:51

*1 11メートルとする資料もある。

*2 いずれも設定のみで、劇中で披露することは無かった。