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ゲゲゲの鬼太郎(第4シリーズ)

登録日:2018/07/06 Fri 01:20:11
更新日:2026/10/24 Sat 10:40:30
所要時間:約 5 分で読めます




君の後ろに黒い影!

1996年1月7日から1998年3月29日までフジテレビ系列で放送された『ゲゲゲの鬼太郎』の第4期。全114話。
アニメーション制作は東映動画(現:東映アニメーション)。

各シリーズの項目はこちらを参照


概要

前作である第3期が、鬼太郎を人間と妖怪の共存を目指すヒーローとして描いたのに対し、本作では「原点回帰」を掲げ、妖怪譚としての不気味さや民俗的な雰囲気を重視している。
原作の持つ素朴な空気を大切にしながら、鬼太郎と仲間たちの日常、妖怪が引き起こす怪事件、人間の欲望や愚かさが招く悲劇などを幅広く描いたシリーズである。

大先生が3期の頃から「ジブリアニメの色遣いを見習ってほしい」と述べていたこともあり、漁村や農村を思わせる日本の原風景、古い町並み、山林、沼地、神社や祠といった、妖怪譚と相性のよい風景が数多く登場する。
一方、物語の舞台や登場人物の生活にはうるさくなりすぎない程度に現代的な要素も取り入れられており、当時流行していた『学校の怪談』を意識してか、序盤では準レギュラーの小学生3人組の周囲で事件が起き、鬼太郎に依頼をするという流れも多かった。

制作面では、シリーズディレクターを『ドラゴンボールZ』の西尾大介、キャラクターデザインを『聖闘士星矢』の荒木伸吾と姫野美智、音楽を『金田一少年の事件簿』の和田薫が担当。
メインライターは3期から続投の武上純希と大橋志吉。両者いずれも「3期と被らないように」話を作ることに相当苦心したといい、事実、1クール目は3期の雰囲気をまだ引きずっているかのようなエピソードも目立った。
ユメコちゃんの存在によって見落とされがちだが意外にも話の骨子自体は原作に忠実だった3期とは異なり、エピソードの多くは原作から大胆に再構成されており、友情、家族の絆、他者への思いやり、自然との共生などを主題とした物語も多い。
その一方で、必ずしも救いのある展開ばかりではなく、朧車や黒髪切りのように「引き際を悟った妖怪は自ら消えねばならないこともある」という宿命を描いたエピソードも強く印象を残す。
「ヒーローらしさ/薄暗さ」「楽しさ/不穏さ」「感動/やりきれなさ」──第4期は、そうしたいくつもの相反する感情を同じシリーズの中で成立させた作品といえるだろう。

なお、本作は日本のアニメ業界において本格的にコンピューター彩色が導入された初期の作品として知られ、アニメ制作史の観点でも非常に重要な作品である。

登場人物

鬼太郎ファミリー

声:松岡洋子
頭頂部から伸びる3本の毛髪や原作っぽい出っ歯、ギザギザに見えるちゃんちゃんこの模様が外見上の特徴(ちゃんちゃんこの模様については、設定上「シワ」を表現したものとされている)。
性格は基本的に冷静沈着で、礼儀正しく、相手をむやみに威圧することもない。
しかし人間的な常識だけで行動するわけでもなく、妖怪としての価値観や、人間とは異なる倫理観をのぞかせる場面も多い。
人間の味方として振る舞いながらも、人間社会の論理に完全には染まらない距離感が、本作の鬼太郎の魅力である。
あと、ねこ娘(彼女)に非常に甘い。
3期同様に妖怪オカリナを使用するが、ロープとしての用途が多め。とにかく様々な形でオカリナを使っていた3期鬼太郎と比べるとやや単調な感じがしないでもない。

声:田の中勇
鬼太郎の父親。変わらず知恵袋として活躍する。
この頃から見た目・言動の両面においてマスコット感が増した印象がある。

声:千葉繁
本作では衣服の色が原作に近い黄色となった。
4期のねずみ男は、千葉繁の奔放な演技によって、騒々しさと人間臭さがいっそう際立っている。アドリブを交えた演技も持ち味のひとつで、登場するだけで場の空気をかき回す一方、物語によっては誰よりも人間の弱さや身勝手さを体現する存在となる。
主演エピソードでは、金銭欲や保身といった欠点だけでなく、孤独、情の深さ、他者への共感なども描かれる。彼が善人になりきれないからこそ、時折見せる優しさや後悔には説得力がある。

声:西村ちなみ
原作のデザインを踏まえながら、幼さと可愛らしさを感じさせる容姿に仕上げられている。
鬼太郎とは友人以上・恋人未満とも受け取れる関係にある。家族のように気安い付き合いをしている一方、互いに心の奥底で強く通じ合っていることがうかがえる場面も多く、二人の距離感は4期の隠れた見どころのひとつ。
ただし、3・5・6期のように現代的な恋愛ドラマめいて関係性を明確に定義するのではなく、長い付き合いの中で育まれた親しさや複雑な感情を、さりげないやり取りで描いている。
ねずみ男に「ガキ」呼ばわりされたのを気にすることもあったが、妖怪運動会や天邪鬼、釜鳴のエピソードでのやり取りを見ると「当たらずも遠からじ」といった感じ。その一方で、回によっては母性的な優しさや凍れるような冷酷さを垣間見せることもあり、多面的な魅力を持つ。

