登録日:2016/08/11 Thu 21:26:00
更新日:2025/03/09 Sun 07:23:19
所要時間:約 23 分で読めます
純 和 風 剣 戟 奇 譚
鬼 滅 の 刃
【概要】
『
鬼滅の刃』とは、『
週刊少年ジャンプ』2016年11号~2020年24号で連載されていた
漫画。単行本全23巻(全205話)。
作者は
吾峠呼世晴。
作者の初の連載作で、世界観や設定は作者の
読み切り作品、
『過狩り狩り』を前身としている。
なお、この読み切りは現在も公式サイトで閲覧できる。
原作が折り返し地点を迎えた2018年にTVアニメ版の制作が決定、19年春
アニメとして放映された(後述)。
そしてアニメの影響か、20年公開の劇場版は邦画興収歴代一位を獲得、社会現象級の大ブームを巻き起こした。
波及効果なのか、既刊も含めてコミックスの売上が集英社のスタッフも「ちょっと見たことがない」と語るほど急激に伸びた。
なんとあの『
ONE PIECE』を抜いて
2019年で最も売れたコミックスという偉業を成し遂げている。
関連グッズやタイアップ企画の国内売り上げだけでなく、後述のとおり海外でも爆発的な人気で新型コロナウイルス禍により海外旅行が厳しく制限される中の外貨獲得にも貢献し、経済的な苦境に世界が立たされる中「キメツノミクス」とさえ呼ばれる経済効果を
日本にもたらした。
そして、嵐のような売れ行きが続く中、本編はアクセル全開のまま完結へと至ったのだった。
【特徴】
本作の特徴は、その何とも味のある画風と独特のセリフ回しとシリアス&ギャグの緩急と妹・禰豆子の可愛さ、鬼狩りVS悪鬼という解りやすい構図、家族愛、流血描写の多さ、そしてアクの強い強烈なキャラと世界観と設定の個性。
デッサンはちゃんとしているが「きれい」とは言えない画風のため、まずそこから人を選ぶ。あえて言うなら「荒いが味のある絵」。
これらの要素が高密度でぶち込まれた結果、連載当時は賛否はあるものの掲載順は中位で安定するようになった。
そして、敵味方問わず様々なベクトルで独特な面白さや存在感を持っており、多くのキャラに相応の人気がある。
キャラ作りと掘り下げもかなりのもので、第一印象が決して良いとは言えないキャラも、物語が進むにつれて事情や過去が明かされると印象が覆されることもしばしばだった。
特に、後から掘り下げられて印象が覆ったキャラにしても、では序盤の印象が悪かった頃との言動に何か矛盾や齟齬があるかと言われると全くなく、キャラ一人一人が最初から非常に細かく丁寧に作り込まれていることが分かる。
また、異常に深みがあり心に残る力を持った台詞の数々や、キャラクターのとても味のある表情作りも本作の最大の魅力の一つであり、この言葉の力については原作の序盤の時点で多くの読者から注目を集め、多くの関係者からも評価されていた。
その台詞を、実力のある声優達が演じるアニメ版の爆発力は凄まじく、アニメが記録的大ヒットをした要因の一つだと言える。
前述のように絵柄はかなり個性的。
平面的でかつ黒ベタを多用する画風で、「切り絵っぽい」だの「版画みたい」だのと形容されることも。
加えて目が ・ ・ になっている独特のデフォルメ(通称:かんたん作画)も特徴の一つ。全ての出番においてこの描写だったモブがいたが、違和感がほぼ無い。
作画の負担軽減の一面もあると思われるが、ギャグとシリアスでの使い分けはしっかりできている。
しかし、動きのある戦闘描写はまだ経験不足な所が見受けられた。
逆に言うとまだまだ発展途上で、序盤は話作りとキャラの魅力だけで安定している作品ということである。
そして、連載期間中に粗さなどは順調に改善されていっており、進行形で成長が楽しめた漫画ともいえる。
無論、絵的に受け付けない人もいるだろうし、またあまり脱ぐシーンも無いなど、「そちら方面」でファンを引き込む気は無かった様子。
一方で、本作の特徴にして人を選ぶ要素といえば、「漫画的なご都合が少ない展開」「唐突かつ独特なギャグ」などが挙げられる。
ギャグについては、例えばアニメにおいて善逸が約28秒もの間汚い高音で騒ぎまくるのを面白いと思えるか、がひとつの基準だと言える。銀魂的なノリが好きか抵抗がない人なら特に問題はないだろう。
また、シリアスな展開の中でも差し挟まれるシュールなギャグの温度差もかなりのもの。ただし、これらはファンからは本作の人気な要素の一つなので、完全にセンスと個々人の感性次第の部分である(というか、ギャグが人を選ぶということ自体は、大なり小なり古今東西どの創作も同じだが)
そして、前者に関しては
- 主人公(真面目コミュ障)やメインヒロイン(妹で都合上出番が限られる)が従来の『ジャンプ』のそれらしくない
- 主人公と最終的に恋仲になるヒロインも、実質主人公組最強格なのもあって終盤までほとんど出番がない(まず妹も合わせてヒロインが、ギャグではなく実戦で戦闘力最強という作品自体がジャンプでは珍しい)
- 人気が出たサブキャラも容赦なくバンバン殺す
- 死なないキャラにしても容赦なく四肢欠損させる
- 漫画的なご都合主義の救済措置はほぼない
- 心情描写を明確な言葉にせず表情に含ませて見せる
……と、近年の『ジャンプ』でも少数派であること間違いなしの展開や要素が頻繁に出てくる。
とりわけ
戦闘において主人公補正の効きがすこぶる鈍い。
その為、主人公が圧倒的な力で無双する所謂なろう的な作品を好む人の場合は、抵抗を感じる可能性は高い(そもそも本作は、人間側が最初から圧倒的に不利な作品なので、そういった主人公無双的なものを求めること自体がお門違いとも言えるが)
但し、それでも比較的ネガティブな気分にはならず、人間側が最終的に勝ちに行くまでのロジック構成や展開に感心したり、ハラハラさせたりするのがこの漫画である。
一方で
- 最強の一角であるはずの柱の不死川に、全集中・常中習得前の炭治郎が頭突きを食らわせる。
という展開もあったりする。
ただし、これも炭治郎自身の潜在能力もあるが、それ以上に竈門兄妹の存在そのものが地雷だったせいで不死川が最初から冷静さを失っていたこと
冨岡に不死川が心から慕うお館様が来ることを言われ、一瞬意識がそちらに割かれてしまったことなどと、複数の要因が偶然重なった結果に過ぎない。
