ザム・ウェセル

登録日:2024/02/23 Fri 19:00:00
更新日:2024/02/26 Mon 19:02:41
所要時間:約 20 分で読めます






あんたジャンゴ・フェットね!? うわさは聞いてる。
ザム・ウェセルよ


ザム・ウェセル(Zam Wesell)とは、『STAR WARS』シリーズのキャラクター。
美しい女性の賞金稼ぎだが、実は変身種族である。
ジャンゴ・フェットと組んで任務に就く。

ちなみに苗字については「ウェセル」と発音する場合と「ウェ()ル」と発音する場合とがある。

彼女の設定についてはほとんどがレジェンズ分類となっており、カノン設定にとどまった情報は少ない。
本稿では基本的にレジェンズ設定の情報を記述する。

▽目次


【風貌】

「でも、なんでファストを届けたらセボルトがわたしを引き留めるの?」
「奴は美人に弱い」
「……♡」

変身種族クローダイトの女性。惑星ゾラン出身。
普段は赤茶色の髪を短く刈った白人女性としての姿を好んで取っている。ふっくらした頬や紅を引いた唇、鋭い目つきなど目を引く美人。
しかし本来は爬虫類に近い種族。肌は不気味な灰色で目玉がぎょろつき、鼻は大きく、鼻梁に切り込みが入り、頬がこけているという不気味な姿
彼女がこの本来の姿を見せることはめったにない。素性を探られないためという理由もあるだろうが、美意識も絡んでいそうである。
その気になればどんな姿にも化けられるが、普段は上述した人間の姿を取っている。

任務中には紫色の戦闘服を着込む。これは彼女が変身しても(ある程度までなら)外れたり壊れたりしないよう作られた特注品。また顔の下半分を薄布で覆うこともあった。


【性格】

「賞金もらうまで離れないって言ったはずよ!? 運べるだけ目一杯もらうからね!」

スターウォーズ世界において賞金稼ぎとは、ならず者やごろつき、腕自慢の乱暴者がなだれ込む職業である。
オーラ・シングボスクのように感情をすり減らし、冷酷な殺人機械のごとき人格になるものも珍しくない。

そんな世界にあって、ザム・ウェセルは珍しいぐらい感情豊かで活発な性格をしていた。
かなりの自信家で、時には向こう見ずなほど。
それ故、銀河の名だたる賞金稼ぎや悪党どもでも恐れを為すバンド・ゴラに対しても、却って好奇心を燃やして関わろうとした。
ジャンゴに「お前なら目標を足止めできるだろう。奴は美人に弱いからな」と言われて喜んだり、逆に「パートナーなんかじゃない、勝手についてきただけだ」とあしらわれると睨みつけたりと、感情をわかりやすく出す。


一方で、任務に就けば冷静さや忍耐力を見せる。
変身能力を誇りにするだけあり、潜入や工作、扇動など搦め手を得意としており、長期間演技をして相手の懐に入り込む忍耐力はかなりのもの。
明るく感情豊かであるのも、さまざまな姿・役職の人間を「演じる」ためには必要な素質である。レジェンズのコミックでは「おしとやかな女性」「困窮した老人」「活発な若い女性」「妖艶な踊り子」などいろんな役を演じ、見事に相手をだましている。
例えばオーラ・シングが変身能力を持っていても、あの性格では「明るい女性」「おしとやかな淑女」などは演じられずすぐにボロが出るだろう。
獲物を狙うときには殺戮を厭わないため、そういう点でも賞金稼ぎらしい性格をしている。

また彼女の動機は一貫して「カネを稼ぐこと」にあり、暗い復讐心や過剰な闘争心などはなく、こだわりもない
そのため、一度は自分を牢獄にほったらかしたジャンゴが敵に捕らわれていると、躊躇せず拘束台を破壊して助けている。この時銃を向けられたジャンゴは明らかに身構えており、並みの賞金稼ぎなら「牢獄に捨てた報復」で殺しに掛かると見ていた模様。
ある事件では、放っておくとコルサントが消え去ってしまうと知るや、ジャンゴを説得して賞金抜きで事態解決を図ろうとする、お人好しな面がある。
無法者ながらもそれなりの楽しみを見いだす性格でもあり、著名な悪党や銀河の血なまぐさい歴史に関する書物を好んで読んでいたという読書家の一面もあったらしい。

