登録日:2018/04/05 Thu 14:29:10
更新日:2026/10/25 Sun 11:02:44NEW!
所要時間:約 7 分で読めちまうんでさ
錬金術は金を得るためではなく
金を得ようとすることによって金では得られない幸福を得るためにあるんだ
人生はそれでいいんだ……
この世の中にこれは価値だと声を大にして叫ぶに値することがあるかね
すべてがまやかしじゃないか
「
ねずみ男」とは、
水木しげるの
漫画作品に登場するキャラクターであり、水木しげるを象徴する存在の一人である。
水木が一番のお気に入りと公言していたキャラクターであり、『
ゲゲゲの鬼太郎』シリーズ以外の作品にも何度も登場するが、本項目では特に断りのない限り『鬼太郎』におけるねずみ男について記述する。
プロフィール
- 身長:160cm
- 体重:49kg
- 年齢:300年以上生きていることは確実
- 本名:「ペケペケ」(『鬼太郎地獄編』のみの設定)
- その他の別名・肩書:「ビビビのねずみ男」「妖怪研究家」「怪奇愛好家」「幸福観察学会会長」他多数
※数値については、作品・資料によって扱いが異なる。
演者
声優
俳優
- 竹中直人(月曜ドラマランド版)
- うえだ峻(『妖怪奇伝 魔笛エロイムエッサイム』)
- 大泉洋(実写映画シリーズ)
- あご勇(舞台『奇想天外痛快爆笑劇 ゲゲゲの鬼太郎』)
- 藤井隆(2022年版舞台)
- 中田翔真(舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』)
- 山本大悟(2023年度レノアCM)
概要
黄ばんだ布切れを一枚まとった、ネズミのような顔つきの男。
鬼太郎史における初登場は初期の貸本漫画『墓場鬼太郎』シリーズからで、「下宿屋」では四代目ドラキュラの召使いという役割を担っていた。
『墓場の鬼太郎』以降、
鬼太郎の友人とも敵ともつかない立場に収まり、シリーズを通して騒動を引き起こす常連キャラとなる。
その出自については「ネズミしかいない島に生まれた人間」という話や「あの世とこの世の狭間にある『ねずみ男の世界』から来た」という話など、作品ごとに異なる説明が存在する。水木漫画の常で、こうした設定は統一されておらず、むしろコロコロ変わるので、あまり深く考えない方がいい。
一つだけ明確になっている設定は「人間と妖怪の間に生まれた半妖怪」ということである。
本人は「怪奇大学の不潔学科を卒業し、なまけ大学院でなまけ学の博士号を取得した」などともっともらしい経歴を語るが、都合のよい肩書きを並べ立てるのは彼の常套手段であり、どこまで信用できるかは怪しい。
ねずみ男は、単なる『ゲゲゲの鬼太郎』の脇役にとどまらない。作品によっては別の役柄や特殊な設定を与えられ、時には人間を翻弄する仙人のような存在として登場することもある。
この融通無碍さも、ねずみ男というキャラクターの特徴だろう。鬼太郎の世界観を支える重要人物でありながら、その枠組みに収まりきらない自由さを持っているのだ。
特徴
- 不潔。
- がめつい。
- 卑しい。
- そして、驚くほど人間臭い。
ねずみ男を形容するなら、まずこの四つが挙がる。
金と女に目がなく、楽して儲けることを何よりも好む。
自分の利益を守るためなら嘘も裏切りも辞さず、敵が鬼太郎より強そうだと判断すればあっさり敵に寝返り、そのくせ鬼太郎が優勢になると今度は何食わぬ顔で鬼太郎側に戻ってくる。
目玉おやじ「おい、ねずみ男。お前は敵か味方なのかどっちだ?」
それでいて、単に節操のない裏切り者として描かれているだけではない。
その行動のすべてが計算通りに進むわけではなく、欲をかきすぎて失敗したり、思わぬ情にほだされたり、相手を侮った結果として痛い目を見たりする。
彼の小悪党ぶりは、妖怪界の支配を企む
ぬらりひょんや
バックベアードのような邪悪さ・壮大さとは無縁である。
目先の小銭、楽な暮らし、うまい飯、女性からの好意といった、あまりにも身近な欲望に振り回され、結局はうまくいかない。その卑小さこそが、ねずみ男の
魅力である。
インチキ商売の常習犯
ねずみ男の信条は、何よりも「楽して儲ける」こと。
怪しげな商品を売りつける、妖怪の力を利用して商売を始める、他人の不安や欲望につけ込むなど、さまざまなインチキ商売に手を出す。
中には倫理的に問題ありまくりなヤバい事業もあり、金儲けのために他人の生命や生活を危険にさらすことすらある。
とはいえ、彼は商売の天才というわけでもない。むしろ、商売を始める段階では口八丁手八丁で人を引きつけるものの、利益を確保する段階で欲望を抑えられなくなり、自滅したり鬼太郎の介入を許す。
この性質は、単なるギャグとしてだけではなく、現実社会における詐欺師や悪徳商法の風刺としても機能する。人間の不安や欲望が存在する限り、ねずみ男の商売は何度でも成立してしまうからだ。
