登録日:2019/08/07 Wed 14:00:00
更新日:2025/03/21 Fri 09:55:33
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産屋敷耀哉とは、漫画『
鬼滅の刃』の登場人物の一人である。
◆概要
鬼狩りの組織・
鬼殺隊を代々率いる、産屋敷一族の97代目当主。23歳。
闘病の身であるため表に出ることは少ないが、隊士たちを
「私の剣士たち」と呼んで慈しんでおり、
全員の名前と生い立ちを記憶している。
隊士たちからは「
お館様」と慕われ、我の強い曲者だらけの
柱たちでさえ例外無く深い敬愛を示すほど。
詳細は
鬼舞辻無惨の項目を参照されたいが、実は
彼と耀哉は千年を隔てた同じ血の一族である。
時は平安、無惨のような怪物を出してしまったがために産屋敷一族は呪われ、生まれてくる子供は病ですぐに死んでしまうようになった。
しかし一族がいよいよ絶えかけたとき、神主から「
血筋から出た鬼を倒すため心血を注ぎなさい」との助言を受け、後の「鬼殺隊」の原型が生まれた。
また、代々神職の一族から妻を娶ることで子供も死にづらくなり今に至っているが、
それでも一族の誰も30年と生きられずにいる。
一族の男子は跡取り以外は皆早生してしまい、女子も13までに外に嫁いで苗字を変えなければ死ぬという……。
◆外見
黒髪の青年。
顔の上半分の皮膚が爛れた様に変質してしまっている。
これは一族の人間を代々蝕む病によるもので、病状の悪化とともに次第に全身に広がっていき、それにつれて死期も近づいてくる様子。
柱合裁判時は視力が著しく低下している程度だったが、再登場時には痣が胸元まで広がり、床に臥して吐血する状態にまで病状が進行している。
また表情や髪質等が異なるのでわかりづらいが、耀哉と無惨の顔は
双子のように瓜二つである。
◆性格
聞く者に心地良さや癒しを与える「
1/fゆらぎ」の声音の持ち主で、それに物腰柔らかな態度と優しい言葉遣いも合わさって、自然と人を惹きつける不思議な魅力がある。
悲鳴嶼行冥曰く
「その時人が欲しくてやまない言葉をかけてくださる」。
更に特殊な声に加えて
未来予知じみた凄まじい勘を持ち、理屈の無い未来を見通す力を持っている。
これは耀哉だけの力ではなく一族で継がれてきた力だそうで、これにより彼らは財を成し、幾度もの鬼殺隊壊滅の危機を回避して現在に至る。
ただし、周囲の尊敬を集める人物だが、ただ穏やかな人格者というわけでもない。
特に、一族の怨敵である無惨に
強い憎悪と殺意を抱く修羅の面も持ち、彼に対しては
「一族唯一の汚点」とまで吐き捨てている。
そのため、後述する
禰豆子の件だけでなく、
鬼である珠世に共同研究を申し込むなど、打倒無惨のために鬼狩りの組織を率いる者としては禁忌とも言える手段も取っており、一族の悲願のために
自分の命も含めて鬼殺隊の面々を駒として扱うことにも躊躇いが見られないなど、根は
狂気じみた合理主義の権化である。
一方で、
「これ以上の犠牲を出さないためにも自分たちの代で戦いを終わらせる」という想いも強く、亡くなった隊士の墓参りを毎日欠かさないなど、彼等への愛情もまた本物である。
実際に『劇場版
鬼滅の刃 無限列車編』のアバンでは、散っていった隊士たちの名を呼びながら妻を伴い墓参りをするという映画オリジナルのシーンがある。
◆活躍
本格的に登場したのは柱合裁判の場面。
鬼である禰豆子と、鬼を連れているという隊律違反を犯した炭治郎の処刑へと傾きつつあった(一部を除く)柱たちの前で「自分が炭治郎と禰豆子を容認していたことと皆にも認めて欲しい」という旨を話す。
9人の柱の内5人の反対が集まるも、