そういった面が、ジャンゴなど他の賞金稼ぎとチームを組めるという彼女らしい特性にも繋がるのだろう。
カノンのコミックではあのオーラ・シングとも連携できている。
幼いボバにとっては姉や母のような存在だったらしく良く懐き、またジャンゴもなんだかんだで彼女には好意を持っていた模様。

それだけに、そんな彼女を最後は自分の手で始末しなければならなかったことは、たとえあの場合やむを得なかったにせよ、フェット親子にそれぞれショックをもたらした。


【能力】

「警備兵がいっぱいいるのよ。こうなったら何かに……変身(●●)するわ」

クローダイトの種族的特性として変身能力を持ち、彼女はこれを自分の最大の武器として駆使した。
本来、クローダイトの変身はかなりの苦痛とそれなりの時間を伴う。しかしザムはこの能力をひたすら訓練し、鍛え上げ、ほとんど苦痛を見せず一瞬で変身できるようにした。
また一般のクローダイトは、他者の完全なコピーはなかなかできない。まあ無理もないことで、そのイメージする姿に化ける以上、他人の姿を一目で完全に覚えてイメージを組み上げるのは難しいだろう。
しかしザムはその完全なコピーができた。ある人物に化けたときには、その同僚たちと自然に会話し、長いあいだ間違えられたほど。

そもそもレジェンズ小説『ダース・プレイガス』に登場する医療ドロイド11-4Dによれば、クローダイトの変身は皮膚の形状や質感を変えることだけに限定され、例えば背中に翼を生やすとか巨大化するとかの、骨格を無視した変身はできないとされる。
ところがザムは、クローダイトや人間とは根本的に骨格の異なるダグに変身でき、両腕で歩いて両足で物を持つことさえできた。
あるエピソードでは腕を2~3メートルほどの長さに伸ばして、落下した目標物を拾い上げたこともあった。
またクローダイトの変身はあまり長い間続けられないとか、意識を失っている間は元に戻るとか言われているが、ザムはそのいずれも克服しており、寝ている間も人間の擬態を続けられた。

あまりに規格外であり、一部の能力はシィード*1に近いとして、正体を疑われていたらしい。

ただ、いくら彼女でも衣服だけは変化させられない。
そのため潜入任務に当たっては着替えを別途用意しておく必要があるし、潜入が終わった後いつもの戦闘服に着替える手間もいる。
更衣室が常にあるわけでもないので、時には路上で生着替え、なんてこともするようだ。


「スナイパーライフルを貸してくれない? 借りを返してあげる」

変身能力が彼女の一番の武器であることは確かだが、そのほかの戦闘技術や分析能力も高い。
さすがに戦闘民族マンダロリアンのリーダーを務めたジャンゴには及ばないが、賞金稼ぎ全体の水準で見れば彼女も充分に一流。
故郷にいたころは古流武術を習得している。基礎を鍛えているため、遠近双方で高水準な身のこなしを見せる。

射撃スキルも高い。
好みは近距離用のブラスターピストル(モデル番号KYD-21)で、その腕前はジャンゴを捕えた拘束具の留め具を正確に狙撃するほど。
長距離狙撃用のブラスターライフルも使うことができ、崖の向こう側の敵も狙い撃ちできる。
ただ、さすがにジェットパックまでは持っておらず「崖は登れないのよ」とのこと。
また射撃スキルそのものも、ジェダイ騎士すら討ち取るジャンゴ・フェットやオーラ・シングには及ばない。

スピーダーや戦闘機の操縦スキルも充分あり、一度はアナキンのスピーダーを振り切ったこともあるほど。
見るからに奇妙なスレーヴⅠも「こんなの見たことないわ」といいつつ乗りこなしていた。

「バンド・ゴラはデススティックにニューロトキシンを混ぜてる。そうなれば効き目が上がって商売繁盛って寸法だ」
「瞬間洗脳かぁ。斬新な方法ね」

科学技術に詳しいところもあり、バンド・ゴラの麻薬成分を説明されただけでその目的に当たりを付けている。
その知識と潜伏スキルを使って毒殺をすることもあった。


【来歴】

◇前歴

ミッドリムにある惑星ゾランの出身。
少女時代、彼女は惑星ゾランの現住種族ゾランダーの武道家に弟子入りし、古流武術「マバリ」を習得、優れた戦闘技術を身につけた。
しかしその成長と同時に、ザムは故郷に対する反発心を抱くようになる。

