全集中の呼吸(鬼滅の刃)

登録日:2019/08/13 Tue 03:15:00
更新日:2025/04/14 Mon 12:30:28
所要時間:約 20 分で読めます






"全集中の呼吸"はね、体中の血の巡りと心臓の鼓動を速くするの

そしたらすごく体温が上がって…人間のまま鬼のように強くなれるの


全集中(ぜんしゅうちゅう)呼吸(こきゅう)とは『鬼滅の刃』に登場する技術である。


◆目次



◆概要

呼吸器官や血流器官を活性化させ、瞬間的に身体能力を強化する特殊な呼吸法。
これによって自身の肉体を強化し、それぞれの習得した「型」を用いて戦うのが鬼殺隊の基本戦術。
呼吸により体中の血の巡りと心臓の鼓動を速くし、肺に尋常じゃない量の空気を取り込む。
それにより体温が急上昇し、血が吃驚(びっくり)したとき骨と筋肉が慌てて熱くなって強くなる。

肉体強化のみならず、呼吸の仕方によっては傷の止血や毒の効果を遅らせるなどの応用が可能で、文字通りの生命線となる技術である。
剣士によって個人差はあれど、狭霧山のような酸素濃度の薄い環境で鍛錬することによって心肺を著しく増強させ、一度に大量の酸素を血中に取り込むことが必須。
しかし呼吸を修め強くなっても人間には変わらないため、とは違って傷の治りも遅く、当然失った手足が元に戻ることもない。

全集中の呼吸はあくまで剣技を繰り出す前段階として肉体を強化するためにあり、いわば『界王拳』のような自己強化能力の一種。
設定的に元ネタと思われる*1ジョジョの奇妙な冒険』の「特殊な呼吸で吸血鬼を殺せるようになる呼吸」と違い、「陽光」に相当する日輪刀がなければ止めを刺すことはできない。
それどころか、鬼が呼吸を使っても体が崩れ去ることは無いため、鬼に堕ちた元・鬼狩りが鬼の身体能力と血鬼術を上乗せした更に強い剣技を放ってくるケースすらある。
尚、ある柱曰く「自分の体の寸法や筋肉一つ一つの形、それらすべてを認識してこそ本物の全集中なり」とのこと。

「血行強化で全身が熱せられて身体能力が跳ね上がる」と書くとギア2に似ているが、赤くはならないし蒸気も出ない。


◆全集中・常中(じょうちゅう)

瞬間的にではなく、寝ている時も含めて四六時中全集中の呼吸を続ける応用技術。
心肺機能の大幅な向上に伴い基礎体力を飛躍的に高める効能があり、柱たちは全員が会得している。
常中は習得が大変な高等技術だが、同時に強力な鬼との戦いや柱を目指すなら必須の基本技術と言われている。
やろうとした炭治郎曰く『肺と耳に激痛が走り、耳がドクドクして一瞬そこから心臓が出て死ぬかと思った』との事。
更なる応用発展として血管の一本一本に至るまで意識をめぐらせて、筋肉の収縮をコントロールして自力で止血などを行う完全身体操作が可能になる。
高位の剣士ほどより深く精通しており、極まった者ならば内臓が零れ落ちるような深傷を負っていても呼吸法により傷を締めて内臓が零れ落ちるのを防げる。
また常中は刀の型とは違い、口から音と共に煙のような水蒸気が漏れたりはしない。どちらかと言えば腹式呼吸のような静かな呼吸。

ちなみにしのぶさんのところでは訓練で(かった)い瓢箪を吹いて破裂させてるようです。


◆流派

呼吸には複数の種類があり、鬼殺の剣士の卵らは育手(そだて)によって各々異なる呼吸法とそれに対応する流派を身に着けることとなる。
身体能力を高めるという方向までは同じでも派生する技の性質は流派により様々。
の5つが基本となる呼吸であり、その他の呼吸はこの5つから派生している。
また、それぞれの呼吸法で口の形や呼吸音に差異がある。この呼吸法を以て鬼の懐に飛び込めば、その頸を一薙ぎで断つことさえ容易となる。

