大賀美沙知

登録日:2024/01/09 Tue 21:33:57
更新日:2025/02/17 Mon 10:36:34
所要時間:約 22 分で読めます



あたしはさ。この、雨が止む瞬間が一番好きなんだよねぃ。

大賀美(おおがみ)沙知(さち)は、Link!Like!ラブライブ!の登場人物。

CV:小原好美


概要

蓮ノ空女学院の101期生。梢達のひとつ上の代にあたり、物語が開始する103期時点で3年生。
学院理事長の孫娘であり、103期の生徒会長を務めている。
101期生としては唯一の名有りキャラクター。

ラブライブ!シリーズでは恒例となっている2つのポジション、生徒会長理事長の親族の両方にあたる人物。
しかし同時に、これまで同様のポジションを担ってきたキャラクターとは違ってスクールアイドルの部活に所属していないという異例の存在でもある。
そして、これまで「理事長の親族」ポジションが多く担ってきた役割と同様、物語の過去……特に作中でもたびたびキーとなる「1年前・102期のスクールアイドルクラブ」に深く関わる存在である。

その性質上、以下は『Link!Like!ラブライブ!』の活動記録(メインストーリー)に関するネタバレを多数含む記述となる。
特に103期10月〜12月度は彼女が物語の主軸となるため、少なくともそこまでの「活動記録」を視聴してから読み進めることをお勧めする。

人物像

緑のストレートヘアに黄色の瞳が特徴。
レギュラーキャラではないため具体的なプロフィールは明かされていないが、明確な特徴として身長が低いことが挙がり、本人もそのことを気にしている。
スクールアイドルクラブ中で最も背の低い瑠璃乃(151cm)と同程度であることから、150cmを割っている可能性もある。
……つまり、2023年時点でシリーズ中最も身長が低いレギュラーキャラである天王寺璃奈(149cm)をも下回る可能性すらある。そらコンプレックスになるわ。
一方の102期生メンバーは揃って高身長*1なため並ぶと余計に身長差が際立ち、後輩にもたびたび身長ネタで弄られている。

慈曰く「猫みたいな人」で、その人物評の通りに飄々としていて神出鬼没な自由人。
「〜だねぃ」と語尾を若干伸ばす癖があり、「なるほど、なるほどねぃ」が口癖。
いたずらっ気を見せることも多く、後輩にちょっかいをかけては悪者ぶって「なーっはっはっは!」と大げさに笑うことも。
そんな人物であるため掴みどころがなく、真意を測りかねる行動に出ることも数知れず。
が、トリックスター的な人物であると同時にその瞳の奥には確かな知性と先見性が覗いており、先々を見据えた言動や本質を見抜いた発言も数多い。
それゆえ、特に1年間を共にした102期生達からは確かに慕われている。

本項目冒頭のセリフの通り、「雨が上がる瞬間」が一番好きだと語っている。
ただし雨そのものは嫌い……というよりは苦手なのだそう。

ほら、湿気がね。髪をぺたんと。

ああ、余計にちっちゃくなるから……。

ちっちゃいゆーな!

大丈夫ですよ。
沙知先輩は、ちっちゃくても頼りになりますから。


梢ぇ……フォローに見せかけて背中から刺したな……?

ある意味マイペースでいかなる時も「自分」を崩さないが、その飄々とした言動とは裏腹に現実を見据えた合理主義者でもある。
物事を判断する際には常に「客観的に正しい方」を選択する傾向があり、それが自分のやりたい事と正反対であっても「正しさ」を優先できる強さを持ち合わせている。それゆえに彼女の選択には常に説得力があり、また実際に正しい。これもまた、彼女が生徒会長として生徒達の信頼を得ている理由の一端。
また生徒会長としての手腕も確かであり、伝統校であるがために保守的な校風も根強い蓮ノ空にあって可能な限り生徒達の側に立った学校運営をしてきたことも明かされている。
しかし良くも悪くも自分の感情と客観的事実とを切り離して考えられる人物であるために人によっては冷酷に見えてしまうこともあり、そのために真逆の行動原理で動いている綴理からは苦手意識を持たれてしまっていた。