もともと惑星ゾランにはゾランダーしかいなかった。
しかしある時ゾランダー内部で突然変異が起き、変身種族クローダイトが誕生。
ゾランダーはクローダイトを「変種」「化け物」と見なして収容所に隔離・迫害したが、クローダイトも脱出。あるものはゾランダーに紛争を起こし、あるものは世界各地へと散っていった。

最終的に師匠のゾランダーたちからもクローダイトと言うことで追放された彼女は、故郷を離れて銀河系へと飛び出し、変身能力や独特の戦闘技術を駆使して用心棒や工作員として活躍。多くの資金も稼いでいった。
小柄で美貌の女性に化けることで、いろいろな意味で人脈も築いていく。美人に弱いのは全世界共通である。ジャンゴも認めている。

実は稼ぎの一部は、故郷ゾランにおけるクローダイト独立主義勢力に送金していたらしい。

なお生年は不明だが、後述する32BBY時点で賞金稼ぎとしては駆け出しだったこと*2から、年齢はかなり若いと見られる。
一説には51BBYの生まれでEP1及びバンド・ゴラ戦で19歳、EP2で29歳とも言われる。


◇バンド・ゴラ

「ねえ、どうやってそんな仕事にありつけたの? 賞金はいくら? お・し・え・て!」

32BBY、惑星ナブーで通商連合による武力封鎖が起き、それが解決してまもなくの時期。
ザム・ウェセルは5万クレジットの賞金首ベンディクス・ファスト捕縛の依頼を受けていた。依頼主はダグ*3の犯罪王セボルト。
しかしベンディクス・ファストの身柄は小惑星オーヴォIVの刑務所にある。
ザムは刑務所に潜入して催眠ガス弾を牢獄に放り込んで彼を縛り、さらに脱出の目くらましとして他の囚人たちも解放した。恐らく変身能力を使って看守に化けたと思われる。

ところが、そのベンディクス・ファストを狙ってジャンゴ・フェットも刑務所に潜入していた。
ザムとジャンゴがそれぞれ暗躍したためにお互いの計画が失敗してしまう。ザムは刑務所の補給船に乗れなくなり、ジャンゴは自分の乗ってきた船を刑務官の戦闘機に破壊された。
二人は一触即発の空気となるが、ファストが「もうこうなったら一蓮托生だろ!!」と悲鳴を挙げたことで、やむなく両者が手を組むことになる。

二人は予定通り脱出に成功*4し、ベンディクス・ファストを依頼主のセボルトに引き渡した 哀れなファストは拷問を受けた が、ジャンゴと話したザムはその口ぶりから、彼がセボルトよりもっと大きな依頼を受けていたことを悟る。
以後はその「より大きな報酬」を狙ってジャンゴと手を組む。密かにセボルトの背後関係を探るジャンゴの陽動としてセボルトのディナーに付き合って情報を盗んだり*5、狙撃でジャンゴを支援したり、強敵モントロスに苦戦するジャンゴに「スレーヴⅠ」で駆けつけ敵の乗っていた船を撃墜したりと、活躍する。

怖いもの知らずと言うこともあって、ジャンゴとモントロスの会話から聞いた「ヴォサ」という名から、ジャンゴの真の狙いが麻薬密売組織バンド・ゴラの首領コマリ・ヴォサと悟り、歓喜しながら一緒に働くことにした。

……が、タトゥイーンの犯罪女王ガーデュラ・ザ・ハットの宮殿に潜入した際に衛兵に見つかってしまい、捕縛される。
ジャンゴは追ってガーデュラの屋敷に侵入しザムの独房にも来たが、「今ここでザムを解放するとガーデュラ一味が気付く」として彼女を独房に残すと決めた。
しかしザムとしては冗談ではない。もしジャンゴが敗れればザムは逃げる間もなくクレイトドラゴンの餌になるし、ジャンゴが勝ってもそのまま置いて行かれる可能性がある。それでなくとも、ジャンゴがガーデュラと戦えば、短慮を起こした衛兵が逃げられない彼女を殺すことも考えられた。なにせ単純なガモーリアンや粗暴な賞金首がうようよいるのだから。
それを無視して進もうとしたジャンゴに、ついに怒ったザムはいきなり警備兵を呼び、ジャンゴは為す術なくガーデュラに捕えられてしまった。
ガーデュラは上機嫌となり(どうやったのか彼女が変身種族であることも見抜いた模様)、とりあえずジャンゴが敗れても処刑されないようにはなる。

