歴史に残る悪女になるぞ

登録日:2024/12/23 Mon 00:29:09
更新日:2025/04/15 Tue 15:35:30
所要時間:約 8 分で読めます




ちょっとズレた令嬢の悪役転生記

歴史に残る悪女になるぞ』は、大木戸いずみによる日本のライトノベル作品である。
サブタイトルに「悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!」と併記されている。
小説家になろう」より2018年12月から連載されている。
書籍版はビーズログ文庫(KADOKAWA)より2019年8月より刊行されている。(既刊7巻)。
イラストは早瀬ジュン。

略称は「歴悪


【概要】

小説家になろうに掲載されている異世界転生作品である。
昨今の「なろう」界隈ではトレンドの1つとなっている悪役令嬢ものである。
乙女ゲームに出てくる悪役令嬢に憧れた主人公が、不慮の事故でその令嬢に転生し、文字通り「歴史に残る」悪役令嬢を目指して奮闘するというものである。

悪役令嬢は、主人公ヒロインに対して嫌がらせを仕掛けたり、攻略対象のイケメンキャラを奪おうと画策したりと、プレイヤーキャラからは「嫌われもの」とされることが多い。
しかし、自身の意見をはっきりと持ちつつ、アクティブな行動ができるという点では作中の主人公にあるように、理想の女性像を見出すような感覚があるのかもしれない。
併せて、いわゆる保守的な女性キャラとは異なる主人公(ヒロイン)として物語引っ張る存在になりうる存在であることも、悪役令嬢にスポットが当たりやすい理由とも言えよう。

とは言え、本作の主人公であるアリシアは悪役令嬢としては独特である。本人は理想の悪役令嬢になろうとしているのだが、どうも価値観がズレている節がある。ちなみにそれは原作者からも突っ込まれており、なろう版の最初にもその旨の記載がなされている。

シリーズ累計部数は140万部を記録している。

メディアミックスとして保志あかり作画によるコミカライズ版が「B’s-LOG COMIC」にて連載されている。
また、テレビアニメ版が2024年10月から放送されている。

【あらすじ】


ヒロインにありがちな“いい子ちゃん発言”が
大嫌いだった私が転生したのは、
大好きな乙女ゲームの悪役令嬢アリシア。
念願叶って転生したからには、

歴史に残る世界一の悪女になってやる!

そのためには強くて頭もよくないといけない!
── と努力しただけなのに、
悪役令嬢として頑張れば頑張るほど
周囲は予想外の反応で……。

はたしてアリシアは
歴史に残る悪女になれるのか!?

(テレビアニメHPより引用)

【キャラクター】

(主人公)

・ウィリアムズ・アリシア
CV:中村カンナ
「私の夢は歴史に残る悪女になることだから!」
本作の主人公。
デュルキス国の貴族の令嬢。生前は乙女ゲームなどを嗜む少女であったが、交通事故によりこの世を去ることになる。しかし、幸か不幸か、憧れだった悪役令嬢のアリシアに転生することになった。
歴史に名が残る悪女になるべく、幼少期より鍛錬を重ねた結果*1、驚異的な身体能力や多彩な魔法を行使することが出来るチート主人公並の能力を手にして、目の前の難題を解決していく。魔法のレベルに関しては規格外ともいえる90にまで達しており、底知れぬ才能をうかがわせる。

彼女の理想とする悪役令嬢は世の中で発生する出来事や人々の境遇に対して、理詰めで解決策を模索する「現実主義」を重視している。このため、理想主義を掲げるリズに対しては「お花畑」と糾弾して理詰めで追い詰めていく。こうした振舞はリズの友達や取り巻きを中心に反発されることになるのだが、彼女の発想を好意的にとらえるデュ―クやジルといった理解者は多数いる。*2
ただ、アリシアが求めているのは一方的に論破するのではなく真正面から提案や理想とその実現方法について議論をぶつけ合う事なので、リズがどれだけ論破や現実をぶつけられても理想を捨てない事を望んでいる。
要は形式は政治や論争だが、リズに対して「俺は俺より強い奴に会いに行く」とでも言わんばかりの戦闘民族に近い思考で相対している。

