登録日:2018/04/05 Thu 14:29:10
更新日:2025/01/01 Wed 17:10:04
所要時間:約 7 分で読めます
この世の中にこれは価値だと声を大にして叫ぶに値することがあるかね。すべてまやかしじゃないか。
「
ねずみ男」とは、
水木しげるの
漫画作品に登場するキャラクターである。
水木しげるが一番のお気に入りと公言していたキャラクターであり、彼を主役にした短編もいくつかあるが、ここでは「
ゲゲゲの鬼太郎」シリーズに登場するねずみ男について記述する。
●目次
【プロフィール】
身長:160cm
体重:49 kg
年齢:360歳
本名「ペケペケ」(鬼太郎地獄編のみの設定)
【概要】
布切れを一枚羽織ったねずみ顔の男。
初登場は
貸本漫画「下宿屋」で、四代目ドラキュラの召使という役割だった。
誕生の経緯は諸説あり、
「ねずみしかいない島に何故か生まれた人間」だったり、
「あの世とこの世の狭間に存在する「ねずみ男の世界」から来た」等があるが、どれも各メディアで軽く触れられただけであり一定はしていない。
唯一固定されている設定は人間と妖怪の間に生まれた
半妖怪ということだけである。
自称鬼太郎の大親友であり、
「怪奇大学の不潔学科を卒業、なまけ大学院に入りなまけ学の博士号を取得した」と述べているが、信ぴょう性は低い。
水木しげる作品では半ば『ゲゲゲの鬼太郎』という枠を超えた常連キャラとなっており、ある時は「人の若さを吸い取る仙人」なんてゲゲゲに持ち込んだらまずそうな設定で登場した時もあった。
【特徴】
「不潔」「がめつい」「卑しい」。これに尽きる。
金と女のことしか頭になく、自らの目的を達成するためには手段を選ばない。
自己保身の塊のような男で、敵が
鬼太郎より強そうに見えたり金に目が眩んだりすると
親友である鬼太郎をあっさり裏切り殺害する事すら厭わない。
そのくせ鬼太郎が有利になると
これまたあっさり鬼太郎側に寝返るので始末に負えない。
目玉おやじ「おいねずみ男、お前は敵か味方なのかどっちだ」
このやり取りがねずみ男がどういう立ち位置なのかを非常にわかりやすく表している。
そして「楽して儲ける」の信条の元、様々なインチキ商売にも手を出している。
中には倫理的に問題ありまくりなヤバい事業も行っているが、大抵は欲の皮を張りすぎたり鬼太郎たちの介入で失敗することが大半である。
こんな救いようのない性格から目玉おやじを始めあらゆる妖怪から毛嫌いされているが、
「腐れ縁」とも評される鬼太郎とは金や女が絡まなければ、なんやかんやで仲良くやっていることも多い。
……というか殺されかけてもなお彼を友達と言い張る鬼太郎の懐の深さが異常なのだが。
一方、当たり前だが鬼太郎以外の面々からは嫌われており、接触禁止令や追放令、
火あぶりの刑を言い渡されたこともある。
生物的にも人格的にも天敵である
猫娘や、息子をひどい目に遭わせられる
目玉おやじをはじめ、ほとんどの妖怪から大なり小なり嫌われている。
(程度の差はあり、砂かけばばあは顔を見るなり殴りつけるなど特に嫌っているが、子なきじじいは弁護することが多い)
ある時には事件の元凶とみなされ、すべての妖怪から
石を投げつけられて追い払われたことさえあった。
一方で項目冒頭のセリフを見ていただければ分かるように、300年以上生きてきた年季があるからか、時には鬼太郎や目玉おやじ以上に世の中の本質を見抜いた風刺的な発言をすることも多い。
頭の回転も非常に早く、口八丁手八丁で敵の妖怪を丸め込んだり、思い付きの商売でちゃっかり儲けたりなど地頭は鬼太郎ファミリーの中でもかなり高い方である。
そしてシリーズを通して子供には甘い他、自分のことを慕ってくれたり本気で惚れた相手には、それが人間であれ妖怪であれ真剣に向き合い守りぬこうとする責任感の強さも原作、アニメ共に併せ持っている。
普段の彼からは想像が出来ないが、これは鬼太郎に出会うまで半妖怪ということで人間からも妖怪からも蔑まれて天涯孤独に過ごしてきたという非常に重い経験からくるもので、この時は普段の意地汚さは鳴りを潜め真面目に働こうとする。
この時のねずみ男の姿はそのカッコよさからファンから「ねずみ漢」とも呼ばれている。
決して善人ではないものの、完全な悪人でもない
トリックスター、それがねずみ男なのだ。
