フェイクドキュメンタリー「Q」

登録日:2022/09/03 Sun 22:14:55
更新日:2025/04/15 Tue 01:23:26
所要時間:約 62 分で読めます




フェイクドキュメンタリー「Q」は、『ゾゾゾ』のディレクター・皆口大地と『怪奇!アンビリーバブル』などを手掛けたホラードラマ監督・寺内康太郎のタッグによるホラーモキュメンタリー。
You Tube上で公開されており無印が全12話+EX1話。Q2が現7話+EX1話。

皆口氏がある作品*1で知り合ったことをきっかけに寺内監督にアプローチをかけ製作に繋がった。

目次


【概要】

放送中止となったTV番組や素人撮影の映像などを再編集したというコンセプトの映像集。

内容自体は各話ごとに独立しているが、深読みすれば共通点が見い出せそうな要素がそれぞれに散りばめられている。
しかしながら皆口氏は「墓場まで持っていく」と述べており真相は不明のままとなっている*2

また、2024年7月25日には『フェイクドキュメンタリーQ~この人、行方不明~』の題で書籍版が発売された。
チャンネルにおいても特に再生数の多い「Q:1 封印されたフェイクドキュメンタリー」、「Q:7 オレンジロビンソンの奇妙なブログ」、「Q:8 Sanctuary」、「Q:EX フィルムインフェルノ」、「Q2:1 ノーフィクション」、「Q2:3 -(basement)-BASEMENT」と書下ろし作品である「キムラヒサコ~厄災~」、「池澤葉子失踪事件~母の印影~」の2編*3を含めたホラー短編集になっている。
単純な動画の書籍(ノベライズ)版というわけではなく、それらの後日談・答え合わせの要素も含んでいるという。なんか謎がさらに深まりそうな気もする……

各話には、字幕がついており日本語英語の二カ国語を選択可能。

【シーズン1】

並びは公開順。
緊Q特版として一挙放送された際は、順番が変えられており次の通りとなっているが意図は不明。
Q3→Q6→Q5→Q7→(小休止)→Q9→Q11→Q2→Q8→(小休止)→Q4→Q10→Q12→Q1。

Q:1 フェイクドキュメンタリー/封印されたフェイクドキュメンタリー - Cursed Video


見たら死ぬビデオは今も存在するのか?

ドキュメンタリー番組の視聴者の依頼を解決するコーナーで、ネット掲示板で噂になっていた「とあるレンタルビデオ店にある見たら死ぬビデオ」の調査記録を再編集したもの。

店長へのインタビューの結果、中学生の間で見たら死ぬと噂になっていることを知り面白がった店長が悪ノリして「見たら死ぬ」とPOPを付けたイタズラの産物だったことが判明。
更に再編集スタッフによって、番組自体がフェイクドキュメンタリーだったことが突き止められているのだが、当時の番組スタッフは全員直後に亡くなっている。

最後に映像記録と共に保管されていた「見たら死ぬビデオ」の内容を流して締めくくられた。
内容は、家族写真を捲る様子や買い物をする和やかな映像の合間合間に、遺影の映像が混入されているという不可解なもの。店長によると遺影は最初一つしか無かったが、借りた子供のイタズラなのか増やされたらしい。




Q:2 深夜の留守番電話/深夜の不気味な留守番電話 - Strange Messages


「夜中にいたずら電話が掛かってくるようになりまして」

90年代に深夜のイタズラ電話に悩まされた被害者が証拠として残した音声記録。

最初は無言。2件目は音楽らしきものが聞こえ、3件目はガサガサ音に紛れ「6・4・5・1」と呟く女性の声が交じる。
4件目は何と言っているのか判別不明な男性らしき声。5件目は同様の女性の声。
最後のメッセージには「わたくし、あのちょっとお話がしたいのでよろしくどうぞ」というはっきりした声が記録されていた。



Q:3 遺品/発見されなかった友人の遺品 - What the deoeased left behind


ナオトさんがこの山で命を落とした

ナオトという青年が亡くなった山で供養と同窓会を兼ねた登山を行った友人グループの撮影映像と、その際発見された遺品のデジカメに残されていた写真を復元したもの。

ナオトさんは生前、幽霊に悩まされていると友人に相談していたらしい。
遺されたデジカメには、友人との集合写真や山で撮影したと思われる写真が記録されていたが、第三者がナオトさんを背後から映した写真や黒い人影など不可解な写真も混じっていた。

