わたしの幸せな結婚

登録日:2023/11/08 Wed 22:53:16
更新日:2025/04/16 Wed 07:11:05
所要時間:約11分で読めます




これは少女があいされて幸せになるまでの物語。


わたしの幸せな結婚』は、顎木あくみによる小説作品。略称は「わた婚*1
小説家になろう」にて投稿されたオンライン小説が母体で、KADOKAWAの富士見L文庫により書籍化されている。現在の刊行数は9巻(2025年3月現在)。
書籍版のイラストは月岡月穂が担当。


【概要】


明治・大正時代を意識した、いわゆる「和風シンデレラストーリー」。
可愛がられる妹や後妻に虐げられてきた姉が、婚約者と出会い、幸せを感じ、困難に立ち向かう成長過程を描いている。
なお作中の雰囲気は明治・大正時代の日本に似ているが、国家元首が天皇ではなく「帝(みかど)」で、鬼や妖怪が存在しており、異能者(超能力者)が公的機関の一員として認められている等、あくまで日本をモチーフにしたファンタジー寄りの架空の世界である。

原作者の顎木は、作品の世界観を明治・大正時代にしたことについて「どうしても和風の世界を舞台に描きたいというモチベーションがあり、日本文化や西洋文化が織り交ざる独特な世界観の中で華やかさに惹かれた」ことを原作小説1巻のあとがきにて触れている。

2023年3月時点で電子書籍・コミック含むシリーズ累計発行部数は700万部を突破している。また、『次に来るマンガ大賞2020』ではWebマンガ部門にて本作のコミカライズが第8位に、『全国書店員が選んだおすすめコミック2021』では本作のコミカライズが第1位になった。

なお、本作のヒットによる影響なのか、現在「小説家になろう」では同じく女性を主人公としたシンデレラストーリーモノが激増している。なろう系ではよくある事だ。

メディアミックス


①漫画版
高坂りとによるコミカライズが『ガンガンONLINE』にて2018年12月から連載中。
なお、一部主要キャラ以外のデザインに関しては高坂によるオリジナルである。
②朗読劇
ソニーPCL制作による朗読劇が2021年に上演された。
③実写映画
2023年3月にTBSスパークル制作による実写映画が公開された
④テレビアニメ版
2023年夏に第1期が放送され、2025年冬に第2期を放送。

【あらすじ】


斎森家の長女・美世は、異母妹・香耶が、父・真一と継母・香乃子に愛情深く育てられる一方で、ないがしろにされ、使用人同然の生活を送っている。やすらぎをくれるのは、心優しい辰石家の次男・幸次だけだった。

だが、父は香耶の夫として幸次を婿養子に迎える。そして美世には、冷酷無慈悲と噂される軍人の久堂清霞のもとへ嫁ぐよう命じて……。
(アニメ公式HP 第1話のあらすじより引用)

【キャラクター】

※テレビアニメ担当声優/実写映画版キャスト の順で記載

(主要人物)


斎森美世
CV:上田麗奈/演:今田美桜
本作の主人公。癖の無い黒髪ロングのストレートヘアの女性で、左目の下にほくろがある。
19歳の時、久堂清霞の婚約者になる。

異能者の家系である斎森家の生まれだが、異能を持たない用無しとみなされ、使用人同然の扱いを受けてきた。しかもそれだけに留まらず、父の後妻である香乃子や異母妹の香耶からは虐待に等しい虐めを受け、食事も満足に与えられず(料理人から野菜くずなどを貰い、辛うじて一食自炊するのがやっと)に過ごしてきた。
そのせいで、自分が悪くないことでも反射的に「申し訳ございません」と謝罪するのが癖で、自信を失ってしまっている。何事に対しても悲観的で卑屈な感情が先に来てしまうとも言える。
幸か不幸か上記の経験もあり、家事は一通りできる。裁縫もでき、料理に関しても清霞に「美味い」と言わせるほどの腕前である。

香耶からは女性としても見下されている……が、実は絵に描いたような大和撫子で、呉服屋の主人が「原石」と称する程の美人。
更にとある事情で隠されているものの、実は亡き実母の家系に由来する異能「夢見の力」を潜在的に持っている。だがこれを制御できず、たびたび悪夢にうなされ、体調を崩してしまう。

