斎藤健二/グラニュート・ラゴー

登録日:2025/06/27 Fri 11:30:30
更新日:2025/07/12 Sat 02:05:30
所要時間:約 5 分で読めます




自分は……取り返しのつかないことをしてしまって……。


斎藤健二(さいとうけんじ)及びラゴーは特撮テレビドラマ『仮面ライダーガヴ』の登場人物である。


【データ(怪人態)】

身長:202.1cm
体重:86.9kg
特色/力:頑丈な身体/俊敏性
演:吉岡睦雄
スーツアクター:川島翔太郎

【概要】

本作に登場する異種族であるグラニュートの一体で、かつてストマック社のアルバイトとして人攫いを行っていた。
ヒトプレスが開発される前にも活動していたことから、劇中ではロジョーに並ぶ古参のバイトである。

本来の姿はハイエナに近く、長い舌や両肩の鋭利な突起など屈強な見た目をしている。
硬い皮膚と俊敏性が特徴だが、諸事情から戦闘シーンが描かれなかったため詳細は不明。

【人物】

凶暴そうなグラニュート態に反し、誰に対しても敬語を使う寡黙で真面目な性格。一人称は「自分」。
元々はグラニュート界で菓子屋を営んでいたが、経営不振により店を畳むことになり、それをきっかけに闇菓子に手を出してしまった。
その後、人攫いを目的にミミックキーで中年男性の姿に化け「斎藤健二」と名乗って和菓子屋「あんどう」に潜入していたものの、店主との交流を経てお菓子作りの幸せを思い出し改心。
店主が事故で亡くなった後は、「あんどう」の職人として彼の味の存続に精を出している。

長年人間界で暮らしてきたためか、人間の食べ物を躊躇なく飲食するに留まらず、職人として優れた技量をもち*1、『あんどう』の和菓子の味を数年で完璧に再現するに至っている。
そのため劇中では珍しい、人間に友好的かつ自らの意思で闇菓子への依存を断ち切ったグラニュートである。

社交的だった店主とは対照的に、口下手らしく店は繁盛していないものの、自身に道を示してくれた店主と遺された彼の妻子にはかなり恩義を感じている。
特に、店主の息子の寛人少年のことは「坊ちゃん」と呼び、とても大切にしている。彼が危険な状況に陥れば、たとえグラニュートハンターが居る状況下であってもグラニュート態を晒し、身を挺して守ることも厭わなかった。
彼からも「健二さんに和菓子作りを習って一緒にお店をやりたい」と尊敬されている。

反面、ストマック社時代の悪行については「取り返しのつかないことをしてしまった」と今尚罪の意識に苛まれている。

【来歴】

斎藤健二としての初登場は第37話。
「経営不振となった『あんどう』を立て直したい」という寛人の依頼を受けて来店したショウマ達「はぴぱれ」の面々と知り合う。
ショウマのアイデアで動物をモチーフにした「あにまる菓子」を制作するため、寛人達と動物園に行った帰り道、ショウマを恨むジープが襲撃。
当初はショウマ達に逃がされるも、その道中でスケッチブックを落としたことに気付いた寛人が戦場に戻ってしまったため、慌てて追いかける。
そして、落下する瓦礫から寛人を守るべくグラニュート態となったが、その姿を見た絆斗の血相が変わり…。


以下、ネタバレ注意













実は、怪人態の初登場は第2話の絆斗の回想とかなり早い。
そう、絆斗の母親・早恵を攫った張本人だったのである。
幼かった絆斗にはその姿を鮮明に覚えられており、常にラゴーの似顔絵を持ち歩くほど憎悪されていた。
一方で、ラゴーはその誘拐が10年以上前であることと当時の絆斗が子供だったことからあまり覚えていなかった。
当然、絆斗からは激しい殺意を向けられるも、気絶した寛人を介抱する必要があったため一度はその場を離れた。

自分は逃げません。だからまた後で……。

後日、改めて絆斗と対面すると、人気のない公園に一行を呼び出し、自分の過去を明かした上で土下座しながら謝罪。
当然絆斗には「謝って済むことじゃない」と激昂されるが、自分の命を差し出して罪を償うと表明する。
同時に、「あんどう」の妻子に恩を返したいことから「あにまる和菓子」の完成まで猶予を貰うように嘆願。
その誠実な態度にはさすがの絆斗にも動揺されるが、最終的には渋々ながらも了承された。

そして、あにまる和菓子が完成すると置き手紙*2を残して「あんどう」を去り、とある河川敷の下で遂にその時を迎える。

復讐を……成し遂げて下さい……!