こういった偶発的な要素が重なって、格上に一矢報いるという展開もあるはあるのだが、作品全体としてはやはり根底に「人間がそんなに簡単に強くなれる訳がない」というのが一貫されている。
ただ、同時に「格上相手の実戦は、数年分の鍛練を遥かに越える経験と力を得られる」というテーマも一貫して存在し、それ故に戦闘の中での土壇場の覚醒というジャンプ的な王道展開そのものは全体的に多い(これは主人公だけでなく他のキャラ達も同じである)。
加えて、本作は最初から「鬼舞辻無惨を倒す」「禰豆子を人間に戻す」という大目標が明確に存在し、最初から倒すべきラスボスも物語のゴールも、これ以上ないくらいはっきりと示されている。
これはラスボスを最初から決めること自体が少ないジャンプ漫画としては珍しく、物語の全ての要素がこの2点に向けてひたすら進行するため、良くも悪くも脇道の話など無駄な要素が一切ない。
またそういった展開の都合上、矢継ぎ早で説明が劇中で足りなかった部分もある。というより本編はあくまでもテンポ感重視で、最初から細かい部分の説明は削ぎ落としている。
勿論、終盤まで見たりファンブック等の関連資料を見ればこれらの疑問はほぼ解消されるのだが、そこまで読み込むかは人によるだろう。
細かいことは気にしない人は本誌だけ読めばいいし、細かい部分も気になる人はファンブック等に手を出せばいい、というある種完全に割り切った物語作りをしているのが特徴だと言える。
上記の通り展開の取捨選択が大胆で、他の漫画なら1話丸々費やすか、または長編に突入しそうなところを、ざっくりと数ページ(下手をすると数コマ)で終わらせることも度々。
ただし、これによって生み出されたテンポ感の良さはジャンプの週刊連載の形態には適しており、作品を早送りで見ることも普通になっている昨今の若い世代からの受けも良く、この一度見始めると自然にページを捲る手や次話の再生が止まらなくなるテンポ感こそが、本作のヒットの大きな要因の一つとなっている。
まとめると、その独特ながらも非常に魅力的なキャラクター達に、王道要素とそうではない要素を合わせ持った絶妙な世界観と設定、無駄なものを削ぎ落としたが故のテンポ感にそれによって生まれる没入感と、総じて一度ハマればとことんまでハマってしまうスルメ的な作品だと言える。
勿論、逆に言えば合わない人にはとことん合わない作品だと言えるのだが、最早日本を代表する国民的ヒット作品となってしまった今となっては、それもさしたる欠点ではなくなったと言えるだろう(そもそも合う人の方が圧倒的に多かったからこそ、本作はここまでのヒットをすることができたのである)。
2017年には集英社のプッシュ枠となり露出も増え、元々単行本への追加作業などが多くなっていた。
その上に結構な頻度で発生するセンターカラーなどから察せられる仕事量から、体調を崩さないか心配する読者もいた。
が、幸いにも完結に至るまでそうした理由での休載は発生せず、後述のTVアニメ版の好調も手伝い、『ジャンプ』のトップクラスの漫画の一角に踊り出た矢先の2020年24号をもって本編は完結した。
ファンブック2巻の初代担当との裏話を描いた作者の漫画によると20巻程度で元々終わる予定だったとのことであり、サクサク展開は最初からの構想であり何かの都合で話をまいたということではない。
かつての同誌にありがちだった「人気が出たら引き伸ばし」ということもなく、その後は別作者による派生作品や作者による漫画、小説、ドラマCDといった短編スピンオフ、各企業とのコラボ企画などが展開されている。
また、漫画原作といえばアニメや映画などのメディアミックス作品、スピンオフなどでトラブルが起きて質が悪くなる……というのはあるある話。
だが、この作品に関しては制作時期などの理由から目立った質の劣化が無く、外れを引くことがまず無いのもメリット。
スピンオフもいずれも完成度が高く、ファンならまず手にとって損はない。特に作者自身が書き下ろした煉獄零話は、その完成度も含めて非常に高い評価を集めた。
単行本では、善逸の髪の色やらのおまけ話やカバー下にある表紙の改変イラスト、巻末の『
中高一貫!!キメツ学園物語』などおまけ要素も色々入っている。
また、本誌掲載時の画から細かい所をあれこれ加筆修正しており、
1つの巻で100以上の修正が加えられることも。時には「掴む」を旧字体に直すなど、「こんな修正する!?」と思うところまで手が入っている。
どこが修正されたかはまとめWikiに載っているので興味が向いたら調べてみるのもあり。
単行本発売日にタイミングを合わせたのか、直後の本誌では小話とリンクするような内容が入ることがある(単行本を読んでいなくても問題はない)。
【あらすじ】
時は、
人食い鬼が闇に蠢く大正。
炭を売る心優しき少年・
竈門炭治郎の日常は、彼が家を離れた一夜の間に妹以外の家族を皆殺しにされたことで一変する。
唯一生き残ったものの鬼に変貌した妹・
禰豆子を人間に戻すため、また家族を殺した鬼を討つため、兄妹は故郷を旅立った。
【作中用語】
◆
鬼
今作における人類の敵。
不老不死に限りなく近い肉体を持ち、人を喰らい続ける人外の怪物達。日光が弱点。
人間を捕食して力を付けた鬼は
「血鬼術」と呼ばれる異能を操るようになり、更なる脅威となる。
詳しくは個別項目にて。
◆
十二鬼月
鬼の首魁たる鬼舞辻無惨が選別した、彼直属の配下である12体の鬼の精鋭集団。
大量の人肉を喰らって強大に成長し、鬼舞辻に素質を認められ、更に多くの血を与えられた鬼のみが列せられる所謂幹部ポジション。
序列は「上弦」と「下弦」に分かれ、それぞれ壱から陸が存在する。
特に「上弦」は
100年以上代替わりしておらず、実力者である柱を含めた鬼殺隊員を山ほど屠り続けてきた、
他の鬼とは比べ物にならない理不尽な強さと厄介さを持つ化け物揃い。
一方「下弦」は入れ替わりの激しさ故に総じて扱いが悪く、同じ十二鬼月といえど待遇にはかなり差がある。
◆
鬼殺隊
古の昔より存在し、鬼と戦ってきた政府非公認の人喰い鬼討伐組織。
所属する隊士は
「鬼狩り」「鬼殺の剣士」と呼ばれ、その数は総勢およそ数百名。
何者が鬼殺隊を率いているのかは謎に包まれており、各隊士の動向は伝令役とも言うべき人語を話す鳥
「鎹鴉」によってのみ把握される。
隊の構造の詳細や、隊士の用いる武装、技術などの関連用語については個別項目にて。
◆
柱