立場と責務と夢のはざまで

上述の通り、沙知は物語開始時点で既にクラブを引退した身であり、昨年の秋頃には引退していることが早くから明かされていた。
より厳密には、10月末の竜胆祭直後に梢が「そろそろちょうど1年になる」と語っている。
が、それはすなわち部活を始めてから1年半というあまりにも早いタイミングでクラブを辞めているということでもある。
何故この不自然なタイミングで引退したのか?は、蓮ノ空の物語における大きな謎のひとつであった。
その理由は、103期の11月に明かされることとなる。

私は……沙知先輩の説明したことで少し納得できてしまったから。
生徒の自由を守るために生徒会長にならなければならない。
それは、理事長の孫である自分にしかできない。』そして───。

この学校では、生徒会長は他の部活に入れない。』
『だからスクールアイドルクラブをやめなきゃいけない。

すなわち、沙知は蓮ノ空の校則によって、生徒会長になるためには、スクールアイドルクラブを辞めるしかなかったのだ。
では、そうまでして生徒会長になりたかったのか?
スクールアイドルとしての夢を追いかけるより、大事なことだったのだろうか?

あの人が生徒会長にならなきゃ、
今頃ボクたちは放課後に市場に行くことも出来なかったし、
スクコネも使えなかった。

他の部活だって、合宿も試合もできなくなってた。
……みんな、生徒会長に感謝してる。

当時具体的に何があったのかまでは明かされていないものの、この綴理の台詞、そしてこの台詞が登場した回の翌月に起きた出来事から、「沙知が生徒会長になっていなければ蓮ノ空はどうなっていたか」が垣間見えてくる。

103期12月、蓮ノ空に「ネット禁止令」が下された。
蓮ノ空の運営に関わる大人達にはいくつかの「派閥」があり、学内でインターネットを使うことに対しても「容認派」と「規制派」とが対立しせめぎ合っていた。今回はそのうちの「規制派」が暴走し、かなり強引な手を使ってこの処断に持ち込んだのだそうだ。
ネットが禁止されるとスクコネが使えなくなるため活動の軸を失うスクールアイドルクラブは、なんとか今まで通りの活動を続けるべく校外で配信活動を行う形へと切り替えようとしたのだが、そうすると今度は校外への外出許可が厳しくなり、ほとんど学院から出られなくなってしまった。

……花帆はかつて、蓮ノ空の校則を知った直後この学校を「牢獄」だと評した。
しかし、実際には彼女が思っていたよりは自由の効く学校であった。……今回の事態に陥るまでは。
今回の事態によって、蓮ノ空は正真正銘の「牢獄」と化した。

この事態は、運営陣のうち「規制派」……いわば保守的な層が主導権を握ると蓮ノ空がどうなるのかを物語っている。
そして、沙知が生徒会長に就任する直前までは実際にそうなりそうな空気だったのだという。
おそらく、そんな状況を打破するために最も効果的だったのが「理事長の孫」という鬼札を持ち、交渉事にも慣れている沙知の存在だったのだろう。
理事長の親族が生徒会長に就くということは、その体制に理事長の思惑も少なからず反映される。少なくとも、対外的にはそう受け止められるだろう。
その親族が、「自由で開かれた」蓮ノ空にするべく学校を運営すれば、それはすなわち理事長もそれを望んでいるということになる───。

いわば人身御供のようなものだと、沙知も認めている。
だが、沙知がやるしかなかった。
このままでは、スクールアイドルクラブが、生徒みんなが、自由を奪われてしまう。
それを最も効果的に阻止できるのは、自分だったから。

スクールアイドルクラブのことは大好きだ。
……辞める時、部室で泣いた。一年生には内緒だぞ。

生徒会長になってからおよそ1年が経った今なお、沙知はスクールアイドルクラブを……スクールアイドルを愛している。
そんな自分がクラブを離れなければならなかったことを、何度もつらく思ったという。
しかしその涙は、後輩達には隠した。
自分の気持ちを言う資格はないと、沙知は思っていたからだ。

結局離れるのに、つらいなんて……ムカつくだろう?

