登録日:2017/02/18 Sat 22:32:18
更新日:2024/10/19 Sat 16:36:05
所要時間:約 7 分で読めます
■マーラ
マーラ(Māra)は、
仏教説話に於て、菩提樹の下で瞑想する
釈尊の
成道を阻むべく出現したとされる
魔王であり「魔」その物。
マーラとは「死」の意。
正式には
マーラ・パーピーヤス(Māra Pāpīyās)と呼ぶとされ、漢訳では
魔羅、天魔波旬、波旬、魔、悪魔、魔神、天子魔、他化自在天、第六天魔王……等と訳されている。
パーピーヤスとは「~より悪しき者」の意である。
漢字圏での
波旬とは梵語のパーピーヤス、或いは巴語のパーピーマント(Pāpīmant)の音写であり、仏教ではそのまま「悪魔」の意として用いられる。
尚、釈尊の邪魔をしに顕れた魔王の名はマーラ(死神)の他にもナムチ(悪魔)、ヤクシャ(夜叉)等とも記されていたと云う。
また、密教に於ける十二天の一つである
伊舎那天とは、他化自在天の主であることから、この天魔のことだと云う。
伊舎那天は、他化自在天の字面の共通や、恐ろしい姿をしているから大自在天(
シヴァ)の異名と言われることもあるが、それは誤りであるとのこと。
一方、仏教の影響を受けて編纂された
古事記に於ける国生み神話を成した夫婦神で、冥界神話にも関わる
イザナギ・
イザナミの名は伊舎那天の梵名に由来し、ある説では
イザナギ即ち天魔波旬のことなりとする記述もある。
流石はチ◯コ×マ◯コで何でも作った奴等だぜ。
インド神話の愛の神カーマとは原型的に近しい存在らしく、
カーマ・マーラと云う呼び名もある。
インド神話ではマーラ(破壊者)はカーマの異名であるとして伝えられており、それが仏教での魔王の名として取り入れられたのだとも考えられている。
マーラの名はインド神話での悪魔=アスラの名鑑には無く、実際に初期仏典によればマーラは神=ディーヴァの一つであると云う。
また、某ゲームでの
御立派様からも解るように、日本では
仏教修行の完成を妨げる煩悩の大元として、
魔羅が男性器の隠語となってしまっていることからイメージが沸かないが、原型的には「死」や「愛」を司る女神であったともされる。
【解説】
仏教ではインド~漢語圏を経て伝わってくる中で、様々な世界の分け方と云うものが存在している。
良く知られたものに六道輪廻(天・人・修羅・畜生・餓鬼・地獄)に四聖(仏・菩薩・縁覚・声聞)を加えた十界がある。
ただ、その他の呼び方として、この六道輪廻による魂の循環の段階を物質や煩悩との結びつきに当て嵌めた三界(無色・色・欲)と云う呼び方もある。
これらの世界の正式な呼び方は非常に細やかに決められているのだが、要は物質に近い方が下等で、物質から遠く純粋な方が高等と云うお馴染みの理論が仏教にもあるのだな、と云う程度の事である。
整理すると
- 六道
- 仏教における輪廻転生の世界感。
下から、地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道と6つに分けられる。
NARUTOの輪廻眼で知った人も多いのでは?
