スター・ウォーズ ジャンゴ・フェット(ゲーム)

登録日:2024/11/25 Mon 00:01:58
更新日:2024/12/09 Mon 17:19:26
所要時間:約 17 分で読めます





遠い昔、遥か彼方の銀河系で…

STAR WARS
JANGO FETT




概要

スター・ウォーズ ジャンゴ・フェット』とは、映画『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフとなる三人称視点のアクションシューティングゲーム。
北米での原題は『STAR WARS: Bounty Hunter』。かなり検索しづらい
北米では2002年11月にPlayStation2版、2002年12月にゲームキューブ版がそれぞれ発売され、日本では2003年6月にPlayStation2版が発売されている。
クローンの攻撃』から10年前、『ファントム・メナス』の直後に起こった出来事を描く。

開発を行ったのは、シリーズおなじみのルーカスアーツ。販売は北米では同社が、日本ではエレクトロニック・アーツが行った。
途中で挟まるカットシーンでは、映画版スター・ウォーズの映像制作で名を馳せたインダストリアル・ライト・アンド・マジック(ILM)が担当。
当時から数多く存在したスター・ウォーズのゲーム化作品だが、ルーカスアーツとILMの協力で製作されたのは本作が初となる*1
また、音楽や効果音は同じくルーカスフィルム傘下のスカイウォーカー・サウンドが参加。ルーカスフィルムのゲーム・映像・音楽担当が結集して開発されている。


本作最大の見所は、「マンダロリアンになれる」こと。
武装民族「マンダロリアン」は1978年の悪名高い『ホリデー・スペシャル』での初登場以来絶大な人気を誇る、同シリーズの中でも最も人気の高い種族のひとつである。
これまでも『ジェダイナイト』などのFPSや『マスターズ・オブ・テラス・カシ』などの対戦格闘ゲームの選択可能キャラとして登場することもあったが、マンダロリアンが個人で主役を務めるゲーム作品は後にも先にも本作のみ。
映画でおなじみの空中へ飛び上がれるジェットパックをはじめ、火炎放射器や拘束用ワイヤー、ヘルメットのスコープ機能といった、マンダロリアン固有のアクションを活用して戦うことができる。


本作と同時期に刊行された前日譚アメコミ『Jango Fett: Open Seasons』(全四巻)とは内容が密接に関係しており、なんと本作ではそのうちモントロスとジャンゴの因縁を描いた第二巻が収録されている。
ステージをクリアするごとに徐々に内容が解禁されていき、全ステージクリアすることで読破できる形式。読むことで、両者の関係をより深く知ることが出来るようになっている。


シリーズ初の「賞金稼ぎ」ゲーム

本作は、2002年の映画『クローンの攻撃』をベースとした外伝を描くゲームとして2000年に発案され、2001年に開発が開始された。

人気キャラクターであるボバ・フェットの父の活躍を描くということで、開発陣は「見ていても動かしても楽しい」、そして「映画に忠実だが、更に描写の深まった」ジャンゴのゲームを作ることを決定。
前者を実現するため、基本的に各種武装は制限なく常時使用可能な形式で統一。狙撃銃などの便利な特殊武装もステージ限定にせず、他ステージでも持ち越せるように設計された。
ジェットパックなども当初は一部ステージ限りで使えるものにする予定だったが、最終的には一度に飛行できる時間を制限する代わりにほぼ全ステージでいつでも使えるようになっている。
後者も気合が入っており、先述のILMとの協力は勿論の事、『クローンの攻撃』の脚本やコンセプトアートから作風を分析しゲーム内に反映する、ルーカスフィルムの音響部門スカイウォーカー・サウンドと協力して映画同等のBGMや効果音を作り上げるなど非常に豪華な体制で製作が行われている。

かつてボバ・フェットとハン・ソロの間で描かれた賞金稼ぎと賞金首の概念も、本作で初めて本格的にゲームシステムに導入。
各ステージにはたどり着くべきゴールや倒すべきボスの他に副次的な賞金首が敵もしくは中立NPCとして登場し、プレイヤーは彼らを見つけて拘束または殺害することで賞金をゲットできるようになった。
操作が面倒ということで実際のプレイヤーや批評家からはそこそこ不評だったものの、「映画と同じ体験を味わえる」というルーカスアーツの方針に沿った画期的なシステムであった。