しかし、ジャンゴは拘束を突破してクレイトドラゴンの巣穴から抜け出し、逆にガーデュラと一味を撃破。
さすがのザムも気まずげに「アンタがアタシを見捨てるから……」と言い訳。
ジャンゴもさすがに不信を煽った自覚はあったらしく殺しはしなかったが、彼女を助けることはせず独房に残したままタトゥイーンを発った。
しかし、一度は手を組んだ相手に結局裏切られたことはロザッタも同情している。それはそれとして恋敵が失陥したことは喜んだが。


ただ、時間は掛かったが最終的にザムも牢獄から脱出。
どうやったのか、ジャンゴが向かったバンド・ゴラの本拠地、惑星ボグデンの衛星コルマまで追いついた*6
彼女が来たときには、ジャンゴはコマリ・ヴォサのフォースグリップにより捕えられて拷問を受けていた。
ザムは背後からコマリを撃とうとしたが、相手は元ジェダイフォース使いであり、壁の後ろに隠れていたザムの気配にも気付いていた。

「さあ出ておいで」

奇襲が通用しないと悟ったザムはやむなく正面から対峙し、バンド・ゴラの側近を素早く撃つが、二本のライトセーバーを抜きフォースで弾道を読み切るコマリにはブラスターは通用せず、銃弾を跳ね返されて肩を撃たれる。
悠然と迫るコマリ・ヴォサの、赤い光刃が振り下ろされる……寸前、ザムはコマリの背後で拘束されていたジャンゴの枷をブラスターで狙撃・破壊した
コマリがジャンゴの拘束台のすぐ近くにいればブロックされただろうが、コマリが近づいたために背後をすり抜けたブラスター弾に対処できなかったのだ。

解放されたジャンゴは必死にブラスターを拾って反撃し、コマリを一時的に後退させる。
しかし被弾したザムは立てない。いや、一流のフォース使い相手にザムでは力不足だった。しかしジャンゴなら、かつて惑星ガリドラーンでコマリ含む二十人のジェダイと戦った経験がある。

「彼女は任せたわジャンゴ……これで……貸しはなしね!」
「じっとしてろ! ここを動くな! ……すぐ戻る」

ジャンゴは奥の瞑想室でコマリ・ヴォサと一騎打ちを繰り広げ、ついに彼女を討ち取る。
ザムは戻ってきたジャンゴに抱きかかえられて、スレーヴⅠへと運び込まれた。

◇戦間期

「ザム、モントロスを覚えてるか? ハンターの」
「忘れられない相手ね。どうしたの? ジャンゴ」
「モントロスも手強かったが……奴との戦いが懐かしいぜ」
「あら、どうして?」
「殺人鬼は狂人よりも手が掛からん」

バンド・ゴラの討伐は終わり、依頼人からの賞金も分け合い、仕事を終えたザムは、いったんジャンゴと別れた。
しかし広いようで狭い暗黒街のこと、二人が出会う機会はよくあったし、何ならザムがカミーノにあるジャンゴの部屋を訪れることも多かった。
27BBYには、二つの任務で共闘する。しかし、前半での二人はタイミングが最悪だった。

犯罪組織ブラックサンの幹部アントニンと、同じく幹部ドレッドン・ザ・ハット*7がお互いの暗殺をはかり、ザムはアントニンと、ジャンゴはドレッドンと契約締結。ほぼ同時にお互いの目標=お互いの依頼主を暗殺し、二人とも報奨金を取り逃がした。二人は大喧嘩になってしまう。
ちなみに、ドレッドン暗殺のため潜入した彼女はハットのハーレム団に紛れ込むため、EP6のレイア並みの金属ビキニ姿になっていた……ハットの趣味だろう、多分。彼女の魅了のための姿ならそれはそれでおいしい