清霞と接するうちに自信を持つようになり、自分の意見をはっきりと伝えられるなど成長していっているのが見て取れる。

久堂清霞
CV:石川界人/演:目黒蓮

名家・久堂家の現当主を務める美男子。27歳。
彼もまた異能者だが周りとはけた違いの力を有しており、帝国陸軍対異特務小隊を少佐として率いるほどの他を寄せ付けぬ強さを持っている。

母の影響なのか、名家の子女に対する偏見と、自分によって来る女性がどれも自身の容姿や財産目当ての人々ばかりだった他、ゆり江を軽んじる者もいたことから、こうした女性たちに辟易としていた模様。よって人付き合いを避けており、美世と出会うまでに会ってきた女性との縁談は全て破談となっている。
しかし、そんな中でこれまでの女性とは違う美世と出会い興味を抱く。そしてぎこちないながらも少しずつ交流を重ね、自己肯定感があまりに低くなってしまったその生い立ちを知ると、次第に彼女を守りたいという意識が形成され、美世に深い愛情を抱くようになる……


(斎森家関係者)


斎森真一
CV:家中宏/演:高橋努
斎森家の現当主。
若い頃は後妻となる香乃子と交際していたが、後に政略結婚により澄美と結婚して美世を設ける。
彼女が亡くなった後は香乃子と結婚するが、美世に異能の力がないとみるや切り捨てる格好になり、美世が虐待を受けていても知らぬ存ぜぬを決め込んでいた。
一方で、腐っても当主だからか只々香耶を甘やかす香乃子と比べると、家の利益を優先させることもある。

斎森澄美
CV:日高のり子/演:土屋太鳳
美世の実母。真一とは政略結婚で結ばれた。娘を出産して間もなく亡くなっている。
精神感応(いわゆるテレパシー)の異能を扱うことが可能。また、美世の「夢見の力」を持つことを把握していたが、娘の今後のことを考え封印することにした。

斎森香乃子
CV:植田佳奈/演:山口紗弥加
美世の継母。真一をめぐって恋敵存在である澄美を憎んでいる。彼女が亡くなってから、自分の都合で美世に虐待を続けていた。
一方で実子の香耶には愛情を注ぎつつも、美世よりもあらゆる面において上であると言い聞かせ歪んだ価値観を増幅させながら育ててきた経緯がある。

斎森香耶
CV:佐倉綾音/演:髙石あかり
美世の異母妹。
華やかな美貌を持っており、周りの人々からの評価も高いが、その内面は徹底的なまでに自己中心的
異母姉に対しては自分の方が力は上であると自負しつつ、彼女が貶められることにより自分の価値が高まるとの歪んだ価値観を抱いているという、いわゆる「悪役令嬢」である。(悪役令嬢であるが最近のトレンドに則って別に転生して性格変わって善人になりはしない)
美世と清霞との縁談が決まった時は彼女を嘲笑したが、偶然出会った彼に一目惚れ。しかも厚かましいことに「幸次さんと取り替えてくださいな」とまで父にねだって美世から奪おうとするも却下される。

そして、世間知らずの小娘らしく愛憎入り交じった感情のままに暴走して、大事件を起こすことに……!

(久堂家関係者)


久堂葉月
CV:日笠陽子/(実写版には登場せず)
清霞の姉。洋装が似合うモダンガールである。何かと不器用な弟とは対照的に明るく社交的。弟を愛してくれる美世に好感を抱き、礼儀やマナー作法を教えてくれるなど本作の良心の1人。。実は離婚歴がある。

久堂正清
CV:置鮎龍太郎/(実写版には登場せず)
清霞と葉月の父で久堂家先代当主。
傍から見ると清霞と同世代ではないかと思うくらいに容姿が若々しい。
物腰柔らかな性格で、美世に対しても紳士的に接する優しい男性。

