登録日:2023/12/20 Wed 01:22:00
更新日:2024/12/14 Sat 19:26:49
所要時間:約 8 分で読めます
『
Engage Kiss』とは脚本:
丸戸史明、キャラクターデザイン:つなこをメインスタッフに添えて製作されたオリジナルテレビアニメである。
2022年7月から9月にかけてTOKYO MXなどで放送された。
製作はA-1Pictures。
また、2023年3月よりスクウェア・エニックスによるスマートフォンゲーム『Engage Kill』が2023年3月より配信されている。
【概要】
『
WHITE ALBUM2』『
冴えない彼女の育てかた』といった恋愛作品を手掛けた丸戸によるラブコメディ。
過去の丸戸作品と同様に、本作のヒロインも
主人公に振り回されつつも、何だかんだ支えてあげるヒロインというある種の「面倒くささ」や「人間臭さ」が健在である。
こうした人間味染みた恋愛関係に基づく女性キャラの「駆け引き」を楽しむのも見どころ。
基本的にはいわゆる彼女の「ヒモ」状態になっている「ダメ人間」な主人公、ヤンデレで主人公を束縛するメインヒロイン、そんな二人の仲に割って入る幼馴染の元カノの三角関係を描いている。
察しの通り、いつ修羅場が起こってもおかしくない状況であり、実際主人公をめぐり、2人のヒロインの駆け引きは回を追うごとに激しさを増していく。
加えて本作では、架空の「ベイロンシティ」を舞台に、都市を脅かす「悪魔」と呼ばれる存在との闘いも用意されており、バトルアクション的な要素も存在している。
そして主人公は悪魔とは浅からぬ因縁があり、大きな代償を払いつつ、対峙していくことになっていく。
この点において、放送当時主人公がどうなっていくのかについて興味を寄せられる声も多かった。
コミカライズ版は2022年7月2日より『マンガUP!』で連載中。作画担当は「いたち」。既刊1巻(2023年2月現在)
ゲーム版『Engage Kill』は本作の後日談にあたる内容で、2023年3月1日より配信されている。
【あらすじ】
「ベイロンシティ」――どこの国にも属さない、太平洋に浮かぶメガフロート型の都市。新エネルギー資源「オルゴニウム」を採掘し、世界でもっとも注目されるこの都市では、「D災害」と呼ばれる、「悪魔」の引き起こす特殊な事件が多発していた。
一部の人間にのみその存在を知られるD災害。対処を行うのは、「PMC」民間軍事会社。
ベイロンシティで暮らす青年・シュウはそのひとつを運営しているが、
会社の規模は零細。おまけに仕事も選ぶので、資金繰りは常に苦しい。
そんな彼の生活を公私に渡り献身的に支えているのは、ベイロンシティの学校に通う美少女高校生・キサラ。
そしてもうひとり、シュウがかつて所属していた大手PMCの社員で、元恋人であるアヤノも、
何かと彼を気にかける。キサラにとってはおもしろくない。
キサラのシュウに対する、強い執着。その根幹にあるのは二人の「契約」。
彼女の正体は悪魔なのだ。
キサラはシュウの生活を支え、契約に基づき悪魔退治にも協力する。
その代償は甘く危険な「キス」。
愛と契約、二人の危うい絆。その運命は、どこへ向かう――。
【キャラクター】
主要人物
CV:斉藤壮馬
本作の主人公。誕生日は9月2日。
零細PMC「I&S(イサム&シュウ)事務所」の社長であり、主に悪魔退治の仕事を請け負っている。
元々は大手PMCに所属をしており、その腕もピカ一で将来は順風満帆だったろう折に、たった数年で独立。
相棒(にして恋人?)の美少女悪魔キサラと共に現在の事務所を切り盛りしているが、その経営状態は火の車。
シュウの父は最強の退魔師と謳われた人物だったが、自ら悪魔と結託してD災害を起こしたという汚名を着せられており、父が起こしたとされる事件で母も妹も失い、孤児になった過去を持つ。
シュウは事件の真相を突き止め、唯一生存の可能性がある妹を探すことに必死になっており、目的に沿った仕事をもぎ取る為ならダンピングも辞さない。
そうして請け負う仕事の難易度に比して実入りが少ないばかりか、その多くを生活費よりも武器弾薬・情報収集といったD災害案件に充ててしまう。
