ドンキーコング(ゲーム)

登録日:2022/02/21 Mon 16:35:08
更新日:2025/04/15 Tue 13:36:02
所要時間:約 5 分で読めます




『ドンキーコング』とは、アーケードゲームなどとして任天堂より発売されたゲームである。

二代目ドンキーコングが活躍するゲームは『スーパードンキーコング』を参照。


概要

1981年にアーケード版が発売され、その後も様々な機種に移植されている。
また、現在の世界的大スターであるマリオのデビュー作である。
今でこそ当たり前となっているジャンプアクションの開祖と呼べる存在で、後のゲーム業界に与えた影響は非常に大きいと言える。
開発当初はハシゴでタルを避けることをメインとしていたがプロデューサーの横井軍平氏の案でジャンプを主体としたゲームとなった。

登場キャラクター

  • ジャンプマン(マリオ)
お馴染みミスタービデオゲーム。
今作では大工という設定。*1
前述の通り今作からデビューしたキャラクターである。
…が、今では有名なマリオという個人名が与えられたのは続編の『ドンキーコングJR.』およびその設定を逆輸入したFC移植版初代からで、
アーケード版当時は「ジャンプマン」や「救助マン」、俗称で「ミスタービデオゲーム」等と呼ばれていた。
イラストの顔付きは今とは大幅に異なるがオーバーオールや靴、ヒゲ、大きな鼻に赤い帽子(Mのマークは無いが)といった
基本的な要素はこの時点で確立されていた。
このデザインは容量削減とプレイヤーへの配慮が同時になされたもの*2ということは有名。

  • ドンキーコング(後のクランキーコング)
マリオの初代宿敵であるゴリラ
マリオのペットであり、後述のレディを連れ去り、工事中のビルに逃げ込む。
レディをさらった動機は「マリオがレディと付き合い始めたことで自分に構ってくれなくなったから」という可愛らしいものである。

二代目ドンキーコングの祖父であり、その後は「クランキーコング」を名乗って隠居生活中。

  • レディ(ポリーン)
マリオの恋人で、ドンキーコングにさらわれてしまう。
彼女もデビュー時は名無しの「レディ」だったが、海外で放送されたアニメで「ポリーン」という個人名が与えられ、
欧米ではNES版から、日本においては少し遅れて後述のGBリメイク版よりこの名で呼ばれるようになる。
現行のポリーンは黒に近い濃い茶髪だが、本作当時のレディは背景が黒いので金髪だった*3

マリオvs.ドンキーコング』ではマリオと玩具会社を経営し、『スーパーマリオ オデッセイ』では都市の国 ニュードンクシティの市長として登場したが、
現在においてマリオとは古い友人という関係のようだ。元カノ設定が今も生きているかどうかは微妙なところである。

ゲームシステム

基本ルール

25m、50m、75m、100mと4つのステージを順に攻略していく。
この高さはドンキーコングがいる地点のビルの高さを示している。

障害物を避けながら最上段にいるレディの元に辿り着くことが出来れば面クリア。
しかしすぐにドンキーコングに更に上のフロアに連れ去られてしまうので次のステージに進む。

100mステージをクリアするとレディを救出出来る。
そして難易度が上がった状態*4で25mステージに戻り、以降ループする。
難易度が最も高いのは5周目で、6周目以降は難易度も1からループとなる。
なお制限時間がオーバーフローすることですぐに強制ミスとなってしまい22周目より先には進めない。
もっともここまで辿り着けるプレイヤーはそういないが。

尚制限時間はそのままスコアになっており、素早くクリアすることで多くのスコアが入る仕組みになっている。

障害物への接触、高所*5からの転落、制限時間切れによりミスとなり、プレイヤー数が0になるとゲームオーバー
20000点到達でプレイヤー数が1増加する。

アイテム

スマブラ』でもお馴染みのアレ。「無敵のハンマー」とも。
今作におけるマリオ唯一の攻撃手段。
手に入れると愉快な専用BGMと共にハンマーを振り回し、障害物を破壊出来るようになる。
しかし振り上げている時に一瞬隙が生まれてしまい、そこで障害物に当たるとやられるので注意。
使用中は横移動以外のアクションが取れず、梯子の使用やジャンプが出来なくなる。
任意で手放すことは出来ないので上に行くには効果が切れるのを待つしかない。

