登録日:2025/01/29 Wed 16:42:00
更新日:2025/02/15 Sat 23:41:09
所要時間:約 5 分で読めます
『リアルバウト餓狼伝説』は、1995年12月にSNKが製作、稼働、販売した格闘ゲーム。
【概要】
『餓狼伝説』シリーズ第5弾。
餓狼3が不評だったことを受けたのか同年に発売された。
餓狼3をベースにゲームシステムが根幹部分から大幅に見直されて全体的に遊びやすくなっており、前作を敬遠していた多数のユーザーにもある程度受け入れられた。
不評要素の一つだった『3』からの新コスチュームは元に戻されなかったが。
…が、とあるバグの発覚により(後述)当時は悪い意味でも注目されてしまう事に。
本作のシステムをベースに「リアルバウト」シリーズとして以降も作品が登場している。
【物語】
餓狼3で完全復活、秦の秘伝書を全て揃えた
ギース・ハワードが「キング・オブ・ファイターズ」を開催。
前作のボスキャラや復活キャラを交えて、それぞれの思いを胸に大会に参加する…といういつものパターン。
テリーとアンディのみギース戦後に特殊演出が導入され、ストーリー的にもテリーの勝利でギースが死亡するのが正史となっている。
以降も悪夢とか幻とかでしょっちゅう出てくるけど
【システム】
今までの操作が一新され、Aがパンチ、Bがキック、Cが強攻撃、Dがスウェーに振り分けられており、強攻撃にパンチ・キックの区別が無くなった。
特にスウェーは移動・対スウェー攻撃ともにレバー入力の有無+Dボタンのみで発動するようになり利便性が大幅にUP。シリーズを通じて問題となっていた「別ラインへの逃げ」への対策もある程度容易になっている。
また、攻防や連携に組み込まれるようになったスウェー対策にラインを越えて効果がある必殺技なども登場している。
また本作のみ「リングアウト」が採用されている。画面両端が水辺などのエリア外となっており、画面端で吹き飛んでしまうとエリアから落下、体力差に関係なく負けとなってしまう。最初は障害物があるが一定回数ぶつかると壊れてしまい、次のラウンドでもそのままになっている。また最初から障害物が存在しないステージもある。
そのため、理不尽に負けたという印象が拭えず概ね好評な本ゲームながら大きな不満点に。
そのためか、次回作『RBSP』では障害物が壊れると吹き飛んだ相手が気絶する程度に留まり、更に次の『RB2』では障害物そのものが廃止された。
他にもパワーゲージやゲージを消費して発動するガードキャンセル、コンビネーションアーツの大幅な追加、空中振り向きなど多くのシステムが導入・改善されている。
また、体力ゲージが2本分の表示となり、コンボや超必殺技を当てた時に気持ちよく減るのが爽快感に一役買っている。
【CPU戦】
ステージがサウンドビーチ→ウエストサブウェイ→イーストサイドパーク→サウスタウンブリッジ→ギースタワーと3戦ごとにサウスタウン各所を移り変わるようになっており、初代を彷彿とさせる構成となっている。
ステージ11と12の中ボスは山崎→ビリー、ラスボスはお馴染みのギース。
これまでのシリーズ作におけるCPU戦では、初代餓狼伝説を除いて全ての登場キャラと戦っていく総当たり戦形式になっていたのだが、今作で遂に廃止され、最初にボスキャラ3名を除いた13名中10人と戦い、その後にボスキャラという形式に変化している。
登場順は、テリー→ダック→崇秀→マリー→ジョー→双角→アンディ→ボブ→舞→フランコ→キム→崇雷→ホンフゥ→テリーのローテーション。
【バグ】
本作の初期ロットには特定の操作をする事でデバッグモードがONになってしまい、体力やパワーゲージに関係なく超必殺技と潜在能力が撃ち放題になるというとんでもないバグが混入していた。
対戦バランスは崩壊、ハイスコアも潜在能力を連発するだけで既存のスコアを軽く更新してしまったため、ゲーム雑誌は早々に集計を打ち切ってしまう事態に。
しかもこのバグ、一度起きてしまうと電源を入れようが設定をリセットしようがずっと発動したままになってしまう。一度誰かが入力してしまったが最後、対戦ツールとして機能しなくなってしまうという事態に陥ってしまった。
その後すぐにバグを修正したROMと差し替えで対応された。
【登場キャラクター】
■
テリー・ボガード
CV:橋本さとし
本作の主人公。
前作で削除されたライジングタックルが復活。
■
ジョー・東
CV:
檜山修之
ギースを倒してもビルから落下しなくなり、完全に主人公の座から降ろされたムエタイチャンプ。
こちらも爆裂拳が復活している。
■
不知火舞
CV:曽木康代(現:曽木亜古弥)
おっぱい忍者。
潜在能力は「レオタード忍蜂」。レオタードに着替えると忍蜂の威力が上がるらしい。何故だ。
■ギース・ハワード
CV:コング桑田
本作のラスボス。前作は通常キャラだったが今作で再びボスキャラへと返り咲く。
同時に余りの人気から『餓狼伝説』シリーズの“真の主人公”と公式に定められた。
餓狼シリーズでは生存している最後の作品。
相変わらずコマンドは難しいが、超必殺技のレイジングストームがラインを跨いで当たるようになり非常に強力。
隠し潜在能力として『龍虎の拳2』にて登場していたデッドリーレイブが実装。