そして、彼らは今も慰霊登山を続けているのだという。



Q:4 祓 -はらえ-/この映像はお祓いを済ませておりません - Exorcism


「家の中見させてもうて良いですかね?」

霊媒師の荒木氏が宣伝用に記録した映像。目的地に向かう場面から撮られていたが、テープの残量不足のため中断され依頼人との面談まで飛んでいる。
依頼人は夫婦で、夜中に奥さんが徘徊したり叫びだすなど奇行を起こし病院でも原因が突き止められなかったため荒木が頼られた。

調査を行った荒木は「家が鬼門に繋がっており迷い込んだ子供の霊と波長が合ってしまった。子供も悪気はなく怖がっているだけ」と断じ除霊を行うが、奥さんの奇行は激しくなっていく。
「失敗や!!」と叫ぶ荒木を映し撮影は中断された。




Q:5 鏡の家 - House of mirrors


「鏡の中に母がいる」

母親の知り合いのある夫婦から、昔暮らしていた空き家の現状確認を依頼されたタカハシさんが内部を撮影した映像。
この家では夫婦と認知症の母親が暮らしていたが、留守中に密室状態から母親が行方不明となり、その後奥さんが何度もの中に母親がいると言い出したため手放された。

順調に撮影を続けていくタカハシさんだが、姿見を映した際に突然背後の押し入れの扉が開き、押し入れの中にも鏡が。
後で映像を確認すると、家の各所にある鏡に行方不明の母親ではなく、知らない一家が映っていることが判明した。



Q:6 目的地/動画配信者が辿り着いてしまった最悪の目的地 - Bivouac


「現在地もわからないので今夜はここに1泊しようと思います」

アウトドア系配信者のkanaさんが撮影した映像。

山小屋で宿泊する予定が道を間違え彷徨ううちに夜となり、その場で野営することにしたkanaさんだがいつの間にか寝袋の横に、木の枝をテント状に組みあわせその下に石を置いた謎の細工が作られていた。さらに「ここ」と耳元で囁かれ不気味に感じた彼女は野営を止め夜通し歩き続けて下山したのだという。
後日確認された映像には、道を確かめるkanaさんに「こっち」と囁く何者かの声が記録されていた。



Q:7 或るブログ/オレンジロビンソンの奇妙なブログ - Obscure


だからこれ以上ブログを更新する事はやめにします。

写真加工業のバイトをしていた専門学校生の青年のブログ。
ある日バイト先に、仮称X氏から家族写真に顔が焼け爛れたような不気味な女性の写真をアップで合成するよう依頼が届き、出来に満足したX氏は同様の依頼を何度も送ってくるようになった。
そのうちに経営者が、写真の女を何度も見かけるとノイローゼを起こしバイト先は倒産することに。

その後、X氏から最後に送られてきたのは依頼ではなく「ありがとうございました」というメッセージと、全員の顔が女と同様に焼け爛れた家族写真だった。



Q:8 光の聖域/AM 02:16 FEB.04 2012 - Sanctuary


「警察に連絡するんだよ」

車載カメラのものと思われる映像記録。この回だけナレーションや字幕も付けられておらず一見すると編集の痕跡はない。

一本道の山道で、何かに怯えるような男性二人組(彼らの会話からもう一人黒田という人物がいたようである)がUターンできるところまでバック走行で戻ろうとする。
途中、倒れていた男を轢くが更にバックし続ける。しかし道の脇に防護服のような全身白ずくめで顔を仮面で隠した不審者が現れて、二人組が車から引きずり降ろされるような物音がした後静かとなる。

その後、四桁の数字を呟く判別不明な女性の声が繰り返し響き始め、乗り込んだ何者かの運転で車は前進し先程轢かれた男性を引き摺る白ずくめの脇を通り抜けた先で停車。徐々に女性の声が大きくなる中複数の白ずくめの不審者が車に向かう光景を映すが、運転手が車載カメラに気付いたのか画面が揺れ映像は終わる。




Q:9 献花/悪質なイタズラか?玄関先に置かれる献花の謎 - Flower Offering


「今後もこういうことが起きるかもしれない」

何者かが玄関に仏花を置いていくというイタズラに悩まされる会社員のSさんへの取材記録。

実際に置かれていた仏花を調べたところ写真の切れ端で巻いて束ねていたことが判明。
切れ端を繋ぎ合わせてみた結果、3人の子供が映った写真だった。しかし何故か真ん中の子供の顔だけ削り取られている。