  • レディの落とし物
バッグとパラソル、帽子の三種類*6
取得は任意であり、無視してもクリア出来るが取るとボーナス点が入る。

各ステージ

25m

ドンキーコングが次々とタルを投げてくるので、それを避けながら進む。
初代ドンキーコングといえばタル投げというイメージも強いがタル投げをしてくるステージはここだけ。
時折投げられる火薬樽(青いタル)が下のオイル缶に入ると火の粉が出てきて、ステージ内を徘徊する。一つ目のタルは必ずこれ。
アーケード初期版(詳細は後述)では二段目の鉄骨の右側から飛び降りると即座にこのステージがクリア扱いになるというバグが存在する。
ファミコン版でもこのバグは修正されている。

50m

2、4段目にベルトコンベアがあり、乗っていると流されてしまう。
コンベア上にはセメントの容器も流れて来る。障害物扱いなので当たると当然ミス。
その上4段目には焼却炉もあり流されると焼却炉に放り込まれるので注意。
何故セメントを燃やし続けるのかは不明。
焼却炉からは火の粉が5体まで湧いてくる。

75m

スマブラで悪名高きお馴染みのステージ。
足場が悪いため地形によるミスポイントがかなり多く、シンプルに転落死、上りエレベーターの最上部で挟まれるといった形でミスとなることも。
また、身長より高い高さから転落するとミスという仕様上、下りエレベーターで垂直ジャンプしてまたエレベーターに着地しようとすると転落死する。
火の粉は定位置に2体出現しており、増えることはない。
ドンキーコングは飛び跳ねるジャッキを飛ばしてくるので注意。

100m

最上階での最終決戦。
このステージにおける敵キャラは「おじゃま虫」と呼ばれ、5体まで出現する。
エリア内に点在する黄色いボルトを全て外すことでクリアとなる。
見事全てのボルトを外すと鉄骨が崩れドンキーコングは頭から転落していく。そしてレディは救出され、(ストーリー上は)これにてクリアとなる。

アーケード版におけるバージョン差

アーケード基板は日本における初期版(通称:TRYバージョン、後期版(通称:GETバージョン)、アメリカ版の3種類存在する。
ステージ開始前の画面で「HOW HIGH CAN YOU ○○○?」と表示されるが「○○○」の部分に初期版なら「TRY」、後期版なら「GET」と入る。
初期版は前述のワープバグが可能で、後期版は不可能。
アメリカ版は後期版ベースでワープも出来ないが
25mステージにおいて梯子を登りきる直前においても容赦無くタルが落ちてくるという違いがあり、難易度が高い。

Nintendo Switchアーケードアーカイブスではこれら3バージョン全てを収録している。

移植版

ゲーム&ウオッチ

1982年発売。
上下二画面構成で下画面左に十字キー、右にジャンプボタンがある。
後のニンテンドーDSとほぼ同じ構成である。
そして本作は今でこそ当たり前の十字キーを世界で初めて採用したゲーム機なのである。
25mステージをベースにしたステージで、AC版と比べるとアイテムも面変化も無いが
天井が低くジャンプ出来ない箇所やスイッチで作動するクレーンといった独自の要素で差別化を図っている。
4回フックを外すとドンキーコングを倒して多くの得点が入る。

ゲームボーイソフト『ゲームボーイギャラリー2』にも収録されている。
1画面という都合上拡大出来るのは片方の画面のみで、進行に合わせて拡大されている画面を切り替えながらプレイする。
アレンジ版の「いま」モードにおいては「ドンキーコングが二代目になっている」、「ヒロインがピーチ姫になっている」、
ノコノコが登場する」という違いがあるが
スイッチで作動する仕掛けは残っているため、ゲーム&ウオッチ版らしさを残したアレンジをされている。