そうしてクラブの後輩達からは距離を置く傍らで、学校の体制と向き合い、スクールアイドルクラブが活躍できる場所を守っていた。
……もちろん、他の部活動や生徒みんなの「自由」を守ることも。
しかしそのために、後輩達……特に綴理には、決して小さくない溝を残してしまうことになる……。

人間関係


ボクは……嫌い、なんだと思う。
生徒会長……ボクを置いていった人のことは。

沙知によって覚醒した人物・その1。覚醒に1年かかった方。
和解前は温厚な性格の綴理が唯一ハッキリ「嫌い」という言葉を使った人物で、頑なに名前を呼ぼうとすらしなかったほど明確な拒否感を持たれていた。
「置いていかれる」ことに激しいトラウマを抱いているのも沙知との離別が原因にあり、半ば飛びつくようにオープンキャンパスの実行委員に立候補したのも「さやかが大きく成長しすぎて、このままでは自分の居場所が失われてしまう」=「さやかに置いていかれる」と綴理が焦ったため。

とはいえその「嫌い」は単純な拒絶というより「理解できない」がゆえの苦手意識という意味合いが近く、自らの直感に従って行動している綴理にとって「自分の気持ちより『客観的な正しさ』を選ぶ」沙知の真意を測ることができなかったがゆえのもの。
綴理から見た沙知は言わば、言葉が通じるのに本質的に何を考えているのか分からない、宇宙人のような人とでも言うべき存在に見えていた……と考えると綴理の苦手意識が分かるかもしれない。
加えて、常に「客観的に正しい」方を選ぶために沙知の判断はいつも正しく、それゆえに綴理が納得できていなくても「正しい」から反論することができない……そのもどかしさも理由のひとつでもあった模様。

また「慈も、梢も、沙知がいなくなってからおかしくなった」と綴理が語る場面があるが、それは裏を返せば「沙知さえいてくれれば去年の悲劇は防げたかもしれない」と綴理が思っていることの証左と言える。
冒頭の台詞もとても苦しそうに、絞り出すように話しており、こうしたことからも心の底では彼女を憎みきれず、今でも慕っていることが窺える。
が、沙知も沙知で結果的にスクールアイドルクラブを見捨てる格好になったことを理解していたがために「自分は嫌われて当然」と考えてしまい、綴理の誤解を解く努力をしなかった。そのため余計にすれ違いを加速させてしまったことは否定できない。
事実、綴理の直談判を受けた沙知は「機械みたいに思われていたのか」と、綴理との相互理解をしようとしてこなかったことを痛感し反省している。

そうした背景から実に丸一年もの間お互いに溝を埋められずにいたが、さやかの手引きもあって綴理が本音をぶつけたことでお互いに誤解していたことに気付き遂に和解。
中止になりかけていたオープンキャンパスのステージを彩るために、かつて沙知が作っていたがクラブには渡せずにいた「雨が上がる曲」を綴理に託すのだった。

和解以降はかつてのように名前を呼ぶようになってはいるが、「さち」「さち先輩」と呼び方には若干ぶれがある。
また沙知が相手だからなのかは不明だが敬語も一切使っておらず、尊敬しているんだかいないんだかよくわからない。
……これでもきちんと信頼は寄せているし、一応先輩として見てはいるはず。多分。後輩が先輩を舐めてかかるのも蓮ノ空の伝統なのか……?