久堂芙由
CV:井上喜久子/(実写版には登場せず)
清霞と葉月の母。
清霞の女嫌いの原因を作った張本人。
清霞と共に久堂家にやってきた美世に対して邪険に扱う態度をとる。
美世のことを認めておらず、彼女にメイドとして家事をやらせて出ていかせようと考えたようだが、斎森家で地獄のような日々を過ごしてきた美世にとってはヌルゲーのレベルのものであったため、難なくこなしてしまう。
以降も厳しく接することが多かっただが、それは自身が久堂家の奥方としてそれまで厳しい教育を受け、自身も相応しい淑女であろうと努力した経験があるからであり、美世のことを根っから嫌っているわけではない。

ゆり江
CV:桑島法子/演:山本未來
苗字は不明。清霞が幼い頃から使用人として仕え続けてきた老女で、彼のことは幼少期からずっと(成人した今も)「坊ちゃん」と呼んでいる。清霞にとっては母にも等しい家族同然の心を許せる数少ない存在ゆえ、ゆり江のことは大事に思っており、実際彼女に辛く当たったのを理由に破談とした婚約者もいたらしいことがモノローグから推察できる。

葉月と同様、清霞と美世の二人の関係が進展するのを見守っており、2人に様々な助言をしてくれるほか、香耶と偶然鉢合わせた際には美世を庇うことができる豪胆さも持っている。彼女もまた本作の良心の1人といえる。

なおアニメ版声優の桑島は、このゆり江役でアニメで初の老婆役を担当することになった(朗読劇等ではたびたび演じている)。数多くのメインヒロインを演じてきた経歴も相まって、ファンからは驚きの声もありつつ、優しい可愛いおばあちゃんとしての演技が好評で、好意的に受け止められている。

(辰石家関係者)


辰石一志
CV:深町寿成/(実写版には登場せず)
辰石家の長男。派手な身なりをして一見軽薄そうなイメージを受ける。飄々とした性格なため真意をつかみ取れないが、父親の美世に対する企みに対しては反対しており、美世を助けようとする幸次の背中を後押しする。
斎森・辰石家の騒動以降は当主を引きづぎ、清霞の協力者になる。

辰石幸次
CV:西山宏太朗/演:小越勇輝
辰石家の次男。美世と香耶の幼馴染。美世に想いを寄せているが、政略結婚により香耶の婚約者になった。
虐待されている美世を気にかけているが、小心者故に行動に起こせない。異能の力があるが、父親の力には遠く及ばない。辰石と斎森家の陰謀で美世が拉致された際には美世を助けるために清霞に助けを乞う。これ以降は自分の不甲斐なさを見直し、鍛え直すことを決意する。

辰石実
CV:堀内賢雄/演:平山実
辰石家の当主。没落しつつある家の再興のため、美世の母方の家系である薄刃家の異能を欲している。美世と清霞を別れさせて、長男の一志の嫁として嫁がせるように画策する。
後に香耶に協力して美世を拉致するという強硬策に出て、清霞の怒りを買う。炎の異能を操り闘いに挑むが、圧倒的な力量差を思い知ることになり敗北。しかし、破れかぶれとばかりにあるとんでもない暴挙に出る。
後に当主の座を長男に譲り失脚する。

(薄刃家関係者)


鶴木新
CV:木村良平/演:渡邉圭祐
中堅の貿易会社を経営する鶴木家の御曹司。しかしこれは表の世界の名前で、本名は薄刃新。美世の母方の従兄にあたる。
幻を操る異能を持ち、精神的に揺らいでいたとはいえ、清霞を倒すだけの実力がある。
キツい物言いが目立つが、美世を守りたい気持ちは本物で、薄幸の人生を送っていた美世を引き取ろうとしたが、美世の「清霞を助けたい」という気持ちを受け、身を引くことになる。

鶴木義波
CV:廣田行生/演:火野正平
新の祖父にして澄美の父親。鶴木家で暮らしている。娘の澄美に対して、助けてあげられなかったことを悔いている。それもあってか孫の美世に対しては、その後悔の念を語りつつ支えになりたいと思っている模様。