それから程なく、ジャンゴとザムはまたも組んで任務に当たった。
依頼は「シャアの幼児(The Infant of Shaa)」なる名前の、小さな金色の像を探して欲しいというものである。
名前が既視感ありすぎるが、赤い方は「Char」、こっちの金色は「Shaa」なので無関係ったら無関係。
というか「幼児」の神像を抱きかかえている巨大女神像が「シャア」である。

依頼主はアヌーダットと言う星系の将軍アシャール・コルダ(Ashaar Khorda)*8で、彼はその秘宝を「セイロットと言う種族に盗まれた」と言っていた。賞金は5万クレジット。
ちなみに依頼主は最初ジャンゴとザムの関係を知らず別口で依頼したため、現地で鉢合わせた二人は(前回のこともあり)一触即発となったが、毒虫に噛まれたザムをジャンゴが見捨てられなかったことで結局組むことになる。

ところが、ザムやジャンゴは知らなかったが、この「シャアの幼児」なる醜悪な金色の像はただの飾り物ではなく、古代人種が作り上げたフォースの制御装置であった。
「盗まれた」と言うのもでたらめで、これは本来セイロット人が作った物。彼らは現在では知性も衰退した原始人的な存在だが、遠い昔はフォース感応者が大勢を占め、あたかもかつてのシス帝国のように高度なフォース技術を持っていた。
そしてアシャール・コルダは、このフォースの遺産を使って「コルサントを消滅させる」と言う執念を持っていた。
コルダは数年前に故郷アヌーダットで革命を起こそうとしたが、共和国の介入もあって敗北・失脚した。それを逆恨みした彼は、この秘宝を使ってコルサントの地下に入り、星の核めがけてこの秘宝の持つフォースのパワーを注ぎ込み、星を消し飛ばそうとしたのだ。

任務を終えてさっさと帰ったジャンゴに対して、残って後調べをしていたザムは、このコルダの計画を知った。
ザムはすぐさま惑星カミーノのジャンゴの邸宅に駆け込み、事態を説明、計画を止める必要があると説得した
ちなみに、ザムがジャンゴの息子・ボバと対面したのはこの時が初めてである。
ジャンゴは当初「依頼があるわけでもないだろ。コルサントが滅んだところで、俺には関係ない」「息子には俺が必要なんだ」と動こうとしなかったが、ザムの「コルサントに、ボバのような子がどれだけいると思うの」(放っておけばみんな孤児になるか、粉微塵になる)という言葉は効いた。
ジャンゴ自身、悪党どもによって家族を殺され、孤児になった身の上だったからだ。
やむなくジャンゴはザムとともにコルサントに出張り、コルダを捜索。ザムはコルダの腹心のダグに化けて足取りを追った。

ちなみに、偵察を終えたザムはジャンゴのもとに帰還し復命するのだが、骨格から異なるダグから人間形態に戻ったため、一度全裸になってから服を着て再武装する羽目に。

「ちょっと、レディが着替えてるのよ。紳士なら背中を向けるとかなさいよ」
「着替えなんてかわいらしいもんじゃないだろ。そもそもレディなんて玉か」
「そりゃそうだけど」


さて、実はこのアシャール・コルダの陰謀を察知し、追っているグループがもう一つあった。ジェダイ騎士団である。
ジェダイ最高評議員も務めるヤレアル・プーフはジャンゴ、ザムとほぼ同じタイミングでコルダを発見、三者が同時にコルダ一味に襲いかかった。
追い詰められたコルダ一味は一斉に銃を抜くと激しく抵抗。さらにコルダはこの場で「シャアの幼児」を起爆させようとした。
ヤレアル・プーフは突撃を掛け、起爆寸前でコルダの右手をライトセイバーで切り落とす。しかし、彼が神像をフォースで拾い上げようとした瞬間、コルダの左手がナイフを抜いてヤレアル・プーフの胸を突き刺した
一方、神像は起爆寸前状態のまま床を転がり崖から落ちる。星の核に向かって爆発する……