そのダーティかつ人間臭いキャラから意外とファンが多い。
作者的にも悪さをしたりドジを踏んでお話を動かしてくれるねずみ男は非常にありがたかったようで、彼が出ない回はほとんどない。
【能力】
鬼太郎ファミリーの中ではこれといった特殊な妖力は持ち合わせておらず、単純な戦闘能力は最底辺クラス。
しかし、ねずみ男最大の特徴は武器になるほどの不潔さ
生まれてこの方風呂にもほとんど入らず、歯もほとんど磨かず、主食は主に生ゴミといった具合で、口臭、体臭共に凄まじい威力を持つ。
ピンチの時はこれらの不潔さを存分に発揮し、時には遥か格上の妖怪ですらダウンさせるのだから恐ろしい。
……こんな奴と常に一緒にいる鬼太郎たちの嗅覚はどうなっているのだろうか。
●体臭
ただ歩くだけで通りすがりの人間をダウンさせるほどの臭いを発している。
だが、これはアニメシリーズ初期によくみられる能力であり、物語が進むにつれてこう言った描写が描かれることは少ない。
あまりの臭さに嗅覚が破壊されてしまったのだろうか
●口臭
口の中にある口臭袋なる機関から出る臭いを息に混ぜて吐き出す。
その威力たるや10メートル先にいるハエを打ち落とすほど。
●オナラ
ねずみ男
最強の武器。
その臭いは人間がまともに嗅ぐと
発狂したりショックで心臓麻痺を起こして即死する威力で、アニメ5期ではバックベアードに並ぶほどの伝説の妖怪初代ドラキュラ伯爵をも怯ませた。
オナラというよりもはや化学兵器である。
貯めこんだ屁を一斉放射することでロケット噴射として空を飛ぶことも出来るほか、
アニメでは屁で気球を作る「屁バリング」、屁の勢いを利用して重いものを持ち上げる「オナラパワー」、火炎放射といった応用技もある。
ねずみ男の屁を詰め込んだ缶詰を使って鬼太郎達を一網打尽にしようとする作戦も行われたほどで、
爆風が上方向にいきすぎて失敗には終わったが「まともに喰らえば命を落とすところだった」と妖怪たちでも死を覚悟するほどの威力である。
●その他
透明になったり妖力を放出したりと、一般の妖怪が使える技は最低限備えている模様。
また『墓場鬼太郎』の「アホな男」では彼のヒゲから創った毛生え薬(原作では彼の血)を服用した病床のやくざの親分が若返り&精力旺盛と一気に元気になった(但しラストで服用した分を取りかえされたらすぐ他界した)。
鬼太郎のご先祖様のちゃんちゃんこを着た時は妖力が上がったのか髪の毛針ならぬヒゲ針を披露していた。
『
鬼太郎国盗り物語』では
読心術持ちの相手に鬼太郎が苦戦しているところに目玉の親父に連れられてやってきて「いつもの生活を思い出せ」と言われ、
ゴミに湧いたウジ虫
がうまいとか
牛のウンコシチュー
が最高とか
自分のうんこだけは食べられない
とか考えた結果、一ページ程でこの強敵の
SAN値を消し飛ばしてしまった。
なお『その後のゲゲゲの鬼太郎』で
自分のうんこを食うことで数ヶ月ほどカロリーを自給自足して生き延びた
。
【アニメ版】
鬼太郎をはじめとした他の主要キャラがビジュアルや性格がメディアごとに一変することが多い中、ねずみ男は「墓場鬼太郎」を除いて服の色以外の外見や性格の変化はほとんど見られない。
演じる声優さんの演技によって雰囲気は多少変わるものの、シリーズを通して不変な存在を貫き通しているのは流石というべきか。
「こいつどうかしてんなア、あのなダイヤモンドの一と欠片もありゃあネ、第一、働かなくったってすまアな」
「バカ言え!みんなの幸せなんかどうだっていいんだ!俺は鬼太郎が生きててくれた方がいいんだ!!」
CV:
大塚周夫
服の色は1期はモノクロだったため不明だが、2期では灰色。
歴代のねずみ男の中でも
卑劣な性格。
1期初期の方は原作と同じくしょうもない金儲けに手を出す、敵の妖怪の手下として登場する、といったまだ生易しい悪事ばかり働いており、
鬼太郎にも散々な言われ方をしていたがそれでもまだまともな方だった。
しかし中盤以降はどんどん非道な行いをすることが多くなり、原作と同じく「ねずみ男とねこ娘」回ではついに処刑命令が出るほど。
2期に至っては完全に鬼太郎の仲間であり敵でもあるという浮ついたポジションが完全に確立。
助けるふりをして鬼太郎を奈落の底に突き落とす、自殺に追い込もうとする、自分の利益のためだけに第三次世界大戦を引き起こそうとする等もはやその姿は極悪人であり、