監視カメラを設置したところイタズラは収まり、Sさんへの取材終了の報告で番組は締め括られた。
しかし、この後Sさんはマンションを引っ越したのだという。




Q:10 来訪/東北地方に存在した幻の儀式・来訪の記録映像 - The Visit


儀は口頭伝承であり記文は存在しない

冥界と交信するという東北地方の民間信仰の儀式「レイホ」を隠し撮りした映像。合間合間に字幕が挟まれ儀式の内容が解説される。

映像は和室で横たわる故人を延々と映し続けている。最初に遺族達が合掌した後は、時折撮影者がカメラの確認に来る以外は故人だけが和室に残される。
激しい物音と共に顔を覆う布が吹き飛んだり、白い布が黒く染まるなどの異変が起こった後に撮影者が戻り「時間だよ。もう来るよ」と故人に囁きかけるが、突如撮影者は何かに怯えカメラを手に取ると逃げ出そうとするが、何者かに襲われ撮影者の悲鳴と共に映像は終わる。

儀式は急逝した故人に面を被せ、喪主達が周囲で祈りを捧げというものでこれを7日間続ける。悪霊を呼び出し呪殺に利用するために行われるという。儀式に失敗すると喪主は来訪者に連れて行かれるのだと言う。



Q:11 似顔絵/【行方不明】この人知りませんか - The Portrait


「全部…どれを見ても人の顔なんですね」

貯蓄と暮らしをテーマとした地方局のドキュメンタリー番組で元警察官の熟年夫婦を取材した記録と、その番組のディレクターのNさんへのインタビュー。

旦那は警察官時代には身元不明者などの似顔絵を描く”似顔絵捜査官“の仕事をしていた。今は軽度の認知症で、週一度のデイサービスがない日には弁当を持っての朝から夕方までの散歩と帰宅後の鉛筆画を趣味としている。しかし、描くのは人の顔ばかり。
番組自体は無事撮影も終わったのだが、その後旦那さんが散歩中に行方不明となる。

警察署の行方不明者情報サイトに掲載されることになったのだが、Nさんは旦那さんがスケッチしていたのが行方不明者ばかりだったことに気付く。旦那さんが最後に描いたスケッチは旦那さん自身の似顔絵だった。


Q:12 ラスト・カウントダウン - Last Countdown

短編映像集となっている。映像が始まる前には12から順に数字が映されカウントダウンされている。


  • 12 採用できない投稿映像(2015)
心霊番組への投稿映像だが男性の生首が映っていたとして不採用にされた。

  • 11 トラホンピータ(1997)
1997年に地方局で深夜に放送されたTV番組とされる映像。
オーケストラのような演奏が聞こえながらコラージュ映像のようなアニメーションが流れる。時折「トラホンピータ」と呟く男の声が複数人収録されており、タイトルはこの声からそう呼ばれているだけで正規の番組名ではない。
そのせいもあるのか、当時の番組表には一切該当するものがない。

  • 10 バタフライ・スコトーマ(2004)
「観ると吐き気がする」と苦情が殺到し1週間で自主回収されたヒーリングカウンセリング映像のDVD。
立体波形を背景に単調な音が響く。
この映像は画面端が揺れてフレームのようなものが見えるため、該当DVDを液晶画面に流したものを撮影したものと思われる。
ちなみにスコトーマは「心理的盲点」を意味する。

  • 9 ななみが帰ってきた(2014)
別れた旦那から「あの世からななみが帰ってきた」というメッセージと共に元奥さんに送られてきたという映像。
人影らしきものが映っているが、そもそも夫婦に子供はいない。

  • 8 荻原さん(1996)
DJプレイを撮影加工した映像。赤い男の顔が観えると騒ぎとなり曰く付きに。
何故荻原さんと呼ばれるようになったかは不明。

  • 7 見てはいけないビデオアート(1999)
完成直後に病死した少年が遺したビデオアート作品。4年後の2003年に一度公開され、鑑賞した小学生が集団ヒステリーを引き起こしたとされる。
実写の砂浜やを背景にアニメーションのモンスター達が動き回る。
現在はとある美術館に収納されている。

  • 6 青空1(1993)
オークションに稀に出品され高額でも落札されるという謎の映像。
漫才コンビらしき二人組の男性が何やら会話しているがノイズが酷く内容は判別できない。
一説では本人が回収しているという噂がある。


  • 5 死者の声(1986)
宗教一家が暮らしていた家に残されていたという映像。
ラベルには「1986/7/3 ししやのこえ」と書かれており、白黒の映像と共に悲鳴混じりの雑音が響き続けている。

  • 4 目が合わないように(1987)
「てぶくろ」という題名がつけられた、ある寺に保管されているという「眼に悪影響」を及ぼすとされるビデオ。
蝉の声が鳴り響く中、手袋をつけ長袖で焚き火にあたる人々が映されているが目から上は所有者に加工されて黒塗りにされている。
曰く目が合わないようにとの事。

