運命の火時計(遊戯王OCG)

登録日:2025/01/26 Sun 21:30:33
更新日:2025/02/22 Sat 11:55:26
所要時間:約 10 分で読めます




運命の火時計
通常罠
カード1枚のターンカウントを1ターン進める。

「運命の火時計」とは遊戯王OCGの1枚。
初出は「Pharaonic Guardian -王家の守護者-」。
カード1枚のターンカウントを1進める効果を持つ。
また、読みだけだと勘違いしそうになるが、「日時計」ではなく「火時計」である。


概要

「ターンカウント」と言う聞き慣れない単語に戸惑った人も多いかもしれないが、それもそのはず、遊戯王OCGでこの単語が用いられているカードはなんとこのカード1枚しか存在しない

そういった単語が含まれている関係でテキスト自体は特別長い訳ではないが、効果は少しわかりにくいものになっている。


字面だけを見るとターンスキップをして同じフェイズに戻ってくるという芸当が出来る様にも見えるが、このカードの効果としては「○ターン後に~する」という一定のターン経過後、もしくは「○ターンの間、~する」という指定された数のターン中に特定の処理が行われるカードに対して、そのカードの効果適用までの経過ターン数を1上乗せするものになっている。
(ターンの数え方には「自分→相手→自分→…」の他に「相手ターンで数えて(=相手→相手→相手→…)」などのパターンがあるのだが、「運命の火時計」では数え方そのものは基本的に問わず、適用が出来る仕様になっている。)


該当するカードの例としては

通常魔法
このカードは発動後、フィールドに残り続け、相手ターンで数えて3ターン後の相手エンドフェイズに破壊される。
(1):このカードの発動時の効果処理として、
相手フィールドに裏側表示モンスターが存在する場合、そのモンスターを全て表側表示にする。
(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、相手モンスターは攻撃宣言できない。

が挙がる。
この様に、相手が自分に対して特定のターンの間デメリットを強いる様なカードに対してこのカードを使う事でその拘束期間を短くすることが出来る。

この効果について、より掘り下げていくと以下の様な内容になる。


①:適用済みの効果に対して効果を使用できる。

このカードは既に適用されている効果に対しては効力を発揮できるが、適用されていない状態、例えば発動直後にチェーンしていきなり対象のカードのターンカウントを1減らした状態から適用できるという訳ではない。

これだけならばこの「運命の火時計」自身が発動タイミングなどに制約がない効果である事から、単純に発動後に使えばいいだけなので使い勝手はそう変わらない様に感じるが、そうはいかない事例というものもある。


通常罠
(1):自分フィールドの攻撃力2500以上の闇属性モンスター1体をリリースし、カードの種類(魔法・罠)を宣言して発動できる。
相手フィールドの魔法・罠カード、相手の手札、相手ターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、その内の宣言した種類のカードを全て破壊する。


このカード自身はターンをカウントする効果を持っているため、運命の火時計を発動できる裁定になっているのだが、もしこのカードの発動時に効果対象として罠カードを宣言された場合、発動時にはまだ破壊効果は適用されていないため発動は出来ないが、適用後はチェーンすら許されずに破壊されてしまう、という厄介な状態になってしまう。
しかも適用中はドローによって手札に加わっても破壊されてしまうため、どうしても使いたい場合ドロー以外の方法で手札に加えてセットするか、効果によって直接フィールドにセットして発動するかのどちらかを強いられる事になる為、注意が必要である。


②:対象を取らない効果に分類される。

①の様な内容もあってこのカードの処理は非常に特殊で、対象のカードが既に場になく残存効果だけが残っている状態でも、適用しようとしている処理が効果としては扱われない、効果外テキストによる処理であってもその内容に干渉してターンカウントを上書きできる。
例えば

通常罠
(1):自分フィールドの攻撃力2000以上の闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。
相手フィールドのモンスター、相手の手札、相手ターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、その内の攻撃力1500以下のモンスターを全て破壊する。

上記カードは運命の火時計の効果が適用できるカードになっているが、効果が適用されている時には対象のカードは既に場にない。
しかし運命の火時計を使って経過ターン数を増やすこと自体は出来る。
そして、「対象が場にいない」状態での発動もできるようにする都合上、このカードの効果は対象を取らないものとして扱われる。
これは発動後残り続けて特定のターン後に、もしくは特定のターンの間適用される効果というものが非常に少なく、ごく一部のモンスターや上記の光の護封剣、類似カードの悪夢の鉄檻などのカードにしか使えなくなってしまう事になり、非常にシビアな条件となってしまう点を考慮した結果この様になったものと考えられる。


③:「発動後、○回目の(特定のタイミング)に~する。」と言う効果のカードには適用できない。


永続魔法
このカードは発動後、2回目の自分スタンバイフェイズに破壊される。
(1):このカードの発動時の効果処理として、相手フィールドに表側表示モンスターが存在する場合、そのモンスターを全て裏側守備表示にする。
(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、相手フィールドのモンスターは表示形式を変更できない。

光の護封剣の派生カードとして似た効果を持っているこのカードだが、こちらは運命の火時計を使うことは出来ない。
と言うのもこのカードは「特定のターン数」ではなく「特定のフェイズの経過回数」などを参照しており、これらは運命の火時計の効果の適用対象ではないため、上記のような結果になっている。
実際、特定のフェイズだけをスキップするようなカードが使用されることで、上記の2つの数が一致しなくなるため、これらは別々の概念であるというのも自然と言えば自然である。