シリーズ通しても鬼太郎に絶交を言い渡された回数は最多である。
その一方で鬼太郎ファミリーが確立していないこともあり、原作に近い形で鬼太郎親子と共に行動する回数が一番多いのも1期・2期シリーズの特徴である。
1期の大海獣の回では目玉おやじの面倒を見ていたし、2期で鬼太郎が牛鬼と共に火山に飛び込んだ際は目玉おやじの慰めに上記二つ目のセリフで即座に言い返すなど、確かな友情を育んでいる。
ただ基本的に鬼太郎のことは金儲けの道具として考えているようにしか見えず、悪辣さが増した1期中盤以降はそれが顕著。
例えば2期の1話で行方知れずの鬼太郎を探そうとしたのも、彼が妖怪事件に対応しなくなったことでねずみ男の実入りが少なくなったからだし、
かまぼこの回では「親友を金で買うなんて残酷なことはとてもできない」と嘯いて、
目玉おやじが鬼太郎かまぼこを買い占めるために借金してまで作った大金なのにもかかわらず文字通り懐に入れている。(ちなみに鬼太郎のかまぼこは全部盗んだ)
結局最終的に鬼太郎側に付くのは、自分の命に危険が及んでしまうからである。
2期からは猫娘が本格的にレギュラー化して水と油の仲、というより……天敵が誕生したのだが、むしろ悪事は上記のようにエスカレートしている。
しかしこの頃の猫娘はより年相応として描かれていたこともあって、ねずみ男が普通に助けられたこともあれば、逆にねずみ男がいいように利用していたこともある。
一方で自分の誘ったアルバイト先で起こった事件により猫娘が警察に事情聴取された際は、「自分のせい」と彼女を心配したこともあるので歴代一仲がいいとも言えるだろう。
大塚周夫はこの役をオーデションで受けており、中にはあの小林清志もおり、自分の番がくるまでは彼が一番いい芝居をしていたという。
そこで大塚はあえておどけた方面を強調して演じて対抗し、この役を得たのだと語っていた。
また、1期・2期版の特徴として、たまにオネェ口調になるというものがある。
このオネェ口調は別にねずみ男をオカマにしたいわけではなく、おべっかを使う時などに荒い口調だと通りが悪いため、
「そういう風に喋ると逆に通りがいい」という発見があったためとのこと。
例えば誰かに擦り寄るときに「アンタ」というより「アナタ」という方が見ている側も納得しやすいということである。
大塚に伝授したのは目玉親父役の田の中勇らしく、「ちかさん、そこ違うよ、もう少し高く」と意見を貰っていたらしい。((大塚は田の中のオカマの芝居があまりに堂に入っていて上手かったため、そっちのケがあるのではないかと思っていたらしい。)
また、アドリブもかなり多く、原作者の水木しげるに許可を求めたところ「面白いからやってみな」と許しをもらったため好きにやっていたそうである。
また演じている大塚の口八丁の上手さもあって詭弁を捲し立てた時はかなりうるさい。しかし妙に聞き入ってしまう点は流石といったところか。
二言目には怪奇愛好家とか妖怪研究家と名乗る。
第1期時代は悪役としてメタメタにやられていたが、第2期からはより悪辣になった……にもかかわらず鬼太郎から優しくされることが増えた。
こういうところが5期とは真逆なのが面白いところかもしれない。
また、2期は鬼太郎を主役に据えづらい鬼太郎外の短編をモチーフにした回が多いこともあり、実質主役のような大立ち回りをしている回もある。
というか2期はねずみ男が真の主役と言えるかもしれない。
因みに声を演じた大塚は「人間と妖怪のどちらからも仲間に入れてもらえず、それ故にひねくれ、さらに嫌われていき、さらにひねくれていく悪循環」という考察をしており、それを演技に反映していたらしい。
足掛け2年以上演じ続け、稽古も数多くこなし、たくさん考察した役柄だけに「これ(ねずみ男)出来る人他にいないんじゃないかな?」と断言するほど自信を持っていた。
しかし声優としての大塚周夫の有名作はどちらかというと威厳のある役が多く、それとは間逆なハイトーンかつ軽妙な演技をしていたため、あまりアニメオタクには初代ねずみ男=大塚周夫という事実はあまり知られていなかった。
しかし演じている当人にとってはそれだけ豪語するだけあって非常に思い入れの深い役だったそうで、