鬼殺隊で最も位の高い九人の剣士。各人の極めた流派に応じて、「○柱」(「○」には漢字一文字が入る)という称号がつく。
彼らは文字通り鬼殺隊の柱であり、皆が十二鬼月をも正面から切り伏せる程の実力を持つ。
◆
日輪刀
専門の刀鍛冶達により鍛造され、鬼殺隊の隊士達に支給される、日光以外で鬼を滅することができる唯一の武器。
太陽に最も近く、1年中陽光が差し続ける「陽光山」のみで取れる特別な鉄を素材としている。
この刀をもって鬼の頸(弱点部位)を斬ることにより、完全に息の根を止めることが可能。
ただし、特殊能力の類は一切持ち合わせていないため、後述の「
全集中の呼吸」と合わせて完全に使い手の技量次第である。
◆
全集中の呼吸
超常的な力を持つ鬼と渡り合うために、鬼狩り達が習得する技術。
特殊な呼吸法により身体を急速に活性化させ、その状態から流派に応じた剣術を繰り出すことで、並外れた耐久力を持つ鬼の頸を斬ることを可能にする。
各人の流派によって「水の呼吸」「炎の呼吸」などと呼吸法が分かれている。
◆藤襲山
鬼殺隊入隊に際しての最終試練である、最終選別の会場となる山。
鬼が嫌がる藤の花が年中山中辺り一面に狂い咲いていることを活かして、生け捕りにした弱い鬼を中に閉じ込めている。
◆狭霧山
鱗滝が住む山。標高が高く、頂上付近は極めて酸素が薄い。
炭治郎と禰豆子、及び鱗滝の下で育った弟子達にとっては第二の故郷。
◆稀血
稀少な体質を持った珍しい人間のこと。鬼の大好物。
鬼がこの稀血の人間の肉をその身に取り入れた場合、一人分で数十人分もの養分を獲得できるが、酩酊作用をもたらす場合も。
ちなみにこの用語は作中の造語ではなく、実際に存在する(Rh−などが該当する)。
【登場人物】
メインキャラクター
◆
竈門炭治郎
声:
花江夏樹
この物語の主人公。
元々は山奥で家族と細々と暮らし、亡くなった父に代わり家業の炭焼きで生計を立てていた13歳の心優しい少年。
しかしある日突然ほぼ全てを鬼に奪われ、たった一つの希望にすがり2年間の修行の末、15歳で鬼殺隊に入隊。
妹を人間に戻し、鬼を討つため、慈愛を胸に刃を振るう。異常に鋭い嗅覚を持つ。
◆
竈門禰豆子
声:
鬼頭明里
ヒロインで炭治郎の実の妹。登場時の年齢は12歳で美人と評判の竈門さん家の娘さん。
ある事件により人から鬼へと変化してしまったが、本来はありえないはずの「人を襲わない鬼」となる。
兄15歳の頃は14歳のはずだが、鬼の力で幼女にも大人の女性にも変身できる。
◆
我妻善逸
声:
下野紘
炭治郎と同期の鬼殺隊隊士で、一つ年上の16歳の少年。
愛すべきバカ、もしくはヘタレ。一言でいえばやる時はやるヘタレ。
起きている時はまともに戦えないが、意識が飛んでから本領発揮というギリギリな特性を持つ。
ちなみに金髪に見えるが天然ではなく、とある事件がきっかけでこんな頭になった。異常に鋭い聴覚を持つ。
◆
嘴平伊之助
声:
松岡禎丞
同じく同期……だが色々とイレギュラーな手順で合格した猪突猛進猪少年。ゴリ細マッチョ。年齢は15最。
被っているのは山の主と言われた猪の頭で、
その中身は顔だけ美少女。頭の中身は猿。
とある事情で山の動物に育てられたという経歴を持つ野生児。異常に鋭い触覚を持つ。
◆
不死川玄弥
声:
岡本信彦
炭治郎・善逸と同期で最終試練に合格し、鬼殺隊に入隊した。顔に大きな傷がある。
モヒカンで目つきが悪くせっかちで血の気が多く、
「色変わりの刀」を欲するあまり揉め事を起こした。
かなり印象的な初登場をしたわけだが、色々あって中盤以降まで出番がない。
◆
栗花落カナヲ
声:
上田麗奈
同じく同期で最終試練に合格し、鬼殺隊に入隊した少女。選別時も服さえ汚さず突破した実力者。
柱の一人『蟲柱』胡蝶しのぶの“継子”であり、とある事情から他人と積極的に関わりを持とうとせず、殆ど口を開かない。
ちなみに後に保護者に無断で選別試験に参加した事が明らかになっている。
設定や数が多くキャラも濃いので、各キャラの詳細、隊の構造の詳細、隊士の用いる武装、技術などの関連用語は個別項目にて。
◆
産屋敷耀哉
声:
森川智之
鬼殺隊当主、すなわち組織のトップ。病に侵されており額から目元にかけて火傷のような痕で覆われている。
下の者からは
「お館様」と呼ばれ慕われており、彼の方も隊士らのことを「私の
剣士」と愛おしさを込めて呼ぶ。
実はとある人物と同じ家系。
◆
冨岡義勇
声:
櫻井孝宏
『水柱』
炭治郎と禰豆子の前に最初に現れた鬼殺隊士。炭治郎は冨岡に道を示され鬼殺隊を目指すことになる。
とある事情から卑屈になっており、かなりのコミュ障。
俺は嫌われてない
左右で柄が異なる羽織を着用していることから、嘴平伊之助には「半々羽織」と呼ばれている。
◆
胡蝶しのぶ
声:
早見沙織
『蟲柱』
常に笑顔を絶やさない美しい女性。鬼を殺す時も穏やかに語り掛けながら殺す。
だが、一見恐ろしいその表情の裏にも彼女なりの葛藤があるようで……。
鬼の頸を切れないほど非力だが、
毒を用いて鬼を絶命せしめるという特殊な戦い方をする。
◆
煉獄杏寿郎
声:
日野聡
『炎柱』
どこを見ているのか分からない梟のような目と、金髪の先が赤色に染まった燃え盛る炎のように見える髪が特徴的な熱い漢。
明るく爽やかで優しく熱血な兄貴分で、良くも悪くも真っ直ぐな思考をしている。声がうるさいのがたまにキズ。
本人の気質や呼吸の性質も正面から鬼を斬滅する正統派の剣士であり、敵からも至高の領域に近いと称賛されるほどの実力者。
◆
宇髄天元
声:
小西克幸
『音柱』
派手に二刀を背負った
大柄で筋肉質な男。
派手にかなりのイケメン。
顔がピアスや
宝石などの装飾品で
派手ににぎわっており、物事の尺度を派手/地味で語る。
実は元
忍者で、また現役の柱では唯一の既婚者でもある。
◆
悲鳴嶼行冥
声:
杉田智和
『岩柱』
「南無阿弥陀仏」の文字が染め抜かれた羽織を纏い数珠を握っているという、仏僧のような
ムキムキの巨漢。
盲目であり三白眼どころか瞳が描かれないので初見では若干不気味に見える。
第一印象では
噛ませ要素てんこ盛りの容姿に設定だが、
鬼殺隊最強の呼び声は伊達ではない。
実力もある上、現役の柱の中では最年長ということでまとめ役も担っており、まさしく「柱の中の柱」。
◆
時透無一郎
声:河西健吾
『霞柱』
最年少の柱。小柄で長い髪に女性的な顔立ち。
だが男だ。