……楽しみにしてるからね、梢のラブライブ!優勝。

合理性を優先する沙知の姿勢には梢も理解を示しており、同じ立場だったら自分もそうすると語っている。
また梢には綴理との一件もあったために、自分には沙知のことを責められる立場ではないとも考えていた様子。
そうした事情もあって、概ね割り切って事態を受け入れている。

とはいえ、梢にスカウトの話が来た際に「置いていかれる側の気持ちもわかっているつもり」と語っているあたりは、やはり思うところはあった様子。
上述の『割り切れている』というのも、その発言をした直後に「綴理や花帆、さやかといった皆がいてくれたおかげで前に進むことができたから」と語っており、当時の心境としては「納得はできないが理解はした」と言った方が近いのかもしれない。

ちなみに、意外とからかい好きで冗談を交えて仲間を弄ることも多い梢。
沙知に対しても例外ではなかったらしく、回想ではわりと容赦なく身長ネタで先輩を弄り倒していた。
現在もジョークを交えて花帆を諭したり慈を弄ったりする場面が見られるが、梢の冗談がたびたび沙知のそれとそっくりな言い回しになることがあり、少なからず彼女から影響を受けたものと見られる。

彼女の語るところによれば、沙知が生徒会長に就任するためクラブを抜けたのは慈が怪我でスクールアイドル活動を休止した直後のことだったそうで、そのため当時はかなりの怒りを見せていたという。
しかしその時にひとしきり怒ったことでかえって吹っ切れたのだとか。
約1年後に瑠璃乃の手を借りることでスクールアイドルへの復帰を果たした今も、沙知に対する心境は変わっていない。

この通り慈自身は沙知との過去については(言いたい事こそあれど)さほど気にしておらず、むしろ綴理が沙知に対して好印象を持っていないことに懸念を抱いていた。
自身の発言がきっかけで綴理を焦らせてしまい、知らずにオープンキャンパスの実行委員という「事実上沙知の下の立場」に立たせる形にしてしまった際には心配して梢と共に様子を見守ることを決め、また後に綴理の本心も聞けたことで彼女を全力で支援している。

  • 日野下花帆

物語の公開順で言えば最も早く対面していた人物であり、梢を探しに大倉庫へ入るも迷ってしまった花帆の前に現れたのが沙知の初登場であった。
花帆は当初大倉庫の妖精さんと(斜め上な)勘違いをしていたが、対する沙知は花帆が梢と一緒にスクールアイドルクラブで活動していることまで知っていた様子。

なお、花帆は入学してすぐ学院にショッピングモールを誘致してもらおうと生徒会室に突撃し、追い返された過去があるため、描写こそないものの正確にはこの時が初対面である可能性が高い。

ちなみに、沙知が花帆たち103期生をどう思っているのか花帆が直接聞いてみたところ、沙知の答えは「孫」だそう。試練を乗り越えたご褒美にお菓子を用意していたり、瑠璃乃のダンボールや瑠璃乃をダンボールごと運ぶための台車までわざわざ用意したりしてしたのはそういう……

さやか。
なぜ、ラブライブ!に───いや、違うな。
スクールアイドルをやる理由は、答えられるかい?

沙知によって覚醒した人物・その2。覚醒に1日かかった方。
元からフィギュアスケートの世界に身を置いてきた「競技者」であったために、スクールアイドルも同じようにその全てがラブライブ!という「全国大会」に参加するものという勘違いをしてしまっていた。

……インターハイやコンクールのようなものとは違い、ラブライブ!はあくまでも自由参加。
「数ある目標のひとつ」に過ぎないため、あえて出場しないことを選ぶスクールアイドルもいる。
ゆえに、そんな大会で優勝を目指す以上は「ラブライブ!に何を求めるか」という明確な理由がなければ勝ち抜くことは難しいのだ。
またスクールアイドルを始めた理由自体も言ってしまえば「自分のフィギュアに欠けていた『表現力』を磨くため」という目的がはっきりしているがゆえに、逆にスクールアイドルそのものに求める目標がないという状態でもあった。
そのことを、沙知に課された「試練」を通して浮き彫りにされてしまう。