ルーカスアーツの担当したこれまでのスピンオフ過去作と同様に、ゲーム内で描かれるストーリーは映画本編や外伝の隙間をうまく掻い潜った内容。
クローントルーパーボバ・フェットが生まれた経緯、ジャンゴとザム・ウェセルがバディを組むきっかけ、愛機スレーヴIの出所、シスの暗躍と言った要素が『クローンの攻撃』の登場人物を中心としつつ、破綻なく描かれる。
更に本作の前日譚も並行してアメコミで描写され、アメコミ→ゲーム→映画の順番でジャンゴ・フェットという男の源流を存分に辿れるようになっている。




ストーリー


銀河共和国の課税方針に反発した通商連合が惑星ナブーの首都に進攻し、ナブー政府が原住民のグンガン族と協力してこれを撃ち破った「ナブー危機」の直後。
ナブー危機を解決できなかった責任を問われた銀河元老院最高議長フィニス・ヴァローラムは、女王パドメ・アミダラの提出した不信任案により失脚する。
彼の後任として最高議長の座に就いたのは、ナブー危機を引き起こした黒幕シーヴ・パルパティーン元老院議員…シスの暗黒卿、ダース・シディアスであった。

弟子ダース・モールの喪失と引き換えに最高議長の座を手に入れた暗黒卿は、前もって勧誘していたジェダイマスターのドゥークー伯爵をジェダイ騎士団から離反させ、新たな弟子に引き入れた。
シスの暗黒卿となった伯爵は、その地位と財力を利用しダース・ティラナスとして暗躍。二人の暗黒卿は、銀河共和国とジェダイ騎士団を同時に撃ち滅ぼせる未曽有の大戦争を引き起こすべく行動を開始する。


時期を同じくして、銀河の外縁部ではとある犯罪組織がその勢力を増大させていた。
組織の名前は「バンド・ゴラ」。かつてドゥークー伯爵の弟子であったコマリ・ヴォサというダークジェダイが率いる、シスにとっても脅威となりうる存在である。

2人の暗黒卿は協議の末に、バンド・ゴラの壊滅とコマリ・ヴォサの排除を決意。しかし、それを自らの手で行うのではなく「銀河最強の賞金稼ぎ」に任せることにした。
クローン製造による優秀な軍団を求めていた二人は、そのクローンのコピー元となる遺伝子のホストを探す必要があった。そしてそのホストは、宇宙で最も強い存在でなければならない。
そして、かつて自らの優秀な弟子であったコマリ・ヴォサを討ち取った者=ジェダイを殺せる者こそがクローンの始祖となるに相応しいと。


その後…
辺境の宇宙基地アウトランド・ステーションの闘技場で、不正を働いていた大物犯罪者ミーコが、ある人物によって追い詰められ拘束された。
彼を捕らえ、報酬の受け取りのために基地の所有者ロザッタと面会した凄腕の賞金稼ぎ「ジャンゴ・フェット」は、彼女から自分宛てのとある伝言データを渡される。
そこには、ティラナスという老人からの依頼が記録されていた。

「バンド・ゴラのリーダー、コマリ・ヴォサの身柄を確保してほしい。生死は問わない

バンド・ゴラの強大さを知るロザッタの反対を押し切り、賞金500万クレジットという莫大な富を手に入れるため旅立つジャンゴ。
しかし、彼と古い因縁を持つマンダロリアンの傭兵「モントロス」もまた、ティラナスからの依頼でコマリ・ヴォサの行方を追い始めていた。

同じ賞金首を追う二人のマンダロリアンは、賞金を掴むため、そして互いを蹴落として因縁に決着をつけるために死闘を繰り広げていく。


前日譚『Jango Fett: Open Seasons #2』


ジャンゴ・フェットが依頼を受ける少し前…
惑星コルマの衛星にある「ドゥークーの城」に、ひとりの男が囚われていた。
男の名前はサイラス。かつてジャンゴ・フェットと同じ武装組織「トゥルー・マンダロリアン」に所属していた生き残りの一人である。

ドゥークー伯爵、またの名をティラナス卿は、彼の新たな計画に適任であるか見極めるため、謎めいた凄腕の傭兵「ジャンゴ・フェット」の知られざる過去を暴こうとしていた。
度重なる拷問に屈したサイラスは、彼が「トゥルー・マンダロリアン」を受け継いだある戦いについて語り始める。
それは義父ジャスター・メリール、その右腕モントロス、そしてジャンゴ自身の運命が大きく変化した、後に続く因縁の始まりと言える出来事であった。