  • 3 DSCF0007.AVI(2011)
事故で運転手が亡くなった盗難車の車内にあったビデオカメラの映像。
夜道を進む二人組の男性を映していた。一人は車の所有者らしい。

  • 2 あなたは、春田くんまであと何周?(年代不詳)
ある大学のオカルト研究会に伝わる呪いのビデオ。
3章仕立てだが、映像は「不幸になる絵」というタイトルの1章目のみ。不協和音をBGMに黒目しかない人間やどこかの室内など不気味な映像が流れる。
なお、一部映像は寺内康太郎監督の『心霊マスターテープ』でも使用されている。

  • 1
この映像のみタイトルも解説もない。Q:1の見たら死ぬビデオに挿入されていた遺影が映されている。


緊Q特版では、映像が一つ増えており13からのカウントダウンとなったいた。
  • 13 雑踏(2012)
Vシネマのものとされる雑踏の映像。付近で起きた殺人事件の犯人が映り込んでいるらしい。


Q:EX フィルム・インフェルノ - Film Inferno


右…左…2つ目 左…

2002年に海岸で行方不明となったカップルの遺留品が、その9年後の2011年に海岸から15kmも離れた山中で発見された。警察は事件性無しと判断し、遺留品のカセットテープ、3本のビデオテープ、写真を復元したもののコピーを遺族に返却。納得のいかない遺族から調査を依頼されたルポライターが取材を受けそれらの映像を公開した。

カセットテープには「右、左…」など何かの順番を機械のように淡々と語る女性の声が記録されていた。声の主は不明。

ビデオテープの1本目には、海岸でバーベキューや海水浴を楽しんだ後、近くの洞窟に入るまでが記録されていた。

2本目はカップルが洞窟内を進む映像。分かれ道を進んでいくが行き止まりとなり、引き返すと道中見かけた針金細工の人形の位置が変わっていた。
その後も進み続けるが、バラバラに千切られた意味不明なメモを見つけたり、進んできたはずの道が塞がっている怪現象と遭遇する。
その後も迷い続けているクラシック音楽が響き始め、音の聞こえる方向に向かうとコンクリートで固められた空間にたどり着く。彼氏が「誰かいるのか」と問いかけると音楽が止まった。

口論となり、写真を見て取り乱した彼女が走り去ってしまう。彼女を探しながら歩き続けていると再びクラシック音楽が流れ始め、進んだ先にはロープが。ロープが奥に引っ張られたため彼女の仕業かと奥に進むと壁に無数の写真が貼られた空間にたどり着いた。ノイズが走り壁に刻まれた「→×」という文字を映して2本目のビデオは終わった。

ルポライターによると海岸付近には洞窟はなく、一番近くにある洞窟も映像に映されていたものとは別物だったそうだ。


写真には親子と思われる3人が写っていた。遺族の話では写真の人物には誰も心あたりがないという。


3本目のビデオの映像はボヤけ赤く発光している。2本目でも聞こえたクラシック音楽が流れているが、無数の人間の悲鳴に変わっていく。




【シーズン2】

Q2:1 ノーフィクション - Nofiction


外は 危ないから…

引き篭もり歴35年の女性岡崎範子さんに密着したドキュメンタリー番組。

元々は地方局のニュース番組のために撮影していたが、不慮の事故によりディレクターが亡くなってしまいお蔵入りになってる。
範子さんは後任のディレクターには比較的頼るようになったが、大量の御札を買って部屋中に貼るなど様子が少し異なっている。
また、部屋の中には赤く塗られたデスマスクのようなものなど、御札以外の奇妙なものも散見される。

範子さんは引きこもった理由についても断片的に語りだし、どうやら姉が失踪したことで、亡くなった両親に「家を出るな」と言われて時に腕を叩かれる等の虐待を受けていたのがきっかけらしい。
話の内容は終始支離滅裂で、現在も叩かれているかのような口ぶりやその傷跡も見せていたが、この映像を見たNPOの支援業者は自傷行為と断言。直接説得に出向き、話し合いの末に範子さんは家を出て車に乗り支援施設に入所することになる。

最後、前ディレクターがある一室を撮影する場面が挿入される。そこにあったのは人が包まったような毛布と神棚にあった白い布の残骸。それらの映像を映しながら範子さんが料理をする包丁の音で終わる。



Q2:2 プランC - PLAN C


彼らはこの日 共に自ら命を 断つ事を目的として集まった

車内で練炭自殺した4人の男女の一部始終を撮影したビデオカメラの映像。
しかしレンズカバーを付けたままだったため、画像は無く音声のみとなっている。
作中の画像は全てイメージのものとなっている。