しかし、沙知の指摘を受けて自分を振り返ったさやかは、スクールアイドルに限らず「自分が何かを頑張る理由」がすべて「みんなの期待に応えたい」というただ一点に集約されていることに気付く。
そうして自らの決意を示すために開いたソロステージで改めてその想いを実感し、以降のさやかは凄まじい成長を見せるようになる。

沙知が自分達1年生に「試練」を課した理由自体にも早いうちから気がついており、そのため彼女が常に周囲をよく見て、皆のために行動していることを知っている。
それゆえ、過去の経験から沙知を避けようとしていた綴理を諭し、二人が和解する橋渡し役にもなっている。

  • 大沢瑠璃乃

がるるるる……。
おっとぉ?あたしを食い破ろうとしてる子いない?
貫くのは試練だぜ???

夏から転入してきた身ゆえ、クラブの中では沙知について知るのが最も遅くなった。
そのためなのか、竜胆祭のステージ使用許可を得るのに自分達だけ「試練」を課されたことも当初単なるイジワルとしか見ていなかった。
が、敵視している割には沙知が用意したダンボールを普通に「充電」に使っていたり褒められれば素直に喜んだりといった振る舞いを見せており、沙知もその個性的すぎる振る舞いに面食らわされつつも面白がっている。


関連楽曲

  • Tragic Drops
DOLLCHESTRAの楽曲。103期5月度Fes × LIVEにて披露。
雨の降るバス停の下、雨宿りする中で過去の別れに思いを馳せる一曲。
雨はやがて上がるが、そんな青空にも「通り雨」のようだった相手が思い浮かんで……。

披露当時は沙知のエピソードやクラブの過去が語られる前であり、また「伝統曲」という説明もなかったために「さやかと綴理の関係性を描いた曲」と見る向きもあったものの、そう見るには「すれ違いの末の離別」を想起させる内容の歌詞が2人には合わない……という「謎の曲」でもあった。

が、11月度のストーリーを視聴してからこの楽曲を改めて聴くと、その歌詞に込められた真意が見えてくる。
そう。この曲は、掴みどころがなく、突然自分達を置き去りにした沙知を、それでも憎みきれない綴理の視点から描いた曲だったのだ。
そんな曲を事が起きてから半年経った頃にFes × LIVEで披露したのは、観ているであろう生徒会長に向かって本音をぶつけたいという綴理の思いがあったのかもしれない。
そして知らない内に先輩同士の軋轢に巻き込まれる格好になっていたさやかの心境やいかに。

  • Runway
村野さやかのソロ曲。103期10月度Fes × LIVEにて披露。
沙知に課せられた「試練」を通して、自分の頑張る理由がみんなの期待に応えたいであることに気付いたさやか。
その決意を沙知に示すべく、竜胆祭のステージを借りて一人で歌うために作り上げた曲である。

自分はまだまだ未熟者であると思いながらも、「待っているだけでは何も変わらない」と手探りで自らの道を探し続ける。
そうして成長してゆく自分を、どうか傍で見守って……「期待して」見ていてほしい。
そう語りかける静かな声色に、確かな情熱が感じられるバラードである。

2023年中に発表された『蓮ノ空』関連楽曲中で唯一のソロ楽曲であり、且つ初版投稿時点に至るまで唯一でもある異色の楽曲。
その立ち位置の独特さゆえか初披露されてから長らくCDへの収録予定が立っておらず、同じライブで初披露された全員曲『Trick & Cute』が『Link to the FUTURE』のカップリング曲のひとつとして2024年1月にリリースされる中、本楽曲の収録は未だに見送られている。
YouTubeにも公式からは楽曲単体でのアップロードが行われていないため、24年1月現在に至るまで本楽曲をフルで聴けるのはリンクラ内のFes × LIVEアーカイブか、公式による同時視聴会アーカイブのみ。
唯一の救いはセットリスト1曲目に配されているためアーカイブを開けばすぐ視聴できることか。

