コスモス(玩具メーカー)

作成日:1977/1/32 Fri 11:45:14
変更日:1988/2/30 Tue 36:43:64
読める時間:大体 1 分で読むことができます





ド リ ー ム カ プ セ ル

コスモス


1970~80年代に全国各地の駄菓子屋で見たであろう赤いガチャガチャの機械。
もしかしたら今もあなたの町のどこかにあるかも。

最低20円・最高100円で回せるその中には「当たり」カプセルがあって、当たりを引くとガンダムグッズやルービックキューブ、ヌンチャクといったカプセルに入りきらない大きな商品が手に入ったので、当時の子供にとっては一か八かの「賭け」の面白さを教えてくれる存在だった。
それだけに「当たり」を得ようとして親の財布から金銭を盗んだり、ルパン並みの策を弄して機械を騙そうとしたり、挙句の果てには機械を壊して中身を奪おうとする子供までいたらしい。

1977年に「コスモス」という企業が売り出したこの機械はとにかく場所を問わず*1置きまくるという経営戦略もあってあっという間に全国的ヒットとなり、50万台以上が全国に設置された。

1983年にはカプセルではなく小箱が出てくる大型自販機*2を導入。
こちらも全国に10万台が設置され、「ロッチ ビックリシール」「宇宙戦士ダンガム」などの商品を販売していたが、1988年に倒産してしまった。




加筆訂正はノスタルジーな気分に浸りながらお願いします。



この頂目が楽しかったなら……\カチッと/






























~ある日のコスモス本社~

       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  / o゚((●)) ((●))゚o \  ビックリマンが人気だけどこのブームに乗っかりたいお…
  |     (__人__)'    |
  \     `⌒´     /



     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  /  o゚⌒   ⌒゚o  \  でもそっくりそのまま売るわけにはいかないお…
  |     (__人__)    |
  \     ` ⌒´     /





なんだ、ちょっと名前を変えたらいいんだったおwww
       ついでにビックリマンの印刷工場も特定したおwww
        ____   
       /_ノ  ヽ、_\
 ミ ミ ミ  o゚((●)) ((●))゚o      ミ ミ ミ
/⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__)⌒:::\   /⌒)⌒)⌒)
| / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //
| :::::::::::(⌒)    | |  |   /  ゝ  :::::::::::/                 
|     ノ     | |  |   \  /  )  /
ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /     バ
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l  バ   ン
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、    ン
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))


実話です




あと上の項目も微妙にテンプレと違うのにもお気づきだろうか。


そう、この会社は創業から倒産までの11年間で現在では絶対に真似できないレベルで著作権を無視した景品を生み出したり、どう見ても商品にできそうにないものを「ハズレ」の景品に詰めていたことで伝説と化しているガチャメーカーなのである。




登録日:2023/05/17 Wed 23:51:30
更新日:2025/03/23 Sun 10:14:54
所要時間:約 6 分で読めます




▽目次

コスモスのカオスな玩具たち

「当たり」カプセルからはルービックキューブやファミコンソフトといった料金相応の価値のある景品がもらえた、というのは本当*3
しかし、前述のように「ハズレ」はカオスかつ著作権無視を極めた無法地帯であった。
そしてさらにそれをパッケージだけ変えて使いまわすという手抜き行為もしていた。

この項目では「ハズレ」カプセルに入っていたアブナイ玩具を主に扱う。なお、これでもほんの一部に過ぎない

水素爆弾(きのこ雲型)

「水素爆弾」という不謹慎極まりない名前だが、当然重水素もトリチウムも含まれていない。

……じゃあ何なのかというと、水と重曹を反応させて炭酸ガスを発生させ、「バギャン!!」という爆発音*4が鳴る。それだけ。

さすがに名前がまずかったのか、後には「ドカーン」「手榴弾」などと名称が変えられている。

スライミー

本来、玩具のスライムとはグアーガムやポリ酢酸ビニル(PVA)など高分子のゲルなのだが、コスモスは何をとち狂ったか、うどん粉を鍋で煮てこねたものを「スライミー」あるいは「ムイラス」などという名前で封入していたようである。
ダイラタンシー現象を起こす比率で水溶きデンプンを混ぜて作るスライム(ウーブレックともいう)も無いわけではないが、これはもはや単なる色付き小麦団子である。

なので当然、夏になると腐り、とんでもない悪臭を放っていたという伝説が残されている。

スターの香り「近藤」

みんな大好きあのアイドルの体臭を嗅げるよ!

