ゲゲゲの鬼太郎(PS)

登録日:2024/10/26 Sat 17:24:00
更新日:2025/05/15 Thu 15:47:12
所要時間:約 10 分で読めます





さあ、魑魅魍魎が妖しく蠢く異業の世界へ…

誘いは、闇より聞こえし下駄の音。


1997年1月27日に発売された一人称視点のプレイステーション用3Dアドベンチャーゲーム。
『ゲゲゲの鬼太郎』テレビアニメ第4作のゲーム化作品の1つである。

概要

本作が出るまで、鬼太郎のゲームと言えばFCの『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境』やSFCの『ゲゲゲの鬼太郎 復活!天魔大王』をはじめとする「鬼太郎を操作して妖怪をやっつけるアクションゲーム」が主だった。
ところが本作は違う。

主人公は鬼太郎ではない。それどころか、何の能力もない一般人なのである。
そのため基本的に探索しかできず、妖怪に立ち向かうことなど無理。
「いつ何が襲ってくるのかわからない恐怖」がこのゲームの味である。

また、普段移動する時などもゲーム的なゲージなどは一切なく、これがゲームの不気味な雰囲気を強調している。
BGMも総じて怖く、下駄の音をはじめとしたSEも非常に目立つ。
PS初期のゲームであり、UIが洗練されておらず操作性もあまりよくないのだが、むしろそのもどかしさが恐怖感を助長している節さえある。
少し先が見えない暗闇もゲームの雰囲気にとてもよくあっている。

全3シナリオがあるがどれも鬼太郎っぽい話になっておりその点でも好評。

1シナリオに1時間もかからないため、ゲームとしてはボリューム不足なのが難点。
また、キャラゲーとしては鬼太郎がそこまで活躍せず、鬼太郎ファミリーもあまり出番がない点が不満点としてあげられやすい。

しかし、本作がもたらした「怖さ」は大きな衝撃を与えたのは間違いなく、トラウマゲームとしてしばしば名の上がる存在である。
後にPS2『ゲゲゲの鬼太郎〜異聞妖怪奇譚〜』でも似たような恐怖演出が試みられている。
2025年5月発売の『ノロイカゴ ゲゲゲの夜』も「妖怪相手に生身1つで逃げ切れるなんてそんな甘い話はありません。」と怖い鬼太郎ゲームを謳っている。

OPは「ゲゲゲの鬼太郎」、EDは「カランコロンのうた」のインスト版。

ちなみに4期のゲーム作品は他にノベルゲーの『ゲゲゲの鬼太郎 幻冬怪奇譚』と妖怪ゲット系RPGの『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪創造主現る!』があり、本作も含めて90年代のゲーム業界に鬼太郎がどう順応しようとしていたかを垣間見ることができる。

メインキャラ

CV:松岡洋子
上記の通り、主人公ではないのでシナリオでも途中で合流したり、別行動をとることが多い。
バトルシーンでは体内電気や毛針を披露し、特徴的な下駄の音もきっちり再現。
一緒にいてくれる時の安心感が半端ない。

CV:田の中勇
お馴染み鬼太郎の父親。4期準拠なので若かりし頃の姿とかの話は一切なし。
原作では本気を出したらチートキャラなのだが、今作ではそこまでの活躍はせず、微妙に頼りにならない。
堂々と間違った妖怪の退治方法を言ってくることも。
鬼太郎はいないが親父はいるという場面もあり、その場合は主人公に変わり親父が状況説明してくれる。

シナリオ紹介

学校編

首塚を荒らすものは絶対に許さない!!

舞台は合唱コンクールの全国大会で何度も優勝している名門女学院「聖山女子高等学校」。
近年新体育館を建設しているが、その頃から登校拒否の学生が増えている。
しかし噂によると彼女らは登校拒否ではなく、学校で行方不明になっているらしい。
主人公と友人が教師から夜遅くまで補習を受けるも、先生の様子がおかしくなり……?

逃走や謎解きなど今作も最もスタンダードなシナリオ。
鬼太郎をどのタイミングで呼ぶかで展開が異なり、中盤までに呼べないとバッドエンド確定。
また、エンディングは妖怪をどう対処したかでも分岐する。

  • 内山啓子
学校編の主人公。
後ろ姿で分かりにくいが、ムービーではメガネを掛けたボブヘアである。
ゴキブリくらいなら平気で踏み殺せる肝っ玉女子。

  • 田中良子
CV:山崎和佳奈
啓子の友人でおさげの可愛らしい女子。肩幅がすごい。
オカルト話にも詳しい話好き。
こう見えて啓子より成績がいいらしい。
妖怪に呪われてしまい、シナリオ中盤より恐ろしい形相で啓子に襲いかかる。

  • 今西先生
CV:麻生智久
学校の先生。
放課後啓子と良子を補習するも、突如豹変し啓子をゾンビのような姿で追いかけてくる。
元々新体育館推進派だった。そのため妖怪に呪われてしまったようだ。