と思われた次の瞬間、ザムが変身能力を使って腕を二メートルほどに伸ばして神像をつかみ取り、爆発寸前のそれをヤレアル・プーフに渡した。アシャール・コルダはジャンゴがとどめを刺す。
老ジェダイは死力を振り絞って神像のフォースの流れを押さえ込み、間一髪爆発を食い止めたが、ナイフが心臓を貫いていたこともあって直後に死亡した。

ザムとジャンゴは小型神像「シャアの幼児」をセイロット人の「女神シャアの巨大神像」に戻して再封印。
その後は一度カミーノのジャンゴ邸に戻ったが、彼女はすぐに別れた。とはいえ、去り際には彼にキスをしてジャンゴを驚かせた。

「ねえジャンゴ。賞金の絡まない、ただ正しいことために働いたって言うのはどんな気分?」
「給料がもらえる仕事を探したいぜ」
「ねえ、お願いよ。あなたは自分で思い込んでいるよりも、冷たくはないわ」


以後もザムとジャンゴは仕事を共にするようになる。

時期は不明だがフーロ・ホロワンという女性科学者を確保する任務を一緒にこなしたこともある。
この科学者はバトルドロイドに詳しく、来る独立星系連合の結成に必要な新型ドロイドの開発にぜひ欲しい人材であった。
ドゥークー伯爵は(ティラナス名義で)ジャンゴに依頼。ザムは現地で彼と出会い、協力することになった。

実はこの時、ホロワン博士はテクノユニオンの幹部ワット・タンバーが差し向けた賞金稼ぎクラドスクとその息子ボスクに狙われていた。ジャンゴとザムは二人を阻みながらホロワン博士の確保に奔走。
ザムは変身能力を存分に生かし、狙われるホロワン博士、速度違反をした弱々しい老人、刑務所の警備員、商人、と次々に姿を変えて、博士の護衛や狙ってくるボスクたちを突破しつつホロワン博士を確保。
ジャンゴに引き渡し、その身柄はやがてドゥークー伯爵に雇われることとなる。


◇パドメ・アミダラ暗殺計画

「やったと思ったけど、影武者だったわ」

22BBY、ジャンゴ・フェットはドゥークー伯爵の仲介で、通商連合の総督ヌート・ガンレイから依頼を受けた。目標はパドメ・アミダラの暗殺。
ジャンゴはこれをザムに下請けさせた。

彼女はナブーに向かうとナブーの役人や整備士などに変身。パドメの移動スケジュールと使用される船を調べ、またろくでもない新聞記者に接触すると言葉巧みに「パドメ議員の不正を暴くために盗聴装置を仕掛けてみたら?」とそそのかし、その装置も用意した。
バカな記者は(美人に持ち上げられて気を大きくしたこともあって)その「盗聴装置」、実際は時限爆弾をパドメの船に据え付け、自分も乗り込んだ。
パドメの船はコルサントに到着直後に爆発。直接工作した記者も同時に吹き飛んだ。

しかし、肝心のパドメ・アミダラは生き残った。彼女は出発寸前、警備隊長の強硬な意見によって護衛のスターファイターに乗り換えていたためである。
幸い、共和国側はこれをザムの暗躍とは見抜けず、彼女は再挑戦を決意。パドメの宿を調べ上げて破壊工作用ドロイドと毒虫のカフーン*9二匹を差し向けた*10
不寝番をしていたR2-D2も毒虫の接近に気付かなかったため、あと一歩のところであった。

ところが、一度目の失敗を受けた共和国はパドメの護衛にジェダイ騎士のオビ=ワン・ケノービアナキン・スカイウォーカーを派遣。毒虫はアナキンに斬られ、ドロイドはオビ=ワンに飛びつかれた。
ドロイドがオビ=ワンも一緒に戻ろうとしているのを見たザムはドロイドを狙撃・破壊してオビ=ワンを空中数千メートルの高さから落とし、自身はスピーダーに乗り込んで撤収を図る。

しかし、オビ=ワンは間一髪、アナキンが調達したスピーダーで回収。ジェダイ二人は全速力でザムを追う。
一度は振り切ったが、アナキンは並外れたフォース感知能力で数千メートル下のザムを発見、飛び降りるという自殺まがいの攻撃で彼女を奇襲した。
アナキンはライトセイバーをコックピットに押し込み、ザムも激しく抵抗するが、ついに操縦系統が破壊されてスピーダーは墜落。
ザムは目の前のバーに逃げ込み群衆に紛れ、姿を変えてジェダイに反撃を企画した。