乱舞技は当時には既に定番の超必殺技として定着していたが、以降のSNKの格ゲーでおなじみの「目押し系乱舞技」の先駆けとなった。そして、そのせいで本来の潜在能力のサンダーブレイクの存在意義が微妙な性能もあってか残念なことに。以降の登場でも省みられることがない。
ギースとビリーでのCPU戦で出てくるギースは影武者で威厳もどこかへ飛んでいる。
■ボブ・ウィルソン
CV:森川智之
爽やかなパオパオカフェ2号店の店長。
相変わらず足癖が悪く通常技が強力。
■フランコ・バッシュ
CV:B.J.Love
ジュニアを取り戻して元気になったキックボクサー。
本作でもまだシリアスなキャラ。
やる気満々になったのか永久コンボを身に着けた。アカンがな。
永久無しでもヒットさせると手前ライン側へ追いやる地上対空技「パワーバイシクル」、念願の飛び道具である「メテオショット」、発生が速く隙が少ない超必殺技「ファイナルオメガショット」など性能が強い技が目白押し。
おそらくフランコさんが一番強かった時期。
■
ブルー・マリー
CV:生駒治美
おっぱいエージェント。
MVS版のみ、水場にリングアウトしながらも勝利すると上着が脱げて胸がモロ見えになる。
CPU戦だと7戦目以降に出てくるとかなり手強い。
■ホンフゥ
CV:森川智之
博多弁のクンフー刑事だっちゃ。
「炎の種馬」とか「爆発ゴロー」など変な技が色々追加されてネタキャラぶりが加速。
■望月 双角(もちづき そうかく)
CV:石井康嗣
不知火流と敵対する望月流の坊さん。相変わらず胡散臭い。
空蝉の術みたいな攻撃を身に着けてちょっとだけ忍者っぽくなった。
CPU戦だと7戦目以降に出てくるとかなり手強い。
■山崎 竜二(やまざき りゅうじ)
CV:石井康嗣
闇のブローカー。本作でもまだ大人しめの性格。
前作に続き、今作も中ボス。秦兄弟より上位の扱いになった。
超必殺技と潜在能力で相手を画面端に追い込みやすい。
でも画面端で発動すると自分が先にリングアウトする。
前作の家庭用でも使用可能だったが、蛇使いが追加入力式だったりと面倒くさい仕様だったのが改められて後の『KOF』シリーズにも通じる仕様になった。
■秦 崇秀(じん ちょんしゅう)
声:山口勝平
秦兄弟の弟の方。前作の表ボスだったが今作は通常キャラに格下げ。
帝王漏尽拳が空中でも出せるようになった。
対空技の天耳拳が常に多段技になった。
瞬間移動などによる逃げや奇襲がやたら強い。
■秦 崇雷(じん ちょんれい)
声:山口勝平
秦兄弟の兄の方。前作の真ボスだったが弟と同様に通常キャラに格下げ。
天耳拳が単発技に、神足拳が打撃技となって投げなくなったが空中ヒットでもカス当たりしないと、崇秀との差別化が進む。
潜在能力が強い。デバックON基盤でこの技連発した人多数。
■
キム・カッファン
声:橋本さとし
『
餓狼SP』から復活。正義のテコンドー使い。
本作でギースに偽善者疑惑がかけられて以降、偽善者扱いされる事が増えた。
今作での飛翔脚がロック形式ではなくなったり、鳳凰脚のフィニッシュも蹴り上げの際に鳳凰のエフェクトが出現する『風雲スーパータッグバトル』のキム・スイルを演出になったりと、以降のシリーズ作品にもちょくちょく使われる内容が見られている。実質、今作で彼自身の方向性を固めたと言っても過言ではない。
なおリアルバウトシリーズのキムは道着の背中に韓国の国旗が刺繍されており、ニュートラルで背中向き、ダウンがうつ伏せとやけに韓国アピールが強い。
■ダック・キング
声:コング桑田
『餓狼SP』から復活したストリートダンサー。伝家の宝刀ブレイクスパイラルは健在。
空中からの攻撃だったり追い打ちだったりと今まで以上に良く回るようになっている。
踊るだけの潜在能力でプレイヤーを困惑させた。
■
ビリー・カーン
声:山西惇
『餓狼SP』から復活したギースの側近。中の人は
暇課長。
山崎の後に戦うことになる中ボス。
ガードキャンセル対応技がよりによって潜在能力。攻めても守っても強い。おそらく今作最強キャラ筆頭。
今作の彼はバンダナの中身がハゲからフサフサの金髪になっていたり、衣装デザインも背中に禁煙マークがデザインされたガンズ・アンド・ローゼスのボーカル担当のアクセル・ローズ氏を彷彿とさせる物になっていたりと、以降の作品でもお馴染みになる要素が多い。同じく復活キャラのキム同様に方向性を固めたと言っても良いだろう。
【移植作品】
ゲーム性の見直しが功を奏して人気を得たのか、セガサターン、プレイステーションで発売された。
現在はアケアカNEOGEOとしてアーケード版が各ハード、及びPCでプレイ可能となっている。
追記・修正はギースをビルから落とした人がお願いします。
- 最初の決戦では迷いのない殺意を叩きつけて因縁にけりをつけたテリーが、ここでは思わず手を差しのべてしまう… -- 名無しさん (2025-01-29 17:50:31)
- ギースを使えばラスボスはテリーになる…と見せかけて、ビリーと同じく自分の影武者を始末する展開に -- 名無しさん (2025-01-29 22:49:53)
- ゲーム的には大問題だがお手軽にエンディングが見られるという意味ではありがたかったデバッグモード -- 名無しさん (2025-01-30 17:19:19)
最終更新:2025年02月15日 23:41