嫌われ者だが、完全には切り捨てられない
当然ながら、ねずみ男は多くの妖怪から嫌われている。
特に
猫娘は生物的にも人格的にも相性が悪く、目玉おやじや砂かけばばあにも快く思われていない。
接触禁止令や追放令を受けたり、火あぶりの刑を言い渡されたり、ひどい時には
自分も被害者なのに事件の元凶とみなされて妖怪たちから石を投げつけられたことさえあった。
それでも完全に見捨てられているわけではなく、何より鬼太郎が彼を完全に見捨てない。
裏切られ、騙され、危険な目に遭わされても、鬼太郎はねずみ男との関係を断ち切らないのだ。
もちろん、回によっては「お前とはもう絶交だ」なんて言い渡すこともあるが、次の回ではすぐ元通りの関係に収まっている。
では、ねずみ男は果たして「鬼太郎は何をされても許してくれるから、いくら裏切ってもよい」と思っているのか?それは本人に聞かないとわからないだろう。
情に厚い一面と「ねずみ漢」
ねずみ男は、普段の振る舞いからは想像しにくいほど、特定の相手に対して情を見せることがある。
特に子供や自分を慕ってくれる相手、そして本気で惚れた相手に対しては、損得勘定を忘れて行動することがある。
相手が人間であろうと妖怪であろうと、普段の不潔さや卑しさをかなぐり捨て、必死に守ろうとする姿が描かれることもある。
もちろん、すべての作品・すべての話で一貫してそうした行動を取るわけではない。情にほだされても最後には自分の利益を優先する場合もあれば、そもそも誰かを助ける気がない場合もある。
それでも、普段は他人を利用してばかりの男が、ある相手のために本気になるという落差には、確かな説得力がある。
ねずみ男は、人間と妖怪の間に生まれた半妖怪であり、どちらの社会にも完全には受け入れられない存在である。
大塚周夫はねずみ男について「人間と妖怪のどちらからも仲間に入れてもらえず、それ故にひねくれ、さらに嫌われていき、さらにひねくれていく」という分析をしていたが、これはまさにねずみ男の性格を読み解く上で重要である。
そんな奴だからこそ、誰かのために本気で行動した時、その姿は普段の小悪党ぶりと鮮やかな対照をなす。ファンの間で、こうした男気を見せるねずみ男を「ねずみ漢」と呼ぶことがあるのも、その落差が印象に残るからだろう。
水木にとっても、悪さをしたり、調子に乗ったり、最後に失敗したりして物語を動かしてくれる彼は使い勝手のよいキャラクターだったと思われ、「ねずみ男が一番好き(他はどうでもいい)」と語っていたのももっともであろう。
ちなみに、
両津勘吉のようなギャンブル好きのキャラクターと比べると、ねずみ男がギャンブルに興じる描写は必ずしも多くない。ごくまれにパチンコ、競馬、賭け麻雀などをした例があるが、彼の欲望の中心は、ギャンブルそのものよりも、苦労せずに金を手に入れることにある。
能力
ねずみ男の最大の武器は人並み外れた不潔さと状況を利用する悪知恵である。
風呂にほとんど入らず、歯もろくに磨かず、食べ物の選り好みもしない。その結果として生じる体臭や口臭、そして強烈なオナラは、作品によっては相手を戦闘不能にするほどの威力を発揮する。
ただ歩いているだけで通りすがりの人間が倒れてしまうような描写もあり、特にアニメ各期の放送初期では、彼の特徴として強調する場面が目立つ。
ただし、回が進むにつれて、体臭そのものをあからさまに強調する描写は少なくなっていくのが通例。あまりの臭さに嗅覚が破壊されてしまうのだろうか。
図鑑系の書籍に載っている図解では、
ねずみ男の口の中には「口臭袋」という器官が存在し、そこから発する臭いを息に混ぜて吐き出す。その威力は遠くにいるハエを打ち落とすほど。
と説明されることがある。
軽く息を吹きかけるだけで人間や妖怪を卒倒させることも多い。
ねずみ男の最大の武器。
作品によっては、まともに嗅いだ人間が発狂したり、ショックで命を落としかねなかったりするほどの威力を持つ。5期では伝説的な妖怪であるドラキュラ伯爵を怯ませる場面もあった。
もはや単なる悪臭というより、化学兵器のような扱いである。
さらに、オナラを一気に放出してロケット噴射のように空を飛ぶ、屁を利用して気球を作る「屁バリング」、勢いを利用して重いものを持ち上げる「オナラパワー」、火をつけて火炎放射器のように使うなど、応用技も存在する。
骨女が発案した「ねずみ男の屁を缶詰に詰めて爆弾として利用する」作戦も、その危険性を象徴するエピソードである。
この作戦に対し、ねずみ男は「それだけは妖怪と人類のために使用しないことにしていたんです」と反対する。
骨女「原爆みたいなこと言うじゃないの」
最終的には骨女に脅迫されて協力するものの、本人は終始乗り気ではなく、缶詰をゲゲゲハウスに持ち込む際にも脂汗を流し、開封前には逃げ出した。
