粂野匡近

登録日:2023/06/11 (日) 07:24:04
更新日:2024/02/29 Thu 21:56:11
所要時間:約 ? 分で読めます





俺はお前に自分の人生を諦めてほしくないんだよ

















粂野(くめの) 匡近(まさちか)とは、『鬼滅の刃』の登場人物の一人である。








◆概要


かつて鬼殺隊に所属していた隊士の一人だったが、本編開始前に殉職した人物。殉職時の階級は(きのえ)
そのため、本編主人公である竈門炭治郎は存在すら知らない。

本編時の鬼殺隊最高位隊士のの一人である風柱・不死川実弥に鬼殺隊を紹介した男性隊士であり、彼の兄弟子にあたる。
実弥と同じく風の呼吸の使い手であり、当時は彼と並ぶほどの実力を持っていた。

とはいえ、本編での出番は実弥の回想シーンにしか登場せず、セリフも皆無であり、実質出番はたったの4コマ。
「あの一見暴力的でコミュニケーション力皆無な」不死川実弥と「仲が良かった」隊士として紹介されただけあって、「一体どんな人物なんだ?」と読者から(色々な意味で)注目されていた。
その後、本編終了後に刊行された小説版第3弾「風の道しるべ」の表題作中編「風の道しるべ」において、その人となりが明かされることとなった。

性格は一言で言えば陽気かつおおらか。
誰に対しても気さくに話しかけることが出来、常ににこやかな笑顔を浮かべており、の被害者遺族として鬼に対する復讐心で燃えている隊士が大半を占めている鬼殺隊の中では異端の存在である。
周囲から見れば「間抜け」「人畜無害」な顔つきとのこと。

また、事あるごとに「柱になってモテたい」という下心見え見えな願望を口にしており、実弥にもこの誘いをかけてマジギレされている。

そのため、家族を鬼のせいで弟一人を除いて全て失い、鬼になった母をもこの手で殺し、鬼に対する怨恨のみで生き永らえているに等しかった実弥からの第一印象は最悪に近く、「ふざけた野郎」「本当の意味で鬼に対する憎しみなど、この男の中にはありはしないだろう」と軽蔑されていた。

しかし、当の実弥はスカウト時、大量の武器で武装し、時に自分の血まで利用して粛々と野良の鬼狩りを続け、一見すると自殺行為のような行いをしていたため、普通の隊士ならば畏怖の対象となるところを、匡近は気さくなノリで鬼殺隊への道を紹介しており、度胸の据わり方は普通ではない。
そうした、ある意味他人の都合お構いなしだが懸命に向き合うような距離の詰め方で、実弥も徐々に絆され、彼すらも「善人」であると認めていった。

また、時折実弥に対する視線が悲しげになることもあり、陽気な普段の彼の中に陰が差すことがあった。




◆劇中の活躍


野良の鬼狩りをしていた不死川実弥と同じ鬼を追っていた任務中に出会い、彼が苦戦していた鬼を倒したことで出会う。
「鬼を皆殺しにする」という実弥の願望を聞いた匡近は、彼に自分の育手を紹介。彼を鬼殺隊の隊士としての道を示した。

実弥が入隊して以降はつきっきりで彼の面倒を見て、その度に彼に鬱陶しがられていた。
しかし、どれだけ拒絶しても自分に向き合ってくる匡近に、実弥も心を許していく。
そして同時に、「どちらが先に柱になるか」競争も持ち掛けており、互いが互いを高め合い、競い合うライバル関係として認め合っていた。
先に柱になった方に牛鍋を奢るという約束も交わしていたという。


そんな中、階級が互いに「甲」になった頃、2人は久しぶりの合同任務に当たった。
しかし、その日の鬼はいつもとは違った。
鬼舞辻無惨に最も近い十二人の鬼の集団・十二鬼月の下弦の壱―――姑獲鳥(うぶめ)だったのだ。

血鬼術で現場の屋敷に入ろうとした矢先に2人は分断されるが、匡近は屋敷内にあった魔除けの鏡を偶然発見し、姑獲鳥に囚われていた実弥と合流に成功する。
屋敷を探索中、匡近は姑獲鳥が生前、暴力を振るう夫と看病し続けた病気の娘を「自分の看病欲」を満たしたいがためだけに殺害したことを知る。
これには、いつもおおらかだった匡近は激昂し、姑獲鳥に激しい憎悪を向けていた。