Q2:3 -(basement) - BASEMENT


ひとりの女性が僅か4分の間に姿を消す事件があった

とあるエレベータ内に設置された監視カメラの映像。2015年に失踪した女性の最後の様子が映し出されている。
音声は一切収録されていない。

女性が10階から降りてくるためにエレベータに乗るが、5階と3階で途中停止する。しかし誰も乗っては来ず、不思議に思う女性だがすぐに閉じるボタンを押して1階へ向かう。

だが3階を過ぎた段階で階層表示のモニターが異常を起こし、本来なら1階に到着すべき時間になってもエレベータは下がっていく。
次第に女性もおかしいと思い始めボタン操作などを試みるが反応が無く、更に激しい振動が起きているのか立っている事すらままならない状態に陥る。
暫くしてようやく停止したエレベータだが、開いた向こう側は一寸先も見えない暗闇。女性はおそるおそる外へ出ていくと、エレベータの扉は閉じ自動的に上昇していく。

そして少し上昇したかと思うと、1階にたどり着き若い男女のカップルが乗り込む。特に違和感も無いままエレベータは6階までたどり着くと、カップルは外へ出て映像は終わる。





Q2:4 マインドシーカー - MINDSEEKER


「俺らがやった時も 巻き戻したら全部変わってた」

民家のリビングで、深夜に男子3名がビデオデッキ付きブラウン管テレビに超能テープを差し込んで再生する場面を撮影した映像。
撮影者とセーターを着た男子は一度視聴した事があり、坊主頭の男子にこの超能テープを視聴・体験してもらうという状況になっている。

ビデオは不気味な音楽と共に画面にはロシア語(キリル文字)の字幕が表示され、以降3つの映像が再生される。
①テーブルの上に並べられたESPカード(透視実験に使うカード)が6枚。「Ⅲ*6」「○」「☆」「□」「+」の文字が書かれた表面5枚と、裏にして伏せられた1枚のカード。
要するに制限時間10秒以内に裏に伏せられたカードの文字を当てろという透視ができるかどうかを試す映像になっている。
当然だが坊主頭の男子は透視ができるはずもなく全問不正解をする……のだが、ここからが本番で、セーターの男子が巻き戻しをして最初から再生をし直すと、なんと伏せられたカードが1順目から以前と異なっていた

②画面中央に赤い風船が浮かんでいる。
これは制限時間60秒以内にこの赤い風船を念力で動かせるかを試す映像である。
当然これもできるはずがなく、1回目は何ら映像に影響を及ぼす事も出来ないまま終わる。……だが、巻き戻して2度目のチャレンジに移行した際、徐々に揺れ動く赤い風船の姿が写り、三人の男子は驚愕と共に念力を成功させた事に歓喜する。

③画面に後姿の金髪女性が映っている。
この女性にテレパシーを送れるかどうかを試す映像で、制限時間は30秒。
若干乗り気になっていた坊主頭の男子は一度試してみるが反応一つなく失敗する。勿論2度目を行うが、この時セーターの男子も参加する。
すると映像に映る金髪女性の頭がカメラへ向けてやや傾いており、あと少しで顔が映るといったところで時間切れになり終了。
さすがに惜しく感じたのか3度目のチャレンジを行い、その際は撮影者も一緒になってテレパシーを送る事になった。
だが、3度目が開始された直後に映像に映っていたのは真正面にカメラを向いた金髪女性の姿だった。
驚き、困惑する3名。口を利く余裕すら無く茫然とする彼らを余所に時間切れとなる。

最後はそれまでの試験を締めくくる音声と映像が流れ終了し、この映像自体も終わる。



Q2:5 怪談 - Passengers


怪談が仕事になったらいいなと思っていた

仕事中に怪奇体験に遭遇したという元タクシー運転手兼怪談家の前野さんへのインタビューと、2009年当時に発行された雑誌の付録DVD映像が映る。
どういった怪奇現象なのか、DVDの追体験映像で何が起こりどうなったか、怪奇現象についての裏話などを経て当時取材のため訪れた山中へ向かう車内で撮影が続けられていく。


途中途中で前野が当時の事を回顧するシーンが挟まるのだが、この怪奇現象は創作(嘘)であると自白しており、DVD映像で起こった怪現象は起こるはずがない=井沢ディレクターが仕込んだものじゃないかと語っていた。
それでも車は当時の映像収録先へと進み、前野の指示もあって無事到着する。……だが、到着したメンバーの目の前に広がっていたのは、鬱蒼とした山中ではなく一面に広がる霊園の姿だった。
茫然とする前野。その横顔を撮りながら、撮影者は「前野さんって、なんでタクシー運転手辞めたんでしたっけ?」と問う。返答どころか顔も向けない前野を映して、映像は終わる。