非常にマイペースで他人に関心を寄せず、いつも空を眺めている。また、やや記憶障害を患っている。
14歳と炭治郎より年下ながら、刀を握ってわずか2ヶ月で柱になった天才児。
◆
伊黒小芭内
声:
鈴村健一
『蛇柱』
蛇を体中に巻き付かせ、口元を包帯で隠した青年。
オッドアイで左右の瞳の色が違う。
陰険で疑り深い性格。おまけに喋る際に「
ネチネチ」という効果音がつく。「信用しない」が口癖。
白蛇の相棒の名は「鏑丸」。集団の和を乱す言動をとる義勇とは折り合いが悪い。
◆
鱗滝左近次
声:
大塚芳忠
狭霧山に住む、鬼殺隊隊士の育成者「育手」の一人。常に
天狗の面を付けた老人。
竈門兄妹の身を預かり、炭治郎に修行をつけ「水の呼吸」を伝授する。
かつては自身も前線で戦っており、柱に選ばれたほどの実力者だった。
知らない人でも
「判断が遅い」の人と言えば伝わるだろうか。
◆
鋼鐵塚蛍
声:
浪川大輔
日輪刀を製作する刀鍛冶の一人で、常にひょっとこの面を被っている。
最終選別以後に炭治郎が振るう刀は鋼鐵塚の手によるもの。
だが優れた腕を持ってはいるが、その仮面の下は他人の話をまるで聞かない自己中心的な、かつ
剣士の負傷を心配するどころか刀の損傷や亡失にキレ、明確な殺意を持って炭治郎を追っかけ回すという困った
37歳児。
◆
鬼舞辻無惨
声:
関俊彦
1000年以上前に最初に鬼になった存在で、唯一その血によって鬼を作り出す能力を持っている。
つまり、炭治郎の家族を滅ぼした張本人。彼だけではなく、鬼殺隊士の大半から恨みを買っている。
人々を蹂躙することに何の躊躇いもないだけでなく、(極一部の例外を除く)あらゆる鬼の生殺与奪すらも完全に握っている。
事実上最強の存在だが、その思想や行動原理には謎が多い。
◆
響凱
声:
諏訪部順一
「鼓屋敷」の主で、元『下弦の陸』。
人肉を食える量が減ってしまい成長に限界が見えたため、鬼舞辻から数字を剥奪されてしまった。
十二鬼月に返り咲くべく、食えば一気に成長が見込める稀血の人間を狙っている。
縄張り意識が非常に高く、侵入者には人間だろうと鬼だろうと激しい敵意を向ける。
◆
累
声:
内山昂輝
『下弦の伍』
劇中で初めて登場した十二鬼月。
「那田蜘蛛山」に住まう少年の鬼。蜘蛛の脚のような白い髪が特徴。
他の鬼4体と「家族」として徒党を組み、本人はその末弟という役割。
だが、他の家族に対して役割を押し付け高圧的に振る舞っており、その態度に家族たちが怯える様子も。
「家族」や「役割」に対して異常な執着を見せ、それを全うできないと見るや容赦なく切り捨てる。
◆
魘夢
声:
平川大輔
『下弦の壱』
洋装に身を包み、中性的な顔立ちと死体のように青白い肌の鬼。
他人の不幸を目の当たりにすることに幸福を感じるという正真正銘の外道。
血鬼術により強力な催眠術をかけることが可能で、これで幸福な夢を見せた後に悪夢を見せて絶望させることを至上の喜びとする。
鬼としては珍しく、人間の手下を持つ。不幸な境遇に漬け込み、幸せな夢を見せるという条件のもと協力させている。
◆
猗窩座
声:
石田彰
『上弦の参』
劇中で初めて登場した上弦の鬼。
全身に入れ墨のような模様が刻まれた、細身で筋肉質な青年といった風貌。
弱肉強食を体現したような性格で、強者に対しては敵であろうと強い執着を見せ、弱者は「虫唾が走る」と吐き捨てるほどに忌み嫌う。
愚直に武の高みを目指しており、その一貫で鬼の不死性を讃美し、人間という生き物の脆さを嘆いている。
◆
堕姫
声:
沢城みゆき
『上弦の陸』
若い美女の鬼。その美貌で長きに渡って花魁になりすまし、吉原を裏から支配し続けた。
客からの人気は吉原において不動のトップだが、その本性は鬼らしく傲慢な悪女。他の遊女を虐めて自殺に追い込むことさえあったという。
自分の美的センスにそぐわないものを醜いと拒絶し、気に入らないことがあれば首を傾けて睨む癖がある。
◆
玉壺
声:
鳥海浩輔
『上弦の伍』
壺から生えた細い下半身をくねらせ、本来の眼の位置に口が、口と額の位置に眼が配置されており、
上半身のそこかしこから小さな手がウネウネと生えているという、鬼の中でもかなりの異形。
壺を作るのが得意なようで、童磨からも高評価を得ている。…本来の用途とはまるで異なっているが。
慇懃無礼かつやたらポジティブで、何かにつけて「だがそれもまたいい…」と言う口癖がある。
◆
半天狗
声:
古川登志夫
『上弦の肆』
2本の角を生やし額に肥大化した瘤がある、老人の姿をした鬼。
常に身体を震わせながら涙を流しており、地に這いつくばりながら何かに対し大袈裟に怯えている。
鬼舞辻に叱責された際もひたすら許しを乞うばかりだったが、人間を襲う意思はしっかりある様子。
◆
童磨
声:
宮野真守
『上弦の弍』
表の顔は、宗教団体「万世極楽教」の教祖。
常に笑みを浮かべ飄々とした態度を取り、とにかく相手の神経を逆撫でするような物言いをする。
人肉を貪り食いながら命の尊さを説いたり、女の生首を壺に活けたりと、あらゆる言動から狂気が漏れ出ている。
◆
黒死牟
声:
置鮎龍太郎
『上弦の壱』
十二鬼月の創設以来、その頂点に君臨する鬼の剣士。
長く伸ばした黒髪を結い和装を纏う、一見すると侍の如き風貌だが、その顔には6つの奇怪な眼が備わる。
騒々しい上弦の鬼たちの中では物静かで、言葉の節々に「…」が入る。
上下関係に厳格で、童磨に対し怒りを顕にした猗窩座を咎める一幕も。
◆
鳴女
声:
井上麻里奈
目元が隠れるほどに長く伸びた黒髪が目立つ、着物を纏った女性の鬼。
鬼舞辻の側近と思われ、その存在を知るのは上弦の鬼のみと秘匿されている。
常に琵琶を持っており、一度弾けば十二鬼月を本拠地「無限城」に一挙に転移させることが可能。
◆
珠世
声:
坂本真綾
医者の女性。炭治郎もドキッとする美人。
実は鬼だが鬼舞辻に敵対しており、医者としての技術で自分の身体をいじって彼の呪いを外している。
年齢は200歳以上。
詳しくは
鬼の項目にて。
◆
愈史郎
声:山下大輝
珠世によって生み出された、唯一鬼舞辻とは無関係の鬼。
手の平返しに定評がある少年……のように見えて35歳。
珠世が大好きで、彼女のことを全てに優先する。
詳しくは
鬼の項目にて。
一般人
◆三郎爺さん
声:てらそままさき
炭治郎の住んでいた山の麓に居を構える傘職人。ぶっきらぼうな物言いをするが根は優しい。