「2年も人を食らわずいる以上禰豆子が人を襲わない確証はないが襲う確証もない。『襲わない』に命を賭けた人間が2人もいるのだから、襲うのだと主張するならそれに見合った対価を示すべき」であること、そして
「炭治郎が鬼舞辻無惨と遭遇している」ことを理由に処刑に反対。
これにより炭治郎が、更に
不死川実弥の試しにより禰豆子も辛うじてだが容認されることとなった。
そして、このやり取りの締めくくりに炭治郎にこう諭す。
炭治郎 それでもまだ禰豆子のことを快く思わない者もいるだろう
証明しなければならない これから 炭治郎と禰豆子が鬼殺隊として戦えること 役に立てること
十二鬼月を倒しておいで そうしたら皆に認められる 炭治郎の言葉の重みが変わってくる
鬼殺隊の柱たちは当然抜きんでた才能がある 血を吐くような鍛錬で自らを叩き上げ死線をくぐり 十二鬼月をも倒している
だからこそ柱は優遇され尊敬されるんだよ 炭治郎も口の利き方には気をつけるように
炭治郎の話はこれで終わり 下がっていいよ そろそろ柱合会議を始めようか
それからは
煉獄杏寿郎の
死を悼む姿や、
宇髄天元と炭治郎たちによる
上弦討伐の報に歓喜し、いつもの穏やかな雰囲気とは打って変わって劇中で初めて興奮する姿が見られる。
だが、時間の経過によって病状は急速に悪化しており、刀鍛冶の里での戦いが終わる頃には自力で立ち上がることすらできなくなってしまっている。
そして悲鳴嶼発案の隊士の合同強化訓練が続く中、産屋敷邸に……耀哉の目の前に、突如ある人物が現れる。
…初めましてだね 鬼舞辻…… 無惨…
…何とも 醜悪な姿だな 産屋敷
隠された邸宅の場所を暴いた鬼の首領は、鬼狩りの首領とここに対面したのである。
無惨… 君の夢は何だい? この千年間… 君は一体… どんな夢を見ているのかな……
(…… 奇妙な感覚だ あれ程目障りだった鬼殺隊の元凶を目の前にして憎しみが湧かない むしろ)
(…… この 奇妙な懐かしさ 安堵感… 気色が悪い)
当てようか… 無惨 君の心が私にはわかるよ 君は永遠を夢見ている… 不滅を夢見ている…
…… その通りだ そしてそれは間もなく叶う 禰豆子を手に入れさえすれば
君の夢は叶わないよ 無惨
禰豆子の隠し場所に随分と自信があるようだな しかしお前と違い私にはたっぷりと時間がある
君は…思い違いをしている 私には永遠が何か…知っている 永遠というのは人の想いだ 人の想いこそが永遠であり 不滅なんだよ
下らぬ… お前の話には辟易する
この千年間鬼殺隊は無くならなかった 可哀想な子供たちは大勢死んだが 決して無くならなかった
その事実は今君が……下らないと言った 人の想いが不滅であることを証明している
大切な人の命を理不尽に奪った者を許さないという想いは永遠だ 君は誰にも許されていない この千年間一度も
そして君はね無惨 何度も何度も虎の尾を踏み 竜の逆鱗に触れている 本来ならば一生眠っていたはずの虎や龍を君は起こした 彼らはずっと君を睨んでいるよ 絶対に逃がすまいと
私を殺した所で鬼殺隊は痛くも痒くもない 私自身はそれ程重要じゃないんだ
この… 人の想いと繋がりが君には理解できないだろうね 無惨 なぜなら君は… 君たちは
君が死ねば全ての鬼が滅ぶんだろう?
その言葉に初めて無惨の顔色が変わり、揺らいだ空気に耀哉は確信を得る。
黙れ
うん もういいよ ずっと君に言いたかったことは言えた 最期に…一つだけいいかい?
私自身はそれ程重要ではないと言ったが…私の死が無意味なわけではない
私は幸運なことに鬼殺隊…特に柱の子たちから慕ってもらっている つまり私が死ねば今以上に鬼殺隊の士気が上がる…
話は終わりだな?