  • 一反もめん
声:龍田直樹
これまでとは異なり、より布っぽさを増した造形となった。
どうも人間より布に恋愛感情を持っているそぶりを見せるなど、一筋縄ではいかない掴み所のなさはまさに布のよう。
ゲーム『妖怪ウォッチぷにぷに』でも龍田が一反もめんの声を担当している。

  • 砂かけばばあ
声:山本圭子
ピンク色の肌と水色の髪が特徴。
得意の砂技だけでなく、妖怪カメラ、妖怪遠眼鏡、妖怪封じの壺などの多彩なアイテムで鬼太郎を助ける。

  • 子泣きじじい
声:塩屋浩三
他期に比べてとぼけた雰囲気が目立つ。
ある回ではパソコンを所持していることが判明したりもした。
ねこ娘「子泣きじじいパソコンやってンだぁ~」←ぐうかわ
『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』でも塩屋が子泣きじじいの声を担当している。

  • ぬりかべ
声:龍田直樹
ほぼ「ぬ」と「り」と「か」と「べ」の四語で感情を表す。
「象のような優しい目つき」というのがデザイン上のコンセプトだったそう。言いえて妙である。

人間

  • 村上祐子
声:前田このみ
小学4年生の少女。谷本淳、鈴木翔太とともに、小学生三人組の一人として登場する。
他期における天童ユメコや犬山まなのポジションに相当するキャラクターだが、2年目以降出番が激減したこともあり、彼女たちほどの存在感はない。

  • 谷本淳
声:沼田祐介
小学4年生のやんちゃな少年。サッカーが好きで、行動力のある性格をしている。

  • 鈴木翔太
声:松井摩味
小学4年生の小柄な少年。弱気でゲーム好きと、現代っ子らしい面が目立つ。

  • 秋山里子
声:三田ゆう子
とあるきっかけでねこ娘と知り合った女性。母親のいないねこ娘は「里子ママ」と呼んで彼女になつくが、彼女は実の娘・マリとの間に不和があり、マリを非行に走らせてしまっていた……。
中の人は3期のネコ娘(であり、埋れ木真吾)。これ以降も鬼太郎アニメには折に触れて重要ゲストとして客演する。

  • 青年画家
声:二又一成
最愛の母を亡くした悲しみと、誰も母を救ってくれなかったという思い込みから世間のすべてを恨み続ける青年。
一刻堂とは違う意味で、4期の鬼太郎を最も苦しめた「人間」であった。
中の人はむき歯の潔だが、ねずみ男との絡みは控えめ。

声:京極夏彦
「この世に不思議なものなどないのだよ」
アニメ鬼太郎史上最大のジョーカー。詳細は項目で。

ぬらりひょん一味

声:西村知道
今作でも鬼太郎の宿敵として登場。妖怪王として妖怪界を支配しようと企み、さまざまな策略を巡らせる。
知略に優れ、仕込み刀を用いた居合術にも長けるなど、決して侮れない実力者だが、どこか小物っぽさがぬぐえない。
しまいには鬼太郎を本気で怒らせ、さんざん精神的に追い詰められたりもしたが、ちっとも懲りない。

  • 朱の盆
声:郷里大輔
今作でもぬらりひょんの子分。主人の命令に従って行動するものの、余計な一言を口にしたり、間の悪い振る舞いをしたりして、ぬらりひょんの怒りを買うことも多い。
ただのでくの坊というわけでもなく、ぬらりひょんの家の家事は基本的に朱の盆が担当しているらしい。なんという嫁。

エピソード

  • 第1話:妖怪!見上げ入道
記念すべき第1話。自然保護の訴えを子供や妖怪の目線から描く。
同時に鬼太郎や鬼太郎ファミリーの紹介もされており、それぞれのキャラの立ち回りや性格などが分かりやすくまとまっている。
鬼太郎の「喧嘩が強いことは自慢にはならないよ。」という台詞が印象的で、鬼太郎の戦いに対する思いや今後の行動理念に関わってくることとなる。

  • 第3話:ギターの戦慄!夜叉
名匠・雪室俊一が初登板。ホラー・アクション・笑い・キタネコをバランスよく兼ね備え、4期の基本路線を提示した秀作。

  • 第5話:ダイヤ妖怪・輪入道
ねこ娘をダイヤモンドにした輪入道にブチギレ、近くに落ちていた鉄パイプでぶん殴る鬼太郎。
おかげで「4期=鉄パイプ」というイメージが深く根付く羽目になり『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』のヒットに伴ってまた蒸し返された。

  • 第19話:恐怖!妖怪くびれ鬼
「少年時代への懐古」と「現実逃避」をテーマに、後年の名作『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』にも似た味わいを出したエピソード。
同系列の第28話「幻想譚・猫町切符」も良回。