登場キャラクター

ジャンゴ一行

武装民族「マンダロリアン」出身の、凄腕の賞金稼ぎ。
銀に光り輝く全身を覆うアーマーと、高速連射が可能な二挺拳銃がトレードマーク。

元は「トゥルー・マンダロリアン」という武装組織のリーダーだったが、組織の壊滅に伴い個人で活動する賞金稼ぎとなった。
数々の悪名高い賞金首を捕えてきた実績を評価され、ティラナスと名乗る老人からコマリ・ヴォサ討伐の依頼を持ちかけられるところから本作の物語が始まる。

物語前半では義父の遺品である超オンボロ船「ジャスターズ・レガシー」号に乗っているが、途中で破壊されてしまう。
その後は成り行きで試作型宇宙船を奪い、「スレーヴI」というこれまた壊滅的なネーミングセンスの名前を付けて以降の愛機とした。


  • ロザッタ
昆虫型種族トイダリアンのおばちゃん。チャプター1の舞台「アウトランド・ステーション」の所有者であり、ジャンゴ・フェットへの依頼の仲介も行っていた。
ゲーム中では無線でアドバイスなどを行う形でジャンゴの行動をサポートする。

基本的に裏社会の人間ということで胡散臭くてがめつい態度が多いが、ジャンゴに対しては一種の親心のような感情を向けている。
いつかジャンゴがしくじって死ぬのではなく、手に入れた賞金を使って豊かな生活を送って欲しいと願っており、彼女の思いは後に彼が「息子」を持つきっかけとなった。

ちなみに、EP1に登場した同種族でジャンク屋のワトーとは知り合いで、彼がポッドレースで全財産を失ったことを嘆くシーンがある。
その際に「去年」と言っている。設定上、EP1と本作は同じ年に起きたことになっているが、それはコルサント暦の話で、タトゥイーンの暦では新年を迎えたと言うことだろうか。


映画『クローンの攻撃』冒頭でジャンゴの相棒を務めていた、変身種族クローダイトの女性。
有難いことに本作では終始擬態を解かず、美貌のヒロイン枠として活躍する。
元々はジャンゴと同じ賞金首を追っていただけだったが、窮地に陥り成り行きで共闘。その後、お互い過度な信用はしないながらも協力体制を築く。

当初はジャンゴの報酬のおこぼれを狙って無理やり付いてくるかたちだったが、コマリ・ヴォサを狙っていることを知っても物怖じせず嬉々として同行するなど次第に度胸のあるところが見え隠れしていく。
戦闘能力もジャンゴについていける程度には備わっているが、最大の武器は擬態能力を生かした諜報力。本編中ではそこまで焦点は当たらないが、その後の彼女を描いた作品では能力を生かして大活躍する。


賞金稼ぎ

ジャンゴと古くからの因縁を持つ、ティラナスの依頼でコマリ・ヴォサを狙うもう一人の男。
ジャンゴと同じく「トゥルー・マンダロリアン」の一員であったが、リーダーであるジャスター・メリールを見捨てリーダーを名乗ろうとしたことをジャンゴに糾弾され、組織から追放された。
元から好戦的かつ残虐な性格ではあったが、追放後はその傾向が非常に強くなり冷酷な賞金稼ぎとして銀河に悪名を轟かせている。

マンダロリアン・アーマーは緑と赤と黒という、後のボバの纏うアーマーに似た配色。全体的に色が暗く、腕の一部が露出しているのが特徴。
かつては銀と青の塗装のアーマーを着用していたようだが、追放後に色を変えたらしい。
一応ヘルメットも所持しているが、付けるのは「本気の時」だけ。作中では何度も宿敵ジャンゴとの戦闘が勃発するが、彼がヘルメットを被るのは最終決戦のみとなる。


賞金首・犯罪者

  • ミーコ・ギンティー
チャプター1のメイン賞金首となる人物。ムッタニという爬虫類似の種族。
悪名高い脱獄犯で、ロザッタの宇宙基地にある闘技場でボルへクを遠隔操縦する不正を行っていた。
ジャンゴに追い詰められ宇宙船「ロングショット」号で応戦するが、船を破壊されて拘束された。