ああ… こんなに話を聞いてくれるとは思わなかったな… ありがとう 無惨
次の瞬間、
産屋敷邸襲撃の報を受けて駆けつけんとしていた柱たちの前で屋敷が丸ごと爆発で消し飛んだ。
これにより輝哉本人だけでなく、妻のあまね・長女のにちか・次女のひなきまで死亡。
一方、長男の輝利哉と三女のくいな・四女のかなたは既に別の場所におり、輝利哉が齢8歳にして新たな「お館様」となった。
実は耀哉は無惨が現れることを事前に予知し、その千載一遇の好機を最大限利用しようと計画を練っていたのだ。
出した結論は
自らを囮に妻と子供をも巻き込んだ自爆。
そして作られた秒の隙を突く珠世と
協力者の血鬼術、愈史郎の血鬼術のサポートを受けた悲鳴嶼の一撃は一時的とはいえ無惨を追い込む事に成功。彼らに一歩遅れて集結した柱たちと炭治郎もまた、耀哉が無惨の手で殺されたと誤解した事で仇討ちに闘志を燃やすのであった。
さすがの無惨もこれにはドン引きしており、「妻子は同意していたのか」と、読者も今回ばかりは珍しく共感してしまいそうになるほどまともな理由の疑念を抱くほどだったが、3人とも覚悟の上で耀哉とともに旅立った模様。
またあまりに壮絶すぎた最期を遂げたため、ガンギマリすぎている覚悟に無惨と同じくドン引きする読者も一部いたとかいないとか。
ちなみに一連の自爆戦術は一部のファンから「産屋敷ボンバー」などとも呼ばれている。
(関連して、自爆から続く棘の血鬼術は「浅草ニードル」、珠世が打ち込む薬が「珠世ポイズン」なる通称で呼ばれる)
その後、全ての決着が着いたあとの最後の柱合会議で、輝利哉・くいな・かなたは、柱でたった二人生き残った冨岡と不死川に対し深い感謝の意を伝えた。
また、輝利哉の代で無惨をようやく倒せたことにより一族の呪いはめでたく解かれ、時は流れて現代を舞台とした
最終回においては、とあるテレビ番組で輝利哉はなんと
日本一のご長寿と紹介されている。
……姉妹はどうしたんだろう?
◆余談
- 5人の子供の父。
病弱なのに頑張ったな。
子供たちは単行本17巻にて五つ子であることが明かされた。妻の方も頑張ったな。子育てめっちゃ大変そう。
- 公式ファンブックや、公式原画展「鬼滅展」でいくつかエピソードが明かされている。
- 耀哉が後を継いだのは4歳のとき。
父は多くの隊士を犠牲にする一族の過酷な業に耐えきれず、わずか19歳で命を絶ってしまった。
- 弟が2人いたが、どちらも故人。
1歳下の閃理は父親と同じく一族の過酷な宿業や短命の定めを受け入れきれず心を病んでしまう。家族に辛く当たるようになり、女装のしきたりも拒絶していた。耀哉が9歳の時、閃理は屋敷に火を放ち、末弟の晟斗を道連れに無理心中で夭逝。2人を助けようとした母もこの時の火傷が元で亡くなってしまった。
- アニメ版柱稽古編OP「夢幻」の歌詞は耀哉と無惨の問答・鬼殺隊側の心情をイメージしているものと思われる。
じゃあサビのフレーズにある「示される答え」は『産屋敷ボンバー』じゃねえか
追記・修正は、あらゆる犠牲を払っても悪鬼を滅殺せんとの覚悟を決めてからお願いします。
- 読んでて思ったけどこんな影響力がある御仁なのに何故、日本軍と協力して無惨を始めとした鬼狩りをしなかったのだろうか? -- 名無しさん (2021-12-19 19:34:40)
- ↑日本軍に鬼の存在が知れたら、根絶よりその力の利用に傾きそうだと感じたのかねえ。日本軍が鬼の力を利用(兵士の強化とか)した結果新たな禍根が生まれる…みたいな、原作とはまた違った物語が生まれそうな… -- 名無しさん (2021-12-19 19:55:39)
- ↑ ハァ…ハァ… -- 名無しさん (2021-12-19 20:32:01)
- 連載終わらず鬼に支配された日本で無惨の息子たちと戦ってそう… -- 名無しさん (2021-12-19 20:35:12)
- 彼岸島は鬼滅世界のIFルートだった…? -- 名無しさん (2021-12-19 21:53:04)
- ゆっくり(東方キャラの頭部)の大正天皇の動画があるけど、それを観るに耀哉のモチーフは大正天皇かもしれない。性格や虚弱体質、時代が同時期であることからワニ先生が着想をえたかもしれない -- 名無しさん (2022-02-06 16:02:23)
- 輝利哉に「俺の屍を越えてゆけ」とでも言い残してそう -- 名無しさん (2022-02-06 16:22:03)
- 無惨の性格をジョジョのボス勢の悪いとこ取りと評する声は聞くが、この人の方も意外とDIOから本性を抜いた感じに似てるな、とジョジョ第三部DIOがアヴドゥル勧誘してるとこ読んで思った -- 名無しさん (2022-02-13 06:20:32)
- まぁDIOはDIOで同類にはイカれた感じに心酔されるカリスマ性があるからな・・・利用出来るもんは全部利用してやろう感はある。その結果DIOは人間辞めた訳だからそこが決定的な差だろう。 -- 名無しさん (2022-03-25 17:41:59)
