ミクロネーション

登録日:2024/02/23 Fri 20:34:51
更新日:2025/01/15 Wed 15:32:15
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ミクロネーションとは、主権国家であることを主張するが、国際法上は認められていない「国」のことである。


目次
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【概要】

民族や宗教などを理由とした一部地域の独立運動や実際に事実上独立した地域とは違い、大抵は個人や家族などの小さな集団で運営される。また、多くの場合これらの地域は実際には既に存在する主権国家の実効支配を受けている。

要は「ここは俺の国だ!」というお遊びを大真面目にやっている人たちの国……ともいえる。

領有権を主張している地域は、自分の自宅や別荘の敷地とかならまだ可愛い方で、無関係の他国が持つ無人島や、国際法上領有権が認められない人工島、南極や地球以外の星、果ては想像上の土地まで、もはやなんでもありな状況である。

ミクロネーションの中には、独自の切手やコインなどを発行し、それをインターネット上で販売することで収入を得ている国も存在する。そういった活動によってネット上で注目を集め、観光客が訪ねたりすることでも収入を得ていたりする。


【主なミクロネーション】


現存するミクロネーション

・シーランド公国

おそらく最も有名なミクロネーション。第二次世界大戦中にイギリスが作った海上トーチカを占拠した元英国陸軍軍人のロイ・ベーツによって1967年に建国された。
その後は「首相」として雇ったドイツ人にクーデターを起こされたり、イギリスの領海に囲まれたり、火事で2回国土が壊滅状態になったりしながらも、現在もロイの息子マイケルが跡を継いで運営されている。
公式サイトでは、切手やコインなどの他爵位も販売されており、日本の芸能人の中にも爵位を購入し「貴族」になった人がいる。

・セボルガ公国

イタリア北部の小さな村。中世には独立した公国であり、その後他国への編入を経てイタリアの一部となったが、セボルガ側は「編入過程が明確でなく、法的には未だ独立した領域である」と主張。1963年に独立宣言を行った。
……のだが、その後も実際にはセボルガはイタリアの実効支配を受けており、住民はイタリア政府に税金を納め、国政選挙の際には投票を行っている。
実際のところは「独立」をダシにした村おこしの面が強く、事実「独立」によってセボルガには多くの観光客が訪れているという。

ワイ公国

オーストラリア、シドニー郊外のモスマン市内にある国。何故かアニヲタWikiに個別記事がある唯一のミクロネーションである(多分名前のせい)
2004年に芸術家のポール・デルプラットが、自宅の前に道路が作られなかったことを理由として独立を宣言した。領土は彼の自宅の敷地である。

・タロッサ王国

1979年にアメリカのミルウォーキーに住む当時14歳のロバート・マディソンによって建国された。ミルウォーキーの一部や南極の一部地域などを領土とすると主張している。初めてウェブ上で注目されたミクロネーションの一つであり、「ミクロネーション」という言葉の発祥ともされる。独自の歴史や言語が生み出されている。
一時は「タロッサ共和国」が分裂して生まれたが、その後王国に復帰した。

・モロッシア共和国

1977年にアメリカのケビン・ボーによって「グランド・ヴルドシュテイン共和国」として建国され、1999年にモロッシアとして改めて建国された国。ネバダ州、ペンシルベニア州、カリフォルニア州にあるボーの私有地を領土としている他、何故か金星にも領土を持つらしい。
既に消滅しているはずの東ドイツとの戦争状態にあると主張している。

・クーゲルムーゲル共和国

オーストリアの首都ウィーンの公園内にある球体状の建物。もはや土地ですらない。
芸術家のエドヴィン・リップブルガーが1976年に建国。オーストリアへの納税を拒否したため実刑判決を受けたが、恩赦された。

・ラドニア

スウェーデンの自然保護区内に彫刻を勝手に作った芸術家ラルス・ヴィルクスによって1996年に建国。国旗は緑一色に見えるが、実際は背景と同じ色のノルディッククロス(北欧諸国の国旗に描かれている十字)が描かれている。
建国経緯といい、女王と大統領が両方いたり、公用語が2つの単語しかなかったりとツッコミどころの多い国である。