ガス爆発並みの轟音と悪臭を発生させる「最後っ屁」も強力。
今のところそのようなシーンはないが、もし「すかしっぺ」でもしようものなら……考えるだけで恐ろしい。
ビビビビビビーン!と繰り出す往復ビンタ。上から下(またはその逆)に向かって「✋」を連続して描いていき、最後に「ビーン」と止めるのが作法。
口八丁手八丁で相手を丸め込み、状況を利用し、時には強大な妖怪を相手にしても自分の生存に有利な展開を作り出す。金儲けのための発想力や、危機に際しての機転にも優れる。
また、300年以上生きてきたとされる年季もあってか、時には鬼太郎や目玉おやじ以上に世の中の本質を突くような発言をする。
作品によっては、気配遮断や妖力の放出など、妖怪としての基本的な能力を使用することもある。
『墓場鬼太郎』の「アホな男」では、ねずみ男の血液を輸血された(アニメ版では彼のヒゲから作られた毛生え薬を使った)病床のヤクザの親分が若返り、精力旺盛になる。ただし、ラストでは効果が失われ、親分は再び命を落とす。
鬼太郎の霊毛ちゃんちゃんこを着用した際には、妖力が増したのか、髪の毛針ならぬ「ヒゲ針」を披露したこともある。
『
鬼太郎国盗り物語』では、
読心術を持つ敵に鬼太郎が苦戦する中、ねずみ男は普段の食生活(
ゴミに湧いたウジ虫や
牛のウンコシチューなど)を思い出すことで、一ページ程度でこの強敵の
SAN値を消し飛ばしてしまった。
この時は「自分のウンコだけは食べられない」と言っていたが、『その後のゲゲゲの鬼太郎』では実際に自分の排泄物を食べることで数か月にわたりカロリーを自給自足して生き延びたというさらに強烈なエピソードもある。
アニメ版
鬼太郎や猫娘など、シリーズごとに外見や性格が大きく変わることのある他のキャラクターと比べると、ねずみ男は比較的一貫した人物像を保っている。
服の色や声、ギャグの方向性、鬼太郎との距離感には違いがあるものの、「金に弱く、口が達者で、保身に走り、時には妙な情の深さを見せる」という基本線は変わらない。
各期を通して不変な存在を貫き通しているのは流石と言うべきか。
「鬼太郎、これが最後だぞ。味方になると言えよ!頼む、言ってくれよ!!」
「バカ言え!みんなの幸せなんかどうだっていいんだ!俺は鬼太郎が生きててくれた方がいいんだ!!」
第1作はモノクロ作品のため服の色は判別できないが、第2作では灰色系の衣装となっている。
この時期のねずみ男は、アニメ各期を見渡しても特に卑劣な面が強い。
第1作の初期には、原作と同様にインチキ商売をしたり、敵妖怪の手下になったりする程度の悪事が中心だったが、物語が進むにつれて非道な行動も目立つようになり、「猫娘とねずみ男」では閻魔大王から処刑命令が出るほどの立場に追い込まれる。
第2作では鬼太郎の仲間でありながら敵でもあるという立場を確立。第2作は原作ストックの不足から鬼太郎が登場しない短編作品に材を取ることが増えたため、もう一人の主役として八面六臂の活躍を見せるようになった。
助けるふりをして鬼太郎を危機に陥れたり、自分の利益のために世界大戦を引き起こそうとしたりと、歴代の中でも特に悪辣な行動が目立つ。
その一方で鬼太郎ファミリーが確立していないこともあり、原作に近い形で鬼太郎親子と共に行動する回数が一番多いのもこのシリーズの特徴である。
第1作の「
吸血鬼エリート」ではエリートの味方になるよう上記1つ目のセリフで半ば懇願するように説得し、第2期で鬼太郎が牛鬼と共に火山に飛び込んだ際は目玉おやじの慰めに
上記二つ目のセリフで即座に言い返すなど、確かな友情を育んでいる。
第2作からは猫娘が本格的にレギュラー化するが、ねずみ男が猫娘に助けられたり、逆に猫娘を利用したりすることもあり、自分が誘ったアルバイト先で事件が起こり、猫娘が警察から事情聴取を受けた際には、彼女を心配する描写も見られる。おそらく歴代アニメでは一番仲がいいコンビではなかろうか。
大塚周夫はこの役をオーディションで受けており、中には小林清志もおり、自分の番がくるまでは彼が一番良い芝居をしていたという。
そこで周夫はあえておどけた方面を強調して演じて対抗し、この役を得たのだと語っていた。
また、第1・2作版の特徴として、たまにオネェ口調になるというものがある。
このオネェ口調は別にねずみ男をオカマにしたいわけではなく、おべっかを使う時などに荒い口調だと通りが悪いため、「そういう風に喋ると逆に通りが良い」という発見があったためとのこと。
例えば誰かに擦り寄るときに「アンタ」というより「アナタ」という方が見ている側も納得しやすいということである。
周夫に伝授したのは目玉おやじ役の田の中勇らしく、「周さん、そこ違うよ、もう少し高く」と意見を貰っていたらしい。