3期で交代の憂き目にあったときは長らく納得できず、野沢雅子と会う度に愚痴をこぼしていたそうである。
その、分墓場鬼太郎で再び演じて欲しいとプロデューサーが電話で連絡すると、その時は大層喜んでいたという。
「へっへっへっへっへ……俺は力のあるやつに仕えるのが生きがいなんだ」
CV:富山敬
上記のセリフ通り基本的な立ち位置は変化ないが、鬼太郎の折檻が非常に激しくなったせいか卑劣な面は少し鳴りを潜めた。
本作では2期よりも濃い配色となったねずみ色のローブを着ており、この外見が印象的だったことから6期のローブのモチーフともなった。
3期
ヒロインであるユメコに惚れており、彼女のためを思って行った行動が裏目に出たり、
鬼太郎と醜い争いを繰り広げる等、シリーズでもトラブルメーカーの面が強いが、当のユメコからはそこまで邪険にされておらず、鬼太郎ファミリーとの仲間意識も歴代の中では強い方。
そして3期の彼を語る上で外せないのが劇場版『
激突!!異次元妖怪の大反乱』である。
映画を見ていただければ分かるが、
まさしくねずみ男のための映画と言っても過言では無い
また、3期のOPは初代OPの怪奇色強いものではなく、当時人気だったテクノ系の色が強いものとなった。
なお、ねずみ男をボーカルにしたバンドが歌っているような映像のためか、演じている富山敬の声のように聞こえるが、実際の歌は吉幾三である 。
声を演じた富山敬は当時青二の分裂騒動において分裂先のぷろだくしょんバオバブに付いた人間であり、
青二の声優を主に使う東映アニメーションの作品に、本当ならば起用されるはずのない状態であった。
しかし富山はそういった中で、実力のみで選出されたという非常に稀有な例である。大塚周夫曰く「他に演じられる人はいない」と言われるだけの役だけあって
人選はかなり慎重に行われたのだとうかがえる。
普段はアドリブはあまり入れないらしいのだが、本作に限ってはアドリブを多用したとのこと。
富山敬のファンである古川登志夫は、本作で共演した時にはそのイメージと違う芝居に驚愕したといい、ねずみ男を演じてみたいと思うようになった。
「いいんだよ、その通りだしよ。」
「俺がここで頑張って、その娘から金をもらう!
そのためだったら……なんだって我慢するぜ。俺には大したことじゃねえよ……慣れちまってるしな!」
「でなきゃ……俺ぁ生きていけねえんだよ……他に方法を知らねえんだ!!」
「でもよ……俺はこれでも必死に生きているんだ!!」
CV:
千葉繁
今シリーズでは服装が初めて原作と同じ黄色となった。
アドリブ大王である千葉繁の熱演も相まって、歴代でもかなり親しみやすいキャラである。
そして「先代のねずみ男像を踏まえたうえで自分なりのねずみ男を探っていければ…」と言っていたように、
演技方針としては双方の折衷しつつ独自路線を歩んだ感じになっており、悪辣な部分は初代寄り、お涙頂戴要素や茶目っ気は3期寄りといったところ。
金儲けに弱いのは相変わらずであるものの、同時に人情深い面や、人生を見据えた重厚な一面も掘り下げられており、
あかなめとしろうねりの回や『怪談!妖怪陰摩羅鬼』、むじなの回などはねずみ男屈指の感動回として有名。
上記のセリフは『復活!妖怪天邪鬼』で「金儲けだけが目的」と暴言を吐かれたときに
非常に悔しそうに吐き捨てており、自分の立場や生き方に苦しんでいるような描写も見受けられる。
妖怪コンサルタントの肩書きを使うことが多い。
鬼太郎との関係は最もドライで、3期どころかシリーズ全てを見てみてもかなり関係性が薄い。
とはいえ事件の発端になることが多いため何かと蜂合わせること自体は多かった。
また、絡みが薄い分たまに仲の良いところを見せる点がむしろ貴重で良いシーンになっている。
ねずみ男が鬼太郎にラーメンを奢って見せる回や、マンモスフラワーになった時は鬼太郎が必死に助けようとするなど、
疎遠ではあったが鬼太郎側もそれなりに親友としての情があったことがうかがえる。
ただ2年目以降、特にデジタル製作移行後はそういった人情エピソードが一切ないため、
あまりにもねずみ男を感動要員にしすぎた、という反省も当時はあったのかもしれない。
また、半妖怪であることが強調される回もしばしばあった。本人曰く「ハーフ」。
「時代は変わったんだよ鬼太郎……。俺がそれを証明してやるからな……!!」