ゲゲゲの森編

ゲゲゲの森に迷いし者よ。
人間界へ戻りたくば、鬼太郎を
探すがよい。

友人から妖怪を見たと聞いた少年はそれを確かめに橋の下へ向かったところ、奇妙な石碑に吸い込まれ妖怪の世界に迷い込んでしまう。
元の世界に帰るには鬼太郎を探すしかないらしい。

ゲゲゲの森を探索するシナリオ。
森は非常に広大で迷いやすく、このゲーム特有の見づらさに加えワープする場所もあるなど恐ろしい仕様。
説明書にもマッピングが推奨されていたほど。
一方でお馴染みの妖怪たちに会えるため、ファン向けのシナリオ。
彼らは主人公たちに敵意もなく、敵もいないので恐怖要素も薄い。
森で行った悪行と善行の数によってエンディングでの鬼太郎からのコメントが変わる。(全4パターン)
ぶっちゃけ一番難しいのに一番微妙な評価のシナリオ。悪行ゼロだと鬼太郎がノーコメントだったりするし。

  • 少年
CV:桑島法子
妖怪の世界に招かれてしまった小学生男子。本名不明。
帰るために森を彷徨うことに。
へのへのもへじを書くのが得意と自称している。
行動によってはかなりのいたずらっ子になるが、最後の最後に鬼太郎に恐ろしいことを言われる。

  • 正和くん
CV:住友七絵
妖怪を見たらしい主人公の友人。
最後にちょっと出るだけの端役。

  • 砂かけ婆
CV:山本圭子
今作では竹でできた家に住んでいる。
見ず知らずの主人公にも親身になったり、家の穴をふさぐとお礼に団子をくれるなどいい妖怪。

  • 子泣き爺
CV:塩屋浩三
今作では木のうろの中に家を作って住んでいる。
目玉おやじと将棋をしている。

  • 一反木綿
CV:龍田直樹
森にいる空飛ぶ木綿。
話しかけると鬼太郎を見かけたところまで案内してくれる親切な妖怪と思いきや高速で移動し主人公を置いていく畜生妖怪

  • ぬりかべ
CV:龍田直樹
道の真ん中をふさいでいる白壁。
落書きできる。

CV:千葉繁
ヒルだらけの沼でシジミや小魚を探している。
タケノコを渡すと鬼太郎の場所を教えてくれるなど、今作ではあまり悪辣な印象はない。
ちなみに沼にいる都合上足がない3Dモデルである。

CV:西村ちなみ
カラスのアパート前におり、調子の悪いカラスのカー助を心配している。
メインヒロインだが今回は空気。

肉人形編

にんぎょう にんぎょう
おにときけ
よいのあけぼの やもしれぬ
ぐんちょうらくの はばからん

鬼太郎に巨大な繭の中から助け出された青年。
鬼太郎は誰かに呼ばれて、この不気味な市松人形があちこちで飾ってある洋館を訪れたという。
探索の果てに、この家にはさんぬき様という謎の存在がいることが明らかになっていき…

今作の代名詞たる最怖シナリオ。
洋館に佇む多数の人形や謎の儀式、さんぬき様の正体などとにかく怖い。
一方でシナリオ難度としてはそんなに高くない。
壁が迫る部屋の謎と釘抜きの使い道がわかりにくいくらい。
中盤で選択肢があるが、シナリオに大きな変化はない。
大事なのはちゃんと地下で鬼太郎に話しかけていること。
分岐がほとんどなかったり時計の謎解きが自動で解けるあたりスタッフが力尽きた感もある。

  • 聖山雅人
主人公。なぜか繭に閉じ込められており、記憶喪失になっている。
緊急事態とはいえ妹の日記を普通に読む畜生兄貴。
エンディングではモデリングの都合上、未登場となってしまった…。

  • 聖山小百合
CV:住友七絵
着物を着た女性。
中盤で姿を見せるも調子が悪そうであり、少し目を離すと彼女のいた場所になぜか市松人形がおいてある。
主人公の姉。鬼太郎を呼んだのは彼女。妹がさんぬき様に捧げられることに我慢できず、主人公と行動を起こしたのが今回の発端。

  • 聖山妙子
CV:桑島法子
洋服の女性。
そろそろ20歳になるそうだが、館の中では姿を見かけない。
主人公の妹。聖山家の掟でさんぬき様に生贄に捧げられようとしているが、本人はほぼ受け入れている。

  • 聖山都
CV:山本圭子
繭に閉じ込められていた老婆。
主人公たちに繭から助け出されるも直後に息を引き取った。
3きょうだいの祖母。妙子の犠牲は受け入れていた様子。
きょうだいの蛮行のとばっちりで殺された感が強い。しかもエンディングで生き返った描写がない……。


追記・修正はあの下駄の音に安心感を覚えてからお願いします。

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最終更新:2025年05月15日 15:47