登録日:2024/01/26 Fri 13:09:01
更新日:2024/12/27 Fri 12:50:43
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「
異世界黙示録マイノグーラ」とは、
小説家になろうにて連載中の小説である。
正式タイトルは「異世界黙示録マイノグーラ~破滅の文明で始める世界征服~」という。
作者は鹿角フェフ氏。
2019年11月に書籍化。挿絵はじゅん氏。
2020年9月に漫画化。作画は緑華野菜子氏。
漫画化、書籍化されてなお小説家になろうでは削除されておらず、全話無料で読むことが出来る。
概要
簡潔に言うと、「ゲーマーだった主人公が、死後に自分がやりこんでいた戦略ゲームの世界に転生する」という、
小説家になろうにて一大ジャンルとなっている「ゲーム世界転生モノ」作品である。
主人公が邪神と呼ばれる類の存在で人知を超えた力を振るうことこそあれど、戦闘能力は皆無で戦闘描写もない。
また、転生前は生まれてからずっと病床で暮らしていたこともあって世間知らずに加えて若干サイコパスである。
更に最初期の配下は1人のみ、初期土地は森の中で利便性最悪な上に人も資源もないため難民を受け入れることから始める必要があり、開拓しない限り生産能力ゼロ、おまけに敵性国家に囲まれていると悪条件の目白押しである。
最初こそ相手国の政治的な事情からかませ犬な敵がやってくるものの、戦況はどんどん悪くなる。
せっかくチートパワーを貰ったのに
俺TUEEE!が出来ない、どちらかというと戦略TRPGのリプレイ風味な物語である。
あらすじ
生まれながら病弱であり、病床生活を送っていた伊良拓斗は、18歳にしてついに息を引き取った。
だが、彼の心は穏やかであった。
彼はこの世を去る最後の数年にて、『Eternal Nations』というゲームに出会い、ランキング1位となり伝説のプレイヤーと呼ばれるまでになったからだ。
そんな彼が目を覚ますと、そこに広がっているのは一面の緑。
「お目覚めになりましたか?」
彼が生涯最も愛したゲームの、最も愛したキャラクター、『アトゥ』が目の前にいた。
突然の状況に困惑し、新たな人生の目的を欲していた彼に対し、アトゥは「私たちだけの王国を作りましょう」と提案する。
今まで病床で何一つ自由の無い暮らしをした彼は、初めて与えられた『自由』を振るうことを決断する。
「僕たちの国を作ろう。僕と、君だけの王国を――」
世界設定
Eternal Nations
拓斗の転生前の世界で大人気だった、国家運営ストラテジーゲーム。
Civilizationを強く意識しているようだが、
魔法やスキルといった概念が存在する、兵隊よりも遥かに強力だが数千規模の部隊相手には敗北の可能性もある「英雄ユニット」が存在するなど、中世ファンタジー世界が舞台な模様。
「善」「悪」、そして「中立」属性の国家のいずれかを運営し、戦争や外交などで「勝利」条件を満たすのが目的。
拓斗は生前このゲームを極め、伝説のプレイヤーとまで呼ばれている。
マイノグーラ
「Eternal Nations」における国家の一つ。属性は悪。
クトゥルフ神話をモチーフとしており、英雄ユニットは蟲だったり触手が生えていたりする。
国家としては序盤の立ち上がりが非常に遅くゲーム中最弱であり、ゲーム開始初手は引きこもり内政に注力することが定石とされる。
ユニットも癖が強く、例えば衛生兵は人間とバリバリ敵対的な属性であるにもかかわらず人間と行動すると性能ボーナスという意味不明な特性を持っていたりする。
ちなみに、なぜ彼らが人間といるとプラスなのかというと、人間になることに憧れていて、
都合よく人間を殺す機会があればその皮をはいで被りたいから。あらやだ邪悪。
タクトの方針もあって基本的に
邪悪オーラを放ってはいても友好的だが、属することを決めると負の感情が沸き上がり、倫理観がマヒしていき、人肉味にも抵抗がなくなり、潜在的に狂暴性が増す、というがっつり邪悪な国家である。
魔女
拓斗たちがやってきた世界では、個人で国家を脅かす災厄と恐れられている。
現地民からしたら、たとえ善属性の教団だろうが不用意に触れるな近づくなが鉄則である。
ましてや、政治的陰謀など要らぬ深読みをして勝手に戦線布告するなど、あってはならない…
ブレイブクエスタス
コンピューターRPGの元祖とも言える名作ゲームシリーズの一つ。
物語性が非常に強く、強制イベントや魅力的なムービーなどを併せて、プレイヤーが主人公の人生を追体験できるように作り込まれている。
ゲーム内の敵キャラクターたちに自由はなく、同じ敵に倒され続けるだけの役割にうんざりしている。
登場人物
伊良拓斗
病弱だった18歳の少年。