「っつーか!軽々しく比べんな!!高級外車&ステーキとお茶漬けなんかを!!」
CV:
高木渉
今作ではレギュラーから準レギュラーに格下げされ、全く登場しない回もあったが、相変わらずの名バイブレイヤーぶりをみせてくれた。
実は鬼太郎シリーズでは原作含めて数少ない、アニメではほぼ初となる「設定上完全に妖怪として扱われているねずみ男」である。
が、初当番回となる2話で砂かけに「半分人間、半分妖怪、悪い所は人間似」と言われているので確定というわけでもない。(あくまでこれは生き方の話とも言えるが)
最大の特徴は鬼太郎との友情が明確に強く描かれていること。たとえ裏切ったとしても最終的には鬼太郎を救うために行動したり、
始めから鬼太郎を救うために敵の懐に潜り込み無償で走り回る等、かなり善人寄りのキャラクターとして描かれている。
そういった事情から鬼太郎のねずみ男に対する態度は歴代一寛容。鬼太郎本人からは「大切な友達」とまで言い切られており、
「裏切るわ、嘘を付くわ、褒められた人格ではないがそれでも『友達』」「地獄に落ちるほどの悪者じゃない」「(誰もが認める良いところがあるから)僕達の仲間でいられる」
という人物評を受け、皆から見捨てるべきと言われても鬼太郎が命懸けで助けにいこうとするほど。
そのため、ろくでなしではあるが人情味が残っており、おかげで妖怪横丁の面々からも疎まれながらもなんやかんやで上手くやっている。
猫娘からはそこまで鬼太郎に大切に思われるねずみ男が「羨ましい」とまで言われているくらい。
何度も裏切っては元の鞘に収まってきたからこそ感じ取れる鬼太郎との友情は本作ならでは。
ねずみ男にしては良い人過ぎる、と言われやすいが、なんだかんだ言っても性根はねずみ男である。
闇雲に良い人になっているわけではなく、鬼太郎がねずみ男と文字通り親友という扱いだからこそ、ねずみ男も歩み寄った設定になったのである。
鬼太郎が居なければ自分も生きていけない、ということを理解しているため、鬼太郎の危機とあらば敵妖怪すらも欺いて最終的に鬼太郎に付くなど、その方法も狡猾である。
ただ善人じみたその変わりようにはねずみ男自身何か思うところがあるのか、かつて容赦なく鬼太郎を裏切っていた頃を思い出して、「あの頃の俺はもっと輝いていた」と懐かしむ場面もある。
ちなみに善人寄りとは言え最後まで裏切ってたり、金の為なら大量殺人(未遂)にも手は貸すし、命の危険があるものは売るし、先の昔を思い返した回などではガチで鬼太郎を殺そうとしたこともある。
また、「どうせ鬼太郎なら最終的に勝つだろう」と見込んで悪事を働いていて、儲けだけかっさらってトンズラを狙うような回もあり、良くも悪くも悪友である。
なので悪いねずみ男好きさんにも普通に満足できるお調子者である。
しかし、そんなんだから鬼太郎も全面的にアフターケアをしているわけでもない。
例え途中で改心してもやったことが本当にろくでもなければ猫娘にお仕置きさせたり、後始末などを自分でやらせたりしている。
また、ねずみ男が地獄行きになりそうになった時、鬼太郎はねずみ男の思いに触れてその身を張って事件を解決したが、
地獄の入口から妖怪横丁までの帰りは一切フォローしないなど、決して闇雲に甘やかしているわけでもない。
とはいえファンに人気なのは腐れ縁的に二人で旅をしたりするエピソードがほとんど。
何かと横丁の妖怪に慕われまくって疲弊している鬼太郎にとっては、気を遣う必要がなく良い息抜きができる相手として、なんだかんだ重宝されている。
二人で旅行して昔を懐かしむ回や、猫娘とのデートよりねずみ男との虫取りを優先した回はいろいろ必見。
ちなみにデザインは第4シリーズにかなり近い。違いは主にヒゲの太さで見分けられる。
演じた高木渉は4期でむじなを演じていたが、この時は「ねずみ男の弟」と偽っていた。その偽りが現実になるのは不思議なものを感じる。
また、大塚周夫にねずみ男に決まったことを報告した際「君の役なんだから思うようにやりなさい」と言われたのに、後日細かいダメ出しを受けて「話が違う!」となったことがあるらしい。
その後番組中に大塚周夫演じる白山坊と共演することになり、この掛け合いが楽しく印象深かったこともあって高木自身が直訴して後に白山坊を演じることとなった。