なお技によっては使用時に異能みたいなド派手なオーラが発生するが、実際に炎や水を発生させて攻撃している訳ではない
全て純粋な剣術および体術であるが、作者曰く、作中世界でも見ている人にはイメージとして知覚されている。
技の練度によってはド派手なエフェクトになったりほとんど変化がなかったりするので、見た際の使い手の技量がどれくらいなのかの目安にはなる。
名無しの隊士もちゃんと呼吸は使っているらしいが、練度が低すぎるため呼吸を使っていても傍目にはわからない。
人と呼吸には相性があるため、呼吸が合わない場合は別の流派を学び直したり新しい呼吸を派生させることも珍しくはない。
相性が悪かったり別の呼吸の使い手であったとしても、そのコツを掴んでいれば一時的に別の呼吸の特性を引き出す事もできる。
ただし別の呼吸の併用や途中から呼吸を変えるとその反動が起き、身体がしばらく動かなくなるデメリットもあるので多用は厳禁。



炎の呼吸

炎を纏うかのように攻撃に長じた流派。
煉獄家が代々子孫に伝えてきた呼吸であるため、使い手も派生も特に少ない。
ある理由から「炎の呼吸」を「()の呼吸」と呼んではならないという謂れがある。
剣技のエフェクトは明るめの色合いの炎。
日輪刀の刀身はに染まる。



◇派生

  • 恋の呼吸
煉獄杏寿郎の継子だった甘露寺蜜璃が独立して編み出した彼女だけの呼吸。
元は炎の呼吸を練習していたが、あまりにも独自性がありすぎたために別の呼吸として派生した。
新体操のリボンを思わせる長い特殊な日輪刀を用い、刀身は桜色に染まる。
その長い刃の特性上、攻撃範囲と到達速度に優れる。



水の呼吸

「水はどんな形にもなれる」を旨とする、いかなる状況にも対応し戦える流派。
基本呼吸では最多の型を有していて、技が基礎に沿っているため習得の難易度が低く派生の呼吸が特に多い。
鬼殺隊で最も多くの隊士に使われている呼吸である。
その分、弱点……というほどではないが極め抜かないと決定力に欠けることも。
冨岡義勇ほどの使い手になれば防御力が非常に高い上で鋭い一撃を見舞うシンプルゆえに強固な域へと至れる。
剣技の演出は和風な絵柄の水流。使用者が多い分、実力によってどれほどエフェクトに差が出るかを比較しやすい。
日輪刀の刀身はに染まる。



◇派生

  • 蛇の呼吸
蛇のように閉所をすり抜けるテクニカルな技を得意とする流派。
蛇柱・伊黒小芭内は波打った桔梗色の両刃刀を用いる。


  • 花の呼吸
花柱・胡蝶カナエと栗花落カナヲの用いる流派。
美しい太刀筋から怒涛の連撃を繰り出す。イメージとは裏腹に高い身体能力を求められる。
技使用時には花弁が舞うほか、振るう刀の桃色の軌跡が重なって花のように見える。
日輪刀は薄い桃色に染まる。
派生ながら、昔から伝えられてきた呼吸である。


  • 蟲の呼吸
花の呼吸から更に派生した、蟲柱・胡蝶しのぶ専用の流派。
鬼の頸を斬るだけの腕力がないしのぶは、刺突によってを刺し込み鬼を殺す。
突き技と毒の注入に特化した、先端にのみ刃が付いた日輪刀を使用する。
各型は通し番号ではなく「○○(虫の名前)の舞い」で区別される。



風の呼吸

炎と同じく攻撃に長じるが、風は暴風の如く速さと範囲に優れた流派。
激しい風のエフェクトと鋭い斬撃が同化して風で斬っているように見えるがそういう訳ではない…はず。
日輪刀の刀身はに染まる。



◇派生

  • 霞の呼吸
敵を霞に撒くような動きが特徴で、回避に特化した流派。霞柱・時透無一郎が用いる。
日輪刀はに染まる。
派生ではあるが、その歴史は古いという。


  • (ケダモノ)の呼吸
嘴平伊之助が誰にも教わらず身に付けた二刀流の流派。そのため他の流派が「全集中 ○の呼吸」と言う一方で、こちらは「我流 獣の呼吸」と称する。
「風」に性質が似ていると言及されている。
伊之助は剣術を学んだわけではないため太刀筋は滅茶苦茶な上、型に剣技と呼吸のによる補助技が混在しているが、それでも技としては成立しているらしい。

伊之助の日輪刀は藍鼠色に染まっている他、彼の拘りで日輪刀の刃がギザギザに加工されている。



岩の呼吸

水と同じく防御に長じるが、岩は技術よりも筋力を要とする力の流派。
当代の柱は通常の日輪刀ではなく鎖で繋がれた戦斧と鉄球という風変わりな得物を使うが、基本の流派であり全ての剣士が戦斧と鉄球を使う訳ではない。
従って、剣技の型にも独自のアレンジが加えられている。
日輪刀の刀身はに染まる。