  • ツバサ・ラ・リベルテ
随分前に作ったんだけど、
結局渡せなかった、キミたちのために作った曲。
あたしが好きな……雨が止むやつだ。

全員曲。103期11月度Fes × LIVEにて披露。
ストーリー中に語られた通り、沙知がクラブ在籍中に作ってはいたが後輩達には明かせずじまいになってしまっていた、沙知の好きな「雨の上がる瞬間」を描いた曲。
その後オープンキャンパスにて綴理との和解を果たしたことでこの曲を彼女に託し、遂に披露されることとなった。

曲名は「自由へのツバサ」を意味する。
「雨の上がる曲」という触れ込み通り、静かなAメロから始まり、徐々に雨が止みつつある空に期待を寄せるかのようなBメロ、そしてそれまでの抑圧感を一気に解放するかのようなサビへ……という段階的に勢いを増してゆくダイナミックな曲調が光るアンセム。
その開放感に満ちたメロディには、生徒の自由を守るため自ら犠牲になることを選んだ沙知の、「自由に、どこまでも羽ばたいて欲しい」という願いが詰まっている……のかもしれない。
衣装や振り付けにはバレエやフィギュアスケートを思わせる要素も見られ、晴れ渡った空を待ち望む水鳥を思わせる演出も特徴のひとつ。

初披露となった103期11月度のライブではセットリストのトリを務め、専用衣装と共に「満を持して」と言うべきお披露目となった。
同ライブでは着替え時間中の待機時間中に雨が降り出し、その雨の中で本楽曲を披露。パフォーマンス中に雨が次第に弱まっていき、ラスサビでは満天の星空へと変わる演出が印象的。
なお、このバーチャルライブが金沢城公園を舞台に行われることにちなんで実際に同じ場所に出向いてライブを鑑賞していたというファンもいたのだが、彼らの報告によればちょうどステージ演出と同じくらいのタイミングで雨が降り出し、ライブが終わる頃に雨が降り止んだという。沙知先輩、もしや天候操作術の後継者なのか……?

余談・考察

「お約束」にして「異例」のキャラクター

上述の通り、大賀美沙知という人物は「生徒会長にして理事長の孫」という、過去作のお約束要素を強く意識させる設定を持つキャラクターである。
一方で、特にラブライブの生徒会長ポジションとして見ると異例な要素を複数持った存在でもある。

最初から協力的

今までの生徒会長ポジションは様々な理由や形で「序盤の壁」として主人公に立ちはだかるのがお約束だった中、試練を与えこそすれ活動自体は全く否定しておらず、むしろ協力・支援する側という点は特徴的。

とはいえ「生徒会長が最初から主人公側に立っている」ケース自体はいくつか前例があり、

  • 序盤こそ前作同様の中ボスムーブをしていたが、その影では主人公達を応援していた黒澤ダイヤ
  • かつて犯した過ちの二の舞を危惧しただけで活動そのものは否定しなかった中川菜々
  • 最初から主人公達の理念に賛同し惜しまず協力している三船栞子(アニメ版)
  • 劇中でちゃんと仕事している描写があったにもかかわらず何故か忘れられがちな高坂穂乃果

……といったように、作品数が増えた今となっては実は純粋に「認められないわァ」していた生徒会長の方がになりつつあったりする。

「生徒会長」≠「現役スクールアイドル」

「生徒会長は『認められないわァ』するもの」という概念自体が揺らぎつつある上記とは裏腹にこちらは間違いなく今回が初となる事例。
これまでの生徒会長キャラは紆余曲折の後に主人公達と和解しスクールアイドル部に加入、グループのエースを担う一人として活躍すると同時に何故かIQが急低下する……というのがお約束であり、生徒会長が物語に登場しない『ミュージカル』を除いて過去の主役グループメンバーは皆このお約束に則っていた。
が、沙知は過去にスクールアイドルクラブに所属していた過去こそあれど生徒会長を務めていた時期とは重なっておらず、また綴理との軋轢を解消した後もクラブに戻る選択を取らなかった。
生徒会長とスクールアイドル部員を兼任していた時期がないというのは、沙知が初の事例である。