その後、惑星ウーヴォIVの刑務所で拘束されていたが、ザム・ウェセルの破壊工作に便乗して脱走。
ちょうど訪れていたジャンゴを殺そうとブラスター・キャノンを持ち出すが、返り討ちに遭い死亡した。


  • ジャービス・グルーム
チャプター2のメイン賞金首のひとり。首都コルサントにて、バンド・ゴラの製造する違法薬物「デス・スティック」を密売していた。
デス・スティックのルートを辿ればバンド・ゴラに辿り着けると考えたジャンゴに尋問された。


  • グロフ・ハウグ
チャプター2のメイン賞金首のひとり。ジャービスのボス。
ジャービスの尋問を基にジャンゴが工場まで追いかけるが、グロフ本人は先にモントロスにカーボナイト凍結で殺害されていた。


  • コナス・トレル
チャプター2の最後に対峙する相手。
緑色のトワイレックで、惑星ライオスの元老院議員を務めている。
衰退期の旧共和国にはありがちな典型的汚職議員で、グロフの行う犯罪をもみ消す代わりに報酬を受け取っていた。

コルサントの保安職員を蹴散らしてアパートに乗り込んできたジャンゴに対し「セボルト」がコルサントにデス・スティックを流していることを明かして助命を懇願するも、バルコニーから落とされて死亡する。
腐敗しているとはいえ元老院議員の殺害は大事ということで、彼を落とした直後にコルサント警察の武装ガンシップと戦闘になる。


  • ベンディクス・ファスト
チャプター3のメイン賞金首。セボルトに会うにあたっての手土産としてジャンゴが目を付けた相手。
元密輸業者だが、刑期短縮のためにセボルトを裏切って彼の組織に関する情報を垂れ流したため、セボルトから5万クレジットの賞金を掛けられている。

刑務所惑星ウーヴォIVにて囚人として生活していたが、ザム・ウェセルとジャンゴのいざこざに巻き込まれながら強引に脱獄させられる羽目に。
その後ジャンゴの活躍により脱獄自体には成功したものの、ザム・ウェセルによってボスのセボルトに突き出されてしまい、拷問を受けた。


  • セボルト
惑星マラステアを拠点とする犯罪王で、同惑星の知覚種族であるダグ。
マラステアは映画『ファントム・メナス』に登場したポッドレーサーの一人、セブルバの故郷であり、宮殿までの道中には彼の写真が飾られた実家と思しき家屋が存在する。

ベンディクス・ファストを連れてきたザム・ウェセルを気に入ってディナーに付き合わせたりしていたが、実はその裏でジャンゴの宮殿への侵入を手引きしていたことを知り激怒。
自分で殺してやると息巻いていたが、部下を全員殺害されたことで怖気づいて逃亡を図る。
しかし、地下のデススティック工場に繋がるパイプへ飛び込んだのが運の尽き、ジャンプに失敗して煮えた薬剤の窯の中に落下し、そのまま溺死した。

デススティックの大本はタトゥイーンのガーデュラ・ザ・ハットから仕入れており、工場奥の発着場には専用の輸送船が停泊していた。
輸送船にハット族のマークがあったことから、ジャンゴたちがタトゥイーンに向かうきっかけとなる。


  • ロンゴ・ツー・ガンズ
二挺拳銃を得意とする、自称タトゥイーン1の早撃ち名人。種族はクランターニ。
当時タトゥイーンを牛耳っていたガーデュラ・ザ・ハットの部下であり、ライバルのジャバ・ザ・ハットへ襲撃を繰り返していたためジャバに賞金を掛けられていた。
ポッドレーサーの格納庫で大量の部下と共にジャンゴを出迎えるが、全員返り討ちにされて自らはジャバへの手土産として突き出された。


映画でおなじみの緑色のでっかいヤツ。
本作時点では同族のガーデュラ・ザ・ハットとタトゥイーンの支配権を巡って争っており、相手がバンド・ゴラと手を組んだことでかなり手こずっていた。
バンド・ゴラを探すジャンゴとは敵対せず、タスケン・キャニオンを通れば宮殿に辿り着けることを教える。


当時ジャバとタトゥイーンを巡って争っていた、もう一人のハット。
バンド・ゴラと提携し、セボルトにデススティックを供給していた。
探りに来たザム・ウェセルを捕え、ジャンゴも拘束することに成功するが、ペットであるクレイト・ドラゴンに処刑させようとしたところジャンゴが脱走。
奪った装備を全部取り返された挙句に衛兵全員を返り討ちにされ、玉座にまで攻め込まれてしまう。