また、アドリブもかなり多く、原作者の水木しげるに許可を求めたところ「面白いからやってみなさい」と許しをもらったため好きにやっていたそうである。
また演じている周夫の流れるような言い回しもあって詭弁を捲し立てた時はかなりうるさい。しかし妙に聞き入ってしまう点は流石といったところか。
ちなみに、演じた周夫は「人間と妖怪のどちらからも仲間に入れてもらえず、それ故にひねくれ、さらに嫌われていき、さらにひねくれていく悪循環」という考察をしており、それを演技に反映していたらしい。
足掛け2年以上演じ続け、稽古も数多くこなし、たくさん考察した役柄だけに「これ(ねずみ男)出来る人、他にいないんじゃないかな?」と断言するほど自信を持っていた。
そこまで豪語するだけあって非常に思い入れの深い役だったそうで、第3作で交代の憂き目にあった時は長らく納得できず、野沢雅子と会う度に愚痴をこぼしていたとか。
その分、『墓場鬼太郎』で再び演じてもらいたいとプロデューサーが電話でアポを取った時は大層喜んでいたそうな。
「へっへっへっへっへ……俺は力のあるやつに仕えるのが生きがいなんだ」
「ぐわごぜ!オメェはバカ親父だ!!」
一つめのセリフ通り基本的な立ち位置は変わりないが、鬼太郎の折檻が非常に激しくなったせいか卑劣な面は少し鳴りを潜めた。
本作では第2作よりも濃い配色となった空色のローブを着ており、この外見が印象的だったことから第6作のローブのモチーフともなった。
ヒロインであるユメコに惚れており、彼女のためを思って行った行動が裏目に出たり、
鬼太郎と醜い争いを繰り広げるなど、コミカルなトラブルメーカーという面が強いが、当のユメコからはそこまで邪険にされておらず、鬼太郎ファミリーとの仲間意識も歴代の中では強い方。
演じた富山敬は当時青二プロの分裂騒動において分裂先のぷろだくしょんバオバブに付いた人物。青二の声優を主に使う東アニ作品に、本当ならば起用されるはずのない状態であった。
しかし富山はそういった中で、実力のみで選出されたという非常に稀有な例である。
大塚周夫曰く「他に演じられる人はいない」と言われるだけの役だけあって、人選はかなり慎重に行われたのだとうかがえる。
普段はアドリブはあまり入れないらしいのだが、本作に限ってはアドリブを多用したとのこと。
富山のファンである古川登志夫は、本作で共演した時にはそのイメージと違う芝居に驚愕したといい、ねずみ男を演じてみたいと思うようになった。
「いいんだよ、その通りだしよ……」
「俺がここで頑張って、その娘から金をもらう。
そのためだったら、なんだって我慢するぜ」
「俺には大したことじゃねーよ……慣れちまってるしな!」
「でなきゃ……俺ぁ生きていけねぇんだよ……。他に方法を知らねぇんだ!」
「でもよ……俺はこれでも必死に生きてるんだ……!!」
ローブの色が初めて原作と同じ黄土色となった。
演じるのはアドリブ大王・千葉繁。軽薄な調子のよさと金儲け好きは相変わらずだが、だからこそ彼がどのような社会的立場に置かれ、どうやって生きているのかという部分に踏み込んだ際の重みが際立つ。
上記のセリフは、彼が「金儲けだけが目的なんでしょ」と非難された際に、自分の生き方を血を吐くように訴える場面のもの。
社会の中で居場所を得られず、他人から軽蔑されることの多いねずみ男の悲しみを浮き彫りにした名言で、今もなお4期の彼を象徴する言葉として語り草になっている。
ねずみ男を単に「金の亡者」として切り捨てるだけでは、この言葉の重みは理解できないだろう。
他にも鬼太郎ファミリー以外に対する人情深さや人生を見据えた一面が掘り下げられており、「あかなめと白うねり」「怪談!妖怪陰摩羅鬼」「仰天!おりたたみ入道」「がんぎ小僧とねずみ男!」などは、彼の感情の機微がよく表れた話として挙げられる。
妖怪コンサルタントを名乗ることも多く、怪しげな商売をしながら事件に巻き込まれていくという基本構造は変わらないが、日雇いのアルバイトや
寅さんさながらの啖呵売で金を稼ぐことも見られ、彼の行動の背景にある生活感が強調された。
鬼太郎との関係は歴代の中でも比較的ドライな方だが、ねこ娘も交えて一緒にラーメンを食べたり、マンモスフラワーになったねずみ男を鬼太郎が必死に助けようとする場面もあり、一定以上の仲の良さは感じさせる。
ねこ娘もねずみ男を引っかいたり、ヒゲを引っ張ったり、くだらない言い争いをしたり、ねずみ男に対してだけしつこく疑ったりすることが多いが、根っこのところではファミリーの中でも一番ねずみ男を気にかけているようで、死んだ際には本気で悲しむそぶりを見せたり、金を貸してあげたり、「落とした」と嘘をついて食料をあげたりしている。
第4作の鬼太郎・ねずみ男・ねこ娘の関係性は、ちょうど寅さんに対するさくらと博のような距離感と言えなくもない……ないか?