未開の森しか領地を持たない「マイノグーラ」国家元首の邪神。属性は邪悪。
人生最後の数年にて、国家運営シミュレーションゲーム『Eternal Nations』と出会い、そのやり込みに熱を入れた結果、最弱国家マイノグーラにて、難易度ナイトメアをクリア。
公式のユーザーランキングにて1位に名前を残し、伝説のプレイヤーとまで呼ばれていた。
学校含めた社会を経験していないため重度のコミュ障であり、異世界でも外交は他人任せの引きこもり。
邪神という属性にたどたどしい口調で話すものだから、直属以外の配下からは不気味に思われ距離を取られるなど、コミュ障は改善するどころか悪化の一方を辿る。
ただし、これは彼とアトゥ以外からは全身が黒いモヤで覆われ目元だけが光っている異様な姿に見えており、人間だとは微塵も思われていないと気づいていないことにもよる。
ゲーム内で悪属性の国家を運営していただけであって彼自身は決して悪人ではなく、国家運営に必要なリソースを考えなしに難民に割くくらいには人情を見せる。
召喚された配下にはゲーム時代の記憶があるため無条件で忠誠を誓われているが、生活習慣や性格面は何度も叱られている。
ただ、長年病床暮らしでかつ初めて与えられた自由を謳歌しているだけあって、その自由を侵害する敵には情け容赦ない一面がある。
「そもそも、同じ人間……同じ日本人だとして。――どうしてそれだけで仲間だと言えるの?」
最初は平和に暮らすことを望み、戦闘も専守防衛に勤めていた。
しかし、とある事件によって最高難度勝利「次元上昇勝利」(≒マイノグーラ以外の国家の消滅)を目指すようになる。
使用スキル
魔力を消費し、臨時で「資材」「食糧」を創造することが出来る。
そのまま使うと高コストだが、技術開発と専用の施設を建築することで魔力の消費を抑えることが出来る。
貴重な初期魔力を使って林檎や葡萄などの果実を生産、難民であるダークエルフたちに振舞ったことで、彼らを掌握することに成功した。
緊急生産で創り出せるものは現代日本のものであり、魔力を安定して確保する術さえ見出せば近代兵器による世界の蹂躙が可能であることが示唆されている
汚泥のアトゥ
『Eternal Nations』における最弱国家『マイノグーラ』の英雄ユニットの一人であり、拓斗のお気に入りのユニット。
一見幼い少女であり、初期状態では野良犬二人分の戦闘能力しかないが、その実無限の成長の可能性を秘めている。
拓斗と幾度も世界を支配し、幾度もゲームオーバーとなった記憶を保持している。
実物の蟲を見るのはキモイといい、リアルな餓鬼ゴブリンを見るのは耐えられないと零す乙女メンタルな持ち主。
最初は邪神の側近らしく振舞うが飽きて素に戻る、拓斗の予定にない行動に頬を膨らませて怒るなど、争いごとさえ絡まなければ外見年齢相応な精神年齢の持ち主でもある。
悪属性の国家「マイノグーラ」で、邪神に仕えるユニット、
あとはもう分かるな?。
少しずつ、マイノグーラが自分たちの知らない何かへと変容しつつあることに薄々気づいている。
+
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拓斗には絶対に見せない彼女の一面を垣間見る |
貴方はこの後死にます。無残に苦しめられ、なんの成果もなすことなく死んでいくのです。
貴方の家族の名前を知った私が次にすべきは家族を殺すことです。マーシャ、そしてミーナを考える限りに苦しめてから殺します。
――ああ、娘はまだ赤子でしたね。折角ですので化物らしく喰らってやりましょう。
私はそもそも人肉はあまり好みではありませんが、それでも焼くか煮るかして香辛料をたらふくかければなんとか食えないことはないでしょうからご心配は無用ですよ
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使用スキル
- 《破滅の親和性+2》《闇の親和性+1》《混沌の親和性+1》《邪悪》《英雄》《狂信》
他者からは黒塗りのシルエットにしか見えずたどたどしい言葉しか話せない拓斗と、普通の人間と変わらない会話のやりとりが出来る。
殺した相手からスキルを奪う。戦闘を重ねれば重ねるほど彼女はどんどん強くなり手が付けられなくなる。
殺した相手の記憶を奪うという、元のゲームにはなかった副効果が発生しており、彼女はこれを悪属性らしい使い方をする
背中より生える触手で、多方向、多方面に敵を薙ぎ払う。
まだ国家を運営して日が経っていない状態でも、英雄クラスの人間の身体を縦方向に貫くくらいには強靭。
聖騎士ヴェルデルより奪ったスキル。邪悪属性ユニットに対する特攻を持つ。
善属性国家に囲まれた立地で、邪悪属性の相手と敵対することはないと思っていたが…?