バンド・ゴラの場所を教えろと迫るジャンゴの尋問にも屈しなかった彼女だが、その罰として金庫の鍵を奪われ、クレイト・ドラゴンの前に突き落とされてしまう。
そのままドラゴンに丸呑みにされたが、その直後にジャンゴがクレイト・ドラゴンも討伐したため胃の中からなんとか生還した。

ドラゴンを制したジャンゴは彼女の金庫を捜索。その中から、バンド・ゴラの本拠地が記録されたコンピューターを手に入れることに成功した。


バンド・ゴラ

惑星ボグデンの衛星であるコルマを本拠地とし、銀河全域に危険な薬物「デススティック」をばら撒いた張本人。
その正体はかつてドゥークー伯爵のパダワンとして活動していた元ジェダイの女性。

「バンド・ゴラ」とは元々は惑星ボグデンの衛星コルマ(ボグデンの民により墓場として使用されていた)で盗掘者により結成された怪しいカルト教団であり、当時は銀河中への麻薬密売と暗殺、そして略奪と強制的な改宗を行う危険な犯罪組織として成長していた。
ジェダイは惑星バルティザーを轟かしているバンド・ゴラに現地政府の要請で交渉のために向かうが、交渉は決裂し派遣されたジェダイはほぼ全滅。パダワンの身でありながらドゥークーとの対立により家出してその中に密かに潜り込んでいたコマリ・ヴォサも、バンド・ゴラに捕らえられて過酷な拷問を受けてしまう。

しかし、拷問を受け続けていた彼女は次第にフォースの暗黒面を開花させていき、ある時ほかのジェダイ捕虜も巻き添えにして当時の首領を抹殺、ダークジェダイに転向する。
残った人員も自らのフォースを用い洗脳下に置くことで強制的に組織を乗っ取った彼女は、バンド・ゴラの新たな指導者となった。

その後は神経毒とフォースを組み合わせた大規模洗脳によって銀河規模の犯罪勢力として急成長を遂げ、シスの野望を妨げる障害として認識されるに至る。
具体的には、ナブーの汚職議員と結託して当時の暗黒卿のアジトに核ミサイルをブッ放して危うく殺しかける大事件を起こしている*2
もはや安易に謀略に利用できるような駒では無くなった彼女らは先代暗黒卿の暗殺成就後、ついに優先排除対象リストのトップに繰り上げ。現暗黒卿の命令を受けたティラナス…かつての師匠ドゥークーによって、その首に500万共和国クレジットもの大金が掛けられた*3


ガーデュラの金庫から本拠地を突き止めたジャンゴ・フェットによって本拠地に殴り込まれるが、大量の手下をけしかけて拘束することに成功。
しかし、追跡してきたザム・ウェセルの決死の攻撃によってジャンゴの拘束が解かれ、とうとう一対一の決闘に追い込まれる。
ライトセーバーを用いてジャンゴの殺害を目論むが、ブラスターによる熾烈な攻撃を防げず敗北。動けなくなったところを師匠直々に止めを刺された。

かつての同胞であるモントロスとの古い因縁と比べるとジャンゴとの関係は一見薄いように思えるが、本編の12年前に発生したガリドラーンにおけるトゥルー・マンダロリアンとジェダイ部隊の戦闘に参加したメンバーの生き残りである。
双方黒幕であるトア・ヴィズラに騙された身ではあるものの、ジャンゴにとっては同胞の仇と言えなくもない相手。
またこの戦闘で指揮を執っていたのは彼女の師匠ドゥークーであった。コマリ・ヴォサを討ち取った後にジャンゴは独学でティラナスがドゥークーであることを突き止め、一度ドゥークーの暗殺を試みたが、こちらは失敗に終わる。


シス

惑星ナブーの元老院議員にして、シスの暗黒卿。後の銀河帝国の皇帝となる老人。本作時点では、まだまだ銀河の裏で暗躍の最中。
ナブー危機を引き起こして最高議長を失脚させ、自らがその座に収まった直後の登場となる。