- 三界
- 上記の輪廻転生の世界を3つに分けたもの。下から欲界・色界・無色界。
このうち、「欲界」は六道の地獄道~人間道+天道の一部を含む。
つまり、八大地獄から人間界、そして天界の下層部まで幅広く含んでいる。
- 六欲天
- 上記の「欲界」に含まれる「天道」部を細分化したもの。
下から(=人間道に近い)順に四大王衆天、忉利天、夜摩天、兜率天、 化楽天、他化自在天となっている。
つまり、欲界の最高位(6番目)にあるのが他化自在天であり、別名「第六天」。
その主こそがマーラ・パーピーヤス……即ち第六天魔王波旬なのである。
この事からも解るように、マーラ・パーピーヤスとは
キリスト教で云うところの西洋的な
悪魔とは違い、
堕天した天使とも
零落した神とも違う、歴とした
神の一つだと云うことになり、それ故に
天魔と呼び顕されるのである。
キリスト教の「魔」とは「
神」の理念の世界の
敵対者と云う意味合いがあるが、仏教で云うところの「魔」とは純粋な「悪」であり、即ち煩悩、色欲、執着……と云った魂を解脱から遠ざけ、輪廻に留まらせるものその物である。
死を司るマーラにとっては、そうした永遠の輪廻の中で魂が彷徨い続ける中で積み重ねられた煩悩こそが力の源であり、それ故に輪廻を巡る原因となる「迷い」を取り除き、解脱の方法を見出だした釈尊の成道の邪魔に顕れたのである。
【釈尊との対決】
釈尊が菩提樹の下で真理を悟るまでの
不動の禅定に入ると同時に、魔王の居城は偉大なる尊者の誕生を前に激しく揺れたと云う。
これに焦った魔王は絶世の美女の姿をした堕落の化身たる三人の娘、
タンハー(渇愛)、ラーガ(快楽)、アラティ(嫌悪)を地上に使わせた。
彼女達は、瞬時に男の欲望を掻き立てて虜にしてしまえる力を持っていたが、釈尊はこの肉食系女子に対して
「お前達は汚れた雑草のようだ、不浄なものが醜く腐って積み重なった便所の様だ」と、無表情に凄まじいdisりをかまして退散させた。
ビッチを便所とかマジひどい。
自慢の娘達が泣き帰ってくると魔王は自ら軍勢を率いて釈尊の前に立った。
しかし、釈尊は全く動ぜずに魔王の軍勢の正体が欲望、嫌悪、飢渇、盲執、怠惰、恐怖、疑惑、虚勢、傲慢の九つの軍勢からなる事を見抜くと死を賭して戦うことを宣言した。
これに怒り心頭に達した魔王は岩の雨、刃の雨、泥の雨、火の雨を降らせ、醜い化け物をけしかけ、闇の奥底に閉じ込めた。
恐るべき魔王の攻撃は世界を粉々に打ち砕くかと思われる程のものであったが……。
釈尊は魔王の攻撃の凡てが所詮は実体の無い幻であると見抜いていたので、如何なる責め苦も通じずに魔王は真理の力の前に退散せざるを得なかった。
この、釈尊が魔王を降したことを降魔と呼び、インド等で多く見られる地上に触れる釈尊像の印相である触地印は降魔の印であるとして伝えられている。
【その他】
日本では仏教が伝わって以降、朝廷に仇なした政敵や仏門に逆らった相手を天魔波旬に倣った名前で呼び糾弾することがあった。
多くは勝利した側が自らの正当性をアピールする為のマスコントロールなのだが、中には仏門の増上慢を戒める為に本願寺派を焼き討ちした
織田信長の様に、自ら
第六天魔王を名乗った者も居る。
※呼ばれた人物(神)の纏め。
※○の付いた人物は自ら名乗った者。
安日長髄彦
葦原高丸
安倍広庭○
平将門
蘇我入鹿
後醍醐天皇○
足利尊氏
足利義教
細川政元
織田信長○
古事記にも呼び名が登場してくるのは、古事記、日本書紀自体が仏教伝来の影響で纏められた書物であるからである。
更に、神武天皇と戦った長髄彦が「織田」や「伊達」「安倍」「安東」の祖ともされている。
その他、アニヲタ的にはFateでも登場した
鈴鹿御前が、第六天魔王の娘であるという説がある辺りで関係があるか。
マーラを元にしたキャラクター
本家のマーラをろくに知らない人でも知っているであろう、アトラスが誇る
ゲームシリーズ「女神転生」に登場する魔王。