「どうだいすごいねェー。東西の吸血鬼対決! こりゃ見ものだよ、吸うか吸われるか一大決戦ンンン!!」
CV:大塚周夫
原点であるから、という方針からなんと声優が、一期・二期でねずみ男を務めた大塚周夫に戻る。
(先の通り、オファーした時は当人は大喜びだった)
貸本版をベースにしているせいか容姿は他のアニメとは大幅に異なっており、顔が若干小さい。
衣は黄色寄りで、これは大塚周夫演じるものとしては初。
基本的に原作と同じ役回りであるが、金にがめついこと以上に好奇心旺盛な面が強く、
トランク重井に吸血鬼の種を植え付けたりと要所要所で怪奇事件のきっかけを作ることも多かった。
怪奇研究科を自称しているだけあって歴代でもかなり肝が据わっており、
鬼太郎の幽霊電車では狼男がビビりまくる中1人平然としていた。
鬼太郎との関係は後半のエピソードになるまではほとんど敵同然であり、召使いにしていたこともある。
しかし最終的には腐れ縁となり、悪口を言い合いながら終わるという後の関係を想起させるものとなった。
「豊かな自然ねぇ。ヘッ、自然が何してくれるってんだ。金が生る樹が生えてるのか?花なんて腹の足しにもならねんだよ!」
「お前ら、バカかぁ!?この期に及んでまだ争いやがって!
何が妖怪の意地だ!人間の尊厳だ!一銭もならねぇモンに生命懸けんな!てめぇの生命と引き換えにしていいモンなんて、この世にはねぇんだよ!
てめぇら、『どうせ死ぬなら一人でも道連れに』とか思ってんだろ!くだらねぇ!
戦争なんて腹が減るだけだ!腹が減ったらメシ食って、クソして寝る!それを犠牲にしてまで戦って、どーしようってんだ!
勝ったら何が残るってんだよ!?焼けちまった角のラーメン屋は二度と食えねぇんだ!
てめぇらがくだらねぇ理由で殺し合ってる間に、たった一人で頑張ってる奴がいる!たった一人でだ!
戦争なんてしてる暇があったら、鬼太郎を応援しろぉぉぉっ!!」
CV:
古川登志夫
5期同様準レギュラーとなっており、1期同様第2話からの登場となった。今期から再び服の色が灰色に戻った。性格は1,2期に近い。
初登場回では愚痴りながら花を蹴散らして立ち小便をやらかす(しかもその小便が原因で見上げ入道の封印を解く)などモラルの欠片も無いが、
早速見上げ入道から得た金塊を元手に
アイドル事務所を買い取って5万人収容の単独ライブを即座に企画するなどバイタリティは歴代でも凄まじいものがある。
戦時下を生きていたと思われる描写があり、当時のことを一切茶化さず「嫌な時代だった」と回顧している。故に
妖花に守られていた兵士達の遺骨を蔑ろにしようとした業者には怒りを露わにしたり、玉藻の前の影響で開戦待ったなしになった状況下で総理に攻撃命令をやめさせるよう直談判した。2年目のクライマックス(最終回)では上記2番目の台詞をもって、
互いの誇りのためだけの無益な戦争を続ける人間と妖怪を叱責、心を一つにさせている。
また、人間にも妖怪にも邪険に扱われてきた経験からか、双方に厳しいが的を射た持論で説教する事も。
以上の事柄と今作の鬼太郎が精神的に非常に未熟と言えることから、
レギュラーキャラの中ではかなり大人びて達観しているとも言えなくない。
それでもやはり数々の問題行動を起こすのはシリーズ通してのお約束であり、明確に逮捕されたりしている。しかしそれは悪意ではなく弱さ故の失敗と鬼太郎からは見なされており、自業自得で痛い目に遭うことはあれど鬼太郎からの制裁は歴代でも少ない方。
5期に隠れがちだが、鬼太郎との友情も深く描かれており、輪入道回のように一時険悪になってもなんやかんやで元に戻っている他、名無しの謀略によって戦意を喪失していた彼を立ち直らせたりしている。
なお、声優を務める古川は前作でねずみ男のオーディションを受けて落選し、仲間の妖怪である蒼坊主役として起用された過去があり、この度無事に役を射止めることが出来てとても喜んでいた。
【その他作品での担当声優・俳優】
- 月曜ドラマランド版『ゲゲゲの鬼太郎』 演:竹中直人
- 『妖怪奇伝ゲゲゲの鬼太郎 魔笛エロイムエッサイム』』 演:うえだ峻
- 『ゲゲゲの鬼太郎〜異聞妖怪奇譚〜』 CV:野沢那智
- 映画『ゲゲゲの鬼太郎』『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』 演:大泉洋