作中初めて鬼の存在について口にした人物で、「夜には人喰い鬼が出る」と言い、炭治郎に一晩の宿を貸す。
もし彼を泊めていなければ、竈門一家は全滅していた。
◆和巳
声:酒井広大
目の前で「沼の鬼」に婚約者を奪われ、「突然消えた」という突飛な話を信じられない彼女の家族から罵られ、見る影もなくやつれてしまった。
炭治郎が件の鬼を討伐してくれたが一足遅く、残念ながら婚約者は既に帰らぬ人となってしまっていた。
その際、悲しみのあまり炭治郎に辛く当たってしまうが、自分よりも年下の少年とは思えない程に鍛え上げられた手と、自身と同じ悲しみを背負っている眼に気付き即座に謝罪している。
怒りによって心を奮い立たせ歩き出した炭治郎のように、その優しさが新たな一歩を踏み出せると祈りたい。
◆里子
和巳の恋人だった少女。故人。
時すでに遅く「沼の鬼」に喰い殺されており、遺されたのは生前身に着けていた髪飾りだけだった。
◆トキエ
炭治郎が駆け付けた際、「沼の鬼」に拉致されていた。
料理上手で、3人の男性に求婚されているほどモッテモテ。
◆
うどん屋の豊さん
声:
岩田光央
東京府で夜鳴きうどん屋を営む頑固一徹坊主頭。浅草生まれの浅草育ちらしい。
このシーンで出てくる山かけ
うどんは実際美味しそう。
ちなみに作者曰く、
そばも作れてどちらも絶品だとか。
◆やっちゃん一家
やっちゃんとその兄と兄嫁の3人家族。
鬼舞辻にウザ絡みし地雷を踏んだばかりにやっちゃんは頭骨が砕け、兄は汚い花火になった。
兄嫁は血を注がれた結果グロ肉よりも酷い有様になってしめやかに消滅。
アニメ版ではそのグロさに拍車がかかった。なんてところに力を注いでいるんだ。
◆清と正一とてる子
響凱の屋敷で炭治郎が出会った兄弟。
正一とてる子は鬼に攫われた長兄・清を追って来たものの、その住処に入れず立ち往生していた。
清は炭治郎をして「嗅いだことのない」血臭の「稀血」を持つ。
そのため響凱に狙われ、拉致されてしまい清を巡って争いが起きるが、鼓を奪って事なきを得る。
正一は無様な善逸の言動とそれに反する実力を目の当たりにした。
ちなみに、正一はこの時の一件で善逸に強いと誤解されており、同行を懇願された。
清はそのままだとまた鬼に襲われる可能性が高いため、藤の花の香袋が鎹烏から与えられた。
炭治郎達の活躍のおかげで全員が生存し無事に帰路についた……が、凄まじい疲労感に襲われたという。
多分、その半分は善逸と伊之助のせい。
◆
鬼舞辻の妻子
声:
皆口裕子(妻)/白石晴香(娘)
鬼舞辻が人間社会で暮らすための隠れ蓑としているらしき母子。妻の方は
麗という名前らしい。
娘は鬼舞辻と血の繋がりがあるのかどうか、その後無事だったか、また2人が自分達にとっての夫・父の正体を知っているのかは不明。
◆
竈門炭十郎
声:
三木眞一郎
炭治郎らの父親。本編開始時点で既に故人。
炭治郎がつけている耳飾りの前の持ち主だが、継承の経緯などは不明。
回想中では体が弱く床に臥せっており、頬がこけているなど非常に弱々しい様子を見せながらも、その優しい眼差しは息子そっくりである。
先祖代々継承してきた「
ヒノカミ神楽」の継承者であり、これにより病弱でありながら雪の中で神楽の舞を踊ったり、熊を一撃で狩猟するといった芸当を可能にしている。
誰かとの約束で耳飾りと神楽を継承し続けるよう、炭治郎に伝えている。
なお病弱なのが先天的なのかは不明だが、
病弱な状態から確実に子供を2、3人も作っている点は別の意味で気になるところである。
◆
魘夢の手下
声:千本木彩花、
江口拓也、山村響、広瀬裕也
夢を操る下弦の壱・魘夢に幸せな夢を見せてもらうために従っている人間たち。汽車の車掌と男女2人ずつの5人。
鬼殺隊に察知されることを警戒した魘夢により、夢の中で「精神の核」を破壊する刺客として送り込まれる。
少なくともその1人は何度か実際に核の破壊を行ってきた様子で、まだ不慣れらしい他の3人に手順の説明をしている。
もっとも、魘夢は人の不幸が大好きな真性クズであるため、
本当に幸せの夢を見せてくれるかは心底怪しい。
――しかし、彼らは知らなかった。攻撃対象である4人のうち、3人が外れであることを。
かくして不幸にも外れを引いた3人はそれぞれ
◆
鯉夏花魁
声:
斎藤千和
炭子こと炭治郎が
女装して潜入した遊郭「ときと屋」の人気花魁。
新入りの炭子に優しく接し、人望も厚い。
身請けされる前夜で遊郭を抜けようとしたところを鬼に襲われるが、炭治郎に助けられる。
◆
お奉行様
声:江川大輔
とある鬼の回想で登場。江戸時代の人物故、当然故人。
目つきが悪いが、観察眼や実直さを備えた好漢。
鬼になる前のその人物を捕らえ、盲目だという主張は嘘だと的確に看破し、その罪を裁こうとした。
処刑の前夜にその人物が鬼と化して逆に暗殺されてしまうも、今際の際でさえ毅然とした態度を崩さず、「
その薄汚い命をもって罪を償う時が必ずくる」と突き付けた。
まさに
漢と言える姿勢から、登場コマ数総計わずか1桁という出番の少なさながら、その男前っぷりを読者に印象付けている。
おかげで件の鬼の回想シーンを使ったコラ画像でも高確率でそのまま残っていた。
余談だが第二回
人気投票では、
その鬼の7倍近い票数を獲得した。
◆善良な医者
声:高橋伸也
本名不明。平安時代の人物故、当然故人。
病弱で長くは生きられないはずだった鬼舞辻を鬼にする薬を与えた張本人。つまり全ての発端。
薬が効かないと思い込み業を煮やした鬼舞辻に殺されたが、皮肉にも薬が効力を発揮し始めたのはそれから間もなくであった。
【アニメ版】
放送局は当初TOKYO MXを筆頭としたいわゆる深夜枠であったが、劇場版の大ヒットに合わせて
フジテレビが放映権を獲得し、以降第1シリーズ再編集版を含めた全作がフジテレビ系で放送されており、新シリーズ放送前には土曜プレミアムで劇場版が放送されるのも恒例となった。
フジ移管後(平行して引き続きTOKYO MX、BS11などでも放送)は異例となる23時台での全国ネットで放送。この編成は他局にも影響を与え、以降各局で同時間帯にテレビアニメを編成する例が現れている。
『竈門炭治郎立志編』
テレビアニメ第一期。2019年4月~9月に全二十六話で放送。原作1話~53話(1巻~7巻序盤)に相当。
「竈門炭治郎立志編」のサブタイトルは最終話で発表され、正式タイトルには付かない。
OP:『紅蓮華』/歌.