……という、においフェチしか得しないようなグッズだが実際はただ単に刻んだにおい付き消しゴムを詰めていただけだった模様。他人の爪とか髪の毛が入っていないだけマシだとは思うが……。
さらにはスターの名前も肖像権対策からか、「近藤」と名字だけ書き、雑な似顔絵を添えてぼかしていた。
なお、「近藤」以外のシリーズ製品が存在したか、または現存しているかは現時点で未確認。

ジャンボ人形

人間を模した4㎝ほとのプラスチック人形。

その実態はキン消しのデッドコピーであり、台紙には堂々とへのつっぱりはいらないあの男の人形の写真が使われている

とはいっても本物のキン消しから型取りして作ったからか本物より少し小さかったりしたため、当時の子供でも偽物だとすぐ見抜けたらしい。

それだけでなく、いかにも本家の「超人募集コーナーの優秀作紹介ページ」にいそうなオリキャラも混入させていた。
その中の代表たる存在こそが、「ネズミマン」である。

「ネズミマン」はどんなキャラかというと、あの夢の国のネズミの頭部にマッチョなボディがついた、カオスとしか言いようがないかつ著作権的な意味で危険極まりない代物だった。
コ マ ギ レ ニ シ テ ヤ ル

宇宙戦士G(ダンガム)シリーズ

ガンダムといえばみんなご存じバンダイが版権を所有しているイメージが強いが、制作当初はコスモスも版権を保持しており、ガンダムグッズを正規で販売していた*5
しかし本放送当時は視聴率がいまいちだったため、クッズ販売も振るわず、バンダイに版権を譲渡。

その後、ガンダムは再放送で人気が一気に爆発した。

この時点で、版権は既にコスモスの手には無い。
しかしそこで諦めないのがコスモスであった。なんせ元はスポンサーだったのだからいくつかの玩具の金型も製造設備もある。
無許可でガンダムグッズを販売し続けたのだ。

ポスターなど放送当時のグッズの無許可再版のみならずガンプラのデッドコピーまでやっていたので当然バンダイから抗議が来たが、それでもしぶとく「宇宙戦士Gシリーズ」やら「宇宙戦士ダンガム」なんて名前に変えて製造を続けていた。
ついでにロゴも本家そっくり*6。余計にややこしい。

一茂ボール

一茂という名前*7が刻印された偽サインボール。サインボールって本人に書いてもらうから意味があるんだろうに……。
よりによってあの一茂がモチーフというところがすでに微妙さを漂わせている。

鍋焼きパズル

ジグソーパズルブームに便乗して制作された、鍋焼きうどん柄のパズル
「鍋焼きうどんとか食べたいよね」という企画会議中の思い付きから生まれた奇跡の逸品である。
ありものの写真を流用するのではなく、きちんと材料を買い、一から手作りして撮影した写真を使っており、その無駄なクオリティの高さが一抹の徒労感とシュールな笑いを誘う。

後年、「マツコ&有吉の怒り新党」の「新・3大◯◯調査会」コーナーで紹介され、それをたまたまテレビで見た当時のコスモス社員は思わず立ち上がり、そして男泣きしたという。

カプセル

究極のハズレ。
景品はおろかただの空気しか入っていないカプセル。

ガチャ代をドブに捨てたと言ってもおかしくない代物。


このほかにも「シーモンチー」「チョロカー」「ゾイといったギリギリアウトな商品を多数販売しつつガチャは全国に広がりを見せていた*8


アーケードゲーム

コスモスはガチャだけでなくアーケードゲームにも参入していた。
もうここまででお察しかと思うが、自社開発と主張していた「ペラちゃん」は、任天堂「ドンキーコング」のデッドコピー「クレイジーコング」のデッドコピーだった。
無法地帯にも程がある。*9

他にも、ナムコのアーケードゲームをコピーして、グラフィックやサウンドを差し替えたりしていた模様。




だが1987年──

コスモスはついに
禁断の果実に手を出してしまった。
今更?それはそう






























ロッチ ビックリシール/偽ビックリマン

1987年に発売されたビックリマン第10弾『悪魔vs天使シール』は爆発的な人気を呼び社会現象となったが、当然コスモスも黙って見ているわけがなかった。

そこでコスモスが出したのはガチの海賊版シールだった。
ビックリマンと似てはいるがロゴが「ロッ」になっているのですぐに分かる
……かと思いきや本家ロッテのロゴをほぼそっくりそのままパクっている*10ので間違えて買ってしまう子供が続出、シールを交換する子供の間でリアルファイトが勃発するなどのトラブルをもたらした。

ヘッドロココに相当する「ヘッドひみこ*11を始めとする雑なパチシールを売り出す一方、本物のビックリマンシールを撮影・複製、あるいは模写してシール化し、ついには本物と見まごう*12精巧な海賊版を生み出すまでに至った。

もちろん、これにはからくりがある。
本家ビックリマンの印刷工場を探し当て、ビックリマンと並行してロッチシールも生産させるという衝撃的な行為をしていたのである。
この労力を商品開発に充てるべきだったのでは?
他に、同じくビックリマンフォロワーの大手「レスラー軍団シール(ガムラツイスト/ラーメンばあ)」や「ネクロスの要塞」の海賊版も売っていたようだ。

その結果ロッテから著作権法違反で告訴され、損害賠償金として3,000万円を支払うハメになった。
  1. そもそも無節操なコピー品の製造・開発は大っぴらに出来ないので自社でやっていたため結構な高コスト体質
  2. 冒頭で紹介した大型自販機も「高いわりに故障が多い」と手を焼いていた*13
  3. 経理を担当していた社長夫人が離婚により会社を離れ、放蕩経営に歯止めが利かなくなった
  4. 「コスモスハウス」なる住宅販売事業にまで手を出し大失敗
といった数々の火種を抱えていたところにこれがとどめとなって*14、1988年2月に倒産、6月には当時の社長・専務・印刷責任者ら計7人が書類送検を受けている。