「時代は変わったんだよ鬼太郎……。俺がそれを証明してやるからな……!!」
「っつーか!軽々しく比べんな!!高級外車&ステーキとお茶漬けなんかを!!」
本作ではネコ娘の存在感が増したことなどもあり、ねずみ男は常に物語の中心にいるレギュラーというより、エピソードによって活躍の度合いが変わる準レギュラー的な立ち位置となった。
一方、鬼太郎との友情は歴代の中でも特に明確に描かれている。
金のために危険な妖怪を復活させたり、自分の利益を優先して事件を悪化させたりすることもある一方で、最後には鬼太郎を助ける側に回ることが多く、時には最初から鬼太郎を救うために敵の懐へ潜り込むなど、無償の行動を取ることもある。
鬼太郎自身も、ねずみ男を「大切な友達」として扱っており、彼の嘘や裏切りを知りながらも、完全には見捨てず、命の危険があれば助けようとする。
ネコ娘が鬼太郎からそれほど大切に思われているねずみ男を羨ましがる場面も、二人の関係を象徴する描写の一つである。親父が「ネコ娘を嫁にどうじゃ」と振ったら「悪い冗談はやめてくださいよ(笑)」なんて言われちゃったしなぁ……
ただし単純に善人化したわけでもなく、最後まで裏切ったままだった時もあれば、金のために大量殺人(未遂)にも手は貸すわ、命の危険があるものは売るわ、先の昔を思い返した回などではガチで鬼太郎を殺そうとしたこともある。
故意でなくとも危険な妖怪を復活させておいて、自分の手に負えないからと鬼太郎に対処を丸投げする事も少なくない。
また、「どうせ鬼太郎なら最終的に勝つだろう」と見込んで悪事を働いていて、儲けだけかっさらってトンズラを狙うような回もあり、良くも悪くも悪友である。
そして、鬼太郎も彼を無条件に甘やかしているわけではない。悪事があまりにひどければ、ネコ娘に懲らしめさせたり、自分で後始末をさせたりする。
ねずみ男が地獄行きになりそうになった際、鬼太郎が命懸けで事件を解決する一方、帰り道まで手取り足取り面倒を見るわけではないという描写もある。
つまり、鬼太郎はねずみ男を友達として大切にしているが、彼の責任まで肩代わりするつもりはないのだ。
何度も裏切り裏切られを繰り返してきた二人だからこそ成立する友情の描写は、第5作の魅力の一つである。
ねずみ男は善人ではないが、鬼太郎との関係の中では、時に自分の損得を超えた選択をする。その行動は、彼の根本的な性格が変わったというより、鬼太郎という存在が彼の行動に影響を与えている結果と見るべきだろう。
衣装の色は第4作と同じ黄土色で、デザインも比較的近い。演じた高木渉は、第4作でねずみ男の弟に化けたむじなを演じていたことでも知られる。
また、白山坊役で参加した大塚周夫からねずみ男役を引き継ぐにあたって、演技について助言を受けたという逸話もある。
「どうだいすごいねェー。東西の吸血鬼対決!こりゃ見ものだよ、吸うか吸われるか一大決戦ンンン!!」
原点であるから、という方針からなんと声優が、第1期と第2期でねずみ男を務めた大塚周夫に戻る(先の通り、オファーした時は当人は大喜びだった)。
貸本版をベースにしているせいか容姿は他のアニメとは大幅に異なっており、顔が若干小さい。
衣は黄土色寄りで、これは大塚周夫が演じるものとしては初。
基本的に原作と同じ役回りであるが、金にがめついこと以上に好奇心旺盛な面が強く、トランク重井に吸血鬼の種を植え付けたりと要所要所で怪奇事件のきっかけを作ることも多かった。
怪奇研究科を自称しているだけあって歴代でもかなり肝が据わっており、鬼太郎に幽霊電車の術を仕掛けられた際は人狼がビビりまくる一方で平然としていた。
鬼太郎との関係は人狼とのいざこざが落ち着くまではほとんど敵同然であり、召使いにしていたこともある。
しかし最終的には腐れ縁となり、最終回のラストシーンも互いに悪口を言い合いながら歩いていくという、その後の関係を想起させるものとなった。
「豊かな自然ねぇ?ヘッ、自然が何してくれるってんだ。金が生る樹が生えてるのか?花なんて腹の足しにもならねんだよ!」
「お前ら、バカかぁ!?この期に及んでまだ争いやがって!