  • 第24話:怪談!妖怪陰摩羅鬼、第26話:復活!妖怪天邪鬼、第36話:仰天!おりたたみ入道、第42話:がんぎ小僧とねずみ男!
「4期ねずみ男4部作」とでも呼ぶべきエピソード群。
アドリブに隠れがちな「ねずみ男」という妖怪の暗く泥臭い生き様が深く描かれる。

  • 第11話:毛羽毛現とがしゃどくろ、第35話:鬼太郎の地獄流し、第53話:霊園行き!幽霊電車
いずれも鬼太郎が人間に対して本気で怒る回。「普段温厚な奴ほど怒らせると怖い」の典型をこれでもかと見せつけてくる。
特に35話は拳銃で撃たれてもスイカの種のように弾丸を吐き出す鬼太郎の異常さやメイド服のねこ娘が描写される一方、「悪人なりの善意」や「親への思い」なども描かれる。

  • 第12話:陰謀!猫仙人の猫王国、第48話:えんま大王とねこ娘、第84話:怪奇!人食い肖像画、第103話:化けネズミ!妖怪旧鼠
これらは4期ねこ娘を語る上で欠かせない回。
「優しさ」、「母親への憧憬」、ねずみ男に対する「小生意気な態度」と「面倒見の良さ」──この多面的な性格をよく覚えてから89話を見ると、格別の感動が味わえるはず。

  • 第61話:妖怪いやみにご用心、第88話:妖怪ふくろさげの罠!
鬼太郎恒例のお下劣編。第61話では女装したオッサンにディープキスされる鬼太郎、第88話では敵をおびき出すために女装する鬼太郎が見られる。
第88話は猫娘の「玉袋」発言にも注目。これの直後の回が後述のラクシャサだってんだから恐れ入る。

  • 第78話:ぬらりひょんと蛇骨婆
3期第114話以来となる「鬼太郎の誕生」を描いたエピソード。妖怪でも人間でも、鬼太郎を本気で怒らせた者は破滅あるのみ。

  • 第89話:髪の毛地獄!ラクシャサ
4期ねこ娘の集大成。「少女の複雑な内面」を丁寧に描いた小中千昭のシナリオを、角銅博之の演出と塩沢兼人の名演が見事にサポート。
同時に鬼太郎もヒーローとして、男として最高のカッコ良さを見せてくる。
脚本家繫がりで、この回の鬼太郎にマドカ・ダイゴや松田啓人をダブらせる見方もできるか?

  • 第94話:鬼太郎魚と置いてけ堀、第105話:迷宮・妖怪だるま王国、第113話:鬼太郎対三匹の刺客!
後に『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』でその名を轟かせる細田守の演出作。
いずれも単に鬼太郎が戦って終わりというだけではない異色の雰囲気を発する。

  • 第101話:言霊使いの罠!
原作者・水木しげるの四人の弟子*1の一人である京極夏彦が脚本、ゲストキャラのデザインおよび声優を担当。
京極氏によって投げかけられた鬼太郎の存在意義に対する問いは、ファンにも、そしてアニメ製作スタッフにも少なからぬ影響を与えるに至った。

  • 第107話:山の神・穴ぐら入道
人間と妖怪、それぞれの信念のぶつかり合い。その板挟みになった鬼太郎は、何もすることができなかった。
終盤になって投げ込まれた、本シリーズきっての鬱回。

  • 第114話:絶体絶命!死神の罠
最終回のテーマは「鬼太郎の母」。すでに死んで久しい彼女が、意外な形で鬼太郎を助ける。
妖怪自動車や妖怪オカリナも久しぶりに活躍する、総決算にふさわしい佳作。

主題歌

オープニング

  • ゲゲゲの鬼太郎
歌:憂歌団
本作ではブルースバンドの憂歌団が主題歌を手掛けた。
曲調はやや1期・2期に近くなっており、華やかさや力強さをあえてそぎ落としたような陰のある落ち着いた雰囲気。

いい意味でしゃがれてくたびれたような独自の味わいを放っており、鬼太郎のイメージにはよく似合っている。

映像では都会のビル街や雑踏が描かれており、現代社会に溶け込む鬼太郎や妖怪達が登場する。
また、「学校の怪談」の影響からか運動会の会場が墓場ではなく学校となっている。そこには各シリーズでも最強格といわれる牛鬼の姿も。さらに校舎には無数の妖怪が出現する姿が見られる。

エンディング

  • カランコロンのうた
歌:憂歌団
EDとして起用されたのは2期以来。
映像では原作の絵をアニメ風にアレンジしたものや、百鬼夜行に追いかけられる小学生トリオが登場。

  • イヤンなっちゃう節
歌:憂歌団
歌詞は大人になってから聴くと身につまされる要素が多い。
映像では墓場や夜の街で踊る鬼太郎ファミリーが描かれる。無表情のまま踊る鬼太郎は色んな意味でシュール。





ふ、ふ、ふ……
さぁて、どこを追記・修正するのかな……?

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最終更新:2026年10月24日 10:40

*1 「漫画家」ではなく「思想家」としての水木しげるの弟子。小説家・博物学者の荒俣宏、イラストレーターの南伸坊、評論家の呉智英、小説家の京極夏彦の四名。