甘水直
CV:内田夕夜
薄刃家の分家出身で、澄美の元婚約者候補。
家を出奔し、カルト教団「異能心教」の祖師になっている。
実写版には登場しないが...。


(帝国陸軍関係者)


五道佳斗
CV:下野紘/演:前田旺志郎
清霞の部下。ややお調子者な一面があるが、優れた異能の持ち主であり、頼れる存在である。美世に対しても好意的に接しているが、持ち前の軽口のせいで彼女を困惑させて清霞に突っ込まれることもある。

大海渡征
CV:三宅健太(実写映画版は出番なし)
帝国陸軍参謀本部に勤める軍人。階級は少将。
清霞の上司である。葉月とはかつて夫婦であったが、諸事情により離婚してしまった過去がある。よって公私ともに清霞とは関わり合いがあると言える。

陣之内薫子
CV:戸松遥/(実写映画版は出番なし)
帝国陸軍に務める女性軍人。
男尊女卑の風潮が残っている軍隊の中で苦労している。
その中で実力は相応にあり、美世の護衛役として選出されるにいたった。

実は清霞の婚約者候補の1人であり、本人も彼に恋していたことから、婚約者になった美世の護衛をすることについては複雑な心境であった。しかし、上記の風潮の中でも自身をかばってくれた美世に感謝と友情の感情が芽生え、自身の境遇を告白しても受け入れてくれた彼女と本当の意味で友達になることが出来た。なかなか同性の友達が作りにくい環境だったので、美世と出会えたのがうれしかったというのもある。

(帝国関係者)


尭人
CV:石田彰/演:大西流星
帝位を継ぐ最有力候補。清霞とは年が近いこともあり、友人関係を構築している。中世的な顔立ちでミステリアスな雰囲気を持っている。帝に代わり、不完全ではあるが、天啓の異能で国難の予見を代行している。

今上帝
CV:菅生隆之/演:石橋蓮司
国を治める最高権力者。現在は病に伏せている。皇太子時代から夢見の力によって帝の権威が薄れることを恐れており、故に薄刃家を敵視して潰そうと画策している。薄刃澄美と斎森真一の婚姻をお膳立てしたり、辰石実の後ろ盾を買って出たりと、美世を陥れた黒幕でもある。

【用語】

帝国
本作の舞台。明治・大正時代の日本がモチーフとなっている。
異能
念力、火を起こす力、瞬間移動、風を操る、幻を作るなど、それぞれの家系から受け継がれている能力である。これにより様々な災厄から救われたとされている。
異形
古来より帝国に現れ、人間に危害を加える存在。鬼や妖が挙げられる。これらは基本的に異能の力を持つものでないと倒せないとされている。

【実写映画版】


2023年3月17日に公開された。監督は塚原あゆ子。
目黒蓮と今田美桜がW主演を務める。制作はTBSテレビの映像制作部門であるTBSスパークルが担当。
原作第1巻の内容をベースにしつつ、第2巻以降の内容を織り交ぜるなどオリジナル展開も見られる。
興行収入は2023年3月17日~19日にかけて3日間で47万9700人を動員。興行収入は6億5400万円をあげて全国映画動員ランキングで初登場1位となる。
主題歌は「タペストリー」(Snow Man)

【テレビアニメ版】


2023年7月から9月にかけてTOKYO MXほかで放送された。
背景描写や作画、所作に対する演出のこだわりが丁寧でファンからも好評だった。
第1期最終話の際に第2期の制作決定が告知され、2025年1月から4月まで放送された。
制作はキネマシトラス。

主題歌(1期)


・OP「貴方の側に。」
りりあ。によるオープニングテーマ曲。
・ED「ヰタ・フィロソフィカ」
伊東歌詞太郎によるエンディングテーマ

主題歌(2期)


・OP「幸せな約束」
りりあ。によるオープニングテーマ。
・ED「月影おくり」
伊東歌詞太郎によるエンディングテーマ。


追記・修正は辛いことを二人で乗り越えられるパートナーと出会った時にお願いします。


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最終更新:2025年04月16日 07:11

*1 日韓で制作された仮想結婚バラエティー番組『私たち結婚しました』と同じ略称だが無関係。