何が妖怪の意地だ!人間の尊厳だ!一銭もならねぇモンに命懸けんな!
自分の命と引き換えにしていいモンなんて、この世にはねぇんだよ!
てめぇら、『どうせ死ぬなら一人でも道連れに』とか思ってんだろ?くだらねぇ!
戦争なんて、腹が減るだけだ!!
腹が減ったらメシ食って、クソして寝る!それを犠牲にしてまで戦って、どうしようってんだ!
勝ったら何が残るってんだよ!?焼けちまった角のラーメン屋は二度と食えねぇんだ!
てめぇらがくだらねぇ理由で殺し合ってる間に、たった一人で頑張ってる奴がいる!たった一人でだ!!
戦争なんてしてる暇があったら、鬼太郎を応援しろぉぉぉっ!!」
再び服の色が第3作に近いねずみ色に戻り、性格は第1・2作に近い。
第6作のねずみ男は、金儲けのためなら大胆な計画を立てる一方、社会の矛盾や戦争の愚かさについては、時に誰よりも現実的な意見を述べる。
特に最終回のセリフは、本作のねずみ男を象徴するものとなっている。
人間と妖怪が互いの誇りや意地にこだわり、無益な殺し合いを続けようとする状況に対して、彼は「命を懸けるに値するものなどない」と訴える。
その論理は、崇高な理念や大義名分とは無縁である。飯を食い、排泄し、眠るという、ごく当たり前の生活を守ることこそが大切だという考え方だ。
一見すると身も蓋もない。しかし、戦争によって失われるものを具体的に思い浮かべ、失われたものは二度と戻らないと語る彼の言葉には、生活者の視点がある。
この場面でねずみ男は、正義の英雄として戦争を止めるのではない。人間と妖怪のどちらにも属しきれず、双方の醜さを見てきた者として、争いの無意味さを突きつけるのである。
また、
戦時下を生きていたことをうかがわせる描写もあり、当時を「嫌な時代だった」と振り返る場面もある。妖花に守られた兵士たちの遺骨を蔑ろにしようとする業者に怒りを見せたり、玉藻の前の謀略で開戦が迫る状況で総理大臣に攻撃命令をやめさせるよう直談判したりするなど、普段の利己的な態度とは異なる側面も描かれている。
ただし、第6作のねずみ男も、決して品行方正な人物ではない。問題行動を起こし、明確に逮捕されたこともある。鬼太郎たちから見ても、彼の失敗は単純に許されるものではない。
それでも、鬼太郎はねずみ男の行動を、悪意だけで説明しようとはしない。彼の弱さや浅はかさを理解しながらも、友人としての関係を維持しようとする。
第6作の鬼太郎は、歴代に比べ精神的に未熟な面が目立つ。そのため、人生の酸いも甘いも経験してきたねずみ男が、相対的に達観した存在として見える場面もある。
もっとも、彼の達観は必ずしも高潔な思想から生まれたものではない。欲望の塊で、面倒なことを嫌い、他人の理想に付き合う気がないという、彼本来の性格が、結果的に戦争や対立の愚かさを見抜く視点につながっている。
この逆説こそ、第6作のねずみ男の面白さと言えなくはないだろうか?