雷の呼吸

雷光の如く一瞬の瞬発力なら随一の流派。
力を足に集中させた踏み込みが重要で、壱ノ型こそ全ての型の基本とされる。
雷の呼吸の使い手が柱になった時は「雷柱」ではなく「鳴柱(なりばしら)」と呼ばれるようになる。
日輪刀の刀身はに染まり稲妻のような紋様が走る。

作中では少々特異なポジションであり、色鮮やかに紋様が浮かんだ後継者候補二人がそれぞれ壱ノ型しか/のみ使えない状態で修行を終えた。
既存の型の派生、極めた者しか扱えない極みの技ならばともかく、基本の型が欠落するのはこの型だけ
良くも悪くも壱ノ型が基点にして究極なため、同流派の中でも適性がわかれるのかもしれない。
己の全てを投げ打つことしかできない者己だけは捨てられない者が当代で浮き彫りになったのだろう。



◇派生

  • 音の呼吸
音柱・宇髄天元の用いる派手な流派。
彼の用いる火薬玉と併せて使われるため、爆発と轟音は実際に鳴り響いている。
宇髄は日輪刀として鎖で繋がれた1対の短い幅広の刀を用い、部分的にに染まっている。



ヒノカミ神楽


基本呼吸からの派生ではない、竈門家に代々伝わる神楽舞を舞う際に用いた呼吸法。
炭治郎の父・炭十郎曰く「正しくできればどれだけ動いても疲れず、寒さも平気になる」。竈門家では雪の降る年の初めに夜が明けるまでぶっ通しで舞を奉納していた
炭治郎は戦闘に応用することで全集中の呼吸と類似した効果を発揮している。
詳細は個別項目を参照。


日の呼吸

歴代の炎柱が残した手記に記された、曰く「はじまりの呼吸」「最強の御業」
全ての流派は五つの基本呼吸を元に派生したものだとされていたが、それらも含め日の呼吸という一つの流派こそが源流であるという。
現在使い手はおらず、詳細は不明。ただ、炭治郎が父から受け継いだ耳飾りとヒノカミ神楽の呼吸に関係しているらしいが…?


月の呼吸

上弦の壱・黒死牟が継国巌勝だった頃から修めていた呼吸と流派。
系譜としては日から派生し、そして後世に受け継がれることなく失伝してしまった。
彼がそのほとんどを血鬼術と併用しているため、本来はどのような技だったのか分からないものが多い。
型番号が増えるほど遠距離に対応した技になる傾向にあることから、異能の鬼仕様にアレンジ済みの型なのかもしれない。
通し番号を見るに技の数があの水の呼吸よりも多いことが明らかである。
日輪刀の刀身はに染まっていた。



(あざ)

時は戦国時代、鬼舞辻無惨をあと一歩まで追いつめた始まりの呼吸の剣士たちには、鬼の紋様に似た痣が発現していたという。
伝承には曖昧な部分が多く、それは当時は重要視されていなかったためとも、何度も鬼殺隊が壊滅されかけた過程で継承が途切れたせいともされるが、ただ一つ「痣の者が一人現れると共鳴するように他の者にも痣が現れる」という言葉は記し残されていた。
痣を出す異能を得た人間を知る者はその該当者を痣者(あざもの)とも呼ぶ。

この世代で最初に痣が発現したのは炭治郎で、続いて時透、甘露寺、義勇、悲鳴嶼、不死川、伊黒に発現した。
時透は「心拍数200以上、体温39度以上を出して死ぬか死なないか」が痣を出す篩であると推測している。
痣の力は凄まじく、身体能力も技の冴えも格段に跳ね上がるが、何らかの重い代償が存在するらしい。


反復動作(はんぷくどうさ)

全集中の呼吸とは系統の異なる技術。
全ての感覚を一気に開き、心拍と体温を上昇させるというもので、全集中の呼吸が使えない者でも習得できる。
“痣”と似通っているが、それとも異なる。
自分の中で決めた何かしらの動作を切っ掛けとするのが鍵で、一瞬で集中を高め全力行動に移行できるのが特徴。
悲鳴嶼や玄弥の場合は念仏を切っ掛けにしている。



追記修正は人間のまま鬼のように強くお願いします。

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最終更新:2025年04月14日 12:30

*1 作者が大のジョジョ好きである為。

*2 これに対し揚力を得る部分を「次列風切羽」「三列風切羽」と呼ぶ