ここまでならまだ分かるが、その貴重な金で一発当ようとギャンブルにもつぎ込んでしまっている。
これらの所業が電気代すらまともに支払えない程の極貧生活へと帰結し、結果としてシュウはヒロインたちの「ヒモ」と化している。
このように基本的には典型的なダメ人間として描かれてしまっており、足りない金や食事の費用はヒロイン(主にアヤノ)にたかることが多い。
併せて過去複数の女性と関係を持っており、女性関係にもだらしない。
父を誹謗中傷し続けた世間に対する不信感と、幼少期から姉さん女房として接するアヤノとの長年に渡る交際が重なって、斜に構えて女に頼る駄目人間へと醸成されたきらいがある。
しかし、元カノのアヤノに別れを切り出したのは大切に想っているからこそで、彼なりに筋を通しているところはあるようだ。
事件の真相を究明する手段とするべくキサラと契約を交わした際、自身の「
記憶(思い出)」を代償に力の行使をすることが可能になるよう調整した。
しかし、その結果、アヤノやシャロンの記憶を失っていくことになる。なお、その記憶は全てキサラが持っていることになる。
……そこ、これなんて
仮面ライダーリバイス?とか言わない。
なお、喫煙者である(ここ最近のアニメ作品の主人公では珍しい)。
CV:
会沢紗弥
本作の
メインヒロイン。誕生日は9月30日。
I&S事務所に所属しているシュウのパートナー。シュウとは「
記憶(思い出)」を代償に契約を交わした
悪魔でもある。普段は高校生の容姿をしている。
D災害としては物語開始時点でA級相当。これはシュウと共に街に来た際には相当な悶着があったようで、その際の暴れぶりから、一般的な悪魔を凌駕するこの等級に認定された。
なお、一部の人間以外は彼女が悪魔であることを知らない。
戦闘時は片刃剣を用いた接近戦闘が基本的なスタイルである。力の解放の際にはシュウの記憶と同時にディープキスが必要になる。すると服装もまるで
サキュバスを思わせる露出の高いものになり、圧倒的な能力で相手をねじ伏せる。
もっとも、本来の悪魔は契約の際に力を発揮するに足る代償を全て貰ってから顕現するのに対して、シュウは自身の破滅を防ぐ為に、敢えて代償を少しずつ切り売りする形に契約の形式を変更している。
そのため、キサラが引き出せる自身能力はシュウが支払う記憶の量に左右されるため、本来のA級かそれ以上の能力を引き出せる機会はなかなか訪れない。
健気なヤンデレ少女であり、プライベートでは高校生生活を送りつつ、シュウとの極貧生活を過ごしている。周囲の友人からは彼氏からのDVを心配されているが、自身としては、それはそれで憧れである「日陰の女」らしくて、好ましいと思っている模様。
シュウへの一途な想いをSNSでアピールすべく、添い寝する場面をアップしたり、薬による無理心中に見せかける場面をアップしたりしている。
ヤンデレの性格らしく、独占欲が強い。シュウの周りに女がいることを非常に嫌う。特に元カノで今でも交流のあるアヤノとは犬猿の仲。会うたびに修羅場を展開している。時にはシュウを尾行し、ストーカーのごとく付け狙うこともある。(当然ながらその際は目のハイライトがなくなる)
ただ、力の行使により、シュウとアヤノの記憶が自身に流れ込んでしまった経緯もあり、非情になれない一面もある模様。
なお、キサラの名前の由来はシュウの
ファーストキスの相手の女の名前からとったものとのこと。
CV:
Lynn
本作のもう1人のヒロイン。
シュウの元恋人。誕生日は11月2日。
年齢はシュウより年上だが、本人曰く、「そこまで離れていない」とのこと。
シュウが所属していた大手PMCに所属するエリートエージェントであり、そこの社長令嬢でもある。
仕事をそつなくこなすことが出来るエリート社員であり、後輩社員から憧れともされるが、私生活はだらしない。シュウと別れたのもこれが原因ではないかと自身は思っていたほど。
シュウとは家族ぐるみで幼少期から親交のあった幼馴染で、中高生の頃には年下のシュウの自慢や愚痴を周囲に延々と漏らしていたらしい。
そんなシュウと遂に結ばれ、にも拘らず彼から別れを切り出された際には号泣し修羅場に陥った。