一方で沙知は「直接ステージに立たずとも、スクールアイドルの活動を応援し支援する者もまたスクールアイドル」という答えを見出しており、本人としては「クラブを離れた今もスクールアイドルとして活動している」と捉えている。
これは『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS』の主人公が辿り着いた結論と同じものであり、また同作が原案である『虹ヶ咲』の主人公・高咲侑も「ステージに立たない『13人目のスクールアイドル』」とみなされる描写があるように、ステージで歌って踊るだけがスクールアイドルではないという近年のシリーズにおけるトレンドを踏襲する形にもなっている。

苦労人

102期生達の過去が描かれてゆくにつれて「梢達3人が粒揃いの人材であると同時に問題児集団でもあった」ことも判明し、当時クラブに残っていた先輩が沙知しかいなかったことも明かされていたことから、102期は沙知の心労が絶えなかった年だったのではと考察する向きもある。
実際、ただでさえユニット別活動の伝統もある中で後輩3人の面倒を1人で受け持つだけでも負担の大きさが窺えるのに、その3人がそれぞれ全く別方向に癖の強いメンツであることを考えると当時の沙知の胃が心配である。

引退の真相が判明するまでは、沙知が引退したのは3人のクセが強すぎて手に負えなくなったからでは?と冗談交じりに予想する向きすらあったほど。
もっとも、沙知の性格を考えるとそんな後輩たちとのドタバタも楽しんでいそうでもあるが。

……しかし沙知をめぐる事情が明らかになるにつれ、大賀美沙知という人物は血筋という運命に翻弄された苦労人という言葉では片付かないほどの苦難を背負った人であったことが判明し、上記の冗談が洒落にならなくなってしまったのだが。

現役時代の沙知

既に述べている通り沙知は物語開始時点で既にスクールアイドルを引退した身であるため、物語中でスクールアイドルとして活躍する描写はない。
これは回想シーンなどの描写でも一貫しており、リンクラのカードイラストでもかつての様子が描かれることはあってもステージ衣装を纏った姿は一度も描かれていない。

が、同時にかつてはステージに立っていたことは間違いないため、各種SNSでは「ステージに立って活躍していた頃の沙知」を想像した二次創作が盛んに制作されている。
102期のクラブメンバーがどのようなユニット割だったのかが不明なため実際にどんな曲を演じていたのかは判断できないものの、唯一『Dream Believers』は梢や綴理と共に披露していたことは明かされている。
そのため、特に同楽曲の衣装を纏った沙知がよく描かれるようだ。


綴理。
……アニヲタwiki(仮)って、なんだい?


不完全でも熱を持ったボクたちで作る、芸術。

そうだよね。

……ね、綴理。
こうやって裏側からwikiを支える仕事は、どうかな。

綴理にとっては、wiki篭りじゃないかな?

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 大賀美沙知
  • Link!Like!ラブライブ!
  • ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
  • 101期生
  • 生徒会長
  • 元スクールアイドル
  • ノブレス・オブリージュ
  • 人身御供
  • 苦労人
  • 小原好美
  • ネタバレ項目
  • 主人公より先に立った項目
  • 巨乳
  • 低身長
  • 涙腺崩壊
最終更新:2025年02月17日 10:36

*1 シリーズ最高身長の記録保持者である綴理(171cm)はもちろん、梢もかつての記録保持者である朝香果林と2位タイで並ぶ167cmという歴代でも稀に見る高身長ばかりの世代である。なんだこの2年生。