- 『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』 CV:大塚明夫
- 2022年舞台版『ゲゲゲの鬼太郎』:藤井隆
- レノアCM:大悟(千鳥)
【モデル】
キャラクターのモデルは、水木先生の貸本漫画時代の友人「梅田栄太郎」氏とされる。
但しその後一般人となったせいか、『コミック昭和史』では「猫山」・『東西奇ッ怪紳士録』では「上田」と仮名で登場している。
また水木夫婦を基にした朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』では、オリジナルキャラクターとして「浦木克夫」(先生の幼馴染)が登場。彼がねずみ男のモデルとされた。
【余談】
『
古畑任三郎』で知られる脚本家の三谷幸喜は自身のエッセイ『オンリー・ミー』にて、ねずみ男を「小悪党という言葉がぴったりな分、彼の放つ悪の匂いには存在感・リアリティがある」「(アニメを観た)子供たちが出会う最初のピカレスク・ヒーローだった」と評している。
また当該章『ねずみ男と私』は、
三谷が新宿の喫茶店でねずみ男本人に独占インタビューを行う、という極めてユニークな趣向で書かれている。
追記、修正は生まれて一度も風呂に入ったことがない人がお願いします。
- ↑やっぱり、お父さんに似てるんですかね? -- 名無しさん (2019-02-15 22:01:18)
- ↑3 そして半妖ゆえに名無しのことを理解していた。喝入れるのもだけど、こいつこれだから嫌いになれないんだよ。 -- 名無しさん (2019-04-01 10:39:53)
- 情報流したりバイトテロやって相手を炎上させたり、マスコミにリークしたり、6期でSNS一番使いこなしているの実はコイツなのでは -- 名無しさん (2019-07-14 21:32:39)
- バクテリアンにしか編集できない項目。ねずみ男本人すらお風呂に入ってるシーンはあるのに -- 名無しさん (2019-11-10 13:09:08)
- 昔ながらの雑な商売や詐欺で稼ぐ回もあるけどバイトテロだの自前の仮想通貨だの漫画の違法アップロードサイトだのやり口が現代風に芸達者。それでいてたまには生活費のために真面目にバイトしてるという -- 名無しさん (2019-11-18 11:16:16)
- 焼豚1枚の義理でグッさせてからのアレである -- 名無しさん (2020-03-16 08:59:36)
- 普段のSNS使った暗躍から土壇場での大立ち回りといい、6期ねずみはホント八面六臂の大活躍だったな -- 名無しさん (2020-03-29 09:36:27)
- 見事に最終回で1番おいしいところを持っていった。原作者の故・水木さんの心情を述べたシーンは彼が代弁したからより意味がある -- 名無しさん (2020-03-29 13:55:43)
- 10年後の温泉旅行の写真にちゃんと載っててほっこりする -- 名無しさん (2020-04-02 11:58:05)
- 6期の、ちょっとかっこよすぎない?声がハマリすぎてて、目を閉じて聴いてたらリアルな正論で綺麗ごとを切って捨てるニヒルなアウトサイダーとしか思えない -- 名無しさん (2020-04-02 16:18:52)
- 6期最終回は漢でした。あぁいうところがあるから鬼太郎も嫌いになれないんだろうか。 -- 名無しさん (2020-04-08 14:46:46)
- 縄文人VSSNS中毒の回は中々後味が悪かったけど特に悪事も働いてないのに一人でちゃっかり成功してるこいつの姿になんかほっこりしてしまった -- 名無しさん (2020-06-24 16:26:17)
- 本当はお金じゃなくて家族が欲しいんだよね・・・ -- 名無しさん (2020-06-28 16:00:42)
- 吸血鬼エリート回の最後で「あいつは吸血鬼ジョニーだ」のシーンも好き -- 名無しさん (2020-09-13 05:54:25)
- 6期では雷とか輪入道とか、人間や妖怪を利用するはずが、人間の凶悪さと妖怪の凶暴さに振り回されて失敗する話に、人間と妖怪、どちらにもなれない半妖怪の悲哀を感じた -- 名無しさん (2020-09-14 15:27:00)