本作冒頭、ずっと邪魔だったバンド・ゴラをどうにかするつもりだったが、一向に対処しない新たな弟子ティラナスに業を煮やしてドライブ中にもかかわらず催促の電話を掛けてくる。
2人でちょっとモメた結果、クローン軍団のホスト探しというもう一つの計画と合わせて「バンド・ゴラを壊滅させた者の遺伝子をクローンに使用する」という一石二鳥の計画をアドリブで提案され承諾。
とりあえずティラナスに選抜を任せることにした。


ジェダイ騎士団に幻滅し、シスとなった元ジェダイ・マスター。本作では、「ティラナス」という名義でジャンゴへ討伐依頼を送る。
また、ラスボス撃破後にエンディングでも登場し、報酬を求めるジャンゴにとある提案を行う。

分離主義勢力への根回しとそれに対するクローン・トルーパー軍団の発注、両者の準備を同時に行う為奔走していたところ、第三勢力としてバンド・ゴラが台頭していることが発覚。
しかもその頭領は、よりによって失踪したはずの自分の弟子であった。
あまり気乗りしなかったドゥークー*4だがシディアスに催促されしぶしぶ承諾、自分の弟子に賞金稼ぎをぶつけてみて最強の兵士を探し出すことにする。

人選の仕事も全部投げられたので、とっ捕まえたマンダロリアンの生き残りであるサイラスを拷問にかけてジャンゴとモントロスという二人を候補として選出。
同じ依頼を二人同時に送り、因縁の相手とお互いに競い合わせた。

本編終了直後の後日譚『Open Seasons #4』では会談のためジャンゴと再び会うが、正体がかつての敵ドゥークーであることを突き止めたジャンゴに密かに致死性のウイルスを仕込まれる。しかしその手腕と用心深さすらも「クローンの始祖となるに相応しい」と称賛し、フォースで体内のウイルスを無効化した。
ジャンゴ自身もティラナスの態度を見て考えを改め、「ジャスターの遺産」を作り出すことを条件に遺伝子提供を承諾することにした。

また前日譚として、デスウォッチに騙されてジャンゴたちを滅ぼした「ガリドラーンの戦い」について、
「悪人にたやすく騙されて、その罪を背負っていない戦士団を殺戮し、しかもジェダイ騎士も過半数が死んでしまった」
と言う悲惨な結果を迎えたことを現場指揮官として非常に重く受け止め、以後は「ジェダイの正義」さえも信じられなくなってしまったことが、『Open Seasons #3』や『#4』、小説「ダース・プレイガス」などで描かれている。


『Open Seasons #2』登場キャラ

  • サイラス
ジャンゴやモントロスと同じく「トゥルー・マンダロリアン」の生き残りであり、ジャンゴの右腕として活動していた男。バイザー周りが青く、肩装甲の黄色く塗られたアーマーを着用しているのが彼。
年齢も近いためかボバの部下として随伴しており、ジャスター戦死の瞬間をボバと共に目撃。
モントロス追放の際にもジャンゴの側を支持し、モントロスを追放するため彼に銃を向けた。

組織がドゥークー率いるジェダイの攻撃により壊滅した「ガリドラーンの戦い」には居合わせなかったため数少ない「トゥルー」派の生き残りとなるが、組織再編は為せずに宇宙に散り散りとなってしまう。
その後は10年間逃亡生活を送っていたが、ある時ジャンゴの正体を探るドゥークーに拉致された。

拷問の末にジャンゴとモントロスの因縁をドゥークーへ明かすが、用済みとなったためドゥークーに薬物を注射され息絶えた。


「トゥルー」派の頭領であり、ジャンゴの養父。右腕のモントロスと共に凄腕の傭兵集団として活動していた。
略奪強盗何でもありの無法集団「デスウォッチ」と敵対していたが、彼らの策略に乗せられて惑星コルダ6へと降下。
予想外の敵襲により窮地に陥ったところをモントロスに見捨てられ、デスウォッチに討ち取られてしまった。

ジャスターを見捨てて逃げたモントロスは新たなリーダーを名乗ろうとするも、彼の最期を看取った養子ジャンゴの証言により信頼を失い追放されることが決定。組織はジャンゴへと受け継がれ、彼の船は「ジャスターズ・レガシー」と改名されてジャンゴの活動に用いられた。

ジャンゴは養父の死後も彼の名を称えるため、顔が知られていないのを利用して時折「ジャスター・メリール」名義で賞金稼ぎとして活動した。息子ボバも同じく祖父ジャスターの名を借りることがあり、死後もその名声は銀河に残り続けた。