そんな関係故になんだかんだで繋がりがあり、シュウに食事代をたかられたり、仕事の斡旋をお願いされたり、携帯電話料金や生活費を工面したりと、ヒモ付き状態を容認しているのは、彼女も彼への未練があるためである。
彼は私が面倒見なきゃというダメなパターンに陥っているとも言える。
そのため、シュウのパートナーであるキサラとは犬猿の仲。キサラ自身独占欲が強いのも相まってか、仕事で一緒になった際には戦闘の混乱に乗じてアヤノに対する実力行使に発展することも多い。
お互いのSNSでシュウをめぐり謎のマウントの取り合い合戦を展開していることもある。
シャロン・ホーリーグレイル
CV:
大久保瑠美
シュウの元恋人。誕生日は10月4日。
実態はエクソシスト集団である星天教会に所属するシスター。一般人に対してはシスターらしく慈悲の心をもって優しく接するが、任務遂行時には冷徹な判断の下、圧倒的な格闘センスに戻づく近接戦闘で相手を打ち倒そうとする。
悪魔の肉片で作られたパワードスーツを用いて悪魔討伐に向かう。
星天教会の中でも指折りの実戦要員であり、二つ名は「
純潔のシャロン」。
封印されていたキサラをシュウと発見した際には、悪魔であるキサラを殺そうとしていたシャロンの意を察したシュウが彼女と肉体関係に及ぼうとした際に神経毒で体を麻痺させ、その混乱に乗じてキサラと契約して手に入れたという、何ともゲスい手法で騙したことがある。
経緯は違うが、同じシュウの元恋人だったアヤノにはシンパシーを感じて、アヤノをからかうこともある。
緒方カンナ
CV:
鬼頭明里
シュウの妹。誕生日は4月15日。
シュウの妹で人間と悪魔の間に生まれたハーフである。
12年前にオルゴニウム採掘場で起こった事件から行方不明であり、アスモデウスに魔界と人間界をつなぐゲートにされた。
D災害としては
未曾有の最高位S級で、国家レベルの脅威と認定されている。
カンナのエネルギーは流石に無限とはいかないが、一度放埓に暴れ出すと最早
ミサイルの雨霰を降り注がせようが対処しようがなく手におえない。
事件から現在に至る12年間は眠りに就いており、その間は夢を介してシュウの姿を見ていた。しかし、そこに映されたのは、堕落していく兄の姿で、その原因を作ったキサラやアヤノ・シャロンに恨みの感情を抱き、彼女らの抹殺を遂行しようとする。
復活した当初は言語も満足に話せないレベルだったが、シュウたちとの闘いを経て正気を取り戻す。
その後、自身の身体は未だに魔界とのゲートの役割を果たしており、警察に拘束されるが、事あるごとに脱走して兄のいる部屋に入り浸る。その都度、キサラ・アヤノと一戦交えるのがお約束のような状態になっている。
その他
夕桐アキノ
CV:
渡辺明乃
アヤノの母親。
ベイロンシティ最大手PMC「AAA Defender Co.」を経営する社長。
シュウの父とも知己であり、自身の戦闘の腕も一級品。
かつての相棒に等しかった男の息子としてシュウの腕を買っており、彼に戦闘術や一切のノウハウを仕込んだ師匠でもある。
彼が独立した後も支えになっており、時には仕事の斡旋などの協力もしている。
彼との別れに未練タラタラな娘の恋愛に対しても気にかけている。
マイルズ・モーガン
CV:松田健一郎
退魔局の巡査。D災害の対処を行っている。過去、シュウを一年ほど養子として育てた経歴がある。
厭世的な気のあるシュウもマイルズには素直に感謝と信頼を寄せており、記憶を大分捧げてしまった所為で彼に世話になった時期の詳細を覚えていないことを申し訳なく思っている。
三上テツヤ
CV:長谷川芳明
退魔局の刑事。D災害発生時の現場対応・捜査を担当している。マイルズとバディを組んで様々なD災害の事件の真相解明に努める。真面目で正義感の強い性格。
蜂須賀莎花
CV:
内田彩
ベイロンシティ現市長の長女。現在は副市長を務めている。
父の補佐をしており、主に外交関係で腕を振るっている。次期市長の最有力候補。
蜂須賀凛花
CV:
大西沙織
ベイロンシティ現市長の次女。現在は長女と同様、副市長を務めている。
父の補佐をしており、こちらは内政担当。