それでも手を出してこない絆斗に対して

この姿じゃ……やりにくいですか?……それなら

と自らグラニュート態に。それを見るや否や繰り出された絆斗の拳を受け、すぐさまヴァレンに変身し、必殺技を繰り出そうと構える絆斗を前に報いを受ける覚悟を決めたが、最終的にはわざと必殺技を外される。
絆斗のかけがえのない存在を奪ったラゴーであったが、今では彼も寛人にとってかけがえのない存在となっていた。
そのため、かけがえのない存在を失った時の悲しみを知っていた絆斗は、ラゴーの命を奪えなかったのである。
「もう一度闇菓子に手を出したら容赦しない」と釘を刺しつつも、今のラゴーを信じると決めてトドメを刺さずに去った絆斗を見て、ラゴーはただ項垂れるしかなかった。

その後、「あんどう」に戻ると再び和菓子職人・斎藤健二として懸命に働くようになった。
過去の罪は一生消えないものの、これからは絆斗の言葉を胸に第二の人生を送ることになるだろう。


追記・修正は自分から闇菓子をやめれる方がお願いします。































そんなある日の晩。閉店作業を行っていたところ、とある人物と遭遇してしまう。
それはストマック家の長女にして現仕入れ担当、グロッタ・ストマックだった。
実はラゴーは正式にストマック社から抜けた訳ではなかったため、社内に個人データが残っていた。
しかも長期間納品無しの成績不振者でもあり、他のバイトへの見せしめとして粛清対象にされてしまったのである。
事態を察すると即座に命乞いをするも、グロッタには「バカじゃないの?」と吐き捨てられる。
直後にグラニュート態に変身して逃走を図ったが、彼女の大鎌で瞬く間に叩き切られ消滅してしまった。

どれだけ反省しても、被害者が復讐を止めても、過去は消えない。元締めからは逃げられない。
闇菓子に手を出してしまった時点で、破滅する以外の道は無かったのである。
しかしこの件の最大の被害者は、かけがえのない存在と「あんどう」の味を唐突かつ同時に失う羽目になった「あんどう」の親子であろう。
和菓子そのものは他の職人でも作れるかもしれないが*3、斎藤健二という男の代わりはいない。
自身の過去の所業が遠因で、恩人達が不幸になるという後味の悪い結末となってしまった……。なおこの後は絆斗所かショウマ達にも何故か触れられてない。

【余談】

頭部は特捜鬼の頭部、身体はウルフ・デッドマン ライオットの改造。下半身はハウンドやラキアと同じものを使用している。

絆斗の似顔絵では腹部*4が赤く塗られていた事から、当初は「このグラニュートは赤ガヴの持ち主=ショウマであり、暴走したショウマがグラニュート態になって攫ったのではないか」という考察があった。
だが、同じ子供のグラニュートであるシータ、ジープ、コメルと比べるとあまりにも体格が違いすぎることや、早恵だけを攫う動機が全く無いことから次第に信憑性が低下。
そして、23話のショウマの回想で早恵と邂逅した場面が描かれたことが決定打となりこの説は否定された。
また、「師匠こと塩谷壮士の正体ではないか」という考察もあったが、こちらも第6話で死亡する形で否定されている。

この話の裏ではショウマとジープの戦いも同時に行われており、結果的にどちらもライダー側がトドメを刺さずに終わっているが、「己の過ちを悔い、一生をかけて罪を償うと決意した矢先に殺害されたラゴー」と「今回は生き延びたものの、徹頭徹尾ショウマを逆恨みしていたジープ」と対に描かれている。

上述にある通り、運悪く見せしめという形で抹殺されてしまったが、気まぐれでラゴーを手にかけたグロッタ自身にもまた、因果応報と呼べる結末が待っていた…





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最終更新:2025年07月12日 02:05

*1 特にみたらし団子は、甘味が苦手な絆斗ですら「美味い」と素直に褒め、思わず二本目に手を伸ばしたほど。

*2 漢字もままならないショウマとは異なり、非常に達筆。彼が長期間、人間界に身を置いた事実を窺わせる。

*3 元々ラゴーは上記の通り新商品の完成後に絆斗の仇討ちを受け入れて死ぬつもりであったため、残される二人と「あんどう」のために予め代わりの職人の手配やレシピの引き継ぎなどを済ませていた可能性は高い。

*4 恐らくガヴの歯茎にあたる部分