「トゥルー」派の正反対の思想を掲げ、行く先々を荒らしまわる原理主義過激派集団「デスウォッチ」の頭領。
ジャンゴにとっては両親・姉・養父・同胞の仇であり、『Open Seasons』全編における最大の悪役である。
当初ジャンゴの仕掛けた爆弾により戦車ごと爆死したと思われていたが、どっこい生きており惑星コルダ6で罠を張っていた。
奇襲攻撃によりジャスターとモントロスを窮地に追い込み、モントロスが逃げたことでジャスターを討ち取ることに成功した。

ジャンゴが組織を受け継いだ後も「トゥルー」派壊滅のために暗躍し、惑星ガリドラーンでは現地政府と結託することでジェダイに偽の救援を要請。彼らを「トゥルー」派にけしかけてジャンゴ以外のほぼ全員を殺害させることに成功する。
しかしそれから2年後、ジャンゴの執念深い追跡により惑星コレリアで宇宙船を破壊させられ、1対1の決闘に持ち込まれる。激しい攻防の末に隠しナイフで腹部を切り裂かれ、血の匂いを嗅ぎつけた猛獣に捕食されるという壮絶な最期を遂げた。

彼の死後も組織としての「デスウォッチ」は存続したようで、死亡から約20年後のクローン戦争中にも同組織の暗躍が確認されている



生物

  • ボルヘク
本作最初に戦うことになる敵。闘技場で戦っていた個体で、ブラスターにある程度耐えられる頑丈な皮膚を持つ。
行動自体は単純だが、ジェットパックを失っているためやや戦いにくい相手。


  • ネクスー
でかいネコのような見た目のクリーチャー。惑星マラステアのジャングルに生息している。EP2にも登場。
動きが素早く、攻撃も強力な手強い相手。


  • デューバック
映画でおなじみのずんぐりとした騎乗動物。タトゥイーンの街を練り歩いている。
ダメージを与えることができない。


  • ロント
EP4の特別編で登場した首の長い騎乗動物。タトゥイーンの街を練り歩いている。
ダメージを与えることができない。


  • マシフ
タスケン・キャニオンで多く出没する、犬っぽいクリーチャー。
移動速度が速い上にとびかかり攻撃も行う為、意外と強敵。


処刑装置としてEP6でもおなじみの、砂漠の蠢く大穴。
タスケン・キャニオンの砂丘に生息しており、おそらく処刑のために訪れたであろうガーデュラの部下が上空にセール・バージで停泊している。
NPCを落下させれば即死させられるが、ジャンゴが落下しても1ミスとなる。


  • クレイト・ドラゴン
タトゥイーンに住む大型爬虫類。ガーデュラ・ザ・ハットが飼っており、処刑に使用していた。
彼女が飼っていたのはキャニオン・クレイト・ドラゴンと呼ばれる小型種で、典型的なドラゴンっぽい見た目をしている。
タトゥイーン編ではボスとして登場。地響きで転倒させてくる攻撃が厄介だが、どちらかというとドラゴン本体よりも四方八方から飛んでくるロケットのほうが脅威。



装備

  • マンダロリアン・アーマー
ブラスター攻撃を弾く銀色のアーマー。輝いているのは装備を奪われた際にコレクションとして磨いて飾られていたからで、本来は灰色に赤の色で塗られていた。
腕部ガントレットを始めとして様々な機能が内蔵されているハイテクな代物。


  • WESTAR-34 ブラスターピストル
ジャンゴの主力武器となる二挺のブラスター・ピストル。
ゲーム本編では弾数無限の基本装備として、序盤から最終盤まで活躍する。
ロックオン距離こそ短いものの非常にブレが少なく、照準モードでは狙撃にも使える便利な代物。
欠点は威力の弱さだが、手数の多さでカバーしよう。


  • ジェットパック
マンダロリアンがアーマーとセットで着用する、ロケットランチャー付きジェットパック。
序盤とタトゥイーン編前半、ガーデュラに拘束された後を除くほぼ全てのステージで使用可能。
流石にずっと飛べてしまうとゲーム性が壊れるためか、3秒ほどで燃料が切れるようになっている。減った燃料は地上にいる間にチャージされる方式。