Q2-6 隠しリンク - Hidden link


「カメヤマっていう友達がいて そいつに会ったのよ」

現在でも続いているという「つっちー」と「今ちゃん」という二人の男性のPodcastの2017年11月30日 午前2時6分に投稿された回から始まる。
大学の同期の結婚式に出席したつっちーは、同級生であるカメヤマ(通称カメ)と再会。高校の同窓会の委員をしているカメは同窓会のホームページを管理しているが、彼のもとにメールで高校の卒業生の女性生徒が亡くなったとの連絡が入った。
亡くなったのはカメの3つ下の後輩で、どんな子だったのだろうと気になったカメは同窓会のホームページを見てみることに。するとそのホームページの卒業生一覧のページのソースコードに「隠しリンク」があることに気付く。

そのPodcastsの内容に興味を持ったQスタッフは、そのホームページを発見し放送の内容を頼りに実際にページを調査してみることにした。
その隠しリンクには特定の生徒に対する目を背けたくなるような罵詈雑言が記載されており、亡くなった女生徒に対しては特に辛辣な書き込みが記載されていた。
隠しリンクを見つけたカメは好奇心から、ホームページに他にも隠しリンクがないかくまなく探していく。
そこで同窓会のイベントのページの一番下の参加者が乗っている箇所を下までスクロールしていくと、名前が乗っていない何もない空間がクリックできることに気づく。
切り替わったページには「〈コウカ〉」という音声ファイルが。カメは怖くなって開かなかったと語るが、つっちーは再生してみて気持ち悪い内容だったと語る。
スタッフも再生してみると悲鳴のようなおぞましい音声が混ざった合唱曲のような音声が流れてきた。

Podcastsで語られていた内容はそこまで。ホームページを作成したのはカメの同級生だが、ホームページのIDとパスワードは教師など複数の校内関係者が知っていて簡単に編集できることから、誰がこの隠しリンクを仕込んだ犯人かはわからないという。
しかしQスタッフはそのページにも隠しリンクがあることに気付き、クリックしてみる。
その隠しリンクの内容は「この人たちを探しています」という真っ青な背景のページで、何人かの人物の画像が貼られている。
だが、「探している」割にはピントが合っていない・複数の人物が映り込んでいる・明らかに年代が違う写真などが殆ど。

さらに隠しリンクがあり、今度は掲示板サイトへリンクする。そこは明らかに不審過ぎる投稿が並ぶサイトで、闇掲示板というべき内容。一番新しい投稿は、アルカリ系の液体で血液の痕跡を消そうとしているやり取りであった。

そのページにも隠しリンクがあり、クリックすると真っ暗な画面にはてなマークが表示される。クリックすると再び真っ暗な画面にはてなマーク。これが16回続き、ダウンロードリンクが現れる。リンク名は「キムラヒサコ.zip」。
パスワードロックされたそのzipをスタッフがツールで解析し中身を開くと、中身はとある画像ファイル。
ファイルの更新日時は「1993/07/26 13:542」。
中身は笑顔の女性が映っている古びたスナップ写真だった。
現在もスタッフは隠しリンクをたどり続けており、隠しリンクの数は6000を超えたという。



Q2-7 テイク100 - Take 100

「テイク数だけが異常なんです。」

京都に実際にある「おもちゃ映画ミュージアム」という日本映画の足跡を辿れる記念館が舞台となる。
「ある資産家の蔵から未公開の日本映画が発見された」という映像最初の文言の通り、同施設に寄贈された謎の映画フィルムが奇妙なものだとして、代表の金森龍三郎氏*7のインタビューを交えてその映像の考察が成されている。
前半は同施設の代表である金森氏によるソーマトロープやゾートロープといった映写機の歴史を、アニメーションなどの貴重な古い日本映画の映像*8も交えたドキュメンタリータッチでの解説。中盤から問題のフィルムを流しながら解説が入り、「フィルムの最後までご覧いただきます」の字幕が入ってからは映像のみを最後まで流す構成になっている。