また、こうした考え方が国王の目に留まり、理想主義者であるリズのお目付け役に任されるほどになった。
本人はそれを悪役令嬢としてはこの上ないシチュエーションとして全力で遂行しようとしている。
時に空回りしていたり、悪役令嬢の基準や価値観についてピントがずれていたりすることもあるが、他者の幸せをドライな言動を交えつつも叶えようとする優しさがあり、魅力的なキャラに仕上がっている。

(主要人物)

・シーカー・デュ―ク
CV:石川界人
「着けていてくれていたんだな」
デュルキス国の第一王子で王位継承者である。
アリシアが前世でプレイしていたゲームだと攻略対象者の1人にあたる。
ヒロイン以外には微笑まないことから、「氷の王子」と呼ばれている。

それくらいにクールな性格の彼が、アリシアといる際は後ろで彼女の振舞を微笑ましくみて「こいつはおもしれー女」だと思っている。

彼女の現実的な考えに共感しつつ、どんなことにも持ち前の凛々しさでぶつかっていく彼女を好意的に思っている。普段他人に興味を持たない彼もアリシアには特別な感情を秘めている。誕生日にはダイヤモンドのネックレスをプレゼントしている。
普段は悪役令嬢として振る舞うアリシアもデュークの前だとタジタジになる。しかし、自身はデュ―クに対する感情が分かっていないことから、ツンデレに近い態度をとって照れてしまうことが多い。

・ジル
CV:高橋李依
「外の世界って、本当は綺麗なんだ」
魔法によって隔離されたロアナ村*3の少年。
村人に迫害されて重傷を負っていたところをアリシアに助けられた。
両親はすでに他界している。
アリシアに才能を見出され、魔法学園でリズの監視役を請け負ったアリシアの従者として付き従うことになる。
最初は身分違いの環境に身を置くことに戸惑いを感じるも、アリシアと行動していくうちに彼女の支えになるくらいに成長していく。
もっとも、突飛な言動する彼女へのツッコミ役も担えているように見える。

・ウィル
CV:家中宏
「さて、何を知りたいのかな」
ロアナ村で暮らしている老人
故あって、失明している。差別されている村の人々の中で博識かつ深い洞察力を持っている。
王国の貧困問題をさらに知って理想の悪女になろうとしていたアリシアが内密に訪問した際、彼と出会い、村の惨状を教えた。

アリシアにとって、自身の話を親身になって聞いてくれるウィルを尊敬しており、いつしか彼の力になりたいと考えるようになる。
レベル90にまで魔法レベルを成長させたアリシアは自身の片目をウィルに移植する魔法を行使し、片目ではあるが、ウィルは視力を回復することが出来た。*4

・キャザー・リズ
CV:石見舞菜香
「それでもやっぱり理想を追うことを諦めたらいけないと思うの」
アリシアが前世でプレイした乙女ゲームでは主人公にあたるキャラクター
他作品ではこういったキャラにイメージが近い。
乙女ゲーム主人公らしく、誰にでも分け隔てなく接する優しい乙女。
そうした振舞の結果、周囲は彼女を「聖女」として持ち上げていったとされる。
彼女自身はアリシアと仲良くしたいとアプローチをかけているが、アリシアは理想主義を掲げる彼女の主張に反目して、対立することもある。
なまじ周囲の人間はリズをほぼ無条件で肯定したり、リズの行動は最終的にリズの知る範囲では成功を収めてしまうという主人公補正により、リズはアリシアに会うまで衝突や失敗を経験していないため、アリシアの言う「お花畑」な自分の言動に疑問や振り返り・改善を考える機会が無かった。

やがてそうしたアリシアとリズの対立から生じる溝が段々と周囲を巻き込み軋轢やトラブルを生むこともある。しかし、リズとしてはアリシアの現実的な主張を理詰めで言われたことについて、振り返ろうとする殊勝さも持ち合わせている。アリシア側にとっても「論理されたからと言ってあっさり折れたり歪まれては悪女になる張り合いが無い」ので好意的に受け止められている。

「たとえ馬鹿みたいでも、全員が幸せになる世界を作りたい」

(攻略対象キャラ)

・ウィリアムズ・アルバート
CV:逢坂良太
ウィリアムズ家の長男で、アリシアの5歳年上の兄。
とても落ち着いて気品のある雰囲気だが、リズと接してからは取り巻きのようになってしまい、結果彼女のイエスマンみたいな存在に。