しかし、ここで逃げを打たなかったことが彼女の最大のミスとなる。
ザムはオビ=ワンの背後から迫ったが、気配をフォースで察知していた彼のいきなりの反撃を受けて右腕を切り落とされ、さらにアナキンにも捕縛されてしまった。

路地裏に引き出された彼女はジェダイから尋問を受ける。
十年以上賞金稼ぎを続けてきた彼女はもちろん黙秘を通そうとしたが、アナキンは殺意も露わに彼女に迫る*11
ザムは敗北を認めて口を割りかけたが……

次の瞬間、奇妙な吹き矢が彼女の喉元に突き刺さった。

矢から放たれた毒は一瞬で彼女の全身に回り、クローダイトの真の姿を見せたザム・ウェセルはそのまま息を引き取った。
ジャンゴとしては可能ならば助けたかったが、もうあの状態ではどうにもならないとみて、せめて「苦痛を感じない毒」を使ったという。


◇死後

ザムの死、およびジャンゴによる粛清を聞いて、もっとも動揺したのはボバだった。彼は彼女になついており、母親ではないとは分かっていたが、彼が母性に近いものを感じるのはザムであったからだ。
しかも長い付き合いの彼女を父が殺したというのは、まだ九歳の彼にはすぐには飲み込めなかったという。
実のところ、手を下したジャンゴも内心の動揺は抑えきれなかった模様。

またジャンゴが使った毒矢は、それを解析したオビ=ワンによってカミーノまで攻め込まれる切っ掛けとなる。


【余談】

EP2の担当女優はリアンナ・ウォルズマン。
彼女の撮影シーンは比較的初期から始まっていたのだが、「ザム・ウェセルは変身種族」というのは撮影もほとんど終わったスケジュール後半になってから決まったらしく、当初は担当女優さえ詳しいことが分かっていなかったとか。
また、初期の脚本では変身種族と言うことはもちろん、賞金稼ぎですらなく、企業同盟の兵士という予定だったらしい。





「急いで! 時間がないわ。アニヲタが追記・修正を終えたら、きっとあたしは呼ばれるわ。あんなバケモノとデートするのはまっぴらよ!」

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最終更新:2024年02月26日 19:02

*1 クローダイトと同じ変身種族。しかし肉体を完全に変形させられ、大きさや体格まで自由自在という上位互換。ただし非常に希少。

*2 「お前新人だろ」と問うジャンゴに彼女自身も「何で分かったの? 名前を知られてないから?」と否定していない。

*3 EP1に登場したセブルバの種族。馬のような顔にひげのような触覚を生やし、両腕で歩いて両足で物をつかむ。

*4 ジャンゴがファイアスプレー級特殊攻撃艇「スレーヴⅠ」を入手したのはこの時。

*5 実は欲情され口説かれたが、さすがにダグの犯罪王の愛人になる気はなく必死に逸らしていた。曰く「あんなバケモノとデートするなんてまっぴらよ!」

*6 どうやったのか本当に不明。この情報はロザッタが調べ、モントロスが攻め込み強奪、ジャンゴは死にかけのロザッタから直接受け取った。通信を介して送信されてはおらず、またロザッタの宇宙ステーションもジャンゴ脱出直後に爆破されたため、それから追ってきたザムはどうしてもロザッタ由来の場所を調べられないはずである。ガーデュラの屋敷を徹底的に調べたのだろうか。

*7 武器商人でもあり、不良在庫をさばくためジャバの知恵を借りたことがある。ガーデュラ・ザ・ハットの項目参照。

*8 正確にはその部下がジャンゴたちに直接依頼した

*9 惑星インドウモドに起源を持つ猛毒の節足動物。強力な神経毒を持ち、噛まれれば体内に致死量の毒が注入され、人間の場合数分で死に至る。

*10 この毒虫をもらう場面で、映画EP2の日本語訳ではジャンゴに対して敬語を使っている。おそらくスピンオフなどの掘り下げがまだだったので「部下」のようなイメージで翻訳されたのだろう。

*11 この時のアナキンはフォースの暗黒面に片足を突っ込んでいたとも言われる。