ナイトライダー

登録日:2022/12/12 Mon 20:15:10
更新日:2025/03/08 Sat 15:36:37
所要時間:約5分で読めます




ナイトライダー。
陰謀と、破壊と、犯罪の渦巻く現代に甦る、正義の騎士。

ドリームカー・ナイト2000と共に、法の目を逃れる犯罪者たちを追う、若きヒーロー、マイケル・ナイト。
人は彼をナイトライダーと呼ぶ。

デボン・シャイアー。マイケル・ナイトのよき理解者。
ボニー・バーストウ。ナイト2000製作チームの中心人物。

巨大な悪に立ち向かう、現代の騎士ナイトライダー。
今日、彼を待ち受ける者は、果たして誰か…?


ナイトライダー(KNIGHT RIDER)とは、1982年から1987年まで放送されていたアメリカ・ユニバーサルTV制作の特撮テレビドラマである。


概要

ナイト財団の調査員、マイケル・ナイトが相棒であるハイテクカー・ナイト2000とともに様々な事件を解決してゆく。
単なる人間の悪党退治のみならず、ハイテクマシンとの対決を中心としたエピソードも作られた。
また、テレビドラマでは珍しいアイキャッチも挿入されている。

4シーズン84話が放送され、1990年代以降も新作が何度か制作されている。
2008年には本作終了から25年後を舞台とした正統派の続編として「ナイトライダーNEXT」*1が放送されたが、
ナイト3000がシェルビーGT500*2、更にCGでピックアップトラックに変形するというドン引きな演出が災いし、17話で打ち切られた

日本では当初テレビ朝日の『日曜洋画劇場』で放送、その後テレ朝の木曜ドラマ枠や土曜夕方に放送された。
特撮を彷彿させる作風が本国に匹敵する人気を誇り、同時期に同じテレ朝で放送されていた『特攻野郎Aチーム』とともに80年代を代表する海外ドラマとして知られる。
また、同局の音楽番組『ミュージックステーション』にもナイト2000が出演したこともある。
メタルヒーローシリーズでGM車ベースのマシンが登場するようになったのは間違いなくこの番組の影響だろう。

その一方、日本では74話しか放送されず長らく吹き替え版も存在しなかったため、2014年にblu-ray版が発売された際に新規収録を実施している。

あらすじ

若手の敏腕刑事であるマイケル・ロングは、ある産業スパイを追跡中に同僚を殺され、自らもまた瀕死の重傷を負った。
しかし、マイケルはエレクトロニクス事業で巨万の富を築いた実業家、ウィルトン・ナイトの手によって救われ、彼の養子として新たにマイケル・ナイトを名乗ることになった。
その後、ウィルトンは死の直前にマイケルの手を取り「一人の男が世界を変えられる」と遺言を残し、
財団が極秘に開発していたナイト2000のドライバーとなる。
こうして、マイケルはナイト2000と共に世の中の不正や巨悪を暴く戦いに身を投じることとなった。


登場人物

  • マイケル・ナイト
演:デビッド・ハッセルホフ
声:ささきいさお
本作の主人公。元々は刑事であったが、重傷後に顔を整形し、ナイト家の養子となる。
顔はウィルトン・ナイトの息子ガースにそっくりに整形されており、後にガース当人と対面した際は困惑する場面もある。
「NEXT」にも主人公の二代目マイケルことマイク・トレーサーの父親役として登場。

  • K.I.T.T.(キット)
演:ウイリアム・ダニエルズ
声:野島昭生
ナイト2000に搭載された人工知能。正式名称はKnight Industries Two Thousand。
元々はワシントンのコンピュータに組み込まれていたが、ナイト財団に移されたとのこと。
人工知能とは思えないほどユーモアに長けた性格で、その出自故恐怖という感情を持っていないという。
飛行機が苦手で高所恐怖症*3恐怖という感情持ってるじゃん。
「NEXT」でもナイト3000の人工知能として登場し、日本語吹き替え版では声も同じ。

  • デボン・シャイアー
演:エドワード・マルヘアー
声:中村正
ナイト財団の責任者で、ウィルトン・ナイトとは従軍時代からの友人だった。
彼の行動を全面的にサポートする良き理解者で非常に広い人脈を持ち、大統領とも面識がある。
後述するナイト2000の分子結合核の図面を知る人物の一人。

  • ボニー・バーストウ
演:パトリシア・マクファーソン
声:小山茉美
ナイト2000制作担当メカニック。機械音痴でKITTに無茶をさせるマイケルに手を焼いている。
第2シーズンのみ留学という設定で一時的に降板している。

  • ウィルトン・ナイト
演:リチャード・ベイスハート
声:大久保正信
ナイト財団の総帥にして、瀕死の重傷を負ったマイケルの命を救った人物。
本編で名前は出てくるが当人の登場はパイロット版の1話のみ。
ちなみに、氏はシリーズ原語版でオープニングのナレーションも担当しているが、日本語版では小林清志に交代している。

  • エイプリル・カーティス
演:レベッカ・ホールデン
声:潘恵子
第2シーズンで留学中だったボニーの代理を務めていたメカニック。

  • レジナルド・コルネリウス3世
演:ピーター・パロス
声:水島裕
第4シーズンから登場するメカニック。通称RC3で、仲間からは「RC」と呼ばれる事が多い。
シカゴのスラム街で「ストリートアベンジャー」と名乗って自警団のような活動をしていたが、マイケルと出会った後、デボンにスカウトされた。