アヤノとは昔馴染み。アヤノが学生時代に繰り広げた醜態や痴話喧嘩、のろけの数々をあてこすったり、気心の知れた良き友人にして悪友。
蜂須賀ミハイル
CV:
逢坂良太
ベイロンシティ現市長の息子。現在は高校生で生徒会長をしており、皆から頼られ愛される好人物
と当人は思っているが、周囲からは悪人じゃないが全力で空回りするアホの子と思われている。
言動がチャラいアホの子という印象を受けるが、街の平和を守る使命感は強く持っている模様。
実は、周囲の認識よりも遥かに知恵が回り、人を食ったような性格をしている油断ならない人物でもある。
【用語】
〇ベイロンシティ
本作の舞台となった架空のメガフロート都市。
座標としては
イギリス近海にあるのだが、公用語は
日本語を用いている。
人類にとって夢のようとさえ称えられるエネルギー資源であるオルゴニウムが海底鉱脈で大量に発見され、その採掘場として異常なまでの急速発展を遂げた。
各国が資源を確保しようと牽制し合う緩衝地帯になっており、結果としてベイロンシティは国家に属さない自治制を有するものの、国家に対抗し得る力を持たないように一定以上の武器の使用や輸入を禁じられる等、常に監視と規制下に置かれている。
そのため、シティ内では常にD災害の対応に苦慮しており、市民に気付かれないように情報統制と監視体制を敷きつつ、悪魔に対しては貧弱なPMCと治安維持部隊による対処に甘んじている。
〇悪魔
人間の欲望によって召喚された存在。
数百年以上前から存在は観測されているが、人類の発展と維持に欠かせないオルゴニウムが呼び水のようになって現れるため、ベイロンシティでは他の国とは比較にならない頻度と規模の悪魔が発生する。
〇悪魔憑き
人間が悪魔によって憑依された契約者の総称。
強大な力を得る反面、徐々に理性が失われていき、最終的には悪魔同様怪物のような存在に変貌してしまう。
〇D災害
悪魔および悪魔憑きによる犯罪・事件の総称。
捧げた代償の規模や悪魔の力量等によって条件は変わるが、B級災害ともなると
機関銃程度では歯が立たなくなり始め、これがPMCや治安維持部隊が対処出来る限界。
〇星天教会
人間を博愛し、悪魔を殲滅することをモットーとするエクソシスト集団である。
【主題歌】
OP:「誰彼スクランブル」
Halcaによるオープニングーマ。
ED:「恋愛脳」
ナナヲアカリよる
エンディングテーマ。
なお、どちらもシュウをめぐりバチバチに火花を散らすキサラとアヤノが騒がしい日常が描かれている。
「私たちの健康で文化的な最低限度の生活は!?」
「キサラ・・・」
「オレ、お前とここに籠もって追記・修正するのは好きだぜ」
「イヤアアアアアアア!!(゚Д゚)」
- 4話あたりからかなり面白くなっていったけど序盤でバイバイした人が多かった悲しみ -- 名無しさん (2023-12-20 02:41:01)
- キサラは悪魔どころか天使だったよね -- 名無しさん (2023-12-20 06:49:07)
- これも面白かったが如何せんリコリコが強すぎたな… -- 名無しさん (2023-12-20 08:42:36)
- シャロンで性癖が破壊され、推しになった -- 名無しさん (2023-12-20 10:53:32)
- リコリコと差がついて悲しい -- 名無しさん (2023-12-20 13:15:57)
- 同感。キャラも曲も良かったし、ストーリーもアツい物があった。如何せん同期が強すぎた… -- 名無しさん (2023-12-24 16:01:00)
- 主人公が誠に引けを取らないクズでそれが妹のラスボス化の一因だしなあ。記憶返却で真っ先に出たエピソードが「浮気のホテル代を恋人のカードで支払う」ってのが... -- 名無しさん (2023-12-27 21:32:16)
- クズっつうかヤ○○ン……(禁句) -- 名無しさん (2023-12-27 21:56:16)
- クズいけどあまりの明かされる真実に視聴者すら同情するようになっていくシュウの境遇から最後は自分の蒔いてきた種が捲り巡ってくる構成、あまりにも見事なのよね -- 名無しさん (2024-03-21 21:12:42)
最終更新:2024年12月14日 19:26