書籍「素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界」に掲載された元社員の証言によると、コスモスは当初、大型自販機の件で経営に参入した大手商社の伊藤萬(91年にイトマンへ改名)*15から「変な偽商品の作成は認めん……我が社のブランドに傷がつくからな……」と釘を刺されていたが、そうしている間にも本社(埼玉県)の目が届かない地方のフランチャイズは別の会社が作った海賊版シールを大量に仕入れていた。
結果、「ビックリマンが入ってないなら回さねー」とすっかり子供にもそっぽを向かれてしまい、困り果てたところで海賊版に手を出したのだという。

その後

コスモスは倒産後、イトマンのテコ入れの下「コスモス新社」と名を変え、ニセモノやハズレを追放して経営効率の改善を試みたが、それは結果として型破りなほどバイタリティのある人間が現場からいなくなったことも意味していた。
結局コスモス新社も改名から1年で「ユウ(遊)」「ミール」「プリティ」などと改組を繰り返し、SNKと組んでアーケード事業に参入したり、ちびまる子ちゃん利権を狙ってタカラと付き合ってみたり、偽たまごっちを売ったりするも軌道に乗れぬまま2000年頃に消滅。
現在は子会社だった「ヤマトコスモス」「足利コスモス」などが後継会社として存続している。

余談

  • 1980年代初頭、番組のスポンサーができるほど勢いのあったコスモスは地上波でCMを流していたが、その一つが男女の児童が全裸*16で戯れる様子を「僕らも欲しい~、コスモス~♪」という怪しげな歌に乗せて見せるというこれまた非常に危険な代物。
    • 現在はYoutube等で検索すれば視聴可能なので、興味がある方は参照されたし。

  • 当時のコスモス景品はほとんどがガラクタゆえに捨てられてしまうのが当たり前で、現在は本物よりも価値が高くなっている逆転現象が起こっているものもある。




追記・修正はロッチシールの「チ」を削って「テ」にしてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/
Wiki占有率70% 業界最大のWiki

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガンダム
  • ダンガム
  • 愛すべきパチモン
  • もはや伝説
  • コスモス
  • インチキ
  • ノスタルジー
  • 公式が無法地帯
  • ガチャ
  • ガチャガチャ
  • 1980年代生まれホイホイ
  • ビックリマン
  • 赤いあのガチャガチャ
  • 伝説のパチモン
  • 鋼メンタル
  • 玩具メーカー
  • マジキチ
  • 限りなくアウトに近いアウト
  • 神をも恐れぬ所業
  • ぼくらもほしい~♪ ←ほしくない
  • きゃんきゃん
  • キャンキャン
  • ロッチ
  • 国際映画社
  • Long Long ago 20th Century
  • コスモスに君と
  • 社名はコスモス(秩序)、実情はカオス(混沌)
  • ワッキー貝山
  • マツコ&有吉の怒り新党
  • 宇宙戦士G
  • 海賊版
  • 赤い海賊
  • 埼玉県
  • パチシール
最終更新:2025年03月23日 10:14

*1 他の会社なら駄菓子屋の軒先やデパートの玩具売り場くらいにしか機械を置かないところを、コスモスは魚屋や床屋にまで置いていた。

*2 「紙箱式自販機」「ボックス型ガチャガチャ」などとも呼ばれる。

*3 ガチャの代金が高くなるごとに当たり率が上がるシステムだったらしい。

*4 より厳密に言えば、ちょっと大きい程度の破裂音。Youtubeにレビュー動画があるので調べるのも一興。

*5 他に、『銀河旋風ブライガー』『魔境伝説アクロバンチ』などの国際映画社系アニメの正規グッズも出していた。

*6 テレビ版ファーストガンダムのロゴの「GUNDAM」の部分を「DUNGAM」と変えたものを想像していたただきたい。

*7 言うまでもないが、本物は「長嶋」である。

*8 実際、チョロカーはタカラから訴えられている。

*9 ただし当時はゲームのコピー製品への意識が現代と異なる点には留意。任天堂もかつてはインベーダーゲームの模倣作品を作っていた程である。

*10 「テ」の文字に点を付け足して加工して「チ」に変えていた。

*11 見た目は明らかに聖フェニックスなのだが、名称は『レスラー軍団』のヒロイン兼ヘッド級キャラである「Queen火美子」を意識してるのだろうか

*12 ただし、見る人が見れば「奇麗すぎて逆に怪しい」と一発でバレる。

*13 表向きには倒産の主因はむしろこっちとされる。

*14 コピー品路線を続けるかを巡っての内紛もあったとか

*15 乱脈経営の末「戦後最大の経済事件」と呼ばれた「イトマン事件」で経営破綻

*16 一応隠すべき部分にはボカシが入っている。