テキストからは読み取りにくいが、上記の観点で考えると納得しやすい……かもしれない。


④:適用対象が複数あっても、その中から1つを選択して適用する。

カードのテキストの通り「カード1枚」のターンカウントを上書きする効果であるため、適用済みの効果がいくつかある場合でもその中から1つを選択してターンカウントを変更する必要がある。

ただしこれは日本での裁定であり、海外版の「運命の火時計」では「カード1枚」にあたるテキストが書かれていないためか条件を満たす効果全てに対して効果を適用するというものになっており、状況次第では日本版よりもかなり強い動きになる事が出来る。


使用法

ここまで効果について書いてきたが、「特定のターン経過後に効果が適用される」「特定のターンの間、効果が適用される」カードは元々数が多くない。

過去の環境であれば光の護封剣などの対策として使うことも出来たが、現在では光の護封剣の採用率はかなり低くなっており、環境で使用される対象のカードはせいぜい罠カード主体のデッキでウイルス系のカードが使われるくらいに留まっている。

そのため、このカードを活用する場合、自分が用意したカードに対して使用するのが確実な使用法となる。
しかしウイルスカードや光の護封剣を自前で用意した場合、特殊な状況でもなければ効果を使っても相手への拘束効果の期間を短くするだけのデメリットとなってしまう為、使用する効果は必然的に相手に損害を与えるカードではなく自分が利益を受けるカードになる。
昔から知られる有効な使用先としてはこのカードが挙げられる。

通常魔法
(1):2000LPを払って発動できる。
発動したターンを1ターン目として数えて20ターン目のターン終了時に自分はデュエルに勝利する。

自分相手の計20ターン=往復10ターンの経過後にデュエルに勝利する効果を持つ子のカードに対して使うと、勝利効果までに必要なターン数を1減らすことができる。

他にも副次的な効果として、このカードの効果が適用された場合、(「終焉のカウントダウン」における)20ターン目のターンプレイヤーが入れ替わるという点がある。

何も発動していない場合は20ターン目は相手ターンになり、行動の主導権は相手に握られている状態になるが、このカードが1度使用された場合、20ターン目は自分ターンになるため、相手に主導権を握らせる機会を減らすことができ、このカードの運用の難易度が幾分下がる事に繋がる。

ただ、ターンを1つ減らしただけでは焼け石に水である上に、現代の高速化された環境では20ターン = 往復10ターンもターンが続くことは滅多にないため、何度か使う事でターン数のカウントを稼ぎ、特殊勝利までのタイミングを少しでも早めるのが有効になる。

因みにこのカードを何度も使用する事で1ターンで終焉のカウントダウンの経過ターン数を20ターン分揃える事も可能になっている。
しかし終焉のカウントダウンと運命の火時計以外に準備しなければならないカードが多い関係上、あくまで理論上可能と言うレベルの話である。

現実的に使うならば単純な発動だけでなく、

通常罠
(1):「ラビュリンス・バラージュ」以外のセットされた通常罠カードを自分が発動した時に発動できる。
このカードの効果は、その通常罠カード発動時の効果と同じになる。
このカードの発動後、次の相手ターンの終了時まで自分の効果で発生する相手への効果ダメージは0になる。

ジャンク・コレクター
効果モンスター
星5/光属性/戦士族/攻1000/守2200
フィールド上に表側表示で存在するこのカードと自分の墓地に存在する通常罠カード1枚をゲームから除外して発動する。
このカードの効果は、この効果を発動するためにゲームから除外した通常罠カードの効果と同じになる。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。

通常罠
このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):LPを半分払い、「トランザクション・ロールバック」以外の相手の墓地の通常罠カード1枚を対象として発動できる。
この効果は、その通常罠カード発動時の効果と同じになる。
(2):墓地のこのカードを除外し、LPを半分払い、「トランザクション・ロールバック」以外の自分の墓地の通常罠カード1枚を対象として発動できる。
この効果は、その通常罠カード発動時の効果と同じになる。


などの罠カードの効果をコピーできるカードと上手く併用することで、特殊勝利の成立を早めることができる為、デッキの構成要素としてうまく活用していきたい。


裁定等について

ターンカウント追加の処理について、今でこそ裁定が固まりつつあるが昔はやはりどのような効果になるのかが定まっていなかった部分が多く、2012年……つまりこのカードがOCG化されて10年ほど経った時点での、このカードの使用法の裁定で「そもそもどのカードに対して発動できるのか、その他すべてにおいて調整中」というあまりにもブッ飛んだ裁定が下されていた。
さすがに3日程で別の裁定が出たが。

また、現在でも裁定に関しては処理が詰め切れていない部分があり、例えば「終焉のカウントダウンのターンカウントが20ターン目の際に運命の火時計を使用し、ターンカウントを21にするとどうなるのか?」といった処理上の問題などに対して明確な対応方法が決まっていない。

基本的な使用法に関する裁定についても現在では使用方法が固まった事で解決しているため、上記の裁定などについても今後具体的な対応等が決まっていくと思われるので、動向を気にしつつこのカードの活用について考え、実際に使用していくのがいいだろう。


余談


  • このカードはトーナメントパック2010 Vol.4にて一度再録され、現在絶賛稼働中のゲーム、遊戯王マスターデュエルにも収録されている。古いカードがマスターデュエルに習得される場合、テキストの内容にメスが入り、効果内容が平易化されることがあるのだが、このカードに関しては珍しく、効果のフォーマットが一新されて効果番号が付与されたりした点以外は元のテキストからほぼ変わっていない状態で再録がなされている。



追記・修正は運命の火時計を用いることで終焉のカウントダウン発動後21ターン目の世界に迷い込みながらお願いいたします。



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最終更新:2025年02月22日 11:55