- まぁ、一般人である我々の観点からすれば異常者の部類ではあるけど、そもそも敵対者である無惨が生物としても人としての倫理も常軌を逸してるから、普通の人間が太刀打ちするなら狂わないと太刀打ちできないってのは考慮しないとダメよね -- 名無しさん (2022-08-06 06:51:19)
- 最終選別も「今後長らく鬼と戦い続けるし十二鬼月や無惨と対峙する可能性すらあるのにこんな所で死んでるようじゃまず無理どうせ遠からず死ぬ、死ぬ覚悟と生き延びる実力を持った奴だけ来い」状態なのはわかるし、実際に無惨との決戦では柱から下っ端に至るまで全員で命投げ捨てる勢いで掛かってやっと辛勝という結果が正しさを証明してるのもわかる この手の「善人だけど合理主義突き詰めすぎてて冷酷にも映る上官キャラ」は進撃のエルヴィンとかにも通じるかな -- 名無しさん (2022-10-23 23:14:04)
- 確か、5人いる子供のうちの1人はまだアニメに登場してないんだよね。今後登場するかな?? -- 名無しさん (2022-10-23 23:42:33)
- 彼の子供たち(隊士ではなく実子のほう)、最終選別〜柱合会議辺りの初期は無感情で少し不気味な感じだったけど、無惨戦では実に感情豊かな面が見られてちょっと感動した。基本的に一族全員覚悟完了してるものすごい家系だけどその中でも更に耀哉は別格だったんだろうな… -- 名無しさん (2022-10-26 22:39:57)
- この人は15歳で5児の父親になったのよね、奥さんは19で 不謹慎ですけど...ふふ、下品なので腹斬って詫びておきますね... -- 名無しさん (2022-10-27 00:28:14)
- 心の美しい人。 -- 名無しさん (2023-03-04 16:01:59)
- だからこそ躊躇がないし、社会という俗世に生きる者には理解できない価値観の狂人としか言いようがない行動をする。最終巻の余白絵で地獄へ逝った描写があるのは、まあそうだよね。 -- 名無しさん (2023-03-04 16:04:29)
- 復讐心の定向進化説とかそういうのでもなく一族から見ても特異点だったのは「やっぱりか」と思った。彼もまた運命の小さな歯車のひとつという点が強調されたいい設定。というか結局鬼殺隊に「異常者」は彼一人だけだったというね -- 名無しさん (2023-03-04 16:08:46)
- お館さまも奥さんもお子さんも覚悟凄すぎやろ。 -- 名無しさん (2023-04-12 21:06:23)
- ログ化を提案します。 -- 名無しさん (2023-05-17 13:26:41)
- ログ化しました。 -- (名無しさん) 2023-05-23 16:28:04
- 産屋敷邸の居場所がバレたのって作中でなんか説明あったっけ? -- (名無しさん) 2023-06-27 16:07:07
- ↑刀鍛冶の里編が終わってから鳴女が上弦昇格してサーチ能力を獲得したので、それで鬼殺隊の情報のおおよそを無惨は把握していた -- (名無しさん) 2023-07-01 12:08:42
- 耀哉の鎹烏の声が速水奨って今までの鎹烏声優でもっとも贅沢なキャスティングでは。 -- (名無しさん) 2024-02-02 11:47:42
- 単行本で柱や玄弥が○○なった後挿し絵で○楽に行った描写があるけど(無惨さま含め鬼は○獄行き)お館さまだけ描かれてないので心配。 -- (名無しさん) 2024-04-17 18:38:02
- 爆破シーンがアニメになるとスローで演出されるのに魅入ってしまった。 -- (名無しさん) 2024-07-01 00:51:47
- 中の人が同じ犬夜叉の奈落はどちらかと言えば無惨に近いボスキャラ -- (名無しさん) 2024-07-01 14:12:54
- お館様の自爆シーン、ハンターハンターのネテロ会長以来の衝撃だったな -- (名無しさん) 2024-07-01 15:27:52
- 一応単行本であまね様、ひなきちゃん、にちかちゃんは父と最期を共にする覚悟を持ってると説明されてます。(アニメのアイキャッチの親子良かった。) -- (名無しさん) 2024-07-01 17:06:42
- 後から全体を俯瞰すれば「確かにこれ以外の手はなかった」と納得するけど、連載当時は「みんな狂ってる」とテンパるしかなかったなぁ、あの自爆と開戦布告。 -- (名無しさん) 2024-08-01 20:53:46
- 最期に残された命の灯火を無惨様討伐と鬼殺隊の活力に変えて逝った。悲鳴嶼さんの言う通り「お館さまの采配お見事」だった。 -- (名無しさん) 2024-12-09 17:19:58
最終更新:2025年03月21日 09:55