登録日:2025/03/05 Wed 16:44:40
更新日:2025/05/12 Mon 17:23:56
所要時間:約 11 分で読めます
E3系新幹線電車は、JR東日本が保有する新幹線電車である。
本稿では、本形式をベースとした総合電気検測車両のE926形についても解説する。
概要
1997年3月に開業する
秋田新幹線の開業に向けて開発されたミニ新幹線の車両である。
同時期に登場した
E2系共々汎用性を重視した形式で、秋田新幹線のほか
山形新幹線にも導入され、観光列車に改造された編成も登場した。
デザインはGKインダストリアルデザインが担当。
車両解説
車体はアルミ合金製となり、最高速度はE2系と同じ275km/hに引き上げられた。
制御方式はVVVFで、前期がGTO式、後期がIGBT素子を使用。
前面形状は量産先行車(R1編成)が窓の上に4灯の前照灯、2灯の後部灯が配置される400系に近いものだったが、
量産車ではトンネル内微気圧波対策が考慮された柔和な形状となり、前照尾灯は前面窓下のライトケースに二つに分けて収められた。
前面部分のワイパーは当初1本だったが、0番台R16編成以降の増備車は2本となった。
パンタグラフはシングルアーム式で、2両にわたって碍子カバーが設置される。
量産先行車では下枠交差式パンタグラフや装備し、新幹線区間・在来線区間で高さを変えられる可動式パンタグラフカバーを搭載していた。
車内は400系と異なり、グリーン車は定員確保の観点から2+2列に変更されている。
また、0番台は長距離を走ることからゴミ箱に圧縮機能が装備されている。
番台別解説
秋田新幹線向けのグループで、編成記号はR。
塗装はセラミックホワイトとメタリックグレーのツートンにビビットピンクの帯を入れる。
当初は5両編成で運用されていたが、利用者数の急増に伴い1998年にR17編成が6両で増備され、それまでの編成も6両化された。
R17編成以降の増備車は、当初より6両編成で製造されているため、13号車と14号車の間の碍子カバーが存在しない。
2002年10月からは
200系の置き換えおよび運用効率化を目的にR18~26編成が増備された。
この編成では同時期に落成したE2系1000番台に近いマイナーチェンジが行われており
○フルアクティブサスペンションを先頭車に、セミアクティブサスペンションを中間車に搭載
○座席に座面スライド機能、グリップの追加、普通車にフットレストの設置
○11号車トイレに温水洗浄機能を追加
○男子トイレの仕様変更(R18~23編成のみ)
が主な変更点となっている。
R24編成以降のグループでは、荷物棚の形状変更やデッキ・トイレへの触地図の設置、トイレへのベビーベッド設置など内装面の改良が図られた。
E6系の導入に伴い秋田新幹線からは2014年3月に撤退、車齢の若かった後期編成は後述の1000番台への編入、および700番台への改造を行い、残りは東北新幹線内で使用された。
2020年10月に定期運用から撤退、2021年11月までに廃車されている。
山形新幹線向けのグループで、編成記号はL(2000番台も同様)。
塗装は当初シルバーメタリックにグレーのツートンに緑の帯で、400系も本系列投入後に順次同一の塗装に変更されている。
2014年から山形デスティネーションキャンペーン開催に合わせて塗装変更が実施され、白を基調に、先頭部と車体の窓上部はおしどりパープル、境界線の帯色は紅花イエロー、紅花レッドのグラデーションという歌舞伎の隈取のようなデザインとなった。
ついでに言うと山形県知事から列車名を「つや姫」に改称しろとトンチキな要望もあったがそれは却下された。
このデザインを担当したのは当地出身のデザイナー・奥山清行氏で、このカラーリングは後継車種のE8系にも踏襲されている。
グループ的には少数ながらバラエティに富んでいるので編成別に解説する。
○L51・52編成
1999年の新庄開業用として2編成が導入された。
基本設計は0番台R17編成に準じている。
後述するL54・55編成の導入に伴い2015年に引退。最後まで新塗装化は実施されなかった。
○L53編成
2005年の「つばさ」増発に向けて製造された。
基本設計はR編成後期グループに準じているが、アクティブサスペンションを搭載していない。
E8系の導入により2024年3月に引退。
○L54・55編成
前述したL51・52編成置き換えのために導入された元R編成。
L54編成は種車がR24・25編成と同じグループで統一されていたが、L55編成はR23・R26編成と違うグループを種車にしたため、荷棚などの変更された仕様が混在した編成が誕生している。
E8系の増備により2024年5~8月に引退。
老朽化した山形新幹線の
400系置き換えのために2008年から導入されたグループ。
外観ではライトケースの形状が変更されているのが特徴で、最高速度が275km/hに引き上げられた。
この編成はR編成後期グループと同じく先頭車にフルアクティブサスペンション、中間車にセミアクティブサスペンションが設置された。
同時期に落成したE2系1000番台とほぼ同じマイナーチェンジが図られており、車内案内および行先LEDのフルカラー化、座席の電源コンセント設置などが実施された。