全ての蟲の女王イスラ
タクトさまはほぉ~んとに、ご自分では何もできませんわねぇ……
アトゥと同様にマイノグーラにおける英雄ユニットの一人。
指導者の変更や乗っ取りを起こしかねない非常に危険なユニットだが、異世界にやってきた彼女もアトゥ同様にゲームでの記憶を保持しており、拓斗に忠誠を誓う。
口調こそあらあらうふふ系のお姉さんだが、挿絵や漫画では
巨大な蟷螂に乳房が付いただけのクリーチャーである。
戦闘スタイルは両手の鎌に加えて、
大量の子供を産んで突貫させるというえげつないもの。
そんな彼女だが、病床引きこもりの拓斗や外見年齢相応な振る舞いをするアトゥと比べて
常識人寄りであり、
マイノグーラの住民と自主的に交流を重ねる一方で、昼まで寝ている拓斗に働けと突っ込むなど厳しい一面も。
厳しく叱咤しつつもフォローする賢母っぷりは、早々にマイノグーラ国民の心をつかんだ。
なお、イスラは英雄であるとともにプレイヤーに成り代わって王の座に付けるという特性を持ったユニットであり、タクトも召喚する際は警戒もしていた。
使用スキル
- 《子蟲産み》《寄生産卵》※ワールドに存在する全昆虫ユニットの戦闘力が+2されます。
魔力を消費して自分が生んだ子供を突貫させる。敵ユニットの内側から食い破る、脳みそを寄生して行動権を得るなどえげつない攻撃を行う。
大量に蓄えた魔力を彼女に注力して敵国家を一気に畳みかけるこの戦い方は、エターナルネイションズのプレイヤーに『蟲ラッシュ』と呼ばれ大変忌み嫌われ恐れられていた。
漫画では非常にリアルにグロテスクに描かれる。
相手を捕食することで体力を回復する。
こちらも漫画ではリアルに描写される。
自分の死亡時に対象を選んでスキルを継承、一般ユニットを英雄ユニット化させる。
心臓を抜き取り対象に捕食させるという、ゲーム内では文章で流される程度の描写だが、継承先がよりによって実の母親を食した経験のある幼いダークエルフ姉妹であり…
キャリア=エルフ―ル、メアリア=エルフール
コミュ障の拓斗のために用意された、幼いダークエルフ姉妹の世話役。
キャリアは一見笑顔を絶やさない明るい表情ながらも自殺願望を隠そうとせず、メアリアは全身に大やけどを負いながらもそれを服で隠そうともしない。
母親は
長い逃避行の中で仲間の飢えをしのぐために食肉として自身の身を差し出しており、二人はそれを食べてしまった。
だが拓斗に促され、母親の「生きて」という遺言に従い、マイノグーラという地で生きていくことを決断する。
対人能力が全員最悪なマイノグーラで唯一会話が成り立つという長所を見いだされ、外交という
「はじめてのおつかい」に挑戦することになった。
なお邪神国家の国際交流の結果はお察しください。
外見は化け物だが性格が真っ当なイスラのことを「
お母さん」と呼び、本当の母親のように慕っていた。
そして二度目となる母親との別れ、母の肉の食事を行い、「後悔の魔女エルフール姉妹」という英雄ユニットとして覚醒する。
追記、修正は、敵性国家に囲まれた自分の領地を守りながらお願いします。
- 緊急生産コマンドを見て「CivRevとCiv5だ!!」と思ったワタシ。実際緊急生産コマンドはCivのゲームバランスに影響がデカイ -- 名無しさん (2024-01-26 19:02:39)
- ゲームのジャンル対抗戦という、「創作者が一度は思いつくけど諦める」系のネタ。上手いことやってると思うけど実質まだ2ジャンル目辺りなのでどこまで描けるか。個人的にはSTG辺りクソジャンルだと思う。敵に回したら「攻撃力極大&残機制&ボム」なのに味方にしてもあまりメリット無さそうで。 -- 名無しさん (2024-01-26 21:10:19)
- SLGってよく考えたら「神の視点」で国家やユニット俯瞰してやるものだから、一国家元首視点になったらそりゃ生前どれだけ得意でもままならなくなるよねと -- 名無しさん (2024-01-26 21:14:41)
- タクト、素でもかなり邪悪よ(和マンチだし)。冒頭読んで普通にまともな人間と思っていると外れるタイプ -- 名無しさん (2024-01-27 01:18:04)
- 邪悪国家とはいえ、人外でも人間とほぼ変わらない容姿のキャラが多い(イメージの)中でガチ異形のあらあらうふふ系メインキャラってかなり希少な気がする。はい、大好きです -- 名無しさん (2024-01-27 01:24:29)
- ↑人外でも人間とほぼ変わらない容姿のキャラが多い(イメージの)なろう作品の中で -- 名無しさん (2024-01-27 01:25:41)
- TRPGはコミュニケーションが大事な遊びだぞ(戒め -- 名無しさん (2024-01-27 13:14:26)
- グラノーラが邪魔して中々タイトルを覚えられなかった -- 名無しさん (2024-12-25 17:18:04)
- 全ての蟲の女王イスラを早期退場させたのマジで勿体なさすぎる。大好きだよ -- 名無しさん (2024-12-27 12:50:43)
最終更新:2024年12月27日 12:50