LiSA
ED:『from the edge』/歌.FictionJunction feat. LiSA
挿入歌:『竈門炭治郎のうた』/歌.椎名豪featuring中川奈美(第十九話)
LiSAはこの年の
NHK紅白歌合戦に『紅蓮華』で初出場を果たした。
次回予告は単行本に収録されている設定裏話の『大正コソコソ噂話』を映像化。
なお、多分スタッフの何割かは本作のファンであろうことがうかがえるほど、力の入れ方が半端ではない。
特に第十九話『ヒノカミ』は後半のシーンにおいて劇場並のクオリティを持った物凄い作画が披露され、各サイトで「最高の神回」と評価が高い。「ヒノカミ」だけに。作者も感激したとか。
また、他作品では主人公や黒幕などの主要なポジションを多く担当する豪華声優陣も多数ゲスト出演している。
……が、そんな人気声優を起用した一発キャラがあっさり退場する様はなかなかエキセントリック。再登場を期待したけどそんなことはなかったぜ!
その結果、最終話放映後に発売された最新刊は売り切れ報告が相次ぎ、既刊を含めて販売ランキングの大半を占有した書店もあった模様。
場所によっては少し前に売り出した小説や設定資料集すら消えたという。
さらにはオリコンランキングの1位から22位まで既刊22巻全てで独占するという、イカれた有様をたたき出した。
最初の方だけ、アニメ化された範囲やその少し先まで売れるならともかく、既刊がごっそり売れるということはそれだけ脱落者が少ないということである。
22巻という途中参入でも集めやすい量であるのも追い風だったと思われる。
本放送開始前に1~5話を再編集した特別編『鬼滅の刃 兄妹の絆』が映画館にて先行公開された。
また、TV版「無限列車編」開始前には総集編形式に編集された特別編が順次放送された。
6~10話「浅草編」
11~14話「鼓屋敷編」
15~21話「那田蜘蛛山編」※劇場版「無限列車編」前に放送。
22~26話「柱合会議・蝶屋敷編」
『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』
『竈門炭治郎立志編』最終回にて予告され、2020年10月16日に公開された劇場版。
東宝株式会社配給で全国公開された。
アニメ第一期最終話からそのままストーリーが繋がっている、原作54~66話(7巻~8巻)のエピソードを映画化。
アニメと同様、漫画にあった一部心理描写や『大正コソコソ噂話』が無いため、「無意識領域」など説明不足な点もある。
しかしそれを補って余りある戦闘シーンの迫力やMX4D/4DXのエフェクトなど、劇場アニメならではの表現は圧巻の一言。
特に4DXでは水の呼吸を使う度に霧吹きが噴き出し、炎の呼吸を使う度に熱風が出るなど、4DXの仕様を余すところなく活用していた。
主題歌:『炎』/歌:LiSA
この主題歌も昨年の『紅蓮華』と同様に大ヒット。
2年連続となるNHK紅白歌合戦出場のほか、見事2020年の日本レコード大賞受賞を果たした。
入場者特典は当初『煉獄零巻』だったが、後に来場御礼入場者特典として4種類が追加。
更にMX4D/4DX専用の特典が追加された。
特典の内容は以下の通り。
初期:煉󠄁獄零巻
来場御礼第一弾:ufotable描き下ろしA5イラストカード 壱
来場御礼第二弾:ufotable描き下ろしA5イラストカード 弐
来場御礼第三弾:来場御礼スペシャルブック
来場御礼第四弾:キャラクターデザイン:松島晃描き下ろしメモリアルボード
MX4D/4DX:無限列車切符風アクリルキーホルダー
世間は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、密閉空間になりがちと思われる映画館は客足が遠のいていた。
また洋画を中心に多くの作品の公開や撮影が延期されており、感染対策で1回あたりの収容人数が抑制されてもいた。
それらを加味しても、劇場によっては1日で40回という異例のハイペースでの公開となり、タイトルから連想して「(交通機関の)時刻表のようだ」との声も聞かれた。
なお、TOHOシネマズのように本作の公開に合わせて収容制限を緩和し、土休日に限り全席開放に踏み切った例もある。
そして公開された所、それでも全く席が足りていなかったという事実が浮き彫りとなった。
連休でもない平日の金曜日公開にも関わらず各所で大行列が発生し、PG12のレイティングというハンデを跳ね除けて幼稚園児や小学生といった低年齢層のファンも多数動員。
初日だけで10億という記録を樹立し土日含めた3日間で46億という日本映画最高のスタートを決めた。
また、封切りから2~3週間の間の土日祝日は一番お客が入る時間帯の座席数から見た着席率が95%を超えるというイカれた有様を叩き出している。
- ※映画館では「前の回で着席したお客様が席を汚したり壊したりして座れなくなった際の予備席」を常時確保しておくのが普通
- そしてその予備席も座席数に含まれているので、そもそも着席率100%が物理的に不可能
- ※着席率は大都市圏の映画館のみではなく全国の大体7割前後の映画館の席を把握して集計している
- そのため、いつもガラガラで人気が無い映画館の物も結構込みで集計されている状況でこれ
また、売上ランキングに平日公開分まで食い込むなど、こちらでも盛大にランキングをバグらせている。
そして、公開2週目の週末をもって興収100億円を記録し、テレビアニメの劇場版史上初の大台を突破した。
その後は4週目の週末で興収200億円、9週目の週末で興収300億円を突破した。
『鬼滅の刃 無限列車編』:公開から10日で100億、24日で200億、59日で300億、220日で400億円を突破
6月を待たずして400億円を突破し、日本を含めた全世界での累計来場者数は約4,135万人。
その総興行収入は約517億円を記録し、2020年リリースの映画の中で世界興収1位を獲得した。
重ねて言うが
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が3回も出ている上でこの結果である。