多分スタッフに一番愛されている悪魔。なぜか「マーラ様」と様付けで呼ばれる。
ギンギンにエレクトした逸物に口と触手がついているという、薄い本で大活躍しそうな容姿が特徴。
…ごめん。嘘をついた。
むしろこいつは特徴しかない。
当初から専用の思考パターンが与えられていたり先端から白くてぬらぬらしたものを発射するスキルを所持していたり、と出てくるたびに異様な存在感を放っている。
IV Finalではフルボイスで精子とか言い放った(表記上は「精気」)。そのシーンはモノローグも特殊であるが、残念ながら同行している女性陣のセリフはない。
たまにフニャチンヤローだったりもするが、それはそれで結構面倒という魔王の鑑。
半人半蛇で上半身裸、頭に王冠のようなものを被っている。そしてコミュ障。
とても繊細で傷つきやすく、度々表れては何気ない一言で凍りつき、勝手に退散する。
かつてブッダの修行中に表れ、必死で入滅させようと勧誘した挙げ句ブッダが悟るのを助けてしまったという過去がある。
追記修正は御釈迦様の邪魔をしてからお願い致します。
- 設定的にはすごくカッコイイのにキャラとしてはほぼチ○コの人としか認識されない可哀想な魔王、異名の波旬や第六天魔王はかっこいい奴多いのに -- 名無しさん (2017-02-18 22:58:08)
- ご立派ァ! -- 名無しさん (2017-02-18 23:01:04)
- 福山雅治かと -- 名無しさん (2017-02-18 23:26:44)
- (∴)「うるせぇカレーぶつけんぞ」 -- 名無しさん (2017-02-18 23:34:01)
- 織田信長はギンギンのご立派を自称していたのか……!(偏見 -- 名無しさん (2017-02-19 00:35:24)
- 降魔(ゴウマ)、魔を降(くだ)す。サクラ大戦のアレは『降りてきた魔モノ』でコウマ -- 名無しさん (2017-02-19 01:12:48)
- 第六天魔王は他人が欲を叶えて快楽を得てくれないと自分も幸せになれないので、欲や快楽から解き放たれた人が増えるのが嫌なのである。どこぞのウンコマンとは大違いだな -- 名無しさん (2017-02-19 03:10:19)
- 聖☆おにいさんのマーラの友達になってあげたいと思ったのは俺だけじゃあるまい -- 名無しさん (2017-02-19 09:43:10)
- ↑2他人の願いが叶って幸せなら自分も幸せ、と書くとすげぇ良い人っぽいんだよなwてか他化自在天の様子も傍から見れば普通に幸せそうなんだよなぁ -- 名無しさん (2017-02-19 10:22:21)
- 手塚治虫先生の「ブッダ」に出てきたマーラが印象的。 -- 名無しさん (2017-02-19 10:25:27)
- 当然のようにウンコマン(∴)が沸いてて草 -- 名無しさん (2017-02-19 18:45:56)
- マーラよ!去れ! -- 名無しさん (2017-02-19 21:31:11)
- 4Fのマーラ様は無視されるとしおしおに萎える -- 名無しさん (2017-12-27 18:46:21)
- 「マーラ様女神説?!薄い本が厚くなるで!」とググる→メガテンばかりが引っかかる罠。知名度的に当然とはいえ、邪心が見抜かれたぽくて、ぐぬぬ(何 -- 名無しさん (2019-03-23 16:02:08)
- つまり、メガテンではヒーローとヒロイン(イザナギとイザナミの転生)も最大のネタキャラもどっちもマーラ様ということだったんだよ! -- 名無しさん (2020-10-19 19:58:03)
- ダーク・クラウド降臨!(マシュマロ通信) -- 名無しさん (2021-08-04 17:27:40)
- シャカモンいてもマーラモンはいないな(クロスモンとディアボロモンをジョグレス進化させれば作れるかな?) -- 名無しさん (2024-07-22 13:42:58)
最終更新:2024年10月19日 16:36