声優を務める古川は前作でねずみ男のオーディションを受けて落選し、仲間の妖怪である蒼坊主役として起用された過去があり、今作で無事に役を射止めることが出来てとても喜んでいた。
『ゲ謎』では……意外な姿で登場する、とだけ。
モデル
キャラクターのモデルは、水木の貸本漫画家時代の同業者・梅田栄太郎とされる。
ただし、その後一般人となったせいか『コミック昭和史』では「猫山」・『東西奇ッ怪紳士録』では「上田」と仮名で登場している。
また、水木夫婦を基にした朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』では、オリジナルキャラクターとして浦木克夫(水木の幼馴染)が登場。彼がねずみ男のモデルということにされた。
余談
三谷幸喜は自身のエッセイ『オンリー・ミー』にて、ねずみ男を「小悪党という言葉がぴったりな分、彼の放つ悪の匂いには存在感・リアリティがある」「(アニメを観た)子供たちが出会う最初のピカレスク・ヒーローだった」と評している。
また、当該章『ねずみ男と私』は、彼が新宿の喫茶店でねずみ男本人に独占インタビューを行う、という極めてユニークな趣向で書かれている。
追記、修正は生まれて一度も風呂に入ったことがない人がお願いします。
- 「両方のどちらからも仲間に入れてもらえず、それ故にひねくれ、さらに嫌われていき、さらにひねくれていく悪循環」←正鵠を得た考察、さすがプロ -- (名無しさん) 2021-12-03 20:06:03
- 3期の劇場版第1作ではチ○ポ側に裏切ってしまったが故に、海上に置いてけぼりにされた挙句サメに追われるという(自業自得とはいえ)散々な扱い。この事に不満があった人もいたんか分からんが、後の劇場版ではあんまり散々な扱いをされてなかったような気がする。特にカロリーヌが出てくるのは泣いた人も多いかもしれない -- (名無しさん) 2022-01-29 20:11:32
- 嫌われてると言っても、半妖だからっていうどうしようもないことで蔑まれてた頃に比べたら、悪事を働くねずみ男だからって嫌われる方がよっぽどマシなのかも知れないな。 -- (名無しさん) 2023-02-01 13:12:40
- 3期から6期まで見たところ、後の年代ほどクズさがマイルドになってる気がする(エンタメ強化の5期が1番悪さが抜けてるので、完全に順番ではないが) 現代の倫理がだんだん厳しくなってる一般感性に合わせた変化なのかな? 記事によると1期はもっと酷かったみたいだし -- (名無しさん) 2023-02-19 21:37:02
- ある意味裏表なく飾らずに生きているって所は凄いなと思う。見習いたいかと言われるとノーだけど -- (名無しさん) 2023-04-05 13:12:19
- ↑↑鬼太郎ファミリーの中だと猫娘の次くらいに現代に順応しているイメージがあるな。そりゃあコンプライアンスも守るでしょw -- (名無しさん) 2023-12-13 12:36:30
- 千葉ねずみ:人生経験豊かなひょうきん親父 高木ねずみ:ゴロツキ以上悪党未満の甘ちゃん(褒) 古川ねずみ:のらりくらりと生きている人情を持った皮肉屋 4〜6期のねずみ男のイメージは自分中でこんな感じだな。 -- (名無しさん) 2023-12-13 13:08:57
- 6期のねずみ男は方向音痴なのか? -- (名無しさん) 2024-05-13 22:13:47
- 原作に於ける「死神」の回の終盤で、とんでもない悪事を起こした報いでみんなから石を投げつけられた挙句砂かけ婆に「お前だけは絶対に場に入れてやらんからな!(うろ覚え)」とか言われたが、その2話後にヤバいものを発見してそれを報告しようとしたらいきなり砂かけ婆に「来るなちゅうたら来るな!」と何もしてないのに制裁されるという展開があったな。まあ流石に砂かけも根に持ってた事が分かる -- (名無しさん) 2024-06-06 16:46:43
- ゲ謎だと日本を陰で操る巨大組織の本拠地に潜入してて草。民間の会社員とはいえプロの工作員が何人も行方不明になってる恐ろしい無村なんですけど… -- (名無しさん) 2024-06-06 17:19:09
- 自分に優しくしてくれたり慕ってくれる相手のことは無碍にできないんだよね。なんでかっつーとそれに飢えてるから。 -- (名無しさん) 2024-09-17 20:31:18
- 第6期やってるころだったか10年後20年後ぐらいには櫻井孝宏が演じるかもしれんというコメントを見たが合うかねぇ… -- (名無しさん) 2025-07-13 18:37:26
- ↑今のフジテレビの有様だと七期は無理だと思うそれ以前に -- (名無しさん) 2025-07-25 12:44:14
- そうなのか?確か今のフジの社長ってアニメ畑で活躍してた人で鬼太郎にも3期と4期に参加してたはずだし、むしろ可能性は高まってんじゃないのか -- (名無しさん) 2025-08-22 22:11:06