更には、「親に虐げられていた」実弥を「可哀想」と憐れむ姑獲鳥にも啖呵を切る。



実弥は可哀想なんかじゃない……実弥の母ちゃんは、心の底からコイツを、息子たちを愛していたんだ
何も知らない鬼のお前が……コイツの思い出を穢すな



そうして、二人は姑獲鳥に刃を繰り出すが、匡近は激しい怒りを燃やしながら戦っていた。その度に姑獲鳥の攻撃で負傷する。
匡近が脇腹に深手を負って、実弥が代わりに斬ろうとした時、実弥の傷口から彼の高濃度の「稀血」が出血。
これにより姑獲鳥は酩酊状態に陥り、前後不覚になる。隙をついて姑獲鳥にトドメを刺そうとした匡近。


しかし―――姑獲鳥に囚われ、洗脳されていた女児が、彼女を庇ったのである。
匡近は技の軌道を逸らしてしまい、次に繰り出した姑獲鳥の一撃で腹部に致命傷を負ってしまった。


直後、姑獲鳥は実弥が倒したが、もはや匡近は手の施しようのない状態だった。
座敷に寝かされ、意識を何とか取り戻した匡近が心配するのは、人質になった子供の心配だった。

そして、次に彼は自分の弟弟子に語り掛ける。





な……あ、実弥……

俺が……いなくなっても、ちゃんと、飯、食えよ……ちゃんと寝て、ちゃんと皆と仲良く……するんだぞ……

ちゃんと、お前の人生を、生きろ、よ



その時浮かべた彼の笑顔は、実弥は「この世で一番、やさしい笑顔」と思ったという。



あとは……任せたぞ……実弥…死ぬなよ…



幸せ…に―――



その言葉を最後に、粂野匡近は絶命した。
実弥は、「本当の善人」たる友の命が奪われたという神が与えた理不尽に、慟哭するしかなかった。





◆死後


下弦の壱を倒した功績を称えられ、不死川実弥は風柱へと昇格した。
だが、友が何一つ報われない死を迎えたことで、その功績にも彼は不信を募らせていた。
就任早々、彼は鬼殺隊の「お館様」たる産屋敷耀哉を柱合会議の最中に罵倒した。
匡近を含めた死者が大量に出る中で、涼しい顔をしているだけと思っていた産屋敷が許せなかったのだ。

「隊員のことなんか使い捨ての駒としか思っていない」と詰め寄る実弥に対し、産屋敷は「ごめんね」と素直に謝罪。
刀を持つことすら出来ないと語る産屋敷の姿に、母の面影を見た実弥は何も言い返せなかった。

更に、産屋敷は匡近のことも覚えていた。彼は、匡近が生前大切にしていた弟と実弥を重ねていたことを明かす。

産屋敷が実弥に渡した匡近の遺書には、彼の明かしていなかった過去が書かれていた。

匡近にはかつて弟がいて、その弟が目の前で鬼に食い殺されてしまったのだ。
両親は彼を責めなかったが、自分で自分を悔やんだ匡近は、母の制止を振り切って鬼狩りの道を歩み始める。
熱く燃え滾る復讐心を秘めながら、常に笑顔でい続けていたのである。

そんな彼にとっては、何かと危なっかしい実弥は弟のように見えていたのだろう。


そして、匡近が「自分の人生を諦めるな」と言った一方で、実弥が考えていたのは匡近の、そして弟の人生。
当に実弥は自分の人生の幸せを諦めている。不幸だと思ったことすらない。
だから、彼は弟を絶対に鬼狩りになどさせない。たとえどんな手段を使っても。

「匡近がいたら叱るかもしれない」そんな思いを抱きながら、彼は自分の道を進み始めるのだった。







◆余談


  • 本編での出番が回想シーン、しかもナレーションで語られる程度の存在であるにもかかわらず人気のキャラクター。不死川実弥の人となりを構成するうえで重要な人物だからか、彼との絡みのあるファンアートが沢山作られた。


  • 「人を寄せ付けないタイプにグイグイ迫る」という意味では主人公・竈門炭治郎に似ているが、当の炭治郎は実弥との関係は最悪である。
    というのも、初手で禰豆子を刺した実弥に対し、鬼となった母を殺した以上鬼を殺し尽くす道を決めたにもかかわらず「『善良な鬼』がいる」と主張する炭治郎は価値観が根本的に違っており、なおかつ玄弥の姿勢に対しても「何が何でも鬼殺隊を辞めさせる」実弥と「どんなに弱くても鬼殺隊の仲間」という炭治郎と真逆な考えを示しており、相容れない関係である。








「俺が項目考えるから、Wikiを好きなだけ追記修正しろ。山程追記修正しろ。そしたら、幸せだろ?なっ?」

「全然、わかってねえじゃねえか!!テメェ、この野郎ォォ!」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 鬼滅の刃
  • 鬼殺隊
  • 隊士
  • 風の呼吸
  • 故人
  • 殉職者
  • 兄弟子
  • 陽気
  • コミュ強
  • 風の道しるべ
  • 善人
  • 粂野匡近

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月29日 21:56