2024年にE8系の登場を記念し、L65編成が登場当時の塗装に戻された。
E8系の導入で置き換えが進められており、2026年3月までに運用を離脱する予定。
このうち1編成は荷物輸送専用車両へと改造され、2025年秋から運行を開始することが発表された。
荷物輸送のプロトタイプという位置づけで、開発予定の新形式に反映させるとしている。
余剰となったR編成後期グループを「のってたのしい列車」に改造したもの。
○とれいゆつばさ
2014年7月から2022年3月まで福島~新庄間で運行された。
福島駅では新幹線ホームではなく、在来線ホーム発着だった。
車両はR18編成を改装したもので、車体デザインは先頭部が最上川をイメージした青、車体は蔵王ビアンコを基調に、月山をイメージした緑の曲線的なデザインがアクセントに入る。
一番の目玉は当然足湯だが、山形の特産品が購入できるバーカウンターや畳を使ったお座敷座席など、他の新幹線ではなかったものが導入されていた。
○現美新幹線
2016年4月から2020年12月まで
上越新幹線の越後湯沢~新潟間で運行された。
その名の通り現代アートを車内で楽しめる観光列車で、「世界最速の美術館」の
二つ名を持つ。
車両はR19編成を改装したもので、世界的なフォトグラファー・蜷川実花がデザインを担当。
それまでの新幹線ではありえなかった、黒を基調としたデザインに長岡の花火をイメージした柄が描かれている。
アートを飾るためのスペースを確保するために一部窓が埋められており、車内にはプラレールで遊べるスペース、新幹線電車では久々となるカフェテリアも設置された。
廃車後は上越新幹線の新潟県内各駅で部品が展示されているほか、ネットオークションでの鉄道部品販売が行われた。
派生形式
E3系をベースにして製造された検測車輛。
老朽化した925形検測車(
ドクターイエロー)の置き換えおよびミニ新幹線区間の検測用として2002年から運行を開始。
通常の編成のほか、E2系N21編成に組み込み、運行可能な予備車E926-13も存在した。
北は函館から西は敦賀まで、JR3社に亘って運行される唯一の新幹線電車なのだが、カラーリングが地味なことや運行ダイヤが平日主体で組まれている(=子供連れが見に行けない)せいか、ドクターイエローに比べて非常に影が薄い。
関連作品
2シリーズ、
プロフェッショナル仕様では秋田・東北新幹線でE3系R編成を運転可能。「LOVE特急こまち」というイメージソングも存在し、電GO!2の主役車両として扱われている。
性能に両作品で大きな差はなく、加速減速ともに素晴らしい性能を誇るが、高難易度ダイヤではそれを前提としたタイトなダイヤが組まれている。
テレビアニメ版の2003年10月5日に放送されたスペシャル「爆走列車! 網走発東京行き! 両津VS拳法バァさん!」に登場。両津が犯人を護送のために乗っていたMaxやまびこ132号(E4系P3編成)の先行列車のこまち16号(R15編成)に
速度180km/hを下回ると爆発する爆弾を仕掛けられた。
両津を爆弾解除に向かわせるべく両列車は走行中の併結を試みる。しかし実際と編成の位置が逆であるが
これの意味することとは?そして
犯人達の目的は?
1996年より発売中。現在はL編成新塗装・旧塗装がともに発売中。
特にとれいゆと現美新幹線は短期間しか発売されなかったため現在はかなりのプレミア品になっている。
2作共に「E3レーサー」として登場するが、別人扱いである。なお、玩具に書かれたロゴはS8編成のものがモチーフ。
だぁー止まれ止まれ止まれ止まれ!あ、止まった☆
アニメ第1作にのみ登場。ロボット名は新塗装が「E3つばさ フレアウィング」、旧塗装が「E3つばさ アイアンウィング」。
2001年にR編成、L編成50番台ともに発売。
上述のポケトレインの販促アニメ。
L編成が「E3けいつばさくん」、R編成が「しんかんせんこまちちゃん」名義で登場。
CGを流用し、塗装を変えているためか、R編成はR17編成以降の外観がモデルとされている。
いずれも準メインキャラクターとして扱われており登場頻度が高い。尚ストーリー構成上メインキャラになれるはずだったE926の扱い。
現美新幹線がモチーフの浦佐ノア、とれいゆがモチーフの上ノ山ゆのかが登場。尚原種のE3系は不在。
生真面目なノアと自由人なゆのかと性格は真逆だが大の仲良し。またそれぞれ実車に即して芸術と温泉が好みである。
詳細は
項目参照。
追記・修正は『LOVE特急こまち』を熱唱しながらお願いします。
- R編成は電車でGO!2世代的には新幹線の代名詞にして最も美しい車両だと思う -- 名無しさん (2025-03-05 16:46:46)
- つばさ乗るとよく1000番台が来て「あー、コンセント無いじゃん…」ってなったのも今となっては懐かしい思い出だな -- 名無しさん (2025-03-05 21:25:58)
- ※1 それをよく遊んだ世代だから分かる -- 名無しさん (2025-03-05 23:35:45)
- L50番台廃車の時期ですが、一応wikiとしての体裁を保つためにも、アニヲタ特有の(ryで略する方式をやめませんか? -- Blackboshi3700 (2025-03-15 06:36:29)
最終更新:2025年05月12日 17:23