12月26日からは4DX・MX4D上映が始まることが発表され、全国の劇場で予約開始後まもなく全上映回の完売が多発。
予約殺到のあまり映画館のサーバーがダウンするなどの現象が発生していた。
そして、遂にはそれまで日本国内興行収入第一位だった『千と千尋の神隠し』を超え、320億円を突破。実に19年ぶりに記録が塗り変わったこととなる。
ちなみに、この興行収入が発表された12月28日は、竈門禰豆子の誕生日でもあるとして話題となった。
これにより各所のニュースでも大きく取り上げられ、諸外国の報道機関でも大きな反響があった。
海外上映は同年10月30日の台湾が一番乗りとなり、中国語吹き替え版の上映開始日11月6日を待たずして1.17億台湾ドル(日本円で約4.3億円)の売り上げを叩き出す。
同国内の市長が複数人キャラのコスプレを披露するなど一大ブームを巻き起こした。
その後はアジア圏を中心とした海外上映が進み、ベトナム・韓国・タイ・香港・シンガポールなどで公開、いずれも爆発的な売り上げを叩き出した。
欧米向け上映は2021年より開始され、
アメリカ、フランスなどでも大ヒットを記録した。
2021年10月から11月まで再編集されたテレビシリーズ全7話が地上波放送。
第一話は煉獄が無限列車に乗り込むまでの過程が
アニメオリジナルとして描かれる。
OP:『明け星』/歌.LiSA
ED:『白銀』/歌.LiSA
7話ED:『炎』/歌.LiSA
『遊郭編』
テレビアニメ第二期。2021年12月から2022年2月まで全11話で放送。
最終回はCM無し+15分拡大という徹底した構成となった。
『無限列車編』のエピローグから直接繋がる形で、原作67~97話(単行本8巻終盤~11巻)をアニメ化。
無限列車の波に乗ったか、こちらも作画が一層向上しており、特に10話の宇髄と妓夫太郎の戦闘シーンの作画はヒノカミ神楽をも上回る力の入りようを見せ、続く11話と共に後々劇場で放映されるという厚遇ぶり。
後の『刀鍛冶の里編』でもその毎週劇場版レベルのクオリティは更に勢いを増して継承されている。
OP:『残響散歌』/歌.Aimer
ED:『朝が来る』/歌.Aimer
Aimerは放送終了年のNHK紅白歌合戦に『残響散歌』で初出場を果たした。
2023年4月には、特別編集版として『遊郭潜入編』『遊郭決戦編』が放送された。
『刀鍛冶の里編』
テレビアニメ第三期。2023年4月から6月まで全11話で放送。最終回は70分枠と大幅に拡大されての放送となった。
『遊郭編』最終回から直接繋がる形で、原作98〜127話(単行本12巻〜15巻序盤)をアニメ化。
フジテレビ放送版では、アバンでミニコーナー『双六大好き善逸の今日の一振り!』を放送。
恒例の『大正コソコソ噂話』を映像化した次回予告はTOKYO MX・BS11等での放送版及び配信版で流れる。
放送開始から2ヶ月先駆けて映画館にて第1話が『遊郭編』ラスト2話と共に『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』のタイトルで先行公開された。
OP:『絆ノ奇跡』/歌.
MAN WITH A MISSION & milet
ED:『コイコガレ』/歌.milet & MAN WITH A MISSION
挿入歌:『竈門禰豆子のうた』/歌.椎名豪featuring中川奈美(最終回)
2024年5月には、特別編集版として『敵襲編』『繋いだ絆編』が放映された。
『柱稽古編』
テレビアニメ第四期。2024年5月から6月まで全8話で放送。第7話は40分枠、最終回は60分枠に拡大されての放送となった。
『刀鍛冶の里編』最終回から直接繋がる形で、原作128〜139話(単行本15巻序盤〜16巻中盤)をアニメ化。原作での該当話数は短いが、アニメ化にあたって再構成され、大量のアニオリシーンが挿入されている。
また、フジテレビ放送版においても、次回予告の『大正コソコソ噂話』が復活。
放送開始から3ヶ月先駆けて映画館にて第1話が『刀鍛冶の里編』最終回と共に『「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』のタイトルで先行公開された。
OP:『夢幻』/歌.MY FIRST STORY × HYDE
ED:『永久 -トコシエ-』/歌.MY FIRST STORY × HYDE
『劇場版 鬼滅の刃 無限城編』
『柱稽古編』最終回にて、映画三部作として製作が発表された。
『無限列車編』同様に東宝株式会社が配給。
総監督として、ufotable社長の近藤光(『柱稽古編』までは制作プロデューサー)がクレジットされている。
第一章は2025年7月18日公開予定。
【作者について】
作者の吾峠呼世晴は、本誌巻末のコメント欄や単行本カバーの折り返しなどでは
「眼鏡をかけたワニ」という姿で描かれる。なので、愛称として
「ワニ(先生)」と呼ばれることも。
曰く「食いついたら離れない=ずっと読んでもらえる漫画を描きたい」から、らしい。
『ジャンプ』本誌の作者コメント欄では度々
奇行もとい、やらかした行動の報告と食べ物の話がやけに多く、天然もしくは
ドジっ娘と思われる……が、性別は非公表。
なお
福岡県出身であることは明かされている。
+
|
以下、奇行を一部抜粋してご紹介。()内以外は全て原文ママ |
一部抜粋する。
- はじめましての皆さん 君は絵がちょっとアレだからとにかく絵をがんばろう、もっと定規を使おうと申し訳ないくらい担当さんにエールをもらった峠です。描いてる途中、定規を使うのは背景だよ 人物には使ってないよねって心配されました。 相当アホだと思われていますけども 実際そうなんですけども よろしくお願いします。(名前が「峠」になっているが、誤字だったのかどうかは今もって不明)
- 嬉しいときスキップする癖を今年中に必ず直す。(2016年の話。結局達成できたのだろうか?)
- 最近漫画の専門用語をたくさん覚えて鼻高々(コメントは第22話掲載時点のもの)
- 実年齢が自分が思ってたより1個若かったので得した気分(数え年で間違えて把握していた?)