- 現に今過去の再放送とはいえ鬼太郎の新番組の私の愛した歴代ゲゲゲが放送してるし -- (名無しさん) 2025-08-23 17:09:15
- ↑逆に言うと七期作る環境になってないからセレクションで時間稼ぎしてるとも。何せ日枝という巨大な現金蛇口はもうないからね。 -- (名無しさん) 2025-08-23 20:53:50
- 六期太郎も放映前はディレクターが製作費を横領したリ、バンダイがグッズが不振という理由でスポンサー降りたりと大変だったのよ。猫真名のお陰でコミック百合姫から製作費の一部を負担してもらって放映にこぎつけたとのことだし。契約打ち切り祭りの現況だとサンケイビルが頼みの綱だけど、あいつら日枝に永年たかられてた所為かサザエさんやドラゴンボールも打ち切らせようとするくらい強硬になってて逆に厳しくなってる。要するにゲ謎が成功して日本爆裂が失敗した総括も出来てない有様では七期など認められない、やるならセレクションか六期2にしろという事らしい -- (名無しさん) 2025-08-23 21:56:39
- なら、フジと手を切るべきなのか?まぁ、7期のねずみ男役は杉田さんもいいけど5期でED歌ってた諏訪部順一さんとかも良さげな気がする -- (名無しさん) 2025-09-02 20:42:44
- ↑再編集トリオの種自由も松竹いったからそうすべきなのかねータダねずみ男や鬼太郎だけ出しても必ずしも成功するとは限らないのが分かってきてもいるからむしろスタッフに期待すべきかも。何せ原作に無いオリキャラで成功してきたのが鬼太郎シリーズだし -- (名無しさん) 2025-09-03 09:52:16
- テレビ局変えてもな~。水木プロ自体も原作本やグッズが低迷してて最後に雑誌に出たのが一迅社という有様で子かも鬼太郎ではなく猫ねーさんという現状だから逆に原作ファンには良くないかもしれん。百合姫的に鬼太郎やねずみ男とか出してもうれしくないだろうからね… -- (名無しさん) 2025-09-03 10:24:08
- 引き続きフジと組んでやるなら、やはり社長の奮闘に期待したい。調べたところ鬼太郎にも思い入れあるっぽいし -- (名無しさん) 2025-09-03 12:50:04
- ↑そらそうよ。社長もだし七期に反対してる人らだって興行成績の心配してるだけでゲゲゲ世界を残したいという思いは同じよ。何なら今日まで苦境に立たされるたびに製作費回してたのもあの日枝の爺さんだしどうしてこうなった… -- (名無しさん) 2025-09-03 17:14:28
- まぁ、フジテレビに対する信用なんて5期打ち切った時点で大分薄れてたけどさぁ 今頃ねずみ男も嘆いてることだろうなこの汚い大人達のああだこうだに -- (名無しさん) 2025-09-05 06:39:25
- やはり完走してないと映画にもモロ影響するからね銀英伝とか -- (名無しさん) 2025-09-05 08:07:21
- アニメ畑で鬼太郎制作に関わったとはいえ同じく制作に関与して思い入れあるはずのワンピースとドラゴンボール打ち切り左遷して、フジテレビの全予算の40%もカットしてしまう冷酷敏腕経営者だからなあの社長。ゲゲゲ続編の為なら逆に鬼太郎リストラして新キャラレギュラー入りもやりかねんぞ -- (名無しさん) 2025-09-17 09:07:07
- やはりセレクションと声優座談会でお茶濁してからの後番はデジモンだった模様。やはりフジはゲ謎ブームはおきてても鬼太郎にそこまでの売上力はないと判断して七期は当分断念した模様。 -- (名無しさん) 2025-10-05 21:02:48
- 私の愛したゲゲゲは五期再興を目指す高山みなみ氏に率いられた五期スタッフキャストからなる鬼太郎組のロビー活動で出来たセレクション番組だから、実際の制作とは関係ないよ。しかも鬼太郎組自体も田の中、郷里、青木等の大御所が相次いで無くなっているから活動自体が下火だし、公式ブログも全て閉鎖されたりと鬼太郎を取り巻く経営環境は文春が言うほど良くなってないかと -- (名無しさん) 2025-10-27 01:34:00
- ゲ謎と日本爆裂に関しては、フジテレビが制作に関与してないから売れた=売れなかった説が出てきてる。制作費かけずに興業収入爆売りたいサンケイビルにしたら、そら関心持たれけど、だからこそ七期がなかなか予算が降りないのも仕方ないと言うか。 -- (名無しさん) 2025-11-10 01:04:25
- ↑11他のテレビに移ってフジと手を切るのはいいけどゲゲゲの歌は権利的に使えんのかな…ウーバーワールドが宇宙戦艦ヤマトの主題歌を歌ったアレみたいになりそう -- (名無しさん) 2025-12-03 21:42:46
- 放送局を変えても銀河英雄伝説やジークアクスみたいな扱いになるだけかと フジテレビ以上に鬼太郎に金をかけてくれるテレビ局とかあるかね? -- (名無しさん) 2025-12-15 01:32:30
最終更新:2026年10月25日 11:02