今回のような蔵から発見されたフィルムの存在はさほど珍しいものではなく、未発見だった日本映画が発掘されるというのは稀に起こるものらしい。ただ、その資産家の孫から送られてきたそのフィルムは映画のワンシーンを撮影したようなものらしく、冒頭の台詞の通りに同じシーンを100回も撮りなおしているだけという異様さが際立っている。
「過去に190回もテイク数を重ねた映画*9もあったけど、意味や拘りがあったからであって、この映像にはそれが感じられない」とのことで、映像の意図を読みかねている金森氏。更に映し出されている映像の諸元となる映画や俳優などにも見覚えが無いらしい。

そして実際にフィルムの映像内容が再生される。
映像に音声は無く、日本家屋の居間にちゃぶ台が一つ置かれ、それを挟むようにして座る男女。奥の部屋に繋がる襖が開かれており、そこには布団を被せられた人のような何かが横たわっている。画面に"22-1-1"と書かれたカチンコが打たれると、男が奥の方を見た後に立ち上がって画面右の方へ去っていき、女が立ち去る男に何かを言う。
これだけの映像が100回も収録されている。
実際にはその20回程度を見るのだが、その一連の動作や演技こそ確かに微細に異なる点はあるが、総じて100回も撮り直す意味が見当たらないシーンなのは素人目からしても明らかである。

だが、"22-1-43"つまり43回目のテイクカットで異常が起こる。奥の部屋の襖に、影らしき存在が映りこむ。続く44回目のテイクカットでは消失しているが、この43回目の撮影では演者は何も異変に対して動揺している様子が無い。
さらに謎のシーンが入りこみ、無人の部屋の様子、奥の部屋にある布団の何かに拝む女性、カメラへ向けて笑顔を向ける女性が断片的に映る。
そして83回目のテイクカットでは、黒い人影が奥の部屋で立ち尽くしていた。87回目では布団を跨いで少し接近しているが、相変わらず演者は違和感なく同じシーンを繰り返している。
そして94回目のテイクカットで遂に映像そのものに異常が起こり始め、全体的に黒焼けしたかのような雰囲気になる。
95回目ではピントがズレたようにぼやけ、96回目では激しくピントがズレる。
97~99回目ではもはや映像の細部が確認しづらくなるほど全体が黒くなり、男の輪郭すら激しく歪んでしまっている。最後には明るくなり、そのまま進んだ100回目のテイクカットでは、画面の明暗が起こる中で女の首から上が擦ったかのように大きく歪んだまま100回目のテイクカットが終わる。

「日本映画史においてこの作品は存在しない」という文字が映り、フィルムが切れる音が鳴る中で映像は終わる。


Q2-8 MOTHER

「ママに帰ってきてほしい。」

池澤葉子失踪事件~母の印影~」の題で書籍版で先行して公開されていたエピソード。

都内近郊に妻子と暮らしている池澤文雄さんに、6歳の頃に失踪した母親に関する件で取材をしている映像。
かつて暮らしていた栃木の実家をライフライン全て断絶した状態で残しており、一週間に一度訪れては玄関に置かれている宅配物BOXを確認している。
少しでも母の手がかりになるような情報が来ていればという淡い期待を持っていたのだが、個人情報が緩かった時代に全国ニュースで取り上げられるような事もあったため、住所や電話番号が漏洩しており届く荷物はゴミ同然の物ばかりという有様だった。

そんな中、一本のVHSが届いた事で状況は僅かだが動くようになった。
ビデオの内容は暗がりの空間で泣いている女性の顔を接写しているという不可解なものだったが、池澤さんはそれまでのゴミとは異なるものを感じ、母親の顔と共通点がある部分を見つけて事態の進展を確信するようになる。
その後には『謎の怪文書』『手書きの地図』『複数枚の写真』などが一年以上にわたって届くようになった。
池澤さんはそれらの内容に母親の居場所を示すヒントが隠されていると感じ取り、些細な内容からでも連想しては推測するという事を繰り返していた。
しかし結論となる母親の現況を知るには至らず、今もなお何時届くかも知れない荷物を待つ日が続いている。



Q:EX トロイの木馬(ニ篷ッ、ホタクヌロソョ)


■■■は現在もハイキョとして存在。

9月16日に突如として配信予告され、翌週の23日21時からライブ配信された映像。
当初はライブ配信直後にチャット欄などが閉鎖され再視聴が不可能だったが、10月7日より「トロイの木馬 - September 23, 2023 Live streaming」というタイトルで公開が決定した。
括弧内タイトルは配信時のもので、誤表記ではなく原文ママである*11
また、配信予告には一部黒塗り修正された以下の内容が書かれたメモの画像も添付された。このメモは動画公開時の冒頭画面でも引用されている。