・アエリカ帝国

1987年にカナダのモントリオールに住む当時5歳のエリック・リスらにより建国。カナダ国旗のカエデの葉がニコちゃんマークになった国旗を使っている。モントリオール市を含む地球のいくつかの場所の他、火星や冥王星、架空の惑星にも領土を持つと主張している。

・リベルランド自由共和国

クロアチアとセルビアの間にある「ゴルニャ・シガ」という無主地(どこの国の領土にもなっていない土地)にある国。チェコ人の政治家ヴィート・イェドリチカによって2015年に建国された。
というのも、ここにはドナウ川が流れているが、昔と今とで流路が変わっている。クロアチアはより領土が広くなる昔の流路を国境と主張している一方、セルビアは今の流路を国境と主張している。その結果、ドナウ川西岸にあるゴルニャ・シガはクロアチアとセルビアの双方から領土とみなされておらず、無主地となっていた。そこに目をつけたのがイェドリチカである。
「自由」の名の通り自由主義を掲げる人や政党からの支持を受けている。また、2017年にはなんとソマリランド国交を樹立した。ちなみにソマリランドと国交がある国はここと台湾だけである。

・影と闇の領域と王国

中二病全開な国名。それもそのはず、魔法民族のための国として建国されたためである。2001年にエレバス・デーロンによって建国された。地球の陸地の5分の1に当たる面積を持つ27の王国によって構成されるらしい。

・ストマリア帝国

イギリスのアンドリュー・ストットが2019年に建国。イギリスの2つの私有地とアメリカの1つの私有地から構成されている。他のミクロネーションの多くを軽蔑しているとか。

・スロージャマスタン共和国

正式名称は「スロージャマスタン人民共和国主権国家連合領土」。2021年にできた新しい国。アメリカのランディ・ウィリアムズがカリフォルニアにある砂漠の土地を購入して建国した。「共和国」と自称しているがなぜか国家元首はスルタン(イスラム世界におけるの称号の一つ)である。

消滅したミクロネーション

・ローズ島共和国

イタリアの技術者ジョルジオ・ローザが1964年にアドリア海上に建設した石油プラットフォーム状の人工島に建てられた国。建国直後にイタリア政府が警察を派遣、その後裁判を経て1969年にイタリア海軍により爆破されて消滅した。シーランドになれなかった国……かもしれない。

・ハット・リバー公国

1970年に西オーストラリアの小麦農家レオナード・ケースリーが州政府の政策に反発して独立宣言。小麦や切手、コインの販売、観光業などで収入を得ていたが、2020年に新型コロナウィルスの影響で観光業からの収入が断たれ、滞納していたオーストラリアへの税金の支払いの目途が立たなくなったことにより解散。土地は売り払われて納税に充てられることになった。


Axis Powers ヘタリアにおけるミクロネーション】

日丸屋秀和による国擬人化コメディ「Axis Powers ヘタリア」にも多くのミクロネーションが登場している。
2024年2月時点で以下の11か国が登場している。
  • シーランド
  • セボルガ
  • ワイ
  • モロッシア
  • クーゲルムーゲル
  • ラドニア
  • ハット・リバー
  • アエリカ
  • スロージャマスタン
  • 影と闇の領域と王国
  • ストマリア
また、かつて福島県二本松市岳温泉にあったミニ独立国(地域振興政策の一つ)であるニコニコ共和国も登場している。
シーランド(ショタ)はシーランドの公式キャラクターになっており、ワイ(ロリ)も元首のポール公に認知されている。


【似たような存在】


・アメリカ合衆国

ジョシュア・エイブラハム・ノートン一世(1818年2月4日~1880年1月8日)によって樹立され、統治されていた大帝国。
ノートン陛下はサンフランシスコを中心に頻繁に視察に訪れ、その怜悧な知恵と人柄によって広く愛されたという。
……ウソです。アメリカは共和制で、前述のノートンさんはあちこちで皇帝を自称しまくってた変なおじさんです。
詳しくは項目参照。




追記・編集はミクロネーションを建国するかミクロネーションの国民になってからお願いします。

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最終更新:2025年01月15日 15:32