映画同様に非常にもろく、ちょっとした衝撃ですぐどこかへ吹っ飛んでいく。


  • バイザー
ヘルメット内蔵の分析装置。賞金首を突き止めるのに使用できる。
発見した賞金首をロックし拘束または殺害することで初めて賞金を獲得可能。逆に、バイザーを使う前に殺してしまうと賞金首を倒したとは見做されない。
アイデア自体は良いが切り替えが面倒なため、本作の賞金稼ぎシステムがめんどくさいと言われてしまう原因。


  • ファイバーコード・ウィップ
賞金首を生きたまま拘束する際に使用する、ガントレット内蔵のワイヤーケーブル。
拘束状態で近付いてアクションボタンを押すことで生け捕り扱いとなる。
メディア作品でもよく出てくる、マンダロリアンの定番装備のひとつ。


  • 火炎放射器
定番の武装のひとつ。火炎を前方に噴射して敵を燃やす。
火のついた敵は逃げ惑い、やがて焼け焦げて死に至る。
燃料がジェットパックと共通、使用中は移動不可など扱うには癖が強いが、近接攻撃のみの敵には効果てきめん。
特に、終盤で素手で襲い掛かってくるバンド・ゴラの大群に対しては非常に効果的な武器となる。


  • セーバーダート
映画でザム・ウェセルを葬るのに使用された注射器内蔵の毒矢。ガントレットから射出する。
正確にはカミーノ・セーバーダートというめちゃくちゃレアな代物であり、この時点でジャンゴが持っているのはおかしいのだがそのあたりはご愛敬。
相手を一瞬で葬るが、使用可能本数は非常に少ない。


  • スナイパーライフル
正式名称未設定のブラスター・ライフル。中盤以降は遠距離戦が増えるため、これを温存するのとしないのとで難易度が大きく変動する。
かなり遠くまでズームでき、大抵の敵を一撃で射殺可能。その分弾はレアなので、どう使うかが悩ましい。


  • 重ブラスターキャノン
一部ステージで取得可能な使い捨ての重機関銃。高威力かつ連射速度もかなりのものだが、使い終わると捨てられてしまう。
また、サイズがデカいので微妙に取り回しも悪い。これが手に入るということは大量の敵が出てくる合図なので、存分に乱射しよう。


  • サーマル・デトネーター
敵が使うと厄介だが、プレイヤーにとってはやや使いにくい武器。
挙動は一般的なゲームにおける手榴弾と同じで、投げて数秒後に爆発する。



余談

  • リマスター
本作はコンシューマ機で発売された作品であるのは先の通りであるが、当時PC向けには発売されておらず、スター・ウォーズゲームの中では遊ぶにはややハードルの高い部類として知られていた。
その後、海外では14年後の2016年にPS4のPlayStation 2 Classicsシリーズとして配信されたが、シリーズ名通りPS2版をそのまま移植したものとなっている。

しかし、発売から22年が過ぎた2024年、『Star Wars: Knights of the Old Republic』のスマホ移植などで知られるゲーム会社Aspyrによるリマスター版が発表。同年8月にリリースされた。
当時最新ハードであるNintendo Switch、PlayStation 4、PlayStation 5、Xbox One、Xbox Series X|Sに加え、念願のPC版もSteamおよびGoG.comで発売された。
ゲームプレイの改善はもちろんのこと、実績機能や特典漫画なども余すことなく収録し、いつでもジャンゴの冒険を追体験できるようになっている。

なお、本作のPS2版では本来クリア特典として「主人公の外見がボバ・フェットになるオプション項目」が用意される予定だった。
開発スケジュールの都合で残念ながら収録されなかったのだが、なんとリマスター版ではこの項目がついに実装。
クリア後にタイトルのオプション画面から選択することで、ボバ・フェットとして遊ぶことが可能になる。








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最終更新:2024年12月09日 17:19

*1 ILMによる本編映像のゲームへの流用などは当時既にあった

*2 まぁ結果的にそうなっただけでコマリ・ヴォサ自身はその事実を知らなかったし、その核ミサイルを配下に強奪させて暗殺しようとしたのは暗黒卿の弟子だったシディアスなのだが…

*3 道中に出てくるチンピラ賞金首はおおよそ3000クレジット程度が相場であり、高いものでも6000クレジット程度。彼らと比較すると、この額の大きさがよく分かる

*4 シディアス曰く、ドゥークーは一度はコマリを襲撃できる機会があったらしい。しかしドゥークーは手を出さなかった。本人は「利用価値はあるかと思って見逃した」とのことだったが……