・ウィリアムズ・アラン
CV:天埼滉平
ウィリアムズ家の次兄。
ヘンリとは双子で兄とされている。リズの取り巻きになってからは彼女と対立するアリシアを毛嫌いし、やがてそうした振舞がヘンリとも距離を置かれることになってしまう。

・ウィリアムズ・ヘンリ
CV:石谷春貴
ウィリアムズ家の3男
アランとは双子の弟とされている。アランと違い、アリシアのことを大事に思っている。
リズに意見したアリシアの姿を見て、自身のあるべき姿を思いなおし、それ以降はアリシアのことを気に掛ける良き兄になった。

・ハドソン・エリック
CV:伊東健人
五大貴族であるハドソン家の息子である。
リズの取り巻きの1人で、直情的なきらいがある。
この結果、リズをめぐってアリシアと対立することもある。

・スミス・フィン
CV:村瀬歩
五大貴族であるスミス家の息子
飄々としており、中世的な顔立ち。よって人気も高い。

・エバンズ・ゲイル
CV:千葉翔也
五大貴族であるエバンズ家の息子
その風貌の通りクールで冷静沈着なキャラクター

・ケンウッド・カーティス
CV:岡本信彦
五大貴族ではないが、デュ―クらと親しくしている友人。彼も攻略対象の1人である。
紳士的かつ友好的な性格。

(その他)

・シーカー・ルーク
CV:子安武人
デュルキス国の現国王である。
アリシアの現主義的な根拠の基づいた考えに共鳴しており、彼女の聡明さを信じて、理想主義な主張をするリズのお目付け役(監視)としてアリシアを特例として13歳という年齢で魔法学園に入学させた。*5

・ウィリアムズ・アーノルド
CV:興津和幸
アリシアの父親。
何かと無茶をするアリシアのことを心配しており、国王がアリシアに出した依頼についても内心は反対している。

・レベッカ
CV:大久保瑠美
ロアナ村出身の女性。
放火によって全身大やけどを負ってしまったが、アリシアの魔法によって一命をとりとめる。しかしながら、右足は壊死していたことから、切断せざるを得なかった。*6
それ以降は助けてくれたアリシアへの恩義も含め、良き理解者となり、ロアナ村で何が起こっているのか、その現状の情報収集に努め、アリシアに報告している。

・メル
CV:本渡楓
アリシアの学友。実はデュ―クの部下で諜報部員。
アリシアのことをはじめ情報収集を行い、何かあった時にはデュ―クがいつでも動けるようにしていた。
メル自身もアリシアにゾッコンである。

【テレビアニメ版】

2024年10月より放送された。
監督は柳瀬雄之 シリーズ構成は平林佐和子
アニメーション制作は MAHO FILM
ビーズログ文庫原作のアニメは本作が初である。
原作通りの進行でアリシアが転生してから魔法学園へ入学し、悪女として奮闘する様を描いている
物語の進行で様々な事情のために容姿を変えていくアリシアの変化を楽しむ声もあったとか。

OP:「バッドゥドゥドゥ」
Liyuuによるオープニングテーマ。
ED:「わっちゅあね?」
来栖りんによるエンディングテーマ。

追記・修正は悪女として後世の歴史に名を残した時にお願いします。

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最終更新:2025年04月15日 15:35

*1 最初は兄から剣術を学ぶ条件として言われた腕立てや腹筋を回数を重ねるうちに短い期間で余裕でこなせるようになっただけでなく、様々な動きが出来るようになった。

*2 反面、愛国心が薄いという印象を抱かれ危険視する貴族もいる模様である

*3 犯罪者等の追放先と周囲から言われている。このため、村は満足な支援を受けられず、王国の貧富の差を象徴するような場所になっているとされる。併せて村人への差別意識も強い。

*4 一方でこれによりアリシアは隻眼になり眼帯をすることになった。本人はあまり気にしていないようだが。デュークはアリシアのいわば捨て身な振る舞いに憤ってしまったことがある。

*5 本来、魔法学園は15歳からの入学が基本となっている

*6 さすがにその際は彼女も激痛に耐え切ることが出来なかった模様。後にアリシアに魔法で痛みは抑えてもらった