- ログ化を提案します -- 名無しさん (2020-10-25 07:38:39)
- 3期ではずっとヒロインの夢子ちゃんにベタ惚れしてたけど、6期ではヒロインのまなには序盤で失恋した後はあまり絡まなかったな(ちなみに失恋した次の回でまなを狸に売り飛ばしてる) まあ、妖怪裁判でまなの涙の訴えで考えを変えたり、最終回の一話前もぬらりひょんに半ば洗脳された状態でもまなを撃てなかったし、何だかんだで悪くない関係ではあると思うが -- (名無しさん) 2020-11-08 06:40:57
- 3期ではアニメ後期になると終盤で怒った人間達に追いかけ回される場面が多くなるというこち亀の両津勘吉のような展開が増えたらしい。キャラ的には殆ど被ってるから意識したのだろうか。4期では代わりに借金取りに追いかけ回される場面があるけど -- (名無しさん) 2021-10-08 20:54:16
- 鬼太ちゃんの「こういうやつがいないと世の中面白くない」って評価がとても好き。世の中清廉なだけじゃいけませんよ。 -- (名無しさん) 2021-12-03 16:20:53
- 「両方のどちらからも仲間に入れてもらえず、それ故にひねくれ、さらに嫌われていき、さらにひねくれていく悪循環」←正鵠を得た考察、さすがプロ -- (名無しさん) 2021-12-03 20:06:03
- 3期の劇場版第1作ではチ○ポ側に裏切ってしまったが故に、海上に置いてけぼりにされた挙句サメに追われるという(自業自得とはいえ)散々な扱い。この事に不満があった人もいたんか分からんが、後の劇場版ではあんまり散々な扱いをされてなかったような気がする。特にカロリーヌが出てくるのは泣いた人も多いかもしれない -- (名無しさん) 2022-01-29 20:11:32
- 嫌われてると言っても、半妖だからっていうどうしようもないことで蔑まれてた頃に比べたら、悪事を働くねずみ男だからって嫌われる方がよっぽどマシなのかも知れないな。 -- (名無しさん) 2023-02-01 13:12:40
- 3期から6期まで見たところ、後の年代ほどクズさがマイルドになってる気がする(エンタメ強化の5期が1番悪さが抜けてるので、完全に順番ではないが) 現代の倫理がだんだん厳しくなってる一般感性に合わせた変化なのかな? 記事によると1期はもっと酷かったみたいだし -- (名無しさん) 2023-02-19 21:37:02
- ある意味裏表なく飾らずに生きているって所は凄いなと思う。見習いたいかと言われるとノーだけど -- (名無しさん) 2023-04-05 13:12:19
- ↑↑鬼太郎ファミリーの中だと猫娘の次くらいに現代に順応しているイメージがあるな。そりゃあコンプライアンスも守るでしょw -- (名無しさん) 2023-12-13 12:36:30
- 千葉ねずみ:人生経験豊かなひょうきん親父 高木ねずみ:ゴロツキ以上悪党未満の甘ちゃん(褒) 古川ねずみ:のらりくらりと生きている人情を持った皮肉屋 4〜6期のねずみ男のイメージは自分中でこんな感じだな。 -- (名無しさん) 2023-12-13 13:08:57
- 6期のねずみ男は方向音痴なのか? -- (名無しさん) 2024-05-13 22:13:47
- 原作に於ける「死神」の回の終盤で、とんでもない悪事を起こした報いでみんなから石を投げつけられた挙句砂かけ婆に「お前だけは絶対に場に入れてやらんからな!(うろ覚え)」とか言われたが、その2話後にヤバいものを発見してそれを報告しようとしたらいきなり砂かけ婆に「来るなちゅうたら来るな!」と何もしてないのに制裁されるという展開があったな。まあ流石に砂かけも根に持ってた事が分かる -- (名無しさん) 2024-06-06 16:46:43
- ゲ謎だと日本を陰で操る巨大組織の本拠地に潜入してて草。民間の会社員とはいえプロの工作員が何人も行方不明になってる恐ろしい無村なんですけど… -- (名無しさん) 2024-06-06 17:19:09
- 自分に優しくしてくれたり慕ってくれる相手のことは無碍にできないんだよね。なんでかっつーとそれに飢えてるから。 -- (名無しさん) 2024-09-17 20:31:18
最終更新:2025年01月01日 17:10