ファミリーコンピュータ

ファミリーコンピュータのローンチタイトルとして1983年に発売。主人公マリオの名前が続編から逆輸入された。
ステージ開始前及びクリア後のムービー(撃破時のものは除く)が省かれていたり、容量の関係上50mステージが丸々抜けていたりという決定的な違いがある。
しかし移植版としてのクオリティは高く、「『ドンキーコング』が家で遊べる」ということからファミコンの普及を大きく後押しした。
後にディスクシステム版も登場。
ゲームボーイアドバンスのファミコンミニ、バーチャルコンソール、ファミリーコンピュータ Nintendo Classicsなどにも収録。


他にも任天堂作品としては珍しくAtari2600やコレコビジョンなどの他社機種にも移植された。

その後の展開

本作の続編として『ドンキーコングJR.(ドンキーコング2)』(AC、G&W、FC)、『ドンキーコング3』(AC、G&W、FC)が発売。
また、初代ドンキーコングシリーズの派生作品として『ドンキーコングJR.の算数遊び』(FC)、
『ドンキーコングサーカス』(G&W)*7、『ドンキーコングホッケー』(G&W)が発売。

任天堂の許諾を取り「ファルコン」よりクローンゲームの『クレイジーコング』(AC)が発売された。
このゲームは日本物産の『クレイジー・クライマー』の基板をベースに作られており、マリオの掛け声などの効果音に同作の面影がある。
その後はクレイジーコングのコピーゲームが多く世に送り出された。

ゲームボーイにてリメイク版が登場した。
尤もリメイク版といってもそれはプロローグステージだけで、多数の新ステージや様々なパズル要素の追加により内容は大幅に異なっている。
前述の通り日本においてレディにポリーンという個人名が与えられたのはここから。
詳細はこちら

主人公マリオは『マリオブラザーズ』にてタイトルで自身の名を冠し、『スーパーマリオブラザーズ』の大ヒットなどにより一躍有名人となり、
彼を主体とした作品群は『マリオシリーズ』として現在まで続いている。
マリオは『ドンキーコングシリーズ』である本作よりデビューしているため、『マリオシリーズ』は本家より有名になったスピンオフ作品と言えるかもしれない。

ファミコン版『ピンボール』ではボーナスステージ限定でマリオとレディが登場する。

初代ドンキーコングは孫にドンキーコングの名を継がせ、現在において「ドンキーコング」といえば二代目の方を指すことが大半。
イギリスのレア社より二代目ドンキーコングやその仲間達が活躍する『スーパードンキーコングシリーズ』が発売された。
2Dアクションであることやゴリラが登場すること以外本作との共通点はあまり無いが
「主な武器がタル」、「近代的なステージの存在」といった本作を意識していると思われる要素もある。
初代ドンキーコングも「クランキーコング」として登場しており、彼の妻である「リンクリーコング」も登場している。
スーパードンキーコングシリーズやクランキーコングとしての活躍は『ドンキーコングシリーズ』を参照。

ドンキーコング64』にはアーケード版がミニゲームとして収録されており、完全攻略には避けて通れない。
しかし、残機0スタート。つまり1ミスアウトのオワタ式であり、その上一度クリアしても難易度の上がった二回目の攻略も必要となり多くのプレイヤーがここで絶望した。

様々なレトロゲームが登場する映画『ピクセル』にも登場。
主人公にとって因縁のゲームであると同時に、様々なゲームを実体化させ地球を侵略するヴォルーラ星人が最後のゲームとして用意した。


追記・修正は恋人をゴリラに連れ去られたことがある方にお願いします。

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最終更新:2025年04月15日 13:36

*1 『レッキングクルー』など大工としての仕事にフォーカスした作品は本作以外にもあるにはある。

*2 帽子は髪の毛のアニメーションを描かないようにするため、鼻は進行方向を分かりやすくし、赤と青の服は居場所がすぐ分かるようにという意味が込められている

*3 それもあってか両者を異なるキャラクターとして扱っていた時期もある。

*4 敵の攻撃が激しくなったり制限時間が短くなったりしている。

*5 マリオの身長より高い地点。つまりマリオも最初はスペランカー並に脆かった、と言うか当時のゲームは「高所から落ちたら死ぬ」は当たり前で、それだけでクソゲー扱いされるような事は無かったのである。

*6 FC版ではバッグとパラソルのみ。

*7 日本未発売タイトル。『ミッキーマウス』を海外発売にあたり登場キャラクターを差し替えたもの。