  • K.A.R.R.(カール)
演:ピーター・カレン→ポール・フリーズ
声:麦人
ナイト2000のプロトタイプに搭載された人工知能で、正式名称はKnight Automated Roving Robot。
自己保存を目的としたプログラムのため非常に冷酷な性格で、威圧的な口調。
自らの先進的な機構に対するプライドが高く、それ故に低レベルな(とカールが判断する)物に対しては明らかに見下したりと、負けず嫌いな一面も存在する。
「NEXT」でもK.I.T.T.と同じく、日本語吹き替え版は同じキャスティングとなった。


登場メカニック

  • ナイト2000
マイケルの相棒にして、「未来の車の原型」を志向してナイト財団が持てる限りの技術力を投じたドリームカー。
ノーズ部分にはナイトフラッシャーと呼ばれる赤い点滅ライトが装備されている。
通常はルークワン(ナイト財団移動本部)と呼ばれる大型のコンテナトレーラーに格納されており、トレーラーから出発あるいは格納されるシーンも見られた。

真っ黒な車体が特徴だが、これは金属ともカーボンファイバーとも異なる「分子結合核」という特殊セラミックの材質によるもの。
そのため、ちょっとした銃撃や爆弾なら簡単にはねのける程の強力さを持つ。
ただしシリーズの初回ではボロボロになり、その都度強化されるという展開がお約束だったが

ターボブーストと呼ばれる装置を備えており、追跡時等にジャンプをする際に使用される。
それ以外にも片輪走行用のスキーモードや煙幕、ロケット弾、シート脱出機構などありとあらゆる装置が搭載された。
またシーズン4では追跡モードとして車体各部が変形する機構が追加された。
このほか自立での無人走行や、コムリンクと呼ばれる腕時計式の端末でKITTと会話するなど、2010年代以降市販車で実用化されるようになった機能も持つ。

  • K.A.R.R.
ナイト2000のプロトタイプ仕様車。
当初ナイトと全く同じ仕様であったが、再登場では下半分が銀色のツートン、ノーズ部分のフラッシャーも黄色に変更された。
前述したプログラムに欠陥があることが判明後、長らく財団の地下で放置されていたが、侵入したコソ泥の手によって再起動することに。
第1シーズンではナイトと正面から激突するチキンレースを挑んだが、ナイトの起点によって崖から転落して炎上。

再登場時は何故か砂浜に埋まっていたところを発見されて再起動。
この頃には狡猾な性格を身につけており、自らに乗車した人物を殺しかけるなどの描写も。
K.I.T.T.とマイケルに対しては憎悪をむき出しにしていた。
ナイト財団から略奪したレーザーを装備し、ナイト2000と再度対決するもレーザーを反射されスキャナーが破損、
正面衝突でバラバラに分解してしまったが、人工知能はまだ死んでいなかった…

本作のライバルキャラという事もあってか、ゲーム作品のボスキャラとして登場する例も見られ、
ファミコンソフト「ナイトライダー」ではラスボスとして登場する他、
ケイブンシャのゲームブック「ナイトライダー 無人兵器ゴリアテの挑戦」では無人戦車や無人ヘリを操る巨大武装トレーラー・ゴリアテ*4のメインコンピュータとして組み込まれて登場した。

いずれもベースは当時GMで発売されたばかりのポンティアック・ファイアーバード・トランザム。
番組の人気からディーラーに同じ仕様を求める客が増えたため、GM側が本編で車名を出さない、
クレジットから社名を消すように求めたというエピソードが残されている。

  • ゴライアス
シーズン2から登場した巨大トレーラー。
ウイルトンの息子ガースが作成したもの。
屋根部にロケットランチャー4基、およびフロントバンパーに催涙ガスを装備。
ナイト2000と同じ分子結合核をコーティングしたため、その外観もあって文字通りのパワーファイターの強敵。
牽引部分の第5輪のコーティングが弱いことからナイトにそこを撃ち抜かれて敗北。

その後、ロケットランチャーを撤去するなど装備を変えて再登場したが、追跡の果てにガースごと海に転落した。


余談

80年代カルチャーに対するリスペクト満載の短編映画『カン・フューリー』では明らかに本作をパロディした「AI搭載のスーパーカー」である『ホフ9000』が登場。
なんと本作主演のハッセルホフ氏本人が声を演じ、主題歌まで歌った「そこはK.I.T.T.役のダニエルズ氏じゃないのか」とは言わないお約束
ちなみに作中のセリフ「ホフを怒ら(ハッスルさ)せるな」も氏の名前を捩ったシャレ。さらに車種はファイヤーバードじゃなくてランボルギーニのカウンタックLP500。

これ以外にも本作のパロディ・オマージュが多数制作されており、有名所では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』等で、そちらでも本人役として登場する。劇中では理想の父親像として言及されているが、本当に80年代を代表する天下無敵のヒーローだったのである。

また、アメリカ・マテル社のミニカー『ホットウィール』では本家ナイト2000に加え、ホットウィールオリジナルデザインで製作された“近未来のK.I.T.T.”として、 『HW K.I.T.T. CONCEPT』 が発売されており、2023年シリーズのアソートではK.A.R.Rの仕様のカラバリも登場した。


私は、ナイトインダストリー2000。マイケル、これから、追記・修正モードに入ります。


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最終更新:2025年03月08日 15:36

*1 NEXTは邦題につけられたもので、原語は同じ。

*2 いわゆるフォードマスタングがベースであり、本作の未来的デザインとは対照的なレトロデザインが特徴。日本では赤井秀一の愛車としておなじみ。

*3 これは、メカニック担当のボニーの性格を反映させたもの。

*4 後述のゴライアスとは無関係