どこかへ向かう車中の映像から始まるのだが、撮影者は時折スマホのYoutube配信映像をカメラに映している。そこに映るコメントやスーパーチャットの履歴から、リアルタイムで中継されている事は紛れもない事実であった。
やがて山中の倉庫へ車を入れると身支度をするような音がして暫く暗幕が続く。
そして全身白色の防護服に身を包んだ男に連れられて山中を歩き、明かりのついている一軒の家に訪問する。
その家は明らかに異質で、『玄関の外に置かれた青いビニールシートに包まれた人間大の何か』『奥の部屋へ向けて祈るように地に伏せる5人』『真っ暗な風呂場で意味不明な言葉*12を延々言い続ける男』『防護服に身を包んで黒いビニール袋に入った何かを運ぶ作業員』の姿が写る。
撮影者はその様子を映しながら家の中を進み、やがて防護服の作業員が何かをしていた部屋に入る。その部屋は床と地面をビニールシートでカバーされているが黒い染みがついており、中央には銀色の箱が台の上に置かれていた。箱の表面には大量の昭和チックな絵柄のシールが乱雑に貼られ、上面が少しだけずれて開いていた。
中を覗こうとする撮影者だが憚られ玄関の方を向くと、土下座していた人や風呂場の声は消えていた。更に一人の男が家の奥に続く襖を少しだけ開くと、台所のような部屋の一角に全身黒色の人間が項垂れるようにして立っていた。慌てて男が襖を閉めると、銀色の箱を二人が抱えて玄関から出て行くのを見送る。
外へ出てからも作業員らを後ろから着いて行ったが、ここでスマホがアラート音を出してしまう。驚いた作業員たちと謎の女性が撮影者を問い詰めスマホをひったくる。そこでこの作業が配信されていると知ると、作業員たちは撮影者を拘束する。唯一顔をはっきり映した男の「嘘だから!嘘……!」という視聴者へ向けての詭弁を最後に、ライブ配信は突然として終了した。

その後10分程度の間隔を置いて、同タイトルで末尾に『2』とナンバリングだけ更新された配信がスタートされた。
再び山中を歩く撮影者。目の前を歩く作業員だが、その手には撮影者の持っていたスマートフォンが握られていた。
やがて映像は山中の半壊した家に辿り着く。人が住んでいた頃の面影は無く、雑草に覆われボロボロになった民家へ撮影者が入ると2階に上がる。
2階は屋根裏のような雰囲気になっていたが、柱に1の銀色の箱に貼っていたシールがあり、目を引く大きな布の上に散らばるお札のようなものがあった。
布の周りを観察する撮影者。だがその裾から大量の手が映った途端に映像は激しく乱れ、「来たぞ!」という作業員らしき声がして映像は終了した。




【書籍版】

キムラヒサコ~厄災~

何かから逃亡する人々を映した古いフィルム映像の覚え書きと、関連すると思われる「キムラヒサコの遺体があがった」ことを知らせる緊急放送の音声記録の文字起こし。
当該音声は書籍版PVのショート動画で使用されている。

キムラヒサコはQ2-6 隠しリンクでファイル名にもなっていた名前だが?


追記・修正はよく考えてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • フェイクドキュメンタリー「Q」
  • フェイクドキュメンタリー
  • モキュメンタリー
  • Q
  • ホラー
  • 皆口大地
  • 寺内康太郎
  • You Tube
  • 字幕
  • 心霊マスターテープ
  • 所要時間60分以上の項目
最終更新:2025年04月15日 01:23

*1 皆口氏が出演した寺内監督作品『心霊マスターテープ2』のことと思われる

*2 視聴者の考察に、製作チームの想定を超えるものもあり、それらを一つたりとも否定したくないという意図もあるとのこと

*3 この内「池澤葉子失踪事件~母の印影~」は「Q2-8 MOTHER」の題で後に映像化された

*4 薬の錠剤が入っているおなじみのシートのこと。

*5 英語字幕によるとホクト(運転手)の声だという

*6 便宜上の表記で、実際にはミミズの這ったような縦3本の謎の文字

*7 上記の通り実際にある施設ではあるが、本作品に登場する方は実際の代表者ではない

*8 全て同施設に保管されている実在のもの。

*9 スタンリー・キューブリック監督作品の『シャイニング』の事で、ジャック・ニコルソンがで扉を叩き壊すシーンのことを指す

*10 ただし、金森氏もQスタッフも触れていない=見えていないので触れることはなかったとも十分に考えられる。

*11 EUC表記なので、これをSJISに変換すると『内部告発の生配信』になる

*12 字幕ではうめき声と表示

*13 ちなみにだが、動画のサムネイルにタイトルが乗っているのはこのQ:EXシリーズのみだったりする。