- ぶつかったので慌てて謝罪したらマネキンだった。
- 断水の日を間違えて、断水でもなんでもない日に1人で断水していた。
- この入浴剤溶けないなーと思っていたらキャンディだった。
- ドッグフードを食べた(疑惑)。
- 元旦に滑り台から転落した。
|
単行本ではおまけ話などで何とも感情豊かな様子を見せ、1巻から最終巻まで読者への感謝の言葉を絶やすことはなかった。
変なワニだが、本人曰く人見知りだそうで町で知り合いを見かけても逃げてしまうらしい。
個性的な作品の作者であることに加え、上記の天然ドジっ娘気質も相まって一部読者からは謎の生き物や萌えキャラ扱いをされている。
一方「怖い話は考えただけでちびってしまうので書けない」「自分の好きなキャラが傷ついたりすると可哀想だからあまりやりたくない」など、作中でやっていることを棚に上げて描くような若干サイコな一面も……。
ちなみに、以前から『ジャンプ』に投稿し続けていたが、一定の評価はされるものの連載には至らず、「これでもし連載を持てなかったら漫画家を諦める」という覚悟で仕上げたのが本作だったという。それが大ヒットするのだから人生はわからないものだ。
【余談】
『無限列車編』公開に合わせ、現役で運行可能な
蒸気機関車を保有するJR各社によりコラボ企画が実施されたが、
JR九州は日本で唯一無限列車と同じ型の機関車を保有していることから
番号プレートを「無限」に変更し「SL鬼滅の刃号」として運行する気合の入れよう。
また乗車券も販売されたが、早いものでは予約開始から
僅か1秒で完売となった。
追記・修正は鬼になる前にお願いします
- 人を選ぶ名作が王道少年漫画としてゴリ押しされた結果本来好意的に解釈してくれる読者を取りこぼし大衆から無用に叩かれるという誰も得しない結果になってんのはマーケティングの失敗例として教科書に載せていいレベル -- (名無しさん) 2024-03-07 07:45:58
- ごり押しされてるだけならあんなに映画に客はいらないと思うが? -- (名無しさん) 2024-03-23 20:18:17
- モンストがやけにこれを推してる感がある。2023年までにコラボを計3回まともに開催してるほどだし(小規模開催した銀魂と呪術を除く)。今後エヴァンゲリオンみたいにあと2回(合わせると計5回)やるつもりなのだろうか -- (名無しさん) 2024-04-09 12:40:23
- ↑7 悪しき因果を断ち切った事がハッキリ理解出来るしな。 -- (名無しさん) 2024-04-22 13:07:32
- 最終章の無限城編のアニメ版はどっちになるのだろうか? -- (名無しさん) 2024-04-30 18:30:22
- 話数こそ少ないけど柱稽古編も面白い。 -- (名無しさん) 2024-05-18 09:29:00
- 無限城編は劇場版三部作になるのか。いよいよクライマックスが近づいてきた感じだ…。 -- (名無しさん) 2024-07-01 00:14:32
- やはり最終章は劇場版だったか。遊郭~柱稽古はどう考えても予算赤字を覚悟してのTVアニメだったし、言わば最終章の映画のための先行投資か -- (名無しさん) 2024-07-01 00:19:40
- もしかしたら、最終章である劇場版が上映終了後には、無限列車編みたいにテレビシリーズとして2クールに分割されたりして。 -- (名無しさん) 2024-07-01 16:18:10
- ここからバトル一辺倒だから楽しみ。 -- (名無しさん) 2024-07-01 17:07:54
- どういう配分になるんだ一体…1作目が猗堝座殿と童磨(とあと繪岳)、2作目が兄上、で3作目で無惨様? -- (名無しさん) 2024-07-02 19:38:22
- 劇場版の無限城編は無限列車編を遥かに超える鬱展開の嵐かも。 -- (名無しさん) 2024-07-16 18:09:50
- 最近、何故か中古市場では単行本や映像ソフトやグッズなどがほとんど捨て値らしい。まるで第2の妖怪ウォッチみたい。 -- (名無しさん) 2024-08-17 17:46:40
- 柱稽古編見終わったけど最終回のコソコソ話のサプライズは震えた -- (名無しさん) 2024-08-24 21:15:08
- ↑とはいえ全盛期程ではなくても一度社会現象起こしたからか今は安定した人気なのは間違いない、アニメやれば必ず売れるし -- (名無しさん) 2024-09-21 07:22:02
- 深夜放送なのに視聴率はドラえもんコナンまる子超えてたりするし未だに支持熱いと思うよ -- (名無しさん) 2024-10-16 17:54:54
- というか原作完結後でここまで熱持ち続けてる事自体が凄いのよ -- (名無しさん) 2024-10-16 19:40:59
- ↑5、もしかしたら、劇場版の無限城編は初登場1位になるだけで2週目からは順位が下がりそう。 -- (名無しさん) 2024-10-17 16:24:56
- 主人公が当初の目的を完遂し、概ねハッピーエンドといえる結末にたどり着く。言葉にすると簡単なように見えるが、近年の他ヒット作の動向を見ていると想像以上に難易度の高いことなのかもしれん。そう考えるとやっぱりこの作品は凄い -- (名無しさん) 2024-11-25 09:35:11
- 2023年頃からブームが去った為なのか、ブックオフでは単行本が1冊110円らしい。今から全23巻を各巻別々でまとめ買いしたら購入費2530円でお得だけど、逆に今から全23巻を売ってしまったら買取価格はたったの115円(1冊5円)にしかならないらしい…。 -- (名無しさん) 2024-11-27 16:54:39
- なんか必死に売れてないアピールする奴が常駐してるけど見苦しすぎるだろ… -- (名無しさん) 2025-01-02 07:43:28
- 無限城編 第一章、7月18日(金) 公開決定 -- (名無しさん) 2025-03-01 19:30:18
- 物凄く地味だけど「最初から物語の着地点が定められている」「宿敵が一貫してラスボス」なのもジャンプ漫画として滅茶苦茶珍しい印象。引き伸ばしとかあったら無惨様は章ボスで、後に他の鬼とかが出て来そうな感じする -- (名無しさん) 2025-03-01 19:34:57
- ↑×2 鬼殺隊水柱+かまぼこ隊長男の兄弟弟子コンビVS十二鬼月上弦の参の闘い本当に楽しみ。 -- (名無しさん) 2025-03-01 19:48:03
- もしかしたら、無限城編の第2章は2026年頃で、第3章(最終章)は2027年頃かもね。 -- (名無しさん) 2025-03-03 18:34:28
- 近い内にまたswitchで新作ゲームが発売されるが、遂にCEROがD指定になるという…それでもやりたい子供はいるんかな? -- (名無しさん) 2025-03-08 16:50:51
- むしろ原作(+深夜アニメ)のこの内容で何で子供人気あったんだろうと思ってた -- (名無しさん) 2025-03-08 16:53:18
- 善悪の転倒と天才が凡愚に潰される悲哀(この漫画における天才とは生命を慈しみ人の尊厳を尊重できる人格のこと)という少年漫画らしからぬテーマを掲げながら少年漫画としてそれらを描ききった漫画史に残すべき傑作。ヒットの理由として深いテーマ性と古めかしいモノローグ使いが純文学や時代小説といった活字好きに刺さったのは納得できるが子どもに流行ったのはほんとなんでだろうね -- (名無しさん) 2025-03-22 10:32:20
- 世間の認識と実態がここまでかけ離れてる漫画も珍しい。努力すればなんとかなる!じゃなくて数の暴力で天才を馬鹿にするな!だし人に優しくすれば良いことあるよ!じゃなくて人に優しくすることにメリットはない、だからこそ美しい!だし。敵の方が正しくて主人公達はクズと言われるのも「今の社会や人間は狂ってるから本当に正しい人達が指弾にされる」ことを糾弾した漫画だから作者が想定してる感想だし本当に嘗められてるよね -- (名無しさん) 2025-03-30 09:36:21
- 例のフジテレビ問題があった為なのか、今回の様々な総集編シリーズは劇場限定公開らしいね。 -- (名無しさん) 2025-04-05 12